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2010年8月 5日 (木)

お米の価格と都道府県別の需要実績(その1)

お米の値段がこの1年間で1,000円下落したようです。ここでの値段はスーパーなどの消費者店頭価格のことではなくて卸売価格(相対取引価格といわれているもの)で、玄米60kg、つまり玄米1俵の値段です。(農林水産省「米穀の取引に関する報告書」)

1年前(2009年6月現在)の全銘柄平均価格が15,085円、現在(2010年6月)の全銘柄平均価格が14,120円なので、1年間で1,000円あるいは6.4%の価格下落です。高級ブランド米(地域と品種の組み合わせ)も一般の米も軒並みに価格が下がっていて、1年前にすでに値下がり傾向の強かった銘柄がこの1年では下がり幅が相対的に少なかったといったこと以上の違いはないようです。

現在ないし来年の米(主食米)の生産量や需要量は800万トンを少し超えたくらいのところを推移しています。たとえば平成22年産米の生産数量目標が813万トン、また、平成21年7月から平成22年6月までの1年間の主食米の需要実績が約810万トン、平成22年7月から平成23年6月までの1年間の需要見通しが805万トン(なお、平成21年6月で終わる前年1年間の需要実績は約824万トン)なので、年間の米需要量を810万トンとすると1年前と比べると米の価値が1,350億円程度減少したことになります。この価格が続くと、今年の農家全体の米売上収入が1,350億円程度少なくなるともいえますし、市場価格と生産費の差額を補填する政府補助金が1,350億円増加するともいえます。(810万トンは60kg(1俵)換算すると1億3500万俵で、1俵あたり1,000円の値下がりなので1,350億円という計算)

日本は瑞穂(みずほ)の国なので米の国といった表現はさておいて、日本は二つの点からやはり米の国だと言えます。

まず消費者として米を食べる側面ですが、日本人ひとりあたり、つまり赤ちゃんから食欲旺盛な青年、太り気味の中年世代、そして食の細くなった老齢者までの全員が平均的に1年間にどれくらい米を食べているのかを他の主な食べものとの比較で眺めてみると、わかりやすくするために若干数字を丸めてありますが、

■米   60kg
■小麦 30kg
■野菜 90kg
■肉   30kg
■魚   30kg

となり消費量が減ってきたとはいえ、主食はやはり米のようです。(「平成20年度 食料需給表」)

もうひとつは米を作る側、農家という視点です。「2005年農林業センサス」からデータを借用して、水田農家、つまり生産量が多いか少ないか、ビジネスとしてやっているのか、あるいは趣味や自家消費分栽培やその他の目的でやっているのかは別にして、米となんらかのかかわりを持っている農家や農業法人が農業経営体全体に対してどれくらいの割合なのかを、経営体の数で比較してみると

■農業経営体の数は2,009,380(家族経営数1,981,283を含む)
■水田(稲を作った田)を持つ農業経営体の数は1,663,424
(稲を作らない田を所有する農家は含まない)

で、水田農家の割合は「83%」。付加価値農産物である野菜の栽培や畜産は仕事の場として若い女性をひきつけるほど農業のイメージを高め、基礎農産物である米の生産は逆に農協のイメージと重なって農業のイメージを押し下げているような感じで、2つの違った農業のイメージ形成力が僕たちの回りで交錯していますが、「83%」という数字をみると、日本の農業と米とのかかわりあいの広さが実感できます。

そして米の価格は下がっています。市場価格は日本の米といえども需要量と供給量との兼ね合いで決まるので、相対取引価格という卸売価格の下落傾向は、日本国内での米需要量と供給量の量的関係の崩れを物語っています。2010年6月末現在の米在庫は、民間在庫が218万トンで、政府保有在庫(政府備蓄米のこと、77万トンのミニマムアクセス米は含まない)が98~99万トン、合わせて315万トンで、これは年間需要量(ここでは810 万トンとする)の38.9%になります。

世界の穀物の安全在庫水準ないしは安全確保のための最低在庫水準には、FAO(国連食糧農業機関)ガイドラインである17-18%(1974年)がよく参照されますが、ここでは日本での米ということで若干余裕を持たせて20%という数字を使うと現在の適正安全在庫水準は162万トンということになります。ミニマムアクセス米は、ときどき鼻が利く人たちによって不思議な利用のされ方をしますが主食米ではないのでここでは対象外とします。とすると、現在は150万トンほどが過剰在庫になっていると、「市場」(というか、市場関係者)は認識しておりこれが解消されないと価格の下降圧力は消えそうにありません。全体の優先順位の議論になりますが、需要創出にはほとんど意味があるとは僕には思えない急ごしらえの政府補助金対象への出費をやめてこちら(主食米の過剰在庫解消)に振り向けたらいいのに、と考えています。

(その2)に続く

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