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2010年7月26日 (月)

お米(米粒)からパンができる

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いわゆるお米(米粒)を使ってパンをつくるホームベーカリーがこの秋半ばにある電気機器メーカーから発売されるそうです。米粉を使ってパンを作るホームベーカリーは以前からもあったし、炊いたご飯を3割ほど小麦粉に混ぜるとグルテンなしでもよく膨らみ、もちもち感やしっとり感のあるパンができるといった専門家のノウハウもありましたが、いずれにしても、米粉パンは小麦粉パンよりも材料費がけっこう割高になるので抵抗感が、あるいは炊いたご飯を小麦粉に入れるという変則的なプロセスに対しては違和感があったことは否めません。だから、お米(米粒)から米粉という流れをとらずに、お米から直接パンを作ってしまったというその家電メーカーの製品化の知恵と熱意はすごいなと感心しています。

パン焼き器に入れるのは、お米と水と砂糖と塩、そしてイーストとグルテンなどで、これは小麦粉パンや米粉パンと主原料以外はおおよそ同じなので費用の違いは米粉と小麦粉とお米の価格差ということになります。またそれぞれの店頭価格を調べてみましたが、数ヶ月前の価格ととくに変わりはありません(「日本風味のパン」)。パン用小麦粉というのは強力粉のことです。中価格帯のお米は、普及品のパン用輸入小麦粉よりも30~40%、上級品のパン用輸入小麦粉よりも15~25%ほど価格が高くなっています。お米は、食味のよいご飯用としてよく買われる価格帯のものをパンにも流用するという意味で、中価格帯のもの(5kgで2,080円から2,180円くらい)を対象にしてあります。

上新粉(うるち米の粉):\588~\756 /kg
パン用小麦粉(輸入小麦を使った普及品):\278~\328 /kg
パン用小麦粉(輸入小麦を使った上級品):\346~\354 /kg
パン用小麦粉(北海道産小麦を使ったもの):\435~\483 /kg
お米(中価格帯の一般的なもの):\400~\440 /kg

お米は台所の常備食材なので、それをそのまま使ってパンが作れるということは、ホームベーカリーを使ってパンを焼くという行為への違和感や抵抗感を小さくしそうです。一人当たりのお米の消費量が減っているということは、急にダイエットを始めた少数の若い女の子を除いては穀類の消費量が減っているとは思われないので、お米以外の穀類の食べもの、つまりはパンや麺やパスタにお米の減少分の需要が流れているということになります。

先ほど、お米の価格と輸入小麦粉の価格を比べましたが、この比較はあまり意味がなくて、お米の消費者にとって意味があるのは、お米の値段と小麦粉の加工食品であるところのパンとの値段の違いです。パンは加工食品なので、いい加減な作りのものは別ですが、それほど安くはありません。

このお米ホームベーカリーを作った企業のホームページやニュースリリースを拝見すると、1斤の米パンの材料費はお米を使うと約150円となっています(ちなみに同社によれば米粉の場合だと材料費は約340円)。220gのお米と同量の水とその他の材料を投入すると1斤の米パンができあがるそうですが、値段が5kgで2,180円のお米だと220gで96円なので材料費合計が約150円というのは、まあ、納得できる数字です。(当該企業の商品企画部によれば、この商品で利用されるお米は通常価格帯のもの、つまり5kgで2,500円前後のお米を想定しているとのこと。)

新聞記事等によればホームベーカリーの国内市場は現在年間40万台、年率30%程度で伸びていますが、当該企業は初年度に6万台の販売を見込んでいるそうです。

このお米ホームベーカリーを購入した家庭が、市販の小麦粉パンを購入する代わりに1斤の米パンを週に2回焼くとすると、1年間のお米の消費量は23kgです。家族数を3人とすると、米パンによる1人あたりのお米消費量は7.6kg。平成20年度の1人あたりの年間お米消費量は59kgで昭和37年の118kgをピークに徐々に減ってきましたが、この7.6kgという量は過去10年あまりの米消費量の落ち込みを相殺する量です。(農林水産省・食糧需給表)つまり、6万家庭についてはお米の消費量は平成9年のレベルにまで回復する可能性があります。

今年のホームベーカリーの市場規模が40万台なので1年後の国内市場規模が52万台、過去の分も入れて今から1年後時点での稼動合計台数を150~160万台と想定し家族数を3人とすると、約450~480万人の日本人がホームベーカリーのパンを頻繁か時々かは別にして定期的に食べていることになります。450~480万人は日本の人口の約4%。ホームベーカリーを持っていない家庭の2%が、市販の小麦粉パンを買う代わりに、お米でパンができるホームベーカリーを購入してお米パンを小麦粉パンの代わりに日常的に楽しみ始めると、70~80万家庭、あるいは220~240万人に関しては過去10年のお米消費の落ち込み分くらいは確実に回復します。こういう商品にこそ、ほかの対象製品を一部はずしてもエコポイント的なもの(名前は何でもいいのですが)をつけたらとても戦略的だのになあ、と強く思います。

炊いたご飯はすぐ食べるとおいしいが時間が経つと傷みやすいので不便、パンは常温でもご飯よりは長持ちするので少しは日持ちするし外への持ち運びなども便利といったご飯とパンの違いがありますが、お米(米粒)でパンができるホームベーカリーはその両方の良さをお米離れを起こしつつある家庭に届けることになるかもしれません。

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