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2010年1月16日 (土)

甘い漬物

野菜の漬物は、新鮮な野菜のなくなる・少なくなる冬の間の野菜補給に役立つということは当然だとしても、それ以外に漬物そのもののおいしさが食べる人を幸せにします。

この10日間で2度、漬物を頂戴しました。最近の知り合いからは粕(かす)漬けの大根を、ご近所からはタクアンを、ともに自家製の漬物です。

粕漬けは酒粕を使うので少々甘いのは当然ですが、いただいたのは僕たちには少々を通り越した甘さで、砂糖が加えられています。タクアンにも、ほんのりと甘みがあり、やはり砂糖が少し入っているようです。甘いといえば奈良漬も甘いですが、その甘さは奈良漬で酔っ払ってしまう人がいるように酒粕の強さの範囲なので、札幌生まれの粕漬けの甘さとは種類が違うようです。

日本の食事は甘すぎるという外国人もいますが、その根拠を聞くと、すき焼きやちらし寿司(五目寿司)用の甘酢をうった寿司飯というのが定番です。反対はしませんが、バカみたいに甘いデザートや甘いパイを大量に食べる国の連中にはそんなことを言われたくありません。しかし、そうでない国の人たちがそういう感想を述べた場合には、うーん、聞く耳を持ちます。

甘さといえば、驚いたことのひとつが納豆の味付けです。長めの距離を利用したタクシーで熟年の男性運転手と雑談しているときに納豆の話になり、納豆に砂糖をどれくらい入れるのかと聞かれ、あわててその質問の意味を聞き返したことがありますが、納豆に砂糖と醤油を加えて好みな味に整えるのだそうです。同じ味付けの方法を、ひいきの美容院の女の子からも聞いたことがあります。「納豆の味付けのポイントはお砂糖」だそうです。うーん。そういえば、以前に別の知り合いからいただいた知床産の白作りイカの塩辛も甘みを強めにきかせていました。高知の酒盗(カツオの塩辛)などとは味の方向が違います。

ひょっとして、北海道で生まれ育った人たちの舌には、いつの頃からか「甘い」ことが「おいしい」ことの必要条件として条件付けられているのかもしれないなどと、安易に結論づけてしまいそうです。

地産地消とは、少し違った観点から見ると、作る人と消費する人の舌の共有・味の共有のことです。「地」が狭く限定されているときには、どんな味が共有されようと、その味は作る人と買う人に共有されているという点で確固としています。しかし「地」の範囲を広げてより大きな地産地消ビジネスを考える場合は、自分の味感覚が他に共感されるものかどうかが問題になります。

あるいは、自分の味感覚というか自身の食材感覚・食べもの感覚が、すぐまわりの「狭い地」に収まりきらなくて、「狭い地」で共有されている一般的な食べもの感覚を飛び越えているような場合は、「狭い地」向けのビジネスは適度な大きさにとどめて、「広い地」を相手にビジネスの拡大を推し進めた方がいい場合もあります。

「広い地」とは、たくさんの顧客候補を相手にするので今までの食材の味がぼやけるといったこととは逆で、自分の食べもの感覚をもとにつくった食材に共感する顧客に焦点をしぼり、そういう顧客に地理的により広い範囲で接近しようということです。他所の地に遥かに多くの共感者が待ちかまえている場合もあります。顧客や流通のフィードバックからそういうことが見えてきます。北海道以外からの就農者で、そういうビジネス形態で成功されている方がいます。

さて、甘い味がとても好きらしい北海道の人たちに戻ります。

「漬物に砂糖、サラダに砂糖、納豆に砂糖、塩辛に砂糖」な北海道の人たちです。もしそうなら、北の大地の人たちの味の感覚・食材感覚・食べもの感覚が、日本各地の他所の人たちの感覚にそのまま入っていってそのまま相手に共感される、そういう分野はどこかという興味が湧いてきます。辛いものや苦いものと絡み合った形で対比されるほのかな甘さを持ったものではなく、どちらかといえば、甘さがストレートな訴求力を持つようなもの。

素直に発想すれば、お菓子、スウィーツです。牛乳、バター、チーズ、メロン、いちご、ベリー、ハスカップ、小麦、ビート(甜菜)など素材はいっぱいあります。今までも、北海道の甘い食べものは「地産地消」商品や「地産『旅行者・出張者』消」商品としては大成功していますが、たとえば、ヨーロッパのチョコレートのように、東京のスイーツ好きを、北海道物産展といった催事を通してではなく、日常的にひきつけて離さない商品はないものでしょうか。

僕は、甘いものやスイーツ類が苦手なので、各論については手が出ません。

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コメント

 北海道人の砂糖好きにはびっくりします。
 その味覚は北海道独自の物なのですが、北海道人は独自のものという自覚がなく、全国もそのような味覚をもっていると勘違いしているような気がします。
 北海道の加工品が内地で受け入れてもらえない原因かもしれません。
 北海道は素材だけですよね。
 
 

投稿: スニフ | 2010年1月18日 (月) 17時26分

スニフさん、コメントをありがとうございます。北海道で生まれ育った方は、お砂糖味の料理をとても好まれるようで、東京や大阪の標準的な味覚とは結構な違いがあります。お砂糖味からは離れますが、僕の好きな魚の練り物にしても、たとえば東京・小田原・島根と札幌・小樽とでは味や食感に関する好みの違いが出ていて、そのあたりが、ちょっとつらいところですね。

投稿: 高いお米、安いご飯 | 2010年1月18日 (月) 20時25分

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