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2010年7月28日 (水)

農業の公的支援(その1)

先週の新聞記事に、麦や大豆のような「畑作物」に対する政府補助(戸別補償)は、毎年の生産量や品質に基づいて交付する「成績払い」を「固定払い」よりも多くする(前者と後者は6対4ないし7対3といった割合にする)ことを農林水産省が検討中、というものがありましたが、そういった「固定」と「成績」とその適正比率といった観点での議論はここでの趣旨ではありません。

各国における農業の公的支援というのはどうもグレーな部分が多くて、よく引き合いに出されるOECD指標(後述)だけでは実態がわかりにくい。OECD諸国の農業支援の実態がもっとオープンになったらいいのにというのがここでの趣旨ですが、その詳細がオープンになることを戦略的に望まない国も多いのでしょう。(以前「農業保護率指標について」という記事を書きました。この記事は内容が一部重複しますがその続きです。)

農業に対する公的支援ないし政府補助は、農業というものが規模の大小を問わず産業として存在する国にはかならず存在するといっていいと思います。その考え方というか定義のしかたに賛成するか反対するか、あるいはそこに含まれる内容が結構おおざっぱなので眉をひそめるかは別にして、OECDのPSE(Producer Support Estimates: 生産者支持評価額と訳されており、農家や農業法人保護のための支援金額全体という意味)という指標があり、これは、「その国の関税や管理価格によって生じた農産物の内外価格差とその国の農産物生産量を掛け合わせた金額」と「その国における政府の補助金などの農業に対する財政支援金額」の合計です。%PSE(PSEパーセント)はPSE金額をその国の農業粗生産額で割った値で、それが大きいほど生産者支持の度合い、つまり農業保護率が高いということに一般的にはなっています。

僕は日本での農業には公的支援が継続的に必要だと思っていますが、これは日本は農業が弱い(農業の国際競争力が弱い)ので日本だけ特別に農家に支援が必要だという意味ではなくて、農業に関して米国やECと同じ程度に「賢い」世渡りモデルを採用すれば、公的支援は"Me, too"的にあたりまえの方策だという意味です。「産業保護は資源の最適配分機能を阻害する」といった産業一般向けのいわばタテマエ論の前で、日本の農業に関して僕たちが居心地の悪い思いをする必要はないと考えています。

もうすこし控えめにに言えば、農産物を、米や麦や大豆のような基礎農産物と野菜や果樹のような付加価値農産物に分けると、基礎農産物に関しては公的支援の議論をそれこそ前向きにもっとどうどうとしたらいい。ただし、国によっては基礎農産物の重点が穀物よりも畜産品におかれる場合もあります。

2009年の世界の%PSE(農業保護率)は、2010年のOECDレポートによると、OECD諸国の平均農業保護率は22%。その中でめだって保護比率の上昇した国は、カナダ(13%から22%へ)、韓国(46%から52%へ)、ノルウェー(60%から66%へ)、そしてスイス(57%から63%)です。この指標では日本や韓国やスイス、そしてクジラの好きなノルウェーがあいかわらず「悪者」になっているようです。

グラフの一番左側のニュージーランドは%PSEから見ると「超のつく優等生」で、正確な数字は覚えていませんが、羊の数がヒトの数よりもはるかに多い農業と畜産の国です(多分、ヒトが400万人で羊が4000万頭で羊が10倍)。

Producer Support Estimates as % of gross farm receipts, 2007-09 average

(OECDホームページより)

Pse2009oecd

Source: OECD, PSE/CSE database, 2010.

「農業の公的支援(その2)」に続く

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