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2010年7月 5日 (月)

家庭菜園と、やっかいなトマト

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宮崎の完熟マンゴーや夕張のメロンのような高級果物に関しては、ここでは値段の話ですが、我が家は、生産者の想定するターゲット顧客層のはるか外側に位置しています。つまり、ターゲット層ではありません。しかし、食べておいしいし、そもそもそこまでおいしくするのが大変な手間だし、そしてその値段に驚かない顧客もしっかりと存在するので、びっくりするようなプレミアム価格の設定は当然だと思っています。

高価な野菜の代表例がフルーツトマトです。トマトの種類とは関係なく、糖度(とうど)の非常に高いものをさしてフルーツトマトと総称しているようです。野菜売り場では、各地のフルーツトマトが、箱入りや2~3個入りパッケージで並んでいます。完熟フルーツトマトだと、産地(ブランド)や品質、大きさや形などにもよりますが、1個の値段を計算してみると、100円、150円、200円、300円といったあたりで分布し、そしてさらに高級品になると1個500円を超えています。フルーツトマトに関しては、我が家は、生産者の想定するターゲット顧客層に含まれています。

さて、家庭菜園の夏の定番の代表はトマトだそうです。野菜では日本で最も人気のあるのがトマト(主に生食用)なので、よく食べるものを自分でも育ててみようということでしょう(以下の【註】をご覧ください)。実際にこの季節に近所を1時間ほど散歩してみると、それなりの数の家庭菜園があることに気付きます。マンションの1階部分の地面を利用しているところやベランダを利用しているところ、一軒家で区画された家庭菜園を持っている家庭などいろいろですが、野菜を育てているところでは、あまり例外がなく、支柱に支えられたトマトが植えてあります。

【註】: 日本の家庭が2009年にお金を使った「魚」と「野菜」と「果物」の上位4~5位はそれぞれ以下の通り(総務省家計調査、左側ほど順位が高い)。野菜ではトマトが一番。

◇ 魚:   まぐろ、さけ、えび、ぶり
◇ 野菜:  トマト、きゅうり、たまねぎ、ねぎ、じゃがいも
◇ 果物:  バナナ、りんご、みかん、いちご

ところで、他のものと客観的に比較した結果ではないのでいい加減なものの言い方になりますが、どうも、トマトほど育て方に関してアマチュアとプロの考え方の差が大きいものもないようです。

アマチュアの発想は、おそらく、「トマトが好き、トマトをよく食べる、トマトはいっぱい売っている、トマトは簡単に手に入る、トマトはきっと作りやすい、では、つくってみるか」、つまり「トマトは簡単」ということですが、プロの人たち(野菜や農産物の栽培で生計を立てている専業の人たち)は「トマトは難しい」と考えておられるようです。おいしいトマトを大量に作るというビジネス条件からくる難しさ以前に、トマトという野菜の持つやっかいさがあります。トマトの市場流通金額は野菜の中では第一位ですが、その生産者数がだんだんと減っています。その理由は、トマトは栽培技術が難しく、そして重労働だからです。

土とハウスでトマトを栽培しているあるトマト作り農家では、苗を植えるときに一度潅水(かんすい)し、その後収穫が終わるまでいっさい水を与えません。こうすることにより、トマトは地中深く根を伸ばし、葉や茎からも空気中の水分を吸収し、その結果、養分が凝縮し実のしまったおいしいものができあがります。もともとトマトは南米の山岳地帯が原産地なので「太陽と、ほどよい涼しさと、少ない水分」がトマトのDNAを形成したのでしょう。ただし、水分を絞ると、ストレスの結果、味は甘さと酸味のバランスのとれた濃いものになるけれども、収穫量が不安定で減少するので、トマトの持つ生来の気難しさへの対応以外に、そのあたりにもビジネスとしての難しさがあるようです。

アマチュアの家庭菜園ではたくさんの実がなればトマト栽培の一応の目的は達成されるわけで、自家製のものを楽しみながら、必要に応じて専門の農家のおいしいものを買ってきて味わうという贅沢を、夏の間は手にすることができます。

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