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2010年3月24日 (水)

基礎農産物と付加価値農産物

企業や事業の収益性を判断する一般的な指標に売上と利益とその比率があります。利益には、売上高から(仕入)原価を引いた粗利益や、粗利益と似ていますが損益分岐点分析に使われる限界利益、営業利益や経常利益、そしてPER(株価収益率)などにも使われる純利益があります。

農産物には、穀類や豆類、野菜や果物、そして花卉(かき、花)とさまざまなものがありますが、一定の農耕地面積当たり、それが露地であれハウスであれ、どんな農産物がどれほどの売上と利益を生むかがその農産物の収益性指標になります。

通常、そうした分析の農耕地面積単位として「10a」(10アール:1000㎡:縦と横が約32メールずつの四角形)が使われますが、10aあたり、どれくらいの収量(収穫量、通常kgで表示)があり、1kgあたりの価格(出荷単価)がわかれば粗収益、つまり売上が計算できますし、直接費と呼ばれる材料費を中心とした変動費を引けば、所得、つまり限界利益が求められます。(直接費には、種苗費や肥料・農薬費、生産資材の費用などが含まれますが、農耕機械やハウスの減価償却費、流通経費や自己労務費などは含まれません。)

対象農作物として以下のものを選びそれぞれの収益性を比べたいと思いますが、農作物の食べものとしての性格から「穀類」・「豆類」・「イモ類」を主食系の「基礎農産物」、そしていわゆる「野菜」を非主食系の「付加価値農産物」と名づけます。(ただし、数値は北海道の平均値で、ソースは「北海道農業入門」平成15年など)

【穀類】米、小麦
【豆類】大豆、小豆
【イモ類】じゃがいも
【野菜】トマト、ピーマン、メロン、かぼちゃ、いちご、スイートコーン、たまねぎ、ねぎ、白菜、キャベツ、アスパラガス、大根、にんじん

「所得」(粗収益から直接費を引いたもの)の「ベスト6」は、

(1)トマト(2)いちご(3)ピーマン(4)メロン(5)ねぎ(6)アスパラガス

で、すべて非主食系の「付加価値農作物」ですが、「所得」の「ワースト6」は、

(1)大豆(2)米(3)小麦(4)にんじん(5)小豆(6)じゃがいも

で、にんじんを除き、主食系の「基礎農産物」です。

つまり、僕たちが「おなかがすいた」というときに直接役に立つ米や麦といった「基礎農産物」は儲けの少ない商品で、「おなかがすいた」という状態が満たされたあとに欲しくなる「もっとおいしいもの、より健康に役立つもの」、つまりトマトやいちごやメロンやねぎなどの「付加価値農産物」が儲かる商品ということになります。だから、野菜や果物や花卉(かき、観賞用の花)のような利益率が高く少ない面積で始められるものが新規就農者向けの農産物とされているわけです。

これが、農業以外の産業一般であれば、電気やガスを除いて、儲けの少ないものは消費者が付加価値を認めていないのだから市場原理で自然淘汰されていけばそれはそれでよい、ということにもなるかもしれませんが、農産物やその他の基本食材の場合はそうはいきません。比較生産費説などを持ち出して日本に農業は不要とする意見もまだあるかもしれませんし、農家は儲けの多い「付加価値農産物」に集中すればそれでよしとする意見もありそうです。

僕は、基礎農産物と付加価値農産物のバランスの維持が重要だと考えていますが、穀物自給率や食料自給率といったパラメーターはそうした両者のマクロなバランスをチェックするのにも役立ちそうです。

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