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2010年3月 8日 (月)

付加価値の方向

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日本経済新聞・北海道版の最後から3枚目に、スポーツ記事があふれている日には4枚目に、「北海道経済」というページがあります。先週後半の「北海道経済」には「『北の食』核に産業育成 道、業種超えた連携促す」というタイトルの大きめの記事があり、そこから一部を引用します。(以下の『・・』が引用部分)

『道経連によると農業の付加価値率は北海道を100とすると、その他の地域は100を超え、北海道が最低。道内の農業総生産は07年度で4700億円と前年を5%下回る。1次産業をテコ入れし地域経済の活性化につなげるには、原材料として供給するだけでなく、加工度などを高めて首都圏などに売り込み、収益性をいかに向上するかが課題となっている。』

北海道の食材は、「じゃが・たま・にんじん」ではありませんが、ジャガイモやタマネギ、アスパラガスやメロン、そして鮭やホタテや牡蠣(かき)などは、相手が日本のどこに住んでいようと「どうだ」という感じで贈り物にできるので、旬の時期ごとに再利用可能な、とても味の射程距離の長い商品といえます。

しかし、北海道の加工食品は、一部には味の射程距離の長いものもありますが(換言すれば、僕が、北海道以外の、たとえば東京の知り合いの日常食用に自信を持って送れる北海道産の加工食品もありますが)、まだ多数が狭義(北海道という限られた範囲の意)の「地産地消」商品、北海道以外の消費者に対しては「地産『おみやげ』消」商品・「地産『観光客・旅行者』消」商品・「地産『首都圏デパート催事』消」商品なので、販売機会(ないし購入機会)が一過性で日常購入食品としては定着していないようです。

札幌の地元客を中心に込み合う小ぶりな加工食品売り場で定期的に「定点観察」をしていますが状況変化には時間がかかりそうで、応援者としてはいくぶん切歯扼腕(せっしやくわん)状態です。

その生産に関して北海道が独占に近い状況にある昆布は、素材としての昆布という顔と加工食品としての昆布という顔の両方の表情をもつ面白い商品です。おおまかには、素材としての昆布はダシ引き用に乾燥させただけの「葉昆布」、加工食品としての昆布は「北陸のとろろ昆布」や「関西の佃煮・塩昆布」ということになりますが、葉昆布も乾燥の仕方(天日の自然乾燥など)やその後の貯蔵の技術で加工食品に近い高級なものが、たとえば北陸地方で、作られています。残念ながら、北海道が得意なのは、産地により値段の差はありますが、付加価値の少ない、つまり、昆布流通の中で高い値段を要求できないベース商品としての乾燥葉昆布です。

オーストラリアにはASW(Australian Standard White)という中力粉(ちゅうりきこ:うどんやそうめんなどに適した小麦粉)があり、現在は讃岐うどんのほとんどがASWを使っているそうです。昭和40年代までは地元の小麦粉で打つ讃岐うどんが主流でしたが、それ以降急速に小麦粉が輸入物に置き換わりました。オーストラリア人はうどんを食べないので、これは日本の製麺・製粉業者や商社のバイヤーのフィードバックに基づいて日本向けの品種改良(うどんを食べない豪州の小麦生産者にとっては品種変更)を進めた結果ですが、ASWと聞くと、北海道の昆布が脳裏をかすめます。

さて、付加価値の出し方についてですが、食材の付加価値の出し方には2つの方向があって、ひとつは味や食味に大いにかかわる方向で、僕は生活人としてはこちらの方向が好きですがそれはさておき、そしてもうひとつが味や食味に関連が少ない方向です。つまり、前者は加工食品の方向、後者は機能性食品やサプリメントの方向です。

旬の食材を使った家庭料理が好きな僕は、機能性食品やサプリメントには興味がないので、北海道産の機能性食品や健康食品、サプリメントにも関心がなかったのですが、北海道人による北海道食材の付加価値の出し方は、目的が「地産『他』消」、先ほどの新聞記事の表現を再び借用すれば、目的が『加工度などを高めて首都圏などに売り込み、収益性をいかに向上するか』ということであれば、他所で好まれる味や食味との関連が薄いこちらの方向が向いているかもしれないと感じています。

健康食品の一部である特定保健用食品の市場は一時ほどの勢いが見られませんが(2009年は3500億円程度 <富士経済調査>)、こちらの方向なら、最終商品としてだけでなく、もちろん最終商品がもっとも高い付加価値を享受できますが、付加価値部品としての他者製品組み込みもOEM的な販路開拓も可能です。

◇ ◇ ◇

ところで、上述の新聞記事の中に、「食を『核』とした産業活性化の主な取り組み」という図がありそのひとつが「コメを原料にバイオ燃料製造」です。どこかの学者の着想にどこかの企業が協力したのでしょうか、もっと他のコメの使い方を考えたらいいのになあというのが僕の意見。どこで見たのか忘れましたが、バイオ燃料についての説明で「パンの使い方に2種類あり、ひとつは食べものとして食べること、もうひとつは薪(まき)代わりに火にくべて暖を取ること」といった揶揄的な譬え(たとえ)があり、このたとえを援用すれば、「コメを原料にバイオ燃料製造」がお好きな方たちはどうも食べものに対する基本部分の認識が僕とはずいぶん違っているようです。短期的なミクロのコメ余り現象に注目されたのでしょうが、日本は自給できる食料が余っているような状況の国ではありません。土壌保護の輪作目的でその畑に植えつけた甜菜(てんさい、砂糖大根)の余剰部分から作るバイオ燃料とは意味合いが違います。

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