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2010年11月

2010年11月30日 (火)

農産物の生産量に対する貿易量の割合

農産物は自国で生産され自国で消費される割合が非常に多い品目ですが、つまり国レベルでの地産地消が基本となっている品目ですが、日本をはじめいろいろな国が農産物を輸入しており、また米国やオランダのように農産物の輸出に熱心な国もあります。工業製品はターゲット市場の相当部分を国外に想定した貿易依存の強い品目ですが、これらと比較した場合に、農産物の貿易額はどれほどなのかを確かめてみたいと思いました。

同時に、基礎農産物である穀物類に関して、その生産量に対する貿易量の割合を再確認したいと思います。

◇ ◇ ◇

輸出されるものは途中でなくならない限り輸入されるので、輸出と輸入のタイムラグなどを無視して輸出額=貿易額と考えると、2008年の世界の貿易額は15兆6440億ドルです。2008年の平均為替レートは1ドル=103円くらいですが、ここでは、最近の為替レート(1ドル=80~84円)よりは円安の1ドル=90円で円換算してみると、1408兆円となります。

貿易品目というか輸出入製品や商品を、大きく5つ(その他を入れて6つ)に分類すると

*原油や鉄鋼などの原燃料・金属製品
*医薬品やプラスチックなどの化学製品
*繊維や衣料品などの繊維製品
*穀物や魚介類や加工食品や油脂などの農産物
*家電・IT機器や自動車、産業機械などの機器・機械類
*その他(統計誤差を含む)

となりますが、それぞれのカテゴリーの貿易額が貿易額全体に占める割合は、(財)国際貿易投資研究所ホームページの統計データを参照すると、2008年では

*原油や鉄鋼などの原燃料・金属製品 (26.2%)
*医薬品やプラスチックなどの化学製品 (12.8%)
*繊維や衣料品などの繊維製品 (4.1%)
*穀物や魚介類や加工食品や油脂などの農産物 (7.2%)
*家電・IT機器や自動車、産業機械などの機器・機械類 (38.5%)
*その他(統計誤差を含む) (11.2%)

で、これはわれわれの日常の仕事や生活やニュースなどから類推できることですが、薄型テレビやビデオやコンピュータや自動車やそれらを作る工作機械や産業機械などの貿易額が貿易総額の40%近くを占めています。

念のために(いくぶん冗長ですが)、家電やIT分野、そして自動車分野の代表的な日本企業、およびごく一部の米国ハイテク企業の海外売上比率を見てみると、40%という数字が個別企業というミクロのレベルでも了解できます。以下は、各社のホームページや財務諸表、会社四季報、ニュース記事などを参考にした当該各社の2008年度の海外売上比率です。(海外売上には、日本ないし本国からの輸出と現地生産経由の海外売上が含まれるので輸出金額とは同じではありませんが、ここでの利用目的には、その違いはさしつかえありません。)

--------------------------------------------------------
□三洋      64.6%
□シャープ    53.5%
□ソニー     79.8%
□東芝      51.7%
□NEC      26.1%
□パナソニック  49.9%
□日立      42.0%
□富士通     36.0%
□三菱電機   33.6%
◇IBM       64.6%
◇HP        68.8%
--------------------------------------------------------
□任天堂     87.5%
--------------------------------------------------------
□トヨタ      74.0%
□ホンダ     86.0%
□スズキ     68.0%
--------------------------------------------------------

農産物の貿易額は貿易総額の7.21%ですが、その内訳は以下のようになります。

穀物         0.63%
魚介類       0.46%
加工食品      2.71%
油脂類       1.00%
その他の食料品 1.41%
(農産物合計   7.21%)

◇ ◇ ◇

そもそも、工業製品と違って、農産物は保存が利かないということもあって伝統的に自国消費が基本で、農産物の「生産量に対する貿易量の割合」は多くありません。つまり、広い意味で地産地消品目です。ワインやウイスキーや缶詰のような長期保存が効くものや乾燥パスタやカップヌードルのような比較的長持ちするものを除けば、生鮮食品よりは保存の利きやすい穀物でも、世界の生産量に占める貿易量の比率が2007年と2008年では、小麦が17~18%、トウモロコシを主とする粗粒(そりゅう)穀物だと11%、そしてお米はその比率が一番少なくて5~6%です。《【註】粗粒穀物とは、トウモロコシ、こうりゃん、大麦、えん麦、ライ麦、粟(あわ)、雑穀(ざっこく) のこと》

貿易比率が少ないということは、生産量に比べて国際市場の規模が小さいため、穀物などの国際価格はわずかな需給の変化で大きく変動することになるし、そういう仕掛けも比較的簡単です。

_nov2010

(データソース:農林水産省、価格推移は2000年1月~2010年11月中旬)

株にも国債にも魅力がない状態で、流動性が過剰で行き所のなくなった資金が、最近は、金(ゴールド)も飽和状態なので、穀物先物市場にじわじわと流れ込んで、じわじわと穀物価格を押し上げているようです。もともと穀物市場は気候変動などのリスクヘッジのために先物取引が長い歴史を持っています。日本ではコメの先物取引が1730年には大阪で整備されましたが、整備された先物取引市場としては世界で最初のものだったようです。

チューリップという華やかな花があり、オランダやトルコがその産地として有名です。17世紀前半(日本でコメの先物取引が整備されるほぼ100年前の、江戸時代初め)のオランダでは4年間ほど「チューリップ投機(チューリップ・バブル)」が発生し、特別な種類だと球根1個の値段が(現在の価格に換算すると)4000万円くらいにまで達したそうです。

穀物自給率が日本よりもはるかに低いオランダ(日本とオランダの穀物自給率はそれぞれ28%と16%でOECD諸国の中では最も低いグループ、農林水産省試算 2007年)は、タバコ、チーズやビール、トマトやチューリップのような付加価値農産物の生産と輸出が得意な国ですが、そういう指向性を見ると、「チューリップ投機のDNA」はオランダ人の中に生き続けているのだろうと思われます。

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2010年11月29日 (月)

青魚のおいしい季節

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寒くなって脂がのっているので、サバもアジもイワシもそれぞれにおいしい季節です。

いつもお世話になっている対面販売の魚屋さんで、3週間ほど前からやっと生で食べられる青魚が出てきました。この魚屋さんは慎重で、寒くなる前は、魚にそれほど脂がのっていないという味の問題もあるのですが、それ以上に水揚げの場所に応じた新鮮さに繊細で、青魚を生で食べることになかなか首を縦に振ってくれませんでしたが、やっと首が縦に動くようになったようです。

先週末は、よく脂ののったアジの刺身、とろけるような食感です。その1週間前は丸々としたマサバを購入し、自宅で塩と酢で締めてシメサバに。イワシも結構な姿かたちです。サバはその場で三枚に下(お)ろしてもらい、アジは刺身用に適当にさばいてもらい、またイワシは頭と内臓をさっととってもらって、あとは台所で細かい作業。

実に手ごろな値段で手に入る活き締めのヒラメやマツカワカレイの刺身に飽いてくると、生のアジやサバを楽しむというというお金のかからない贅沢のできる季節です。

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2010年11月26日 (金)

甘い味とわかりやすい味

甘い味とわかりやすい味とは違いますが、辛いや苦いにくらべると、たいていの甘い味はわかりやすい味だといえます。

わかりやすい味の代表例は魚介類だとマグロで、これは子供にも分かりやすい味なので、回転寿司屋でマグロや卵焼き(おそらく甘い味付けの卵焼き)ばかりを食べている子供の話なども耳にします。子供は甘いものも好きで、だから甘い味やわかりやすい味は、どちらかというと、子供向きの味ということになります。子供のうちから徐々に別の、たとえば白身魚の淡白さや梅干しの塩辛さやその他の食材の苦みの驚きなどを教えておかないと、その子は成人しても味の濃淡や広がりを楽しむという経験と疎遠になってしまうかもしれません。

甘い味にも、穏やかなものや微妙なものがあります。少量の和三盆(わさんぼん)がつくる菓子の甘さ、火を通した紅玉(こうぎょく)リンゴからにじみ出る自然の甘さ、ストレートのスコッチの2杯目の甘さ、炊き立てのご飯をゆっくりと噛んだ時の甘さ、白身魚のほのかな甘さなどです。こういう甘さは、ケーキの甘さ、グラニュー糖をもとにした甘さとは別種のものです。

「北海道の茶碗蒸しは甘くて、まるでプリン」という東京の食べ物関係の人の感想を何日か前に目にしました。そのことを配偶者に伝えたら、「やっぱり」という反応です。配偶者が、以前、札幌市内のある場所で用意された和風料理を食べる機会があり、その献立のひとつが茶碗蒸しで、正確に言うと、見かけは茶碗蒸しのようだが味は甘くてお菓子のプリンで、中から栗が出てきて驚いた、料理の文脈からすると茶碗蒸しに違いないのだが、どうも正体不明の料理だったそうです。

当然そうでないものはあるのですが、大ざっぱにくくってしまうと北海道の食材や加工食品の味は、甘いか、わかりやすいか、甘くてわかりやすいか、のどれかのようです。カニやホタテや鮭はわかりやすい魚介類ですし、メロンやジャガイモもわかりやすい。スイーツ類は甘くてわかりやすい。加工食品は総じて甘い。

以前「甘い漬物」というブログ記事を書きましたが、甘い漬物、甘い納豆、甘いイカの塩辛などが北海道の方はあいかわらずお好きなようです。自然な旨味にあふれた伝統的な作りの松前漬けがあるのは承知していますが、最近も、道南(函館や松前など北海道の南の地域)産の、砂糖をいっぱい入れたに違いない甘すぎる松前漬けに、地産地消風の催し物会場で出会いました。

干し昆布やとろろ昆布・おぼろ昆布、塩昆布ではありませんが、微妙な、あるいは甘くない味の仕立て上げは別の地域におまかせ、というのがまだ定番のようです。

甘い味が好まれる北海道で、「ゆめぴりか」は粘っこいけれども淡白なあっさり系のお米です。しかし、「ゆめぴりか」の生産農家や「ゆめぴりか」の好きな地元の消費者が、「ゆめぴりか」といっしょに砂糖の入った納豆を食べている光景を想像すると、どうしてこういう組み合わせが発生するのか、そのあたりが実はよくわからないところです。

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2010年11月25日 (木)

コンビニの最近の変化

定点観察風の作業をこの半年間していなかったので、水曜の午後7時過ぎにテナント型オフィスビルの1階にあるナショナルブランドの広めのコンビニに入ってみました。駅と住宅地域の間ですが、駅からの方が近いといった場所にあるコンビニです。惣菜風の商品の品ぞろえが増えているらしいので、どんな商品が新たに加わっているのか、この時間帯だとお勤め帰りの主婦や独身女性、独身男性が店内にいるはずなので、惣菜を含めどんな食べ物を買っているかをこの目で確かめてみるつもりです。

それなりに以前から戦略転換を進めていたのでしょうが、今年の5月のお店の「現象」と比べると、品ぞろえの変化に驚きました。食べ物中心のミニスーパーマーケットです。

目分量的な観察だと、品ぞろえの80%が食べ物です。コンビニは以前から食べ物や飲み物の占める割合が多かったのですが、食べ物が増え、食べ物以外の生活必需品が非常に少なくなっています。プライベートブランド商品が幅を利かせています。プライベートブランドのカリフォルニアワインもあります。

保存のきく袋型のパッケージに入ったプライベートブランドの惣菜類やレトルト型の食べ物もデザインの統一感もあって消費者の目を引きます。鮭の切り身を焼いたものなども棚なお中段に置かれており、いちばん下の段は生野菜のコーナーで、4分の1サイズの白菜や2分の1の大根、ニンジンやタマネギも小さいのが2~3入りパックで並べられています。従来型のおにぎり・お弁当・スパゲティーもあいかわらず多品種少量で華やかですが、別のカテゴリーの商品群が急に登場したという印象です。(惣菜類などに関しては、パッケージの裏面の原材料名欄も拝見しますが、ここではその内容には触れません。)

午後7時というその時間帯の品ぞろえと売り場の関係を見ると、食べ物に関しては、まだ働いている人や夜遅くまで働く人の夜食、お勤め帰りの方(働いている主婦、独身女性や独身男性)向けの晩ごはん用レトルト食品や惣菜(いわゆる一般的な惣菜以外に、女性向の加工サラダや野菜スティックなど)、お年寄り夫婦や一人暮らしのお年寄り向けのパックごはんや惣菜類(きんぴらゴボウやヒジキ煮など伝統的なおかずで自分で作るには手間暇のかかるものも目立ちます)や野菜という組み合わせができそうです。

車がないと日用品の買い物もできないような地域を除けば、スーパーマーケットは車を持った家族連れがいろいろなものを買い込むには便利かもしれませんが、たいていは住んでいるところから距離があり、歩きたくない。入口にたどり着いて店内に入れば、中は広すぎてほしい食べ物だけを買うには歩き疲れるし、ほかに用途のない石油の廃品から作られているレジ袋にお金を取られたりもする。つまり、お年寄りにはとても不便だろうことが想像できます。その時は、午後7時を過ぎていたということもありそのコンビニでお年寄りは見かけませんでしたが、もっと早い時刻なら近所に住むお年寄りの買い物光景を目にしたかもしれません。

もっとも近頃は地元資本のスーパーマーケットなどは総菜や加工食品などの宅配サービスを新しい事業として開始しており、スーパーを離れてコンビニを利用し始めたお年寄り層(というかつての有料顧客層)を宅配サービスで取り戻そうとしているようです。

僕がその夜にそのコンビニにいた時間は15分少々ですが、8~9人のお客が買い物かごを下げていました。3人が男性、6~7人が女性。男性のひとりは多分これからの残業に備えるのでしょう、そういう種類のお弁当。あとの20台から30代の人たちのかごには、弁当類やサラダや惣菜類が複数個入っています。一人の女性はかごの3分の2が惣菜やお菓子で埋まっていました。

こういう場合は、何も買わずにお店を出るのは失礼なので、札幌市指定のごみ袋を2パックほど買うことにしています。

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2010年11月24日 (水)

一杯2000円のラーメン

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一般の飲食店で、食べ物(料理)の値段に占める材料費の割合は、お店によって差があるのは当然としても、だいたい30%です。自分の食べる料理の材料費を知りたいと思ったら、30%でも3分の1でも暗算に便利な方を使えばいいのですが、値段が900円のお昼ご飯定食だと材料費は300円、1,200円の豪華カレーライスの材料費は400円、700円の味噌ラーメンや醤油ラーメンの場合は210円、300円の牛丼は90円から100円ということになります。

家庭の場合は、いい材料の効率的な仕入れ方法や仕入れ価格の交渉は当然のことながらプロの飲食店にはかないませんが、得意の家庭料理がそれなりに売れる味だとすれば、その材料費を3倍(3倍がセンエツなら2.5倍)すればその料理の一応の標準メニュー価格が計算できます。

札幌では、腰があり食感のよいおいしい生ラーメンが簡単に手に入るので、我が家でも暑い時期を除く週末にはときどき野菜の多めに入った味噌ラーメンを楽しみます。野菜は緑黄色野菜、味噌は好みのものをブレンド、それからゆで卵。

本当は北海道小麦100%の生ラーメンがほしいのですが、我が家がファンであるところのその製麺会社は地の小麦100%の生ラーメンは味付きスープとの抱き合わせ商品に限定しているので、しかたなく輸入小麦で作った単体商品としての生ラーメンを買っています。

スープストックは比内地鶏の鶏ガラなども試したのですが、最近はもっぱら東北地方の別の地鶏の手羽先をもとにブーケガルニ(用途に応じて数種類の香草類を束ねたもの)やにんじんの皮などを加えて作っています。そのスープストックの材料費、味噌と生ラーメンと野菜と卵の材料費、そして野菜を炒めるときに使う国産ごま油などの費用を加えて、それを3倍するとラーメン一杯の値段は2,000円を超えてしまいます。こんな遊びをやっていると、丁寧にひいた出汁(だし)や丁寧に作ったスープストックや国産ごま油を使った場合の材料原価がよくわかるので、食べ物の値段についてそれなりの「土地勘」ができてきます。

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2010年11月22日 (月)

北海道でも、近頃は梅雨?

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大雨災害と猛暑が特徴だった北海道のこの夏(2010年の夏)の気候について札幌管区気象台などの主催で一般道民向けに気象講演会が開かれたそうです。昨年が冷夏で今年は猛暑、北海道の夏の気象変動が大きくなっていることは実感できます。新聞記事によれば、梅雨に関しては北海道には梅雨がないということになっているが、この夏に北海道で見られた前線の具合は梅雨前線と同じ性質らしいというのが専門家の見方のようです。

僕は、札幌で暮らし始めた頃から、北海道に梅雨がないというのはひょっとして適応力を失った仮説ではないのかと疑っていました。定説通りに北海道には梅雨などない方が暮らしやすいし、北海道の農作物の生育にも適しているですが、僕の経験と皮膚感覚は、北海道にも梅雨がありそうだといっています。このブログだけでなく、別の場所でも北海道の梅雨について何度か感想を書いていますが、順番に読み返してみると結構面白いのでそれらの関連部分を古いのから順番に引用してみます。(『・・・』が引用部分)

◇2008年8月◇

『北海道には梅雨がないことになっています。

7月下旬から延べ2週間程度続いた気候、しとしとと一日中降り続く雨、うっとうしい暑さ、ミニスコールのような短時間の激しい雨、そして羽織るものがないと辛い時折の肌寒さ、東京や大阪の人ならためらいなく梅雨と呼ぶでしょう。

札幌のタクシーの女性運転手にそういう話をしていたら「お客さん、北海道には梅雨はないのです。」深い意見です。しばらく考えて、そういうことにしておこうと同意しました。』

◇2009年6月◇

『休日の早朝です。外は弱い雨で、気温は15度、湿度が89%です(温度と湿度は「札幌お天気ネット」から)。・・・(略)・・・これで、1週間、短い晴れや曇りを間にはさんで雨が細く、ときには強く降り続いています。

昨夕、タクシーに乗ったとたんにまた細かい雨が降り始めたので、運転手に聞きました。

「運転手さんは、北海道育ち?」
「ええ、ずっと。」
「最近雨の日が続くけど、梅雨みたいだね。僕は梅雨のあるところから来たので。」
「そうですかねえ?北海道は、雨が少ないですよ。」

僕の中では、札幌の短い梅雨です。そういえば、1年ほど前に、同じような会話を、女性のタクシー運転手と交わしたことを思い出しました。

「お客さん、北海道には、梅雨はないのです。」』

◇2009年8月◇

『「どうも、北海道も梅雨ですかね。」8月になったばかりの日曜日、遅い午後の美容室です。10年後は渋いおじさんになるに違いない30歳をいくつか過ぎた担当の方が、本や雑誌からの知識と梅雨のある地域への自身の旅行経験を混ぜあわせてくだした結論です。

気象台は、梅雨前線とやらがその地域にテータイしないと梅雨とは呼ばないみたいですが、地面を歩く生活者の感覚としては、これは、季節外れの梅雨と名づけた方が気持ちのおさまりがいいようです。もっとも、北海道の梅雨は、たとえば名古屋のそれと比較すると天国ですが・・・。「名古屋は冬の風が冷たい分だけ、夏は暑くてじめっとしているんだ。足して2で割るとちょうどいい具合になるでしょう、お客さん」 10年くらい前の夏の名古屋で、散髪屋の親父さんからもらったコメントです。

心配なのは北海道の農産物の成長と収穫。ひそかに応援している、札幌から西南西へ70~80キロメートルくらいの場所にある無農薬・無化学肥料の農園も、この雨で、歯ごたえがあり鮮やかな色と勢いのある香りをもったその野菜の収穫量と収穫時期が不安定なので、苦労されているようです。』

そして今年はこの「高いお米、安いご飯」ブログに梅雨に関して2つの記事を書いています。

•「札幌の梅雨、バジルとトマト」(2010年8月2日)
•「札幌の梅雨、味噌(みそ)と梅干し」(2010年8月3日)

IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) や気象庁の発表、つまり大きく一般化すれば「大本営」(だいほんえい)の発表は参考にするとしても、これは気象や気候に限らずということですが、その発表に違和感を覚える個人的な感覚がある場合には、その違和感を大切に保持し続けて、その発表の政治経済的な背景なども考えながら、時折、両者を比較した方がいいと考えています。

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2010年11月19日 (金)

無農薬農産物や有機農産物の割合

必要があって、有機農産物の生産割合を調べていました。こういう場合は、紙の上の数字だけを集めてきても退屈だし、あとで応用が利かないので、2つのアプローチを採るようにしています。「おいしい、味が自然で濃い、葉っぱの端まで全部食べられる、安心、結局のところコスト・パフォーアンスがよい」という理由から我が家では有機農産物や無農薬農産物を好んで食べているのである程度そういう農産物に対する「土地勘」があるということもありますが、その2つのアプローチとは以下のようなものです。

ひとつは、国際有機農業運動連盟 (IFOAM: International Federation of Organic Agriculture Movements) 関連の資料や農林水産省の統計(野菜など一部の農産物については、有機栽培品と特別栽培品の生産数量や価格が、国産標準品や輸入品と対比されている)などを参照することで、もうひとつは、野菜などの小売りの現場をいくつか回ってみることです。

後者に関しては、たとえば、デパートでは有機野菜や無農薬野菜・減農薬野菜(特別栽培野菜)コーナーが設置されていることが多いのですが、歩いて行ける範囲のスーパーマーケットには、ナショナルブランドのスーパーであれ地元資本のスーパーであれ、そういう種類の野菜コーナーは見あたらないようです。2つのデパートの有機野菜や減農薬野菜は、そのコーナーの面積ないしはそのコーナーに並べられている野菜の量を目分量で測り、売り場面積全体、ないしは野菜の総量と比較してみると、どちらの簡易指標を使っても1%~2%くらい。2つのスーパーはそういうコーナーがともに見あたらないので0%です。

デパート2店舗とスーパー2店舗の単純平均は 1%~2%、1%~2%、0%、0% を足して4で割ると0.5%~1%となりますが、実際はスーパーの方が店舗の数が多いので、有機農産物や特別栽培農産物の割合は、スーパーやデパートのような流通チャネルでは0.5%を若干超えたあたりだと想定できます。これ以外に有機農産物や無農薬農産物の専門小売店があり、農家の直販チャネルもあるので、それらを考慮すると全部で1%とおおざっぱな想定ができます。

おおざっぱな想定のあとで、客観的な第三者情報 (IFOAM) を参照すると、日本での全農産物に占める有機農産物の生産量は0.18% (2008年) だそうです。これは、有機JAS法認定の有機農産物だけの割合なので、有機農産物に特別栽培農産物およびその他の無農薬農産物を加えた農産物の割合が1%というドンブリ勘定は結構いい線をいっているかもしれません。

実際の有機農産物の国内流通量は、海外からの有機野菜・有機果物・有機食品(たとえば、トマトやトマトソース、オリーブ油、バナナ、コーヒーや紅茶などがよく目につくし、有機大豆なども見かける)が加わるのでもっと多くなります。

ちなみに、韓国では有機農産物の比率が日本の2.5倍の 0.46% (2006年)、米国が3% (2007年)、EUが約4%(2007年、ただしEUは農地面積比率)となっています (IFOAM)。

以前から農産物購入者・農産物消費者を見る準拠枠として参照させてもらっているモデルに「農産物消費者の4類型」(旧福岡都市科学研究所、2003年)があります。(下の図)。左上の箱の「分裂型消費者層」とは少しわかりにくいのですが、「アンケート調査等では『食の安全が一番』『地産地消が大切』と答えるが、実際の消費行動では、スーパーの外国産特売品などに飛びつく人たち」という意味です。観点は少し違いますが食べ物や家庭料理に関する主婦のタテマエとホンネの落差については岩村暢子さんの著作が参考になります。僕の関連ブログ記事だと「食のアンケートとその解釈」&「消費者のタイプと主婦の光景」。)

4

【註:オリジナルデータでは4つの層の合計値が100%未満なので、そういう場合の一般的な補正作業として、一番大きな層である「分裂型消費者層」の数字を増やして調整してあります。】

有機農産物や無農薬農産物の現在の購入者は、おそらくは右上の箱の5.4%の中にすっぽりと収まるのでしょうが、少し広げて、食材にこだわりのある消費者セグメントというものを農産物の供給側から想定してみると、そのセグメントの大きさは、安全サイドで考えると、消費者全体の10%くらいということになりそうです。

実際のビジネスではその10%をさらにどういう軸で切り分けて、切り分けたあとの一部と自分の農産物の特徴をどうつなぐかが次のステップになりますが、ここでは触れません。

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2010年11月18日 (木)

紅白の寒天(かんてん)ゼリー

寒天ゼリーを作ることにしました。

知り合いから、赤と白の葡萄(ぶどう)ジュースを複数本ずつ頂きました。ボトルの形状はワインそのものなのですが、ワインではなく、ワイン醸造用の葡萄をそのまま搾っただけのストレートの葡萄ジュースです。だから濃厚で甘みが強くそのままジュースとして飲むのもいいのですが、濃厚すぎるので、寒天ゼリーにしてみようと思いました。

買ってきたのは、伊豆のテングサとオゴノリを使って長野県の茅野で作った「角寒天」とか「棒寒天」と呼ばれるもの(写真参照)ですが、なつかしい感じで、子供のころを思い出します。

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水で煮溶かして200ccくらいの分量にし、そこに500~600ccの赤ないし白のジュースを注ぎいれ、軽く熱を加えながらゆっくりと混ぜて、あとはそれなりの容器に移して固まるのを待てば出来上がりです。寒天は食物繊維がいっぱいだし、濃厚だった葡萄ジュースの甘みが寒天ゼリーではとても穏やかに抑えられて、中年以上のデザートには向いていると思います。

紅白の寒天ゼリーなので、料理用金箔を浮かべたらお正月にも使えそうです。

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2010年11月17日 (水)

シシャモはオスだな

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10月と11月はシシャモの季節 (漁期) です。本物が出回る期間はごく短くて2か月間。漁獲量が少ない季節限定品です。主な産地は鵡川(むかわ)や広尾や釧路といった北海道の太平洋側の港町に限られます。安い魚ではありません。生をお裾分けでいただいたこともありますが、口にするのはたいていは塩につけて乾燥させた「干しシシャモ」です。

イワシの目刺しは目から下あごに藁(わら)を通すことが多いようですが、干しシシャモは、シシャモが金と銀を混ぜ合わせたような色の繊細な10cmから15cmの魚なので、まっすぐな蘆(あし)の藁(わら)を使った口刺し仕立てが似合います。メスは金色が強く出ていますが、オスは金色はほとんど消えて淡い銀色。

東京の居酒屋で気軽に注文できるシシャモは「カラフトシシャモ」で、これはアラスカやカナダからの輸入品で1年中食べられます。北海道でも、コンビニで売っているパックの干しシシャモには「カラフトシシャモ」と正確に記載されています。

メスの「子持ちシシャモ」が人気で値段も高いのですが、我が家の好みはオスの方。メスに比べて人気が薄いので、値段はメスの7~8割くらい。値段が比較的安くて、魚そのものを味わうならこれは絶対に卵のないオスなので、これも札幌に暮らす贅沢のひとつです。

房総のカタクチイワシやウルメイワシの目刺しも好物ですが、10月から12月にかけては地元の干しシシャモです。

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2010年11月16日 (火)

米粒パン焼き器は2か月待ち

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出荷時期をずらしたそれがやっと発売されたというので、週末に配偶者と家電量販店に出かけました。一応、現物見本の大きさやデザインを確かめてから購入するつもりです。「それ」とは、「お米(米粒)がそのまま使えるパン焼き器」のことで、見本は展示されていましたが、在庫は皆無。新聞記事の通りでした。

予約注文を入れましたが、手に入るのは年明け、2か月待ちです。配偶者が「予約しておけばよかった」とつぶやいたら、若い女性店員が「発売前の予約注文は当店でも50台あったのですが、入荷してきたのは4台だけで、皆さんにお待ちいただいております。」

このパン焼き器のメーカー販売予定は、2010年度、つまり最初の5か月で約60,000台で、これは予約注文の状況からすると比較的簡単にクリアできる見通しだそうです。バックログが日本中からの注文でいっぱいたまっているのでしょう。コメ消費の回復のためには結構な話です。

以前「お米(米粒)からパンができる」や「米パンに向いている米粉やお米」というブログ記事を書くために、この米粒パン焼き器で焼いた米粒パンにかかる材料費合計などを調べてみたり、どんなお米を各家庭が使うことを想定した商品なのかを、僭越ながら、商品企画部に直接電話してお話を伺ったりもしましたが、とてもよく考えられた製品だという印象を持ちました。

以下の『・・・』は「お米(米粒)からパンができる」からの引用ですが、『このお米ホームベーカリーを購入した家庭が、市販の小麦粉パンを購入する代わりに1斤の米パンを週に2回焼くとすると、1年間のお米の消費量は23kgです。家族数を3人とすると、米パンによる1人あたりのお米消費量は7.6kg。平成20年度の1人あたりの年間お米消費量は59kgで昭和37年の118kgをピークに徐々に減ってきましたが、この7.6kgという量は過去10年あまりの米消費量の落ち込みを相殺する量です。(農林水産省・食糧需給表)つまり、6万家庭についてはお米の消費量は平成9年のレベルにまで回復する可能性があります。』

配偶者は、来年の1月半ばにこの米粒パン焼き器が我が家に到着したら、2~3種類のコメで試してみて(最近はいろいろな銘柄の3合パックが近所で簡単に手に入るので)、お米パンの結果がよければ、何人かの近くや遠くの知り合いに配るつもりの様子です。我が家用には、すべてをコメでそろえたらどんな食味になるかに興味があるので、グルテン(小麦タンパク)は使わずに、上新粉(じょうしんこ:うるち米<僕たちが普段ご飯として食べているおコメ>の米粉)で試してみるとのこと。

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2010年11月15日 (月)

韓国のFTAにおけるコメの位置(その2)

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韓国と欧州連合(EU)が、交渉開始から3年半ほど経過した2010年10月6日に、自由貿易協定(FTA: Free Trade Agreement)に正式に署名したそうです。暫定発効は2011年7月1日なので、遅くとも来年6月までに、韓国は韓国国会で、EUは欧州議会で批准に同意してもらう必要があります。

韓国は、すでに、農畜産物の輸出競争力の非常に強い米国とも2007年4月にFTAを締結していますが、両国とも議会の批准ができておらず、現在は未発効状態です。

この韓国のFTAの方向は、国の将来を製造業(工業)に託して農業を捨てた、捨てたという言葉が強すぎるなら工業のために農業を犠牲にしたと解釈できそうです。「国際分業論」や「比較生産費説」の極端な形での採用ともいえます。

以前、「穀物自給率がとても低い国の『農産物』輸出(その2)」の中で「オランダは、いつの頃かに、穀物という基礎農産物を捨てて(十分な穀物栽培が無理なので諦めて)酪農品・畜産物と、トマトやピーマン・パプリカといった附加価値野菜に集中するという意思決定をしたのでしょう。穀物自給率16%(2007年)という基盤の上で危い(あやうい)バランスをとるということになりますが(2003年の穀物自給率は25%だったので9%の大幅な下落)、韓国もあるいは似たような方向で今後を模索中なのかもしれません。韓国はお米の生産国(自給国)なので、韓米FTAで韓国のお米にどういう影響が出るのか非常に関心のあるところです。」と書きましたが、この機会に、韓米FTAの分野別の合意結果と合わせてその概要を農産物を軸にざっと眺め返してみました。

農産物に関しては、肉などの畜産物も含め、期間の長短はあるけれど、ともかく関税をなくす方向で、「韓米」と「韓EU」の違いは、唐辛子・ニンニク・タマネギや高麗人参・温州ミカンなどの伝統的な香辛料や食材の扱いが違うこと(「韓EU」の方がゆるやかで現行関税維持)くらいです。

次はコメに関してですが、EUでコメを作って食べるのはリゾットの好きなイタリア人くらいなので(種類はジャバニカ米)、コメの生産と輸出が歴史的に好きな米国とのFTAとは違って、ほとんど影響はないのだけれど、念のために確かめてみると、

米国とのFTA
◆コメおよびコメ関連製品は関税譲許対象から除外
 ◆追加開放なく譲許対象から完全に除外

EUとのFTA
◆コメおよびコメ関連製品は関税譲許対象から除外

と、ぎりぎりのところは守っています。つまり、コメに関しては相手がどこであれ、自由化をしない、コメは自由化の対象外ということで、韓国はこの姿勢は貫くつもりのようです。ただし、両方とも議会の批准待ちで、まだ発効していません。

「韓米FTA」は2007年4月の署名から3年半が経過しましたが、両国大統領が相変わらず協議中の様子なので、あるいは米国から韓国に対して自動車の関税撤廃時期や牛肉輸出条件の緩和とあわせて、コメの自由化圧力がかかっているのかもしれません。(ただし、このあたりの詳細は不明。)

なお、韓国・外交通商部の資料では、韓米FTAが韓国にとって米国市場で短期的に有利に作用する(短期的に市場シェアの拡大が期待できる)工業製品として以下のようなものを挙げてあります。(括弧)内の国は各製品の競合国。

乗用車 (日本)
LCDモニター(中国、日本)
ビデオカメラ(日本)
TVカメラ (日本)
オーディオアンプ(中国)
金属切削加工機械(日本)
ポリスチレン(メキシコ)
イヤホン (中国)
エポキシ樹脂(カナダ)
カラーTV (メキシコ)

“EU-South Korea Free Trade Agreement: A Quick Reading Guide” (Oct 2010) というEU発行の案内書の農産物に関する箇所には、EUにとってはワインやウイスキー、チーズや豚肉の韓国への輸出が増えるのでこのFTAに期待してくださいという記述があります。

ここで、「自国で必要とする穀物の自給率の少ない先進国」の代表例である「日本と韓国とオランダ」の政策というか戦略の方向性の違いに戻ります。

オランダは家庭用品・電器・化学などの工業も盛んですが、農畜産業や食品業も盛んな国で、しかし、穀物自給はほとんどあきらめ、つまり穀物はほとんど輸入依存です。そのかわり、チーズ、牛肉・豚肉、ビール、トマトとパプリカ、それからタバコを大量に輸出しており、鉄や電子部品を輸入し車やハイテク機器を輸出するといった工業モデルに近い農産物生産モデルを確立したようです。

韓国は、上述のように、米国やEUとのFTA(自由貿易協定 Free Trade Agreement)に熱心な国ですが、その動きを乱暴にまとめると、国の将来を製造業(工業)に託し、ごく一部のコメという領域を除いては農畜産業を犠牲にするといった構造の産業ポートフォリオを採用を決定しました。なお、韓国政府が、米国やEUとのFTAで悪影響を受ける国内農業などへの支援策に使うことになっている金額は、10年間で10兆円くらいです。(支援金額はFTA全体で119兆ウォン、韓米FTA関連の追加農業支援が20.4兆ウォンなので全部で139.4兆ウォン。これを現行為替レート<100ウォン=7.42円>で円換算すると約10兆3000億円。)

日本は、別に、どこかをまねる必要はなくて、実行がしんどくても他の国がマネをしてみたくなるような日本型モデルを作ればいいと思いますが、その骨子は、製造業と農業を、GDP比率ではなく、お互いが持つ意義という意味で両者をバランスよく維持すること、また農業においては、コメや大豆のような基礎農産物と、果物や高級野菜や有機栽培米のような付加価値農産物の両建てを保持し、そのバランスを崩すようなルールには距離を置き続けた方がいいと考えています。基礎農産物は、換言すれば、社会インフラや社会ユーティリティーに関する事業だし、高付加価値農産物は高利潤追求事業ということなので、現在もいくぶんかはそうしていますが、外部コスト政策などで対応の方法はあると思います。

<「韓国のFTAにおけるコメの位置」の終わり>

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2010年11月12日 (金)

韓国のFTAにおけるコメの位置(その1)

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寄り道をして、農産物の主要な輸出国は先進国であるという事実確認から始めます。

農産物 (Agricultural Products) といわれるものの範囲は結構広くて、そのなかには、コメ・小麦・トウモロコシのような穀物、ピーマンやキャベツやニンジンなどの各種の野菜、リンゴ・梨・キーウィーといった果物、大豆や小豆の豆類、サトウキビやビート(砂糖大根)、コーヒー豆やカカオ豆、牛肉・豚肉・羊肉・鶏肉のような肉類、チーズやヨーグルトのような酪農加工品、サラダオイルやラード、ワインやビールやウイスキーや焼酎などの醸造酒と蒸留酒、胡椒や唐辛子、タバコ、各種の加工食品(パスタ、カップラーメン、菓子類、インスタントコーヒーなど)が含まれます。

そういう一般的に受けいれられている定義を前提として、では世界で農産物輸出の多い国はいったいにどこかというと、農産物輸出の多い国は発展途上国ではなく、OECD諸国に集約されるような先進国です。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中には、政治や経済のその時の交渉状況に応じて先進国のバッジをつけたりその上に発展途上国のコートを羽織ったりと忙しい国もありますが、BRICsを先進国とみなさなければ、トップ10には先進国が8か国とBRICsが2か国入ります。

ここでは農産物輸出額だけを取り上げています。輸出額から輸入額を引いたネット(純)の輸出額ではありません。しかし、農産物輸出額がランキングの上位にあるということは、その国が農産物輸入額の如何にかかわらず、またその国が規模の大きな工業生産国であるかどうかにかかわらず、その国が他の国との相対的な関係において、農産物の生産や農産物加工により注力しているということになります。

Photo

なお、この後には、アルゼンチン、オーストラリア、英国、タイが続きます。

すごく割り切った整理をすると、上述の8つの先進国は、「小麦やトウモロコシや大豆、牛肉や豚肉、チーズ、それからワインとビール」を「穀物の生産が困難ないし苦手な発展途上国」や「自国で必要とする穀物の自給率が少ない先進国」ないしは「おいしい肉とワインとビールとチーズがほしい先進国」に売ってもうけています。穀物に強い国と加工食材や酒に強い国、その両方に強い国に分かれますが、ここではその差には立ち入りません。

「穀物の生産が困難ないし苦手な発展途上国」はGDPが低くて、穀物以外の一次産品輸出だけでは稼げる外貨も少なく、その結果、慢性的に食料不足の問題を抱えている場合が少なくないようです。

また、「自国で必要とする穀物の自給率の少ない先進国」の代表例が、日本と韓国とオランダですが、農産物に関しては向かう方向がそれぞれ違っていますが、この違いについては、あとで触れます。

余談ですが、札幌に限らず北海道ではジンギスカン(羊肉の焼き肉料理)が有名で、北海道は牧畜・酪農というイメージが強いので、北海道は羊の豊かな産地だと勘違いしている方もいらっしゃるようです。

「昨晩、ススキノでジンギスカン料理を食べたけれど、さすがに地元の羊肉はおいしいね。」「それはよかったですね。でも羊肉は、99%はオーストラリアやニュージーランドからの輸入品だし、北海道産のいい羊肉は、大間や戸井や松前のホンマグロと同じで、首都圏にそのまま出荷されるので用心なさった方がいいですよ。」

(その2に続く)

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2010年11月11日 (木)

家庭菜園での好みの変化

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我が家でも、暖かい季節にはミニトマトやインゲン、バジルや青紫蘇(あおじそ)などを食卓の楽しみに栽培するし、花の種や球根も買うので、種苗会社から定期的に種や苗や球根の案内が送られてきます。

現在は、ラディッシュ(二十日大根)が生育中ですが、毎日の天気が、寒かったり暖かかったり晴れたり雨になったりまれに雪が降ったりでふらふらしているので、二十日大根が六十日~七十日大根になりそうです。

細長い素焼きプランターには春咲きの水仙の球根を植え込んでてあるのですが、こちらの方は何を勘違いしたのか、これから冬だというのに芽を出し始めました。厳しい寒さになる前の冬の水仙もいいかもしれません。

食べ物や食材の量や扱いに関する消費者の好みは、家族数が少なく、また働く女性や独身者が多いこともあり、家族サイズから一口サイズ・食べきりサイズ、無洗米のような調理のより簡単なものへと変化してきていますが、同じ傾向が家庭菜園向けの野菜にも見てとれます。僕などは昔風の「とげとげきゅうり」や「ほのかな苦さと香りがくせになるぱりぱりセロリ」や「決して甘くない梅干し」が好きですが、そういう消費者はどうもだんだんと少なくなっているらしいことが、春まき野菜のパンフレットからも類推できます。

本来はプロの農家向けの野菜の種ですが、家庭菜園用としても利用できるので、ターゲット顧客は(プロを除けば)自ら野菜を育てる消費者ということになります。つまり冷凍食品やレトルト類をチンするだけの種族とはずいぶんと違うのですが、やはり次のような野菜に人気が集まっているようです。

◇ 子供でも食べられる苦くないピーマン
◇ 通常のものよりも短くて作りやすく、土からも抜きやすい、また料理の時も食べきりサイズで扱いやすい大根
◇ 蔓(つる)のない、つまり場所をとらない、多収量のつるなしインゲン
◇ などなど

短くて土から抜きやすい食べきりサイズの大根に、いちばん好みの変化を感じます。

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2010年11月10日 (水)

牡蠣(かき)の季節ですが・・

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オイスター・バーで数種類の殻つきの生牡蠣を数個ずつ食べ、それぞれの食味の違いを楽しみ、身の消えたあとの殻をすすったりして、その数が全部で1ダースをいくつか超えると、ワインの酔いもあって少し陶然とした気分になってきますが、それは以前の話。最近は外食をほとんどしないので、牡蠣ももっぱら自宅で食べます。酢牡蠣か、カキフライ。牡蠣鍋はあまり好みではありません。

北海道もいい牡蠣(種類はマガキ)の産地で、厚岸(あっけし)やサロマ湖のものが通常は手ごろな値段で簡単に手に入りますが、今年は暑さのせいで、たとえば厚岸では7割が死滅したそうなので、入荷もいつもよりも遅かったようです。

先日、サロマ湖産のものを買い、カキフライにして食べましたがクリーミーで結構な味でした。殻つきはそれをパクッと割って生で楽しむ目的以外では家庭では後の片づけが面倒なので、ロケットと呼ばれるむき身のパックを購入します。カキフライにするので大ぶりな方がつまった種類のパックを選んだのですが、去年よりは全体に身が小さいようです。

入荷が細くなっても途絶えることはなさそうなので、季節の間は毎週か隔週の楽しみです。

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2010年11月 9日 (火)

新潟の人に「ゆめぴりか」

東京に出かける用事があったので、ついでに、「ご飯の匂い」に出てきた知り合いの仕事場に2010年産「ゆめぴりか」の白米3合パック(3合は450g)をお土産として持参しました。お米好きの新潟生まれの方に「ゆめぴりか」を評価してもらいたかったからです。

その知人はご飯(炊いたお米)が好きなのですが、奥さまはフランス料理などが好物で結婚後は洋風のものが多くなり、それでは彼は我慢ができないので、あるときから、朝ごはんは炊き立てご飯の和食と、一家の主として英断を下したそうです。そのお米は当然のことながら新潟産コシヒカリ。実家からおいしいのが毎年送られてきます。そういう人から「ゆめぴりか」の色や香りや食味についての率直な感想を聞いてみたいと思いました。

彼から「ゆめぴりか」について電話がありました。以下(◇印)は彼の感想を箇条書きにしたものです。

◇ 土鍋でさっそく2合半を炊いた。きれいなお米でおいしいと思う。この米に対する私の評価は高い。
◇ 研ぐ前に米粒をよく見たが、つや・光沢があってきれいな米だと思った。
◇ 新米だし、言われたようにうんと水を少なくしてみたが、それでも柔らかくて、そして粘る。でもいやな感じの粘りではない。この粘りはいいと思う。
◇ さっぱり系の味が好きな人には向いている。これが大量に出回り始めたら、外食産業はこの米が席巻してしまうのではないか。
◇ 新潟の米は甘みが強い。私は豊満な甘みのあるコシヒカリのような米が好きだが、さっぱり系も嫌いではない。さっぱり味の米としてはこれはおすすめ。少しファンになった。

北海道の米に対する配慮と、米どころの自負からくる率直さの両方が混じったコメントですが、「ゆめぴりか」でパンを焼いたらもちもち感があっておいしいかもしれない、というのが2人の一致した意見(というか、仮説)です。

なお、関連記事は、「さっそく、「ゆめぴりか」』と『ふたたび、「ゆめぴりか」』。

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2010年11月 8日 (月)

ゴーカな駅弁をミーハー買い

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テレビ番組やニュースなどに刺激されてすぐに買い物に走る種類の人たちを、若い女性に限らずミーハーと呼びますが、そのミーハーになってみました。

ゴーカケンランな駅弁を作りたかったのでそのお米に目を付けたのか、その経緯は知りませんが、普通のものならまとめて4つ買える値段の駅弁です。そういうお米とそのお米を使った駅弁があるのをあるテレビ番組で知りました。少し迷って、お米そのものではなく、その駅弁を食べてみたいと思いました。

そのお米は、いろいろと調べてみると、小売価格が5キロ袋で8000円前後の有機栽培の「ひとめぼれ」です。一般の銘柄米の小売価格が5キロ袋で3000円~4000円なのでその違いが分かります。

噛めば噛むほど甘さがひろがると、番組のナレーションにはあり、毎日食べている有機玄米のコシヒカリには全く何の不満もないのですが、その格別な甘さとはどういうものか、それを味わってみたい。

東京に出る用事があったので、スケジュールは結構あわただしかったのですが、東京駅構内のさる売店でしか売っていない1日限定30食の、そして発売と同時にすぐに売り切れるというその駅弁を買い求めるにはいい機会です。札幌に帰ったその夜の晩ごはんとして配偶者と一緒にゆっくりと食べるという計画ですが、どういう風に確実に手に入れるのかわからない。それらしい電話番号に電話をかけてみました。結果は簡単で、羽田に行く前の夕方早めの時刻に東京駅のその売店に立ち寄り、指定した時刻に用意されているであろう2段重ねの2人分をその場で引き取ります。

その時刻に立ち寄ると、白い大きな紙袋に入れられたのが奥の棚で待っており、カウンター下のガラスケースの商品見本の上には「売り切れ」の札がかかっていたので、僕がその日のそのゴーカ駅弁のおそらく最後の客だと思います。念のため、2人分の弁当は大きめの食材バッグにその場で詰め替えました。

風呂敷を解くと、この値段では当然の気もしますが、経木(きょうぎ)の弁当箱です。消費期限はその日の午後10時と書いてあり、食べ始めの時刻は午後8時です。駅弁類は、作ってから普通は数時間以上経過したあたりで客の口に入るということを想定した調理や味付けやなっているので、どんなぐあいかそれも楽しみです。

出前の弁当をゆったりと食べる気分で、まず、2の重の白い「ひとめぼれ」をひとくち。ゆっくりと噛みしめます。もう一口。甘さを求めて再びゆっくりと噛みしめます。ふわっと粘りのある食感。甘さは控えめ。

箸はおかずに移ります。堪能という言葉を安易に使うのはなんですが、やはりこれは別格の駅弁のおかずで、各種の素材の広がりや、選択された素材そのもののおいしさと味付けを十分に堪能しました。弁当類にはつきものの添加物もごくわずかの様子で、おかずで唯一の不満は減塩仕立てですこし甘さのある梅干しくらいです。野菜も魚介類も海苔も豚も鶏もすべて結構でした。駅弁は車内で食べることが基本ですが、こういう駅弁だと、2つの重をゆったりと広げられる場所が向いているかもしれません。

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2010年11月 5日 (金)

農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その3)

米に関して、作付規模(つまり農地面積)とお米の生産費との関連データが一番よくまとまっているのは、農林水産省の「農業経営統計調査」(米の生産費)ですが(平成21年産米データが公表されたばかりで、以下の「表A」)、これを眺めていると、お米の生産費は作付面積が0.5ha未満の小規模なところから3.0ha~5.0ha まで、作付規模の階段ごとにきれいに減少していますが、5.0ha から 15.0haの間はあまり規模の経済効果は働かず、しかし、15.0ha 以上になるとまた費用の減少が見られます。しかし階段の高さが途中から大きくなり、また最後の階段も「15.0ha以上」と大きなひとくくりになっていて、こういう違う階段の高さの混在した表記方法は、実際と違った印象を与えることがあるので、農林水産省発表の数字をそのまま利用しながら書式を以下のように加工します(「表B」)。

【註】小規模農家の生産費もきちんと計算するため、生産費は、10a(10アール)単位、つまり0.1ha単位のものとなっています。10a (= 0.1ha) は正方形だと一辺が約32メートルの農地です。

1. 作付規模の階段の高さを、1ha以上は1ha刻みとする。例えば、5.0ha ~ 10.0ha は、5.0ha ~ 6.0ha、 6.0ha ~ 7.0ha・・・とし、それぞれ平均的に生産費が減少しているものとする。

2. 15.0ha以上がひとまとめになっていてこれもわかりにくいので、最大作付面積を40.0haとし、これもこれが実態を反映しているかどうかは不明だが、1ha刻みで生産費が平均的に低下すると考えて計算する。最大値を40.0haとしたのは、北海道の平均値が19.3haなので、その倍(40.0ha)を最大とするのはとくに乱暴な議論ではないと思うからです。

「表A」 

_h21a_2

「表B」

_h21b_2

以下は「表B」をグラフにしたものです。

_h21small_2

さて、最初の感覚的な仮説数字を思い出しながら、上の表やグラフを眺めたいのですが、表Bの数字や折れ線グラフを見ていて気づくことは、

1. 作付面積が0.5haから3haに増加するにしたがって、生産費(ここでの生産費は、利子や地代も入った全算入生産費と呼ばれるもので、一般的な会計用語を使えば支払利息などの営業外費用も入れた費用のこと)が目に見えて減少している
2. しかし、3haを超えるあたりで減少幅が急に緩やかになり、5haあたりで頭打ちの状態になる。この記事の(その1)(その2)で参照したタイの3.6haという数字を思い出す。
3. そして7~8haあたりで、カーブは横に寝てしまう。
4. 10haを超える規模では、費用が平均的に減少するような計算をしたので、どこかに変曲点があるのかもしれないが、それはわからない。
5. 7~8ha以上は「労多くして功少なし」状態になるともいえる。

北海道の1戸当たりの平均耕地面積は19.3ha で、これは稲作地や畑作地の平均値ですが、北海道の米の予想収穫量は、たとえば平成21年産米(10月15日現在)では59万トンで全国1位。(2位が新潟で57万トン、全国の予想収穫量は824万トン)

これは作っている米の持つ価格力にもよりますが、そういう大きな農地をもつ北海道の稲作農家が、生産費の逓減(つまり農地の大規模化による収穫逓増)を享受して大いに儲かっているとは思われません。

こういう点に関しては農業経済と農業技術の両方に精通した専門家の分析を期待したいのですが、そうした専門家のおひとりが、「農業経営の企業化をめぐる政策動向と現実」と題する資料の中で、稲作の規模の経済性について以下のような示唆に富んだ指摘をされています。

『2.企業化が困難であることの背景
■ ・・略・・
■ 企業経営の優位性を発揮できる技術が存在しない 
 □ 稲作では、水田大区画化により零細経営が排除されるも、10ha以上では明瞭な規模の経済性は認めがたい』

(柳村俊介・北海道大学農学部教授「農業経営の企業化をめぐる政策動向と現実」(北海道大学経済学研究科セミナー<農業再生~ビジネスの新しいデザイン~>2010/07/22)の講演資料より)

くりかえしになりますが、集約化や大規模化を好む方たちの発言は「農業の場合、耕作面積と生産性とはほぼ比例しており、大規模化すれば確実に生産性が上がります」という直線的なものか、あるいは「国内の生産力を増強するためには・・・大規模化、集約化、複合経営といった農地の効率的利用により国内農業の競争力強化を図ることが必要である」といった断定的なものが多いようです。

『(日本の)中耕(除草)農業は、より湿潤な地帯に発達したために』、(米国の)『休閑農業のように栽培面積をひろげて労働を粗放化するよりも、栽培面積をそのままにして労働を集約化したほうが、かえって収量が多い。』という35年前の飯沼二郎氏の主張は平成21年産米の「表B」のグラフと適合的です。

飯沼氏の考えや「表B」、そしてタイの1戸当たり平均耕地面積なども勝手に参照すれば、集約化・大規模化なるものの適正値は、日本の風土環境では、3haと5haの間のどこかにあるのかもしれません。

(「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?」の終わり)

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2010年11月 4日 (木)

農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その2)

農地を集約化し大規模化すると収穫逓増が実現され生産性が上がるというのは、日本の風土や農業環境を考えた場合、正しいのでしょうか?かりに正しいとして、また、集約化や大規模化が政治的・経済的に(結果を得るのにお金がかかりすぎるのは経済的とはいわない、という意味)可能だとして、日本では、つまり東アジアの端に位置し高温多湿で狭く山が多くて平野部の少ないという風土条件や農業環境、農業技術の進歩などを勘案した場合に日本では、どの程度の集約化や・大規模化が適当なのでしょうか。

集約化や大規模化を好む方たちの発言は「農業の場合、耕作面積と生産性とはほぼ比例しており、大規模化すれば確実に生産性が上がります」という宗教的な宣託の趣をもったものか、あるいは「国内の生産力を増強するためには・・・大規模化、集約化、複合経営といった農地の効率的利用により国内農業の競争力強化を図ることが必要である」といった断定的のものが多いようです。

日本の現在の農家1戸当たりの平均耕地面積は前述のように1.8haですが、米国との比較、ドイツやフランスといった農業国でもある欧米先進国との比較から、識者は、こんなに狭い農地を分け合うだけで大規模化の努力もせず日本の農業従事者はバカではないのかというだけで、日本の条件にあった適正規模のヒントの提示や提案というものには関心が薄いようですし、高温多湿で国土面積が狭い、しかし日本とはコメの種類が違うとはいえ稲作が盛んでコメの輸出国でもあるタイのような国との比較にも興味がないようです。

さてここで集約化・大規模化が進んでいないと識者が嘆く「日本の現在の農家1戸当たりの平均耕地面積1.8ha」を「北海道」と「(北海道を除く)都府県平均」とに分けて比べてみるとどういう光景が見えてくるでしょうか。

(1-1) 北海道の農家1戸当たりの平均耕地面積は、19.3ha
(1-2) 北海道の主業農家率は、75.0%

(2-1) (北海道を除く)都府県の農家1戸当たりの平均耕地面積は、1.4ha
(2-2) (北海道を除く)都府県の主業農家率は、19.9%

ここで、主業農家というのは「主たる業として農業を営んでいる農家」ということで、その意味は「所得の半分以上を農業で稼ぎ、おじいちゃんとおばあちゃんでも農業はできるのですが、それでは不安なので、65歳未満の農業従事者がいる(年に60日以上働く)農家」ということになっています(農水省の定義)。

北海道大学(もともと札幌農学校)キャンパスの北の一角に19世紀末の欧米風(というかその当時の米国東部風)の大きな酪農家用モデル農場(札幌農学校第2農場、Model Barn)が移設されて残っており、その広い庭を散歩すると100年以上前の先端酪農家の雰囲気が味わえます。これは、酪農場の例ですが、北海道の畑作地の広がりや低木の森林は西ヨーロッパを感じさせます。上川から旭川、深川、滝川、砂川、岩見沢と水にかかわる地名の連続する一帯は巨大な稲作地帯です。北海道の畑の区画や牧草地の区画、田んぼの畔(あぜ)の区画などを見ていると、北海道の農家1戸当たりの平均耕地面積が、日本における実質上の上限値だと想定しても間違いではないような気がします。

しかし北海道以外は、一部の広くて豊かな米作地帯を別にすれば、山と里山と河川と限られた平野の都府県なので、大きな1戸当たりの耕地面積は、かりに政治経済的なしがらみがないとしても、望むべくもなさそうです。これは両国の地理条件や風土条件などの違いを勘案しない全く感覚的な印象ですが、労働集約的な稲作国であるタイの3.6ha(1戸当たりの農耕地面積の平均)が、あるいは集約化や大規模化の上限値として参考になるかもしれません。

(【参考】我が家が有機玄米を定期購入している新潟県のさる農家(農業生産法人)の作付規模は有機栽培米と特別栽培米を合わせて約22haで、さきほどの「実質上の上限値」近辺の数字です。)

さきほど主業農家という用語が出てきましたが、生産額に占める主業農家の割合を米と野菜と酪農で比べてみると以下のようになります。

米 : 38%
野菜: 82%
酪農: 95%

数字の意味は、野菜などはまだ趣味の農家やパートタイム農家などもいるかもしれないが、野菜や酪農は基本的にプロの農家、農業や畜産業の専門家・専業農家の世界、一方、米はプロの専業農家以外に、様々なタイプの農家がコメ作りに参画しているということです。

「2005年農林業センサス」からのデータです。水田農家、つまり生産量が多いか少ないか、ビジネスとしてやっているのか、あるいは趣味や自家消費分栽培やその他の目的でやっているのかは別にして、米となんらかのかかわりを持っている農家や農業法人が農業経営体全体に対してどれくらいの割合なのかを、農家(経営体)の数で比較してみると水田農家の割合は「83%」です。

付加価値農産物である野菜の栽培や畜産は仕事の場として若い女性をひきつけるほど農業のイメージを高め、基礎農産物である米の生産は逆に米価下落などのニュースと重なって農業のイメージを押し下げているような感じで、2つの違った農業のイメージ形成力が僕たちの回りで交錯していますが、「83%」という数字をみると、日本の農業と米とのかかわりあいの深さと広さが実感できます。

ということで、日本における「農地の集約化・大規模化が収穫逓増?」の状況を、「お米」を材料にして調べてみたいと思います。

(その3に続く)

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2010年11月 2日 (火)

農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その1)

日本の農地の集約化・大規模化に関するいくつかの意見の引用から始めます。ごく最近のものから、35年前(1975年)のものまでを3つ並べてみます。

まず、農地の集約化や大規模化が日本の農業の生産性を高め、国際競合力をつけるという主張です。

◆「『2.農地の集約化、大規模化が競争力向上の鍵』(2010年)

『農業の場合、耕作面積と生産性とはほぼ比例しており、大規模化すれば確実に生産性が上がります。戦後、農地改革で地主の持っていた農地は細分化されて小作人に譲渡されたため、平均耕地面積は1ヘクタール強で、ヨーロッパの50分の1、米国の100分の1という零細規模になりました。確かに米国や豪州の規模を実現することは出来ないし、山間僻地では限界もあるでしょうが、わが国はそれを言い訳にしてやるべき努力を怠ってきました。』」

(富士通総研専務 根津 利三郎氏「政治が農業の足を引っ張っている」2010/04/01 富士通総研HPより)

◆「『我が国の「食料安全保障」への新たな視座』(2010年)

『①  国内農業の競争力強化と貿易自由化]』

『2.3 国内の生産力を増強するためには、販路の開拓、輸出振興も視野に入れつつ、大規模化、集約化、複合経営といった農地の効率的利用により国内農業の競争力強化を図ることが必要である。』

『2.4 国内生産力の強化及び国際競争力の強化のためには、高い農産物価格による保護政策を取るのではなく、関税を下げ、市場を自由化することで、生産者に対し正しい価格シグナルを発信することが必要である。その価格シグナルを受け取った生産者は、自身で経営判断を行い、農地の集約や大規模経営等効率化を進める努力をするであろう。』」

(本間 正義 東京大学大学院・農学生命科学研究科教授(「食料安全保障に関する研究会」座長)ほか 2010/09/10 外務省HPより)

上の2つの意見とは逆に、日本の農耕風土を配慮しない集約化・大規模化議論は、かえって日本の農業の生産性を阻害するという主張もあります。

◆「『日本農業の再発見-歴史と風土から』(1975年)

『農業の近代化・合理化とは、けっきょく、それぞれの国の風土を生かすことにほかならない』『単作経営化と大型機械化の方向は、日本の風土を生かすよりも、むしろ殺すことになる』

『(日本の)中耕(除草)農業は、より湿潤な地帯に発達したために』、(米国の)『休閑農業のように栽培面積をひろげて労働を粗放化するよりも、栽培面積をそのままにして労働を集約化したほうが、かえって収量が多い。』

『高度経済成長のはじまる昭和三十五年ごろから、財界グループが、日本農業の「近代化」にたいする提言をさかんに発表しはじめる。・・・これらは、いろいろの内容をふくんでいるが、次の二点に要約することができよう。

(1) ある自給を認めながら、現在の輸入を前提として、財政負担のかからない食糧自給政策をかんがえる。とくに、米価はあくまで国際価格に引き下げることを旨とし、それが不可能な場合には、コメを輸入すること。いわゆる「国際分業」論の主張
(2)零細農家の土地を集中させて積極的に経営規模の拡大をはかり、大型機械化と単作経営化をすすめることによって、農業労働の効率を高める。いわゆる「農業近代化」論の主張』」

(飯沼二郎著「日本農業の再発見-歴史と風土から」1975/03/01 NHKブックス)

最近の米国と日本とフランスとドイツ、およびコメ(インディカ米)輸出国であるタイの農家1戸あたりの平均農地(経営耕地)面積は、それぞれ169.2ha、1.8ha、54.0ha、45.3ha、3.6haで、米国は日本の94倍、フランスは30倍、ドイツは25倍、またタイは2倍です。

なお、haはヘクタールで、大きさは四角形だと100メートル*100メートルですが、野球のボールがたとえばレフトに100メートル飛ぶとホームランなので、野球場に足を運ぶ方はその大きさが想像しやすいと思います。

(米国・フランス・ドイツは2007年、日本は2005年の数値でソースは「食料・農業・農村白書」<平成22年版>、またタイの数値は2006年のもので、ソースはJETROのタイ農業の調査報告書<2008年3月>)

(その2に続く)

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2010年11月 1日 (月)

ご飯の匂い

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印象が強かったので忘れられないお米に関する話です。先日、久しぶりに電話で声を聞いたので思い出しました。

僕よりもずいぶんと年若い40歳過ぎの知り合いがいますが、その男性の中学時代の修学旅行のことです。行先は京都。たくさんある修学旅行を得意とする旅館のひとつに泊まったのでしょう。

夜は楽しい晩ごはんということになりますが、生徒が騒ぎ始めたそうです。「ご飯が腐っている。」多くの生徒がそういうので、旅館側はおひつをすべて取り替えたのか、要は別の大きな炊飯器で炊いたとおぼしきご飯をすぐに用意したそうです。「今度のも、腐っている。」

修学旅行相手の商売なので、おそらくどこかの廉価な米かあるいは古米を使ったご飯だと思われますが、生徒たちは、この旅館のご飯はこういうものだとそのうち納得して事態は収拾されました。おなかがすいているので仕方がない。

知り合いの出身地は新潟。そこでは、お米の味や香りに関してこういうDNAが受け継がれているようです。

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