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2010年4月13日 (火)

世界の穀物需給(2009~10年)と日本

世界の食料需給状況を農林水産省は定期的にまとめていますが、「海外食料需給レポート2009」という年間レポートが先日ホームページに掲載されました。

「海外食料需給レポート2009」は、2009/10 年度の穀物等の国際需給の動向を、米国農務省(USDA)や国連食料農業機関(FAO)などのデータを援用しながら、分析したものですが、農水省自身が「『海外食料需給レポート2009』のポイント」と題してその内容を箇条書きでまとめているのでそれを以下に引用します。(『・・』の部分。なお、その中の《・・》は僕の補足。)

『2009/10年度の世界の穀物等の需給は、穀物、油糧種子ともに生産量が消費量を上回り、期末在庫量が増加。

小麦: 生産量は、昨年を下回るものの2年連続で消費量を上回り、需給は緩和。

とうもろこし: 主産国の米国では史上最高の単収、生産量。一方、バイオエタノール原料用等《「等」とは、家畜飼料用》の需要の増加により需給は引き締まる。

米: インドの干ばつやフィリピンの台風による減産《と、中国の需要増》から需給は引き締まる。

大豆: 米国、アルゼンチン、ブラジルともに生育期の好天のため、史上最高の生産量となり、需給は緩和。』

食べものとしての穀物は、「食料の南北問題」を別にすれば、米(コメ)を除き、その需給が緩和(生産量が消費量を上回る)しています。短期的な穀物不足はまずなさそうです。

下のグラフは、同レポートから引用した穀物の国際価格の推移ですが、2009年~2010年の穀物需給状況と重ね合わせると次のようになります。

1.小麦や大豆の価格は、2008年の暴騰後、2006年価格の1.5倍程度にまで安定してきたが、今後の1年は、その水準かそれよりもすこし安いレベルで推移。

2.米(コメ)の価格も、2008年の暴騰後落ち着いてきたが、2006年価格の2倍くらいの位置で高止まりしている。米は需給がすこしタイトなので、今後の価格位置はその水準かすこし高いレベルで推移。

Upto2009_2

短期的には一部を除いて穀物は豊富と予想される状況ですが、日本の農業や穀物自給率・食料自給率に対してどんな意味合いを持つのか。

◇全般的な穀物需給が緩和した(すこし穀物余りの状態になった)からといって、あたりまえのことですが、日本の穀物自給率や食料自給率が上向くわけではありません。

◇日本のコメの国際競争力は、国際コメ価格の上昇により以前よりも相対的に高まリましたが、その状態を維持できそうです。これは、将来の良食味ジャポニカ米を近郊国へ輸出することを視野に入れた場合、有利な環境条件です。

◇2020年度に食料自給率50%をめざす手段のひとつが、農林水産省案では、米粉を使ったパンなどの米粉加工食品や家畜用飼料米といったコメの新しい用途を拡大することで、もうひとつが小麦や大豆の自給率の向上です(それぞれ13~14%を34%に、5~6%を17%に)。

◇米粉重視の方向を個々の現場でしっかり維持していないと、外国産小麦の安さが、米粉利用の速度を落とす危険性はあります。

◇家畜用飼料米の場合は、相手はトウモロコシですが、同様の危険性があります。

◇北海道産小麦は国産小麦生産量の60%を占めていますが、2009年度は北海道産小麦の収穫量が夏の長雨などの天候不順で予定の70%という状態で、とくにパン用のキタノカオリやハルユタカの収穫量は予定の30~40%。出荷は企業限定で、北海道小麦粉の好きな個人がそれらを買おうと思っても品薄で買えない様子。小麦の自給率上昇という点では、ボディーブロー風のじわっとした悪影響がありそうです。

試験勉強を、しかたなく試験の直前に開始するか、それとも準備時間に余裕を持って前もってとりかかるか、試験ベンキョーなんてしても意味がないのでぶっつけ本番という3つのタイプがありますが、穀物に関しては各国とも時間の余裕を持って取り組んでいるようです。それに、企業や個人事業者の投資・投機欲求がからむと年毎に、工業製品以上の速度で、作付品目や生産量が変化するので、そうしたことの結果、現在は穀物需給が緩和しているのかもしれません。なかには Land Grabbing なる「海外投資」(「穀物自給率『ゼロ』をめざす国」)に熱心な国も見られます。

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