« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

2010年7月

2010年7月30日 (金)

農業の公的支援(その3)

さて、米国の農家や農業法人の農業所得に占める政府直接支払いや公的支援と思われるものの概要を、農産物の種類や農家のタイプ別に眺めてみたいと思います。

参照した資料(報告書)は “US AGRICULTURE without farm support” (ABARE research report 06.10, September 2006) で、その理由は、ABAREというのはオーストラリア政府の農業を中心とした経済調査機関で、この調査レポートが米国政府による農業支援や農家補助・農家補償をやめた方がいいのではないかという立場、つまり産業保護は資源の最適配分や生産性上昇を中長期で阻害するという立場に立ち、農産物に関しては自由化指向と規制緩和指向の強いニュージーランドなどの農業政策を推奨モデルとしているので、米国での農業に対する公的支援や政府直接支払いにかかわる数字やプログラム(仕組み)をきちんとオープンにしているだろうと考えたからです。(この資料の参照や引用はその旨の記載があれば認められており、それはこの資料の性格からすれば当然ということになりますが、それも理由のひとつです。)

骨子は以下の通り。

■農家に対する支援策には(1)価格に関しては最低価格の維持、(2)売上に関しては最低売上額の保障、そして(3)農家への直接支払いがあり、これらが組み合わさって農家への支援が提供されている。

■米農務省の予算のうち、上記の農業支援に向けられるのはその20%で金額的には1.8兆円(1ドル=90円の場合)。なお、一番大きな予算は食べもの全般や栄養に関するもので50%。

■農業支援の恩恵をこうむっている主な農畜産物は、「小麦・米・飼料用穀物(トウモロコシ)・綿花・大豆」といった基礎農産物、および輸入品との競合の激しい「砂糖や乳製品」。一方、支援がないかあってもわずかな農畜産物は「牛肉・豚肉・鶏肉」と附加価値農産物の「果物・野菜」。

■「小麦・米・飼料用穀物(トウモロコシ)・綿花・大豆」は3層構造の支援プログラムで、いわば支援の層を積み重ねるようにサポートされており、「市場価格」(農家の実際の販売価格)が「目標価格」(これくらいで売りたい価格)を下回った場合には、その差額がきちんと生産者に補填されるようになっている。「砂糖や乳製品」は輸入障壁で保護し、また同時に輸出の際には輸出助成金で支援。

【註】「小麦・米・飼料用穀物(トウモロコシ)・綿花・大豆」の生産者に対する3層構造の支援プログラム(Loan deficiency payment, Countercyclical payment, Direct paymentで3つの支援層を形成、それぞれ融資単価補填、景気循環対策支払い、直接支払いといった意味だが要は別々の名称を持った補助金制度)、たとえば下の図でコメ(rice)の場合、Target priceは$10.50、Market priceは$4.25~$7.48、Loan rateは$6.50、Direct paymentは$2.35、それらを図に当てはめていくと補填額ないし補償額が計算できる(なおcwtは「コメ100ポンド」の意味)。

Us_agri_by_abere_fig_u

Us_agri_by_abere_table_4

■農家のタイプ別および規模別に分類すると、その主要属性は以下の通り。
□大規模な専業農家と、農業法人(このタイプの法人数を含む農家数は全体の10%で、粗収益額は農業全体の粗収益額の71%)
□中小規模の専業農家(このタイプの農家数は全体の25%で、粗収益額は全体の19%)
□零細規模の農家と、趣味の兼業農家や退職後の農家(農家数は全体の65%で、粗収益額は全体の10%)

■政府の支払いを受けている農家は全体の39%(そうでない農家が61%)で、政府支払い金額は農家全体の純収益額の20%に相当。

■というわけで、農業支援額全体の93%が「トウモロコシや綿花や小麦や米や大豆の生産者」に提供され、また農業支援額の56%が「大規模な専業農家や農業法人」に提供されている。

なおこのレポートでは、米国が農家や農業に対する支援を取り止めすべての輸入関税を廃止した場合に、2007年から2020年にかけて、主要作物(コメも含まれている)の生産や主要作物生産者の粗収益がどう変化するかのシミュレーションをしており、なかなか興味深い結果が出ているのでついでに引用してみます。(当該報告書の書かれた趣旨からすると、自由化しても米国農業はそれほどひどい状態にはならないだろうという方向で、「悪」影響の度合いを小さく見積もっているかもしれません。)

■2007年から2020年にかけての生産量の変化
□ 大豆:1%減少
□ 小麦・トウモロコシ:3%減少
□ コメ:11%減少
□ 綿花:13%減少
□ 砂糖:31%減少

■2007年から2020年にかけての穀物生産者の粗収益額の変化
□ 大豆・小麦・トウモロコシ:3~5%減少
□ コメ:15%減少
□ 綿花:19%減少
□ 砂糖:42%減少

<「農業の公的支援」のおわり>


人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月29日 (木)

農業の公的支援(その2)

最近は使われる頻度が少なくなったようですが、グローバルスタンダードという言葉があります。少し前に、ある国産自動車メーカーの外国人CEOが自身の年間報酬額についてコメントを求められ「グローバルスタンダードでみると多くはない」といった趣旨の発言をしていたのでこの言葉はまだ生きているのでしょう。

グローバルスタンダードというとみんなが納得した標準的なものというニュアンスが強いのですが、特定の国や特定のグループの考え方ややり方がそれ以外の国やグループに無理やりに押し付けられたものという側面もあります。情報処理の世界のデファクトスタンダードという言葉は非常に多くの人が使っているので事実上の標準という意味で、グローバルスタンダードと重なるところもありますが、利用者の納得感はデファクトスタンダードの方が高そうです。

たとえば、時価会計という考え方があります。おおざっぱに言えば、取得したときはどれほど高価な資産であっても現在ボロボロの価値しかないのであれば、ボロボロ資産という再評価をして企業の財務状況を正しく内外に公開しましょうということですが、かつてこの考え方がグローバルスタンダードの衣装をまとって世界を席巻し、バブル経済崩壊時の日本の金融機関はおかげでひどい目に遭いました。しかし、同じことが米国で起こったときには、多くの金融機関や金融投資に熱心な企業がかかえているボロボロな金融派生商品をボロボロだと時価評価するととても具合が悪いので、時価会計を世界に押し付けたまさにその国が自国では時価会計を凍結してしまいました。この動きを、米国では粉飾決算が解禁されたと表現した方もいましたが、言い得て妙です。

農業とは直接に関係ないことを書いたのは、グローバルスタンダード風のものにはどうもそういう「もやもやしたもの」「嫌らしいもの」がつきまとっており、各国の農業保護率を指し示すとされるPSE (Producer Support Estimates) 比率にもそういう「もやもや」が内在しているだろうと考え、すこし距離を置いて数字の意味や意図をとらえた方が安全だと思うからです。

たとえば、PSEでは「農産物の内外価格差」をすべて「関税や非関税障壁による政府の保護」で説明しようとしているようです。つまり外国産と国内産の特定の農産物は基本的に同じなので(たとえば、生シイタケは生シイタケ)、野菜売り場で300円で売られている外国産の生シイタケを買わずに、600円という値段の生産者がはっきりした味のよい国産生シイタケを日本の主婦が選んだとすると、その差額の300円をPSEでは政府保護金額に算入します(「原木栽培の生シイタケ」を参照)。国ごとにマクロの統計をとるので個別農産物の付加価値やそれに応じたプレミアム価格による価格差を気にしていられないという事情もあると思いますが、そういう場合には、経済学的視点からの統計の取り方と、マーケティング的視点からの数字のつかみ方のギャップを感じることになります。

ここでは深入りしませんが、経済学的視点ではコメはコメで、どこの国のどういう品種のコメでも同じコメと考え、そうした文脈で日本のコメの国際価格競争力云々の議論をする傾向が強いようですが、マーケティング的視点は、粘り気のあるふかふかしたジャポニカ米とパサパサした細長いインディカ米は別のカテゴリーの商品(食材)と見なし、両者は普通は競合しません(「普通は」と書いたのはコメの常食者が戦災や天災によってよほどの飢餓状態に一定期間おかれたような場合を除く、という意味です。)

また、コメなどをのぞいた場合の日本の農産物関税率は2000年時点では(貿易量を加味しない)単純平均で11.7%ととても低く(同様に、米国が5.5%でEUが19.5%、韓国が62.2%でノルウェーが123.7%)、したがって諸外国から日本への農産物輸出が活発で、日本でほとんど栽培されないものが日本で需要がある限り輸入されるのは致し方ないとしても、その結果が、穀物自給率や食料自給率の低さにつながっているわけです。(関税率はOECD Post-Uruguay Round Tariff Regimes 1999をもとに2000年時点で算出されたもの)

日本以外の国における農業の公的支援あるいは政府の農家や農業法人に対する財政補助に関して主要各国を個別に調べる余裕はないので、次に、農業所得に占める政府直接支払いや公的支援と思われるものがどうなっているかを農産物輸出国の米国を例にして眺めてみたいと思います。

「農業の公的支援(その3)」に続く

□□□


人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月28日 (水)

農業の公的支援(その1)

先週の新聞記事に、麦や大豆のような「畑作物」に対する政府補助(戸別補償)は、毎年の生産量や品質に基づいて交付する「成績払い」を「固定払い」よりも多くする(前者と後者は6対4ないし7対3といった割合にする)ことを農林水産省が検討中、というものがありましたが、そういった「固定」と「成績」とその適正比率といった観点での議論はここでの趣旨ではありません。

各国における農業の公的支援というのはどうもグレーな部分が多くて、よく引き合いに出されるOECD指標(後述)だけでは実態がわかりにくい。OECD諸国の農業支援の実態がもっとオープンになったらいいのにというのがここでの趣旨ですが、その詳細がオープンになることを戦略的に望まない国も多いのでしょう。(以前「農業保護率指標について」という記事を書きました。この記事は内容が一部重複しますがその続きです。)

農業に対する公的支援ないし政府補助は、農業というものが規模の大小を問わず産業として存在する国にはかならず存在するといっていいと思います。その考え方というか定義のしかたに賛成するか反対するか、あるいはそこに含まれる内容が結構おおざっぱなので眉をひそめるかは別にして、OECDのPSE(Producer Support Estimates: 生産者支持評価額と訳されており、農家や農業法人保護のための支援金額全体という意味)という指標があり、これは、「その国の関税や管理価格によって生じた農産物の内外価格差とその国の農産物生産量を掛け合わせた金額」と「その国における政府の補助金などの農業に対する財政支援金額」の合計です。%PSE(PSEパーセント)はPSE金額をその国の農業粗生産額で割った値で、それが大きいほど生産者支持の度合い、つまり農業保護率が高いということに一般的にはなっています。

僕は日本での農業には公的支援が継続的に必要だと思っていますが、これは日本は農業が弱い(農業の国際競争力が弱い)ので日本だけ特別に農家に支援が必要だという意味ではなくて、農業に関して米国やECと同じ程度に「賢い」世渡りモデルを採用すれば、公的支援は"Me, too"的にあたりまえの方策だという意味です。「産業保護は資源の最適配分機能を阻害する」といった産業一般向けのいわばタテマエ論の前で、日本の農業に関して僕たちが居心地の悪い思いをする必要はないと考えています。

もうすこし控えめにに言えば、農産物を、米や麦や大豆のような基礎農産物と野菜や果樹のような付加価値農産物に分けると、基礎農産物に関しては公的支援の議論をそれこそ前向きにもっとどうどうとしたらいい。ただし、国によっては基礎農産物の重点が穀物よりも畜産品におかれる場合もあります。

2009年の世界の%PSE(農業保護率)は、2010年のOECDレポートによると、OECD諸国の平均農業保護率は22%。その中でめだって保護比率の上昇した国は、カナダ(13%から22%へ)、韓国(46%から52%へ)、ノルウェー(60%から66%へ)、そしてスイス(57%から63%)です。この指標では日本や韓国やスイス、そしてクジラの好きなノルウェーがあいかわらず「悪者」になっているようです。

グラフの一番左側のニュージーランドは%PSEから見ると「超のつく優等生」で、正確な数字は覚えていませんが、羊の数がヒトの数よりもはるかに多い農業と畜産の国です(多分、ヒトが400万人で羊が4000万頭で羊が10倍)。

Producer Support Estimates as % of gross farm receipts, 2007-09 average

(OECDホームページより)

Pse2009oecd

Source: OECD, PSE/CSE database, 2010.

「農業の公的支援(その2)」に続く

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月27日 (火)

米パンに向いている米粉やお米

お米需要の拡大のために今後の米パン消費を伸ばすことを考えた場合、2つの方向があるようです。互いに排他的な方向ではなく、互いに補完的な方向です。ひとつは専門家向け、もうひとつは家庭向けあるいはアマチュア向けと言えそうです。

米粉を使って米粉パンや米粉麺(めん)が作られますが、現在ご飯として僕たちが食べているお米よりも収穫量が30%から50%も多い一般にはまだ無名のお米(多収性品種)の中から、おいしい米粉パンや米粉麺に経済的に向いているのはどんなお米の品種かを、米粉という観点から調べ、その活用を展開していこうというのが専門家向けの方向です。

一方、お米(米粒)から米パンを作る米パンホームベーカリーがこの秋半ばにある家電メーカーから発売されますが、材料としてはどんな種類のお米を想定しているのでしょうか。このホームベーカリーの商品企画部に問い合わせてみました。各地で好まれるお米は違うので、その米パンベーカリーは、新潟のコシヒカリや九州のヒノヒカリといった各地で毎日のご飯用のお米として人気のあるものに全般的に対応できるような「米パン作りプログラム(ソフトウェア)」を組み込んであるとのこと。家庭で普段食べていてなじみもあり在庫もあるようなお米を利用して米パンを作ってもらうことが目的で、これは家庭向けあるいはアマチュア向けの方向です。

ちなみに、農林水産省の資料に米粉パンや米粉麺とお米に含まれるアミロースの含有率との関係を整理したものがあります。そのなかに、僕たちにおなじみの代表的な米飯米が数種類と、僕たちにはなじみのない多収性品種が2種類位置づけられています。(以下の写真と表、農水省・食糧部会「米の新用途利用をめぐる事情」2009年3月)

まず、アミロースとお米の関係ですが、炊いたときにアミロースが少ないお米はねっとりとした感じになり、アミロースが多いお米はパサパサした感じになります。アミロース含有率が適度に低くて粘りのあるのがご飯としては良食味米で、アミロース含有率が高いものは粘りが少ないのでパラパラが必要なチャーハンやピラフに向いています。

(1)米粉パンとアミロース含有率の関係

Photo_3

    低アミロース   中アミロース   高アミロース

  アミロース含量が異なる品種を使用した製パン試験
  中アミロース性品種の製パン性が優れる。

(2)米粉麺とアミロース含有率の関係

Photo_4

   高アミロース    中アミロース

アミロース含量が異なる品種を使用した製めん試験
高アミロース性品種の製めん性が優れる。

(3)多収性品種(タカナリ、越のかおり)と一般米飯(コシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、おぼろづき、など)をポジショニングしてみると・・・

Photo_6   

日本の各地でご飯として食べられているお米の品種は結構多いのでいくつか例外はあるでしょうが、この米パンホームベーカリーが原料として想定しているお米の品種、つまり各家庭でご飯として普段食べているお米が、米パンに向いていることがわかります。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月26日 (月)

お米(米粒)からパンができる

人気ブログランキングへ

いわゆるお米(米粒)を使ってパンをつくるホームベーカリーがこの秋半ばにある電気機器メーカーから発売されるそうです。米粉を使ってパンを作るホームベーカリーは以前からもあったし、炊いたご飯を3割ほど小麦粉に混ぜるとグルテンなしでもよく膨らみ、もちもち感やしっとり感のあるパンができるといった専門家のノウハウもありましたが、いずれにしても、米粉パンは小麦粉パンよりも材料費がけっこう割高になるので抵抗感が、あるいは炊いたご飯を小麦粉に入れるという変則的なプロセスに対しては違和感があったことは否めません。だから、お米(米粒)から米粉という流れをとらずに、お米から直接パンを作ってしまったというその家電メーカーの製品化の知恵と熱意はすごいなと感心しています。

パン焼き器に入れるのは、お米と水と砂糖と塩、そしてイーストとグルテンなどで、これは小麦粉パンや米粉パンと主原料以外はおおよそ同じなので費用の違いは米粉と小麦粉とお米の価格差ということになります。またそれぞれの店頭価格を調べてみましたが、数ヶ月前の価格ととくに変わりはありません(「日本風味のパン」)。パン用小麦粉というのは強力粉のことです。中価格帯のお米は、普及品のパン用輸入小麦粉よりも30~40%、上級品のパン用輸入小麦粉よりも15~25%ほど価格が高くなっています。お米は、食味のよいご飯用としてよく買われる価格帯のものをパンにも流用するという意味で、中価格帯のもの(5kgで2,080円から2,180円くらい)を対象にしてあります。

上新粉(うるち米の粉):\588~\756 /kg
パン用小麦粉(輸入小麦を使った普及品):\278~\328 /kg
パン用小麦粉(輸入小麦を使った上級品):\346~\354 /kg
パン用小麦粉(北海道産小麦を使ったもの):\435~\483 /kg
お米(中価格帯の一般的なもの):\400~\440 /kg

お米は台所の常備食材なので、それをそのまま使ってパンが作れるということは、ホームベーカリーを使ってパンを焼くという行為への違和感や抵抗感を小さくしそうです。一人当たりのお米の消費量が減っているということは、急にダイエットを始めた少数の若い女の子を除いては穀類の消費量が減っているとは思われないので、お米以外の穀類の食べもの、つまりはパンや麺やパスタにお米の減少分の需要が流れているということになります。

先ほど、お米の価格と輸入小麦粉の価格を比べましたが、この比較はあまり意味がなくて、お米の消費者にとって意味があるのは、お米の値段と小麦粉の加工食品であるところのパンとの値段の違いです。パンは加工食品なので、いい加減な作りのものは別ですが、それほど安くはありません。

このお米ホームベーカリーを作った企業のホームページやニュースリリースを拝見すると、1斤の米パンの材料費はお米を使うと約150円となっています(ちなみに同社によれば米粉の場合だと材料費は約340円)。220gのお米と同量の水とその他の材料を投入すると1斤の米パンができあがるそうですが、値段が5kgで2,180円のお米だと220gで96円なので材料費合計が約150円というのは、まあ、納得できる数字です。(当該企業の商品企画部によれば、この商品で利用されるお米は通常価格帯のもの、つまり5kgで2,500円前後のお米を想定しているとのこと。)

新聞記事等によればホームベーカリーの国内市場は現在年間40万台、年率30%程度で伸びていますが、当該企業は初年度に6万台の販売を見込んでいるそうです。

このお米ホームベーカリーを購入した家庭が、市販の小麦粉パンを購入する代わりに1斤の米パンを週に2回焼くとすると、1年間のお米の消費量は23kgです。家族数を3人とすると、米パンによる1人あたりのお米消費量は7.6kg。平成20年度の1人あたりの年間お米消費量は59kgで昭和37年の118kgをピークに徐々に減ってきましたが、この7.6kgという量は過去10年あまりの米消費量の落ち込みを相殺する量です。(農林水産省・食糧需給表)つまり、6万家庭についてはお米の消費量は平成9年のレベルにまで回復する可能性があります。

今年のホームベーカリーの市場規模が40万台なので1年後の国内市場規模が52万台、過去の分も入れて今から1年後時点での稼動合計台数を150~160万台と想定し家族数を3人とすると、約450~480万人の日本人がホームベーカリーのパンを頻繁か時々かは別にして定期的に食べていることになります。450~480万人は日本の人口の約4%。ホームベーカリーを持っていない家庭の2%が、市販の小麦粉パンを買う代わりに、お米でパンができるホームベーカリーを購入してお米パンを小麦粉パンの代わりに日常的に楽しみ始めると、70~80万家庭、あるいは220~240万人に関しては過去10年のお米消費の落ち込み分くらいは確実に回復します。こういう商品にこそ、ほかの対象製品を一部はずしてもエコポイント的なもの(名前は何でもいいのですが)をつけたらとても戦略的だのになあ、と強く思います。

炊いたご飯はすぐ食べるとおいしいが時間が経つと傷みやすいので不便、パンは常温でもご飯よりは長持ちするので少しは日持ちするし外への持ち運びなども便利といったご飯とパンの違いがありますが、お米(米粒)でパンができるホームベーカリーはその両方の良さをお米離れを起こしつつある家庭に届けることになるかもしれません。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月23日 (金)

昆布は表の砂利庭で天日干し

我が家では昆布が好きなので、各種をそれぞれに楽しんでいます。出し汁をとるには利尻(りしり)と羅臼(らうす)の「だし昆布」、秋から冬のおでんには日高の「おでん用結び昆布」、無性に昆布のサラダが食べたいときや材料がなくて困ったときの緊急サラダ用には函館の周辺や近隣でとれる真昆布を食べやすい形にすいた「すき昆布」。それから、たくさん食べられるように薄味で作った五目豆には、小さな■(四角)に刻んだ羅臼昆布。そして、簡単にお吸い物がほしいときに具として活躍する「とろろ昆布」。

だしには利尻と羅臼を使い分けています。透明で上品にいきたいときは利尻、強めで濃いだしがほしいときには羅臼。羅臼を使ったときは、毎回ではありませんが、一番だしの後のを利用して自家製の佃煮を作ります。昆布の佃煮がほしいという理由で羅臼を使う場合もあります

すぐ向こうの海は昆布漁のための自分の庭。昆布を天日干しする場所は海と家との間の砂利を敷き詰めた続きの庭、そこに昆布がきれいに縦に並べられ日の光を浴びます。海の庭と地面の庭。高級利尻昆布産地の利尻と礼文の昆布の浜の光景。天日干し用の砂利は自然の雨でその汚れを洗い落とすのがいいそうです。水道水は不可。好物ができあがる最初の加工工程を好物の産地でじかに見るのもいいものです。

__201007
        利尻昆布の天日干し(ただし、撮影場所は稚内)

利尻町役場のホームページに昆布干しアルバイトの募集広告が出ています。『・・・』部分がその募集広告からの引用です。遠くの大学生には往復の旅費が大変ですが、僕が現在大学生なら応募していたかもしれません。昆布干しの作業概要と作業時間帯が簡潔にわかります。

『昆布干しアルバイト募集!!

最果ての夢の浮き島「利尻島」で昆布干し作業をしてみませんか!!
利尻町では、昆布漁期に昆布干し作業していただける方を募集しています!!あなたも、夏のさわやかな時期(ウニ・昆布漁期だよ!!) に昆布干し作業をしながら、利尻の夏を体験してみませんか!!  

雇用条件
□期間 6月15日~8月10日迄の期間中
     (3週間以上作業に従事できる方) ※期間延長の場合有                             
□勤務地 利尻町
□作業内容 ①利尻昆布干し(天日乾燥)及び回収作業
         ②製品(昆布)づくり作業(雨の日の作業)
□年齢  18歳以上の男女 (高校生不可) 大学生歓迎
□賃金  男女共 ①時給1,000円~1,600円
             ②時給 750円
□労働時間
晴天日
  ○昆布干し(天日乾燥)作業(4:00から7:00まで)
  ○回収作業(14:00から16:00まで)
  ○その他昆布作業全般
雨天日
  ○製品作り作業(8:00より17:00まで)
□休日 週休制(応募時に説明します)
□待遇 宿舎寝具完備
      交通費一部助成(契約期間満了者に限る)』

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月22日 (木)

牧草地の「だるま落し」

人気ブログランキングへ

お茶の葉を入れる筒というか円筒形の缶の先を少し丸くとんがらせるとサイロの形になります。サイロ(Silo)とは、農産物や家畜の飼料を収蔵するタワー型の倉庫や容器のことで、だんだんと少なくなってきましたが、北海道の牧畜農家でまだ少しは見かけます。下の「だるま落し」の姿はサイロの形にいくぶん似ているかもしれません。

余談ですが情報処理の世界では、サイロという言葉は、サイロは孤立してそびえ立っており窓もないということから、情報が縦割りに管理されて他との情報共有のない世界や会社を指すのに使われていたこともあります。

Photo_3

上の写真は、「手作り民芸工芸品 駿河屋」さまからお借りしました。

 

夏の北海道を走っていると、夏の時期にもよりますが、牧畜地域や麦畑の多い地域で「だるま落し」の段のひとつのような形をしたものがいっぱい、たいていは無造作に、しかし結果としては感心するようなレイアウトで、牧草地や収穫後の麦畑に置かれているのを見かけます。ひとつひとつは厚めに切ったお菓子のバウムクーヘンの一切れといっていいかもしれません。大きさは直径が小柄な女性の背丈くらい。

薄茶色の厚切りバウムクーヘンがそのままばらばらと置かれているところと、白や黒、白と黒の縞模様や黒とグレーの縞模様、ごくまれにうす緑のビニール状のものできれいにラッピングされた「だるま落し」の一段が点在、あるいはそれなりに整理されて並べられているところの2種類の草地や畑地の広がりが目に入ります。

厚切りバウムクーヘンは麦わらを専用の機械で巻き固めたもので「麦わらロール」、難しい用語だと「麦稈(ばっかん)ロール」。用途は牛の寝床の敷物など。一方、白や黒のだるま落しは、同様の機械を使って牧草を短い円筒形に巻いたあと、それをラッピングしたもので「牧草ロール」。サイロという言葉を使って言い換えるとポリエチレンでラップされている(ギュッと包まれている)ので「ラップサイロ」。「サイロ」の目的のひとつは牧草の発酵および貯蔵ですが、「ラップサイロ」はラップ状態にされた牧草がその中で勝手に発酵するのでタワー型サイロの経済的なそして安全な代替案です。つまり、「牧草ロール」は発酵した牧草なので、牛のおいしいエサ(飼料)になります。

北海道の西北部の日本海沿いの一帯や北端の宗谷岬、北の内陸部も牧畜が盛んな地域ですが、とくに日本海沿いや宗谷の牧草地は海のすぐそばに広がっており、海岸線がもっと厳しく切り立った状態だと雨の多い季節のイギリスやスコットランドの牧草地帯と錯覚するかもしれません。そこに白や黒の「牧草ロール」、つまり「だるま落とし」のひとかけらが非調和の調和をおもわせる形で数多く点在していて、見る人にとっては夏の楽しい3次元の抽象絵画です。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月21日 (水)

原木栽培の生シイタケ

人気ブログランキングへ

自分の好きなものに対する人気が世間で衰えてきたときに、僕たちは2種類の反応を示すようです。自分の好きなものとは、食べものかもしれないし、小説や美術品かもしれないし、着るものや履くものでも何でも結構です。反応のひとつは、おいしいものやいいものを独り占めできる確率が高くなるのでその傾向を歓迎するというもので、もうひとつは、そうしたおいしいもの、いいものが世の中からなくなって手に入らなくなる可能性があるのでその傾向を厭(いと)うというものです。

2008年から2009年にかけて、生シイタケの消費量が6%増え、この数年間だんだんと増加していた生シイタケの国内生産量もさらに増え(7%増)、同時に中国からの輸入が減ってきたので、2009年の生シイタケの自給率は94%です(消費量が79,684㌧、国内生産量が74,962㌧)。しかし、生産が増えているのは菌床栽培もので、原木栽培の生シイタケの生産量比率は、残念なことに2009年には18.2%と20%を割りこんでしまいました。(林野庁統計より)

残留農薬問題などで中国からの輸入が減った分が国産菌床栽培もので補完されているだけでなく、原木栽培そのものの国内生産量がこの数年少しずつ減って、その分だけ菌床栽培がシェアを伸ばしています。この状況に対する僕の反応は、「いいものが世の中からなくなって手に入らなくなる可能性があるのでその傾向を厭(いと)うというものです」。

菌床栽培と原木栽培の香りや味わいの違いに関してですが、控えめな言い方をすると、菌床栽培ものとは僕の舌はうまくなじめません。控えめでない言い方をすると、菌床栽培ものはおいしいとは思えないのでそんなものにはお金を払わないということになります。原木栽培と記載してあるものの中にも、「本当に?」といった程度のものがあるので、原木栽培なら何でもおいしいとはいえませんが、その違いを納得しようと思ったら、半日ほど天日干しした生しいたけの軸をカットし、短くなった軸の部分を上にした状態 (upside-down) で軸に塩をのせて蒸し焼きにし、じわっとなった傘の内側にスダチかユズをかけて召し上がることをお勧めします。そのとき陶然とした気持ちにしてくれるシイタケとそうでないシイタケがあり、原木ものと菌床ものの差があきらかになります。

このまま原木栽培の生産量が減り続けると困ってしまいますが、生産量シェアは18%程度あるのでまだ大丈夫。高付加価値食材を好む消費者の割合は、10%~20%と考えられるので(「魅力的な農家(その2)」参照)、しばらくして底を打ったらまた生産量が増えるかあるいは横ばいで推移するかもしれません。そう期待しています。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月20日 (火)

お米のブランド力格差

お気に入りの無農薬米などをお気に入りの農家から直接買っている人たちには余り関係のない話かもしれませんが、お米のブランド力格差の話です。新潟県魚沼産のコシヒカリがおいしくて値段も高いというのはよく知られた事実ですが、いろいろなお米を小売価格や卸売価格で比較してみると、強いお米と弱いお米のブランド力格差が明瞭になります。他の食べもの(たとえば、ジャガイモやサツマイモ)もそうですが、お米のブランド力は産地と品種の組み合わせで決まります。

農林水産省は、お米の価格の推移を分析するために一定以上の取引高のあるお米の流通価格(卸売価格と小売価格)を毎月調べていますが、以下は2009年に収穫されたお米の2010年5月の値段です(ただし、包装代と消費税を含む、10kgの精米価格)。

卸売価格と小売価格という基礎データを少し加工してみます。

ひとつは、最も値段の高い「新潟・魚沼産コシヒカリ」の小売価格を100とした場合の他の競合米の価格はいかほどか、小売価格がブランド力を表示するとすれば、お米によってどれほどのブランド力格差が存在するか。もうひとつは、小売価格と卸売価格の差(ここでは、小売価格を卸売価格で割った値を%で表示)が大きいほど流通マージンが高くなるので、流通は、その差が大きい、ないしはその差を大きくできるお米を歓迎します。ここではこの値をこの値を流通歓迎度と名づけます。

2009年産米の、2010年5月の卸・小売価格 (農水省調べ)
(価格は10kg精米、包装代、税込み)
産地銘柄 卸売価格(円) 小売価格(円) 小売価格÷卸売価格 (=流通歓迎度≒補助ブランド力) 魚沼産コシヒカリの小売価格を100とした場合のそれぞれの小売価格(=ブランド力)
北海道きらら397 \3,221 \3,620 112% 52
北海道ななつぼし \3,253 \3,506 108% 50
青森つがるロマン \3,308 \3,490 106% 50
岩手ひとめぼれ \3,466 \4,125 119% 59
宮城ひとめぼれ \3,567 \4,141 116% 60
宮城ササニシキ \3,612 \4,344 120% 62
秋田あきたこまち \3,568 \4,124 116% 59
山形はえぬき \3,369 \3,789 112% 55
福島コシヒカリ(会津) \3,699 \4,706 127% 68
福島ひとめぼれ \3,424 \3,944 115% 57
茨城コシヒカリ \3,447 \3,989 116% 57
栃木コシヒカリ \3,474 \3,895 112% 56
千葉コシヒカリ \3,527 \3,957 112% 57
新潟コシヒカリ(一般) \4,009 \4,864 121% 70
新潟コシヒカリ(魚沼) \5,522 \6,952 126% 100
富山コシヒカリ \3,701 \4,385 118% 63
福井コシヒカリ \3,496 \4,104 117% 59
福井ハナエチゼン \3,288 \3,731 113% 54
長野コシヒカリ \3,654 \4,663 128% 67
滋賀コシヒカリ \3,403 \3,941 116% 57
島根コシヒカリ \3,603 \4,229 117% 61

お米のブランド力格差は結構大きくて最大2倍の開き(100対50)があります。あるいは、魚沼産コシヒカリが圧倒的な強さ誇っているともいえます。

流通歓迎度は小売価格が高いものほど高くなる傾向がありますが、消費者がその味や品質に納得してプレミアム価格を支払うような高い値段のブランド米は、同時に流通業者にも高マージンを提供するので、結局、強いものの基盤は揺るがないことになります。

北海道の新しい品種米である「ゆめぴりか」は新潟産コシヒカリのポジションに割り込むことをねらっていますが、2009年産のものは長い冷たい雨のせいで残念な結果になりました。今年は、低温対策に深水管理(稲の幼穂の伸びにあわせて水田の水を深くして稲を低温から守る方法)をとりいれている農家も多いとのことで、また今年の北海道の米作地帯の夏は当初の予想とは違ってけっこう暑いし、2010年の収穫量と収穫品質が楽しみです。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月12日 (月)

今週は夏休み

今週(7月12日~16日)は夏休みで旅行中なので、ブログはお休みさせていただきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 9日 (金)

お米の売れ筋価格が二極化(その2)

お米の売れ筋価格の二極化も進行中です。お米は今年は消費が停滞しており、とくに家庭用の需要が伸び悩んでいる様子です。首都圏とその近隣では、新潟コシヒカリなどの高級ブランド米は固定ファンも多く売れ行きは安定しており、また同時に低価格銘柄の人気も根強い一方、人気薄なのが5kgで2,000円くらいの中価格帯のお米。札幌のスーパーマーケットでも2,100~2,200円前後の5kg袋は棚占有率がいちばん高く各種銘柄がそろっていますが、どうも正規分布のまん中あたりの商品が消費減少の影響をもろに受けていることになります。あるいは、もともと高価格帯選好母集団・中価格帯選好母集団・低価格帯選好母集団と母集団が3つあり、中価格帯母集団にいた顧客の一部が不景気のせいで低価格母集団へと移動をはじめたのかもしれません。

ここで、高価格帯選好母集団とは有機米やブランド産地米や良食味米にプレミアム価格を払うひとたち、中価格帯選好母集団とはお米はおいしさと値段のバランスが取れていたらそれで良いとする人たち、そして低価格帯選考母集団とは国産米であれば味は二の次で値段の安いものに限るという人たちを指しています。

では、高級品ブランド米にお金を使う人たちはどれほどいるのか、少し範囲を広げて一般化すれば、お米を一部とする農産物や食べものには高品質商品・高付加価値商品を求めてお金を使うが、その他の商品は最小機能・一般品質さえあればよくてそれが廉価ならさらに望ましいという人たちはどれほどいるのでしょうか。

ここで「食費は切り詰めるが、ファッションには最もお金をかける」という二極化傾向を持つ人を「着る人」と名づけ、「被服費は切り詰めるが、おいしくて安心な食材には惜しみなくお金を使う」という逆の二極化傾向を持つ人を「食べる人」と名づけてみます。

あるものへの出費を切り詰めるという場合、その方法は(1)「購入商品単価を下げる、つまりより安いものを買う」、(2)「買う量を減らす」、そして(3)「両者の組み合わせ」で、「着るもの」の場合はどの方法も可能ですが、「食べるもの」の場合は、意識的なダイエットのような場合を除き、食べる量の削減は普通は不可能です。

「食べる人」がとりあえずスーツを必要とする職業についている場合は量販店の特売で買った2着のスーツを季節ごとに着まわせば「着るもの」についてはなんとかなります。可処分所得の相当部分を「食べるもの」につぎ込めます。「着る人」が食費を切り詰めようとしてお昼ご飯を「コンビニ弁当」「牛丼」そして「手づくり弁当」と変化させても、食べる量は減りません。「手づくり弁当」のコストを、たとえばより安いお米を使って下げていくか、あるいはお米以外の食材を主食にするか、といったことしか切り詰めの方法はなさそうです。

お米の売れ筋価格が二極化という現象の場合、「お米」を「食べる人」は価格変動や可処分所得変動と関係なくお気に入りのお米を食べ続けるのでこの人たちの数や消費行動に変化はありません。

有機・無農薬米を栽培し、それを家庭やレストランに直接販売しているある農家は「食べる人」ないしは「高価格帯米選好母集団」の割合を自身のビジネス経験から10%と推定しているようです。アンケート結果には一般によそ行きの性格が見られますが、とくに食べもの関連のアンケートは「見栄」と「たてまえ」が跳梁(ちょうりょう)する世界なので信頼できそうなものに依拠すると、「食べる人」の割合はぎゅっと絞り込むと5%、絞込みと程度をすこしゆるやかにすると20%くらいです。食べ物に関しては、その人たちが二極のひとつを安定的に作り、もうひとつの極は、景気の停滞とライフスタイルの変化(たとえば、他の人はどうか知らないが、私は興味のないものにはお金を使わない、など)に応じて高くなったり低くなったりしているようです。

(「お米の売れ筋価格が二極化」の終わり)

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 8日 (木)

お米の売れ筋価格が二極化(その1)

高い買い物をしない、ムダ使いをしない、だからお金持ちになれたというのは、まあ、その通りだと思いますが、普通は、お金持ちはお金持ちでない人たちよりもたくさんのお金を使うと考えられます。

洋服のように、デザインが気に入ったからいつ袖に手を通すかわからないけれどもとりあえず買っておくかというような種類の商品があり、靴などもその手の商品です。だから、そういう商品には、そうした商品の持っている魔力がまわりに漂うせいか、衝動買い傾向を持った一定数の消費者が熱心なサポーターとしてついています。商品の種類は相当に違いますが、冷凍食品をやたらに買い込む主婦がいて、いつ食卓に上るとも知れない冷凍食品が先入れ先出しルールを無視した状態で冷蔵庫にあふれているといった光景もよく耳にしますし、また実際に見かけます。

この種の消費者は、収入の多寡にかかわらず存在するので、違いは、お金持ちはより高価なものを、そうでない人たちはより廉価なものを、ということだけかもしれません。

最近は売れ筋価格の二極化が進んでいるということがよく話題になりますが、この二極化とは所得格差の広がりによる消費者の可処分所得の二極化からくるものではなくて、特定の消費者の消費パターンにいわば内在的に見られる二極化です。これは、僕たち自身の消費行動や消費パターンを観察すれば、僕たち自身がすごいお金持ちである場合は別ですが、その通りであることがわりに簡単に確認できると思います。つまり、「肉とワインは高級品にどんどんお金を使うが、洋服は安い吊るしでよい」、「携帯電話や情報処理関連の電子機器は常に新しいものに買い換えるが、自動車は安いレンタカーがあれば十分で買う気はない」、「食費は切り詰めるが、美容にはお金を惜しまない」「晩御飯にコンビニ弁当以上のお金をかけるつもりはないが、スーツはデザインの斬新なイタリアブランド以外は着ない」「子どもの教育費にはお金をかけるが、それ以外の出費はことごとく抑える」といった二極化パターンに近い消費パターンが僕たちの中にもあるだろうということです。

ひとによってどこにお金を使いどこにお金を使わないかは違うので、より高級品が求められるのはどんな商品かより安いものが好まれるのはどんな商品かを一般論で議論しても、GDPの大きさを産業別に比較して、GDP全体に占める比率が高い産業に属する商品はそれ以外の商品よりも多くのお金をひきつけているので、従って高級な商品もより多く購入されているに違いないと想定すること以上の意味はなさそうです。それでも「食べもの」や「農産物」や「お米」がどんなポジションにいるのか気になります。

(その2)に続く

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 7日 (水)

胚芽(はいが)の落ちにくいお米

人気ブログランキングへ

我が家は通常は玄米食ですが、気まぐれか、料理の都合でそういう必要のあるときに3分付きや5分付きにすることが時々あります。そのお米は今まで3分付きや5分付きにしたことはなかったので気がつかなかったのですが、先週末にたまには3分付きを食べてみるかということになりました。

家庭用の精米機で3分付きにした配偶者が、糠(ぬか)と3分付きされたお米をじっと見つめているので、どうかしたのかと聞いたところ、「胚芽」という答え。

同じ品種で産地の違う何種類かの玄米を食べてきて、今はある別の農家の栽培した同じ品種の玄米を食べています。玄米を食べるのは、お米のミネラル分の大半が糠(ゆか)と胚芽に含まれるのでそれを食べないのはもったいないのと、そういう理屈の前に、そもそも玄米自身の味が気に入っているからです。

玄米から糠の層だけを取って胚芽を残したものは胚芽米と呼ばれています。胚芽米は一般の家庭用精米機ではその調整が無理で専門の大型精米機が必要とされており、我が家の経験もその通りで、今までの玄米は、胚芽が脱落しやすい品種だということもあって、家庭用精米機で3分付きや5分付きにすると、胚芽がかなり落ちていました。しかし、今度のお米は、3分付きにしてもどういうわけか胚芽が落ちません。胚芽の交じった糠から胚芽を篩い(ふるい)分ける手間が省けるので楽ですが、そういうことはさておいて、どういうことが理由で胚芽が落ちないのかはよくわかりません。しかし、3分付きにしても胚芽が食べられるということは僕にとっては好ましい現象なので、好ましい現象はポジティブに解釈することにすると、これはよほど出来のよいお米だということになります。

蛇足ですが、玄米を分付き(ぶづき)にしたときにできる副産物としての糠は、一応、副産物ということにしておきますが、糠漬け用の糠床に追加して利用しています。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 6日 (火)

完熟した梅は桃の香り(その2)

容器や道具はとても強い度数の焼酎で丁寧にぬぐい、赤紫蘇(あかしそ)も葉の部分だけを丁寧にもぎとってよく洗い風通しのよいところで1昼夜乾燥させたので、それから梅への塩分は強めに利かせてあるので、あとドジな事をしていなければ、土用干しを待っている仕掛中の梅干しにカビが発生する可能性はまずないと思いますが、念のため、毎日、朝早い時間に状態を確かめます。

梅干しは、円筒形のホーロー容器に入れてあり、プラスチックの半透明な中蓋で覆った上にホーロー蓋をしてあるので、プラスチックの中蓋の上から様子を見ます。赤紫の透明な赤梅酢(あかうめず)が重石の上に薄くあふれており、重石と容器の隙間からは濃い赤紫がのぞいています。異常なし。

さて、我が家では梅干しは5kgしか作りませんが、それでも相当にうんざりするのは、大量の赤紫蘇の葉の部分を丁寧にもぎ取ってよく洗うという作業。5kgの「赤い」梅干しに必要な赤紫蘇の量は市販の袋入りだと5袋分ですが、水をはった容器に全部並べてみると結構壮観です。土などもついた新鮮な赤紫蘇から葉の部分だけを、カビの原因となる茎の部分が混じらないように丁寧にもぎとるという作業から開始しますが、これが我慢比べのような工程。配偶者と一緒に音楽でも聞きながら共同でやらないと前に進みません。梅干しを20kgとか60kgとかを作る家庭や農家があるそうですが、ほとほと感心してしまいます。

この忍耐作業の報酬は、おそらく納得できる味と色合いになるであろう自家製の梅干しを一年中楽しめることだけですが、投資満足度率は高そうです。

ついでに、適当に投資収益率を計算してみました。難しい計算ではなく、『4Lサイズの紀州産南高梅を使い、塩分は17%で紫蘇仕立て、つまり伝統的なつくりの専門店の梅干しを購入する場合に必要な金額』と『自家製梅干し作成にかかった材料費(つまり4L~5Lサイズの紀州・完熟梅5kgとミネラルの多い伝統製法の塩900gと赤紫蘇5袋分の値段)と配偶者と僕の労働費(ちょっと高めのアルバイト時間給を使って計算、今後の必要分も含む)の合計、すなわち直接原価』を較べると、買うのよりも15%~18%くらい安い費用で梅干しが手に入ります(5kgの梅から3kgの梅干しができるという想定)。

この比較には、我が家の梅干しは専門店のものと同じくらいおいしいという前提が隠れていますが、この前提の妥当性については今は議論しません。

自家製梅干しには白梅酢(うめず)や赤梅酢といった副産物があり、白梅酢はすでに500mlをガラス瓶に保管してありますが、7月末には同量の赤梅酢が確保できます。値段をつけたらそれぞれ2,000円くらいにはなると思うので、合わせて4,000円。お金を出しても、まず手に入らない貴重なおまけです。

なお、最初の「完熟した梅は桃の香り」は「こちら」

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 5日 (月)

家庭菜園と、やっかいなトマト

人気ブログランキングへ

宮崎の完熟マンゴーや夕張のメロンのような高級果物に関しては、ここでは値段の話ですが、我が家は、生産者の想定するターゲット顧客層のはるか外側に位置しています。つまり、ターゲット層ではありません。しかし、食べておいしいし、そもそもそこまでおいしくするのが大変な手間だし、そしてその値段に驚かない顧客もしっかりと存在するので、びっくりするようなプレミアム価格の設定は当然だと思っています。

高価な野菜の代表例がフルーツトマトです。トマトの種類とは関係なく、糖度(とうど)の非常に高いものをさしてフルーツトマトと総称しているようです。野菜売り場では、各地のフルーツトマトが、箱入りや2~3個入りパッケージで並んでいます。完熟フルーツトマトだと、産地(ブランド)や品質、大きさや形などにもよりますが、1個の値段を計算してみると、100円、150円、200円、300円といったあたりで分布し、そしてさらに高級品になると1個500円を超えています。フルーツトマトに関しては、我が家は、生産者の想定するターゲット顧客層に含まれています。

さて、家庭菜園の夏の定番の代表はトマトだそうです。野菜では日本で最も人気のあるのがトマト(主に生食用)なので、よく食べるものを自分でも育ててみようということでしょう(以下の【註】をご覧ください)。実際にこの季節に近所を1時間ほど散歩してみると、それなりの数の家庭菜園があることに気付きます。マンションの1階部分の地面を利用しているところやベランダを利用しているところ、一軒家で区画された家庭菜園を持っている家庭などいろいろですが、野菜を育てているところでは、あまり例外がなく、支柱に支えられたトマトが植えてあります。

【註】: 日本の家庭が2009年にお金を使った「魚」と「野菜」と「果物」の上位4~5位はそれぞれ以下の通り(総務省家計調査、左側ほど順位が高い)。野菜ではトマトが一番。

◇ 魚:   まぐろ、さけ、えび、ぶり
◇ 野菜:  トマト、きゅうり、たまねぎ、ねぎ、じゃがいも
◇ 果物:  バナナ、りんご、みかん、いちご

ところで、他のものと客観的に比較した結果ではないのでいい加減なものの言い方になりますが、どうも、トマトほど育て方に関してアマチュアとプロの考え方の差が大きいものもないようです。

アマチュアの発想は、おそらく、「トマトが好き、トマトをよく食べる、トマトはいっぱい売っている、トマトは簡単に手に入る、トマトはきっと作りやすい、では、つくってみるか」、つまり「トマトは簡単」ということですが、プロの人たち(野菜や農産物の栽培で生計を立てている専業の人たち)は「トマトは難しい」と考えておられるようです。おいしいトマトを大量に作るというビジネス条件からくる難しさ以前に、トマトという野菜の持つやっかいさがあります。トマトの市場流通金額は野菜の中では第一位ですが、その生産者数がだんだんと減っています。その理由は、トマトは栽培技術が難しく、そして重労働だからです。

土とハウスでトマトを栽培しているあるトマト作り農家では、苗を植えるときに一度潅水(かんすい)し、その後収穫が終わるまでいっさい水を与えません。こうすることにより、トマトは地中深く根を伸ばし、葉や茎からも空気中の水分を吸収し、その結果、養分が凝縮し実のしまったおいしいものができあがります。もともとトマトは南米の山岳地帯が原産地なので「太陽と、ほどよい涼しさと、少ない水分」がトマトのDNAを形成したのでしょう。ただし、水分を絞ると、ストレスの結果、味は甘さと酸味のバランスのとれた濃いものになるけれども、収穫量が不安定で減少するので、トマトの持つ生来の気難しさへの対応以外に、そのあたりにもビジネスとしての難しさがあるようです。

アマチュアの家庭菜園ではたくさんの実がなればトマト栽培の一応の目的は達成されるわけで、自家製のものを楽しみながら、必要に応じて専門の農家のおいしいものを買ってきて味わうという贅沢を、夏の間は手にすることができます。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 2日 (金)

きれい過ぎる台所

人気ブログランキングへ

書斎の机の上や机のまわりに本や雑誌や書きかけのメモ帳や筆記用具が積み重ねてあって、他人の眼にはいかにも乱雑に映りますが、しかし当人にはそれらが美しい調和をかなでている場合があります。ひと区切りつくまでは、この調和を維持したいと当人は思っており、作業空間は狭くなりますが、彼にとっては効率のいい作業空間です。そういう、ほしいものがすぐ手の届く場所にあり何かがすでにそこで動いているという匂いのある空間はそれなりに好ましいものですが、同時に、ただ平らでシンプルでのっぺらぼうの広がりのような机の上にノート型PCと小ぶりなメモ帳と2Bの鉛筆以外は全く何もないという作業の継続の香りがとても希薄な空間が、現在進行形の心理にとってはかえって好ましい場合もあります。

さて、これが台所となると状況は同じだというわけにはいかないようです。本や鉛筆やPCは元の場所に戻すことはあっても洗ったり拭いたりしませんが、野菜や魚や、まな板や包丁やナベやフライパンは、お皿やふきんもそうですが、洗ったり拭いたり乾かしたりしてもとの居場所に片付ける必要があります。その他、炊飯器やミキサーやフードプロセサーなどの電気調理器具も同様です。

書斎の乱雑さは必ずしも心理のごちゃごちゃを意味しませんが、台所のごちゃごちゃはたいていは料理の乱雑さを物語っているようです。料理の開始には毎回、邪魔するもののない作業スペースの広がりが重要だと思うので、そうでない台所、調理器具や食材やその他のモノで作業空間が狭まられた、乱雑な書斎のような台所を目にするとその台所でつくられた料理はできたら遠慮したいなという気分になります。

料理のうまい人の台所はその人なりのやり方で使い込んで整頓されていますが、逆も真なりとはどうも言えないようです。会話の折などに気付くのですが、おいしい料理を作ることよりもきれいな台所を維持することが生きがいのような女性もいらして、そういう女性は毎日いったいどういう食事を作っているのでしょうか。そういうタイプの女性と、先日さる食事提供業のお店で偶然お目にかかり、そのときは当方もそれなりに入っていたもので、「どうも、あなたの料理の目的は料理をしないことのようですね、哲学的だ。」などとほざいてしまい、怖い目でにらまれるのかと思いましたが、その女性は何を勘違いされたか、あるいは何かを聞き間違えたか、静かにうなづく風情だったのでこちらは逆にあわててしまいました。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 1日 (木)

わき芽を摘む、わき芽を伸ばす

このところ連日最高気温が30度以上なので、札幌生まれで札幌育ちの人は「暑くて死にそうだ」と文句をいっていますが、この時期に名古屋にでも出張してみると、名古屋はべたっとした湿気が加わった暑さが特徴なので、死にそうな暑さがどのようなものかもっと実感できると思います。人には厄介な暑さですが、野菜やハーブには適度に日中温度差のあるうれしい気候です。

トマトはおいしくした実を食べるものなので、育っている最中にたんねんにわき芽を摘み取り、遠めの光景がすっきりとした松の木の形になるように育てるのがコツのようです。現在、アイコ(赤と黄色)と凛々子(りりこ)という種類のトマトを育てています。

アイコはミニトマトですがやたらとオテンバで、放っておくとわき芽をどんどんのばしてジャングル状態になってしまい、ちょうど片付けの嫌いな女子高校生が部屋中にいろいろなものを並べてごちゃごちゃにしてしまうような感じなので、そういう状態にならないように結構気を遣います。一方、凛々子は、名は体を現すのか、弓でも習っている袴をはいた凛(りん)とした女の子といった風情で、余分なわき芽は少なく最初から落ち着いた小ぶりの松を思わせます。

バジル(バジリコ)は葉っぱを味わう紫蘇(しそ)科のハーブなので、トマトとは違って、わき芽を伸ばして葉をいっぱいに茂らせますが、暑さと水と、あとはストレスを感じさせないようにできるだけたくさんのいい土があれば勝手に大きくなります。どちらかというと札幌向きではなくて、東京や「暑くて湿っぽくて死にそうな」土地の方が適していると思いますが、札幌でも夏の間は自家栽培バジルを贅沢に使ったバジルソースのパスタをそれなりの回数楽しめます。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »