« 日本風味のパン | トップページ | 白書用語の私的な整理 »

2010年3月18日 (木)

穀物自給率「ゼロ」をめざす国

人気ブログランキングへ

サウジアラビアという巨大石油産出国があります。石油産出量は世界一です。この国がしかたなく「穀物自給率はゼロ」をめざしています。

穀物確保のためのランド・ラッシュやLand Grabbing(海外の農地買収、海外での農地投資、Grabbingの意味は「横取り・強奪」)が2008年の食糧危機から急速に盛んになり、中国と韓国とサウジアラビアの3カ国がランド・ラッシュの「先進国」として話題になっています。”Land Grabbing” by Foreign Investors in Developing Countries: Risks and Opportunities (IFPRI, April 2009) といった報告書を見ると、中国と韓国、それからサウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国が頻繁に登場します。

サウジアラビアは雨はほとんど降らないし、地下水も砂漠にまだ緑があった頃の雨水がたまったものですが、地下水は小麦生産などに今まで大量に消費してきたのでそのツケがたまって、今世紀なかばに石油よりも早く枯れてしまうとのこと。瑞穂(みずほ)の国の日本とは事情が違います。

そういう背景から、水を大量に使う小麦のような農作物は減産を続けて2016年までに国内生産を打ち切り、それ以降、穀物はすべて輸入。ただし、農業がないとさすがに困るので、あまり水を使わないもの、つまり温室野菜栽培や酪農、養鶏などの付加価値の高い農業へ転換するそうです。

穀物がないと国民は飢え死にしてしまいますから、そういう国のとる手段のひとつは、外国に農耕地や農場を確保し、それを自国の穀物供給基地にすることです。サウジアラビアの場合だと、上記報告書によれば、アフリカのスーダン、エチオピア、タンザニア、エジプトあたりでことが進行中ですし、中国は、キューバやメキシコとは10年前に農地利用のリース契約を完了し、アフリカではタンザニア、コンゴ、ザンビア、カメルーンなどとプロジェクトないし商談を進行中です。中国の強みは、現地に中国人労働者を大量投入できることと言われています。韓国もマダガスカルで結構無茶苦茶なことをしようとして失敗しましたが、アフリカのスーダンやロシアとは問題なく事業を進めているようです。

食べ物に限らず通常の商品はよりお金(購買力)のある国へ流れ込んで行きますが、これは自動車やケータイや家電製品や大間のマグロなどの動きを見れば僕たちが簡単に確認できることです。その流れが上のような形で農地と農作物に発生した場合には、農地を提供する側のたいていは裕福でない発展途上国で食べものが不足するといった事態が生じることがありますが、ここではそのことの是非については触れません。

ランド・ラッシュやLand Grabbingで取引されている農耕地は1500万~2000万haで、これは日本の農耕地面積全体の3.3倍から4.3倍の広さです。

日本の穀物自給率や食料自給率の状況を左のページに置き、中国や韓国やサウジアラビアの穀物に関する動きを右のページにおいて、左右交互に眺めると基礎食料と政治の絡みが見えてきます。中国は穀物自給率が100%を切り、経済成長による都市化や人口増や旱魃で穀物自給率が悪化しているようです。韓国の穀物自給率は日本と同じ低い水準で27~28%くらい。僕は、食べ物に関しては、なんとか国内自給率を高めようとする日本の方向性が好きですが、ITや家電や自動車などの他の分野と同じで、他国の戦略は好き嫌いは別にして注視しておきたいと思っています。

人気ブログランキングへ

|

« 日本風味のパン | トップページ | 白書用語の私的な整理 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

食べもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317632/33785097

この記事へのトラックバック一覧です: 穀物自給率「ゼロ」をめざす国:

« 日本風味のパン | トップページ | 白書用語の私的な整理 »