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2010年5月31日 (月)

日本酒再発見のその後

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酔っ払うのが目的ならウイスキーや焼酎などの強いお酒が最高のコストパフォーマンスを発揮すると思いますが、味わいと静かな酔いを比較の中心に据える場合には、世界で一番コストパフォーマンスのよいお酒は日本酒だというのが現在の感想です。世界中のお酒を飲み歩いたわけではないので「世界で一番」という表現は不適当ですが、今まで飲んだことのある世界のお酒の中では、どうも、この10年から20年くらいの間に登場してきた日本酒のおいしさが際立っているようです。

お酒という人間の文化のうちで最も古い歴史を持つもののひとつとしては不思議なことですが、稲作の定着とともに生まれたと考えて差し支えない日本酒が21世紀になっても相変わらず進化を続けているようです。僕たちの形而上学的な智恵は、2500年ほど前の「老子」やその少しあとの「荘子」、1500年ほど前の仏教哲学者の「真諦(しんだい)」(「大乗起信論」の訳者ないし著者)、800年近く前の鎌倉初期の「道元」といった先達の霊性・知性からほとんど深まっていませんが、というか、逆にものごとの奥と我々の日常との関係が見えなくなっていますが、日本酒だけが進化しているということは一体にどういうことなのか。お米の隠れた霊性・潜在性を十全に引き出すことに、日本人は今まで長い間遠慮があったのか。それとも、お米そのものも味の進化を続けているのか。

ここ2~3ヶ月は、数種類の銘柄の日本酒以外のお酒はほとんど口にしていません。日本酒以外を飲んでみたいという気分にならないのです。酸化防止剤の入った種類の醸造酒と違って濁ったような酔いもありません。現在僕の気に入っている銘柄からは、雄町の複雑な余韻、山田錦のすっきりした透明さなどが伝わってきます。

好みの日本酒はお酒をとても丁寧に扱っているある地酒専門の小売店から買っていますが、この小売店の値段のつけ方がすばらしい。通常、価格は価値、食べものであればおいしさを反映していますが、これほど小売価格に見事に味を反映させている例を他にはあまり知りません。一升が3,500円のお酒は一升が3,000円のお酒より500円分おいしく、4,000円のお酒は3,000円のお酒より1,000円分味わいが深い。有名、無名は無関係。お米の種類も無関係。消費者に納得できる範囲でできるだけ高価格をつけ、もっとよい日本酒開発のためにその酒蔵にできるだけ多くの利益を還元しているという風に僕の眼には映ります。そういうところにも日本酒の進化の一因があるのかもしれません。

大乗起信論―現代語釈読

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酒育のススメ

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