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2010年1月26日 (火)

お米の自由化を考えるときに、確かめておきたいこと(3)

4.その場合、どんな国が日本にコメを輸出してくるのか

日本にジャポニカ米を輸出しようとする国を想定するには、コメの種類や食味の議論以前に、まず、その国がコメを輸出する輸出余力があるか、その国にコメの輸出指向があるかどうかを見た方がよさそうです。日本が米市場を開放すれば、世界の各地で日本人向けのジャポニカ米を作って日本へ輸出してくるだろうという意見もあり、それなりに説得力があります。では、その世界の各地とはいったいどこなのか。

輸出余力国とは、コメの生産量が十分に大きくて国内消費以外の分を輸出にまわすことの出来る国のことをさし、そういう国が実際にある程度の規模のビジネスとしてコメを輸出している場合に輸出指向があると、ここではいいます。そういう国は、現在、世界中で4カ国です。4カ国しかないともいえます。その4カ国とは、輸出量の大きさの順に、タイ、ベトナム、パキスタン、アメリカです。

中国とインドは、それぞれ世界1位と2位のコメ生産国ですが、国内需要の対応に忙しくて、輸出比率は中国が1%、インドは2.6%。両国とも人口が増え都市化が進んでいるので、農地の減少や水不足といった問題もあり、まもなく輸出余力はなくなると考えられます。中国は、コメ生産量の80%がインディカ米で、残りがジャポニカ米。インドは名前の由来どおりインディカ米で、その中には香り米のバスマティーも含まれます。

ベトナムはコメ・ビジネスに関してタイと共同歩調をとっているので、コメ生産やコメ輸出に関しては、ベトナムには失礼だとは思いますが、ここではタイのサブセットと考えて話を進めます。なお、タイやベトナムでは生産統計などには現われない規模でジャポニカ米を栽培しているようですが、詳細はよくわかりません。

パキスタンは、小麦国であると同時に、香りが豊かで世界で最も高価なインディカ米といわれるバスマティーで有名ですが、その意味でブランドを確立しており中近東を中心に輸出も好調そうなので、日本向けジャポニカ米に手を広げるモチベーションがあるとは思われません。

そこで、まず、タイです。生産品種はインディカ種。生産量は1940万トンで、輸出量は900万トン。生産量の46%余りを輸出していますが、輸出米の25%が高付加価値米の香り米(いわゆるジャスミン・ライス)です。輸出地域別の内訳は、中東とアフリカで56%、フィリピンを加えると70%、中国にはタイ高付加価値米のファンが多いようで5%、日本には1.5%。

タイには2~3度しか行ったことがないので日本語や英語で書かれた断片を読んだ印象が中心になりますが、タイの人たちのコメに対する感受性というか繊細さはすごいなと思います。インディカ米に関しては、輸出先のニーズにあったコメを生産する体制が出来ているようですし、輸出向け商品のグレード分類などは実に細やかです。だから、作ろうと思えば、自分たちのDNAが記憶しているおいしさとは味の異なるジャポニカ米といえども、ビジネスレレベルでの生産が比較的簡単に出来そうです。

ただ、日本への輸出ビジネスのためには、自分たちが必ずしもおいしいとは思わないジャポニカ米を、自分たちがおいしいと思っており輸出先も確保できているおいしいタイ米の生産を抑制しても生産するのか、あるいはそのために新たに水田開拓をするのかという疑問は残りますが、自国の好みはさておき、顧客国のニーズにあった商品を生産するといった日本人も得意なモノ作りというかマーケティングの原点を共有していると思えば、たいして厚い壁ではないのかもしれません。

次にアメリカですが、コメ生産量は日本の81%です。最近は、アジア系の国民も増えてきたので、内需対応にも力を入れているようですし、日本全体の年間消費量の1か月分くらいの量のコメも輸入していますが、もともとは輸出用作物としてコメの生産が開始されたようです。現在もコメ輸出比率は50%です。つまり、最初からコメに関しては輸出指向で、現在は4番目に大きいコメ輸出国です。かつては世界最大のコメ輸出国でした。現在の主な輸出先は、中南米、中東、アフリカ、EUなどですが、コメに関しては、基本的に輸出の好きな国だと思います。

(続く)

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