「花開いて世界起こる」
鎌倉時代初期のさる日本人形而上学者の著作のなかに「老梅樹の忽開花のとき、花開世界起なり(古い梅の樹がにわかに開花するとき、花開いて世界が起こるのだ)」や「一夜花開いて世界起こる」といった一節があります。基本イメージは中国の先達から借りてきたものですが、ひとつの花の中に世界があって、それらが次々と開いていき、世界も次々と起こりそして開いていくといった美しい光景が浮かんできます。
年によって差はありますがゴールデンウィークの札幌では、その時期を逃すと開花の機会がなくなるので、梅も桃も桜もその短い期間にいっせいに咲き始めます。札幌の桜に、梅のあとしばらくしてから咲くか、といった時間の余裕はありません。「梅は咲いたか 桜はまだかいな」の江戸端唄(はうた)の世界とは違っており、すべてが、いわば、同時に連続します。その様子は、まさに「花開いて世界起こる」です。
公共施設の広い中庭などでは、桜の隣に紅と白の梅の花、ちょっとはなれて桃色の桃の花などがまとめて見られますが、今年も桜や梅を追ってゴールデンウィーク中のどこか天気のよい日に近所から始まりだらだらと2~3時間の長めの散策をするつもりです。
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