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2010年8月12日 (木)

ロシアの小麦と日本のお米


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ロシアの小麦が旱魃(かんばつ)被害を受けたため、ロシアは8月中旬から年末まで小麦の輸出を禁止、その結果、シカゴ(CME)の小麦相場はストップ高になったり、その反動でストップ安になったりして、あいかわらず儲けるのが上手な人たちが計算通りに儲けているようです。といっても今のところは、この6月から上昇してきた先物価格が2009年の高値程度でとどまっており、そのあたりが短期的には一応の天井価格になるのかもしれません。

ロシアやカザフスタン、そしてウクライナのような旱魃にみまわれた(とされている)地域もありますが、小麦は今年はまだそれなりに生産量が確保できており、国際穀物理事会 (IGC) の報告書だと、今年の世界の小麦生産量は6億5100万トンと見込まれ、これは前年に比べて2500万トン程度少ない数字です。

今年の4月、アイスランドで火山が噴火したとき、ヨーロッパやロシアの穀物生産への悪影響(冷害)が懸念されたので(しかし、そういうことはありませんでした)、小麦を含む穀物の生産量を確認したのですが、その時点で前年の生産量は6億7610万トン、生産状況と消費動向を勘案すると世界の小麦の期末在庫量は1億9560万トン、期末在庫率は30.4%と想定されていました。つまり、小麦の供給が停止するといった緊急事態になっても3.6ヶ月分くらいの消費量は世界のどこかで在庫されているということです(「火山灰と日本の穀物自給率」)。

現在計算されている世界の期末小麦在庫量は、1億9200万トンで、これは今年の小麦生産量(6億5100万トン)の29.5%です。穀物の種類によって安全在庫水準に違いがあるもののその平均値は17~18%(FAOガイドライン)なので、それに比べるとまだ在庫に余裕があると言えます。そういう背景があるので、先物価格は2009年の高値レベルでうろうろしているのでしょう。

もっともロシアの小麦は家畜の飼料向けも多いので、飼料用小麦の価格上昇が懸念されており、そうなるとその連鎖で家畜用飼料の代表であるトウモロコシに需要が向かい、その結果、飼料自給率の低い日本の畜産農家が飼料価格で苦労するということになるかもしれません。(日本の飼料自給率は26%)

他国の気象変化による混乱を勘案するのはどうも気が引けますが、国際経済というのはそういうところも基本動作のひとつなので、好き嫌いは別にして、世界の農業のパラメータのひとつが予想に近い形で変化したという風に客観的にとらえた方が安全だと思います。旱魃は今回のロシア、カザフスタン、ウクライナだけでなく、オーストラリア(小麦)、タイやベトナム(コメ)でも予想されており、また中国では乾燥による影響(コメ、大豆、トウモロコシ)も懸念されています。

日本ではお米の供給が需要を上回ってダブついていますが、かりに主食用小麦の価格が上昇しても、この秋からは米粉ではなく僕たちが日常食べているご飯用のお米(コシヒカリやヒノヒカリなど)からパンができるホームベーカリー(家庭用パン焼き機)も登場するようなので、小麦パンの代わりに米パンを食べたら、そのホームベーカリーの販売台数にもよりますが、お米の需給はそれなりに改善されます(「米パンに向いている米粉やお米」)。


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