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2010年12月17日 (金)

食材としての梅と桜

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「和漢朗詠集」に現れる食べ物や飲み物は酒だけで(「『和漢朗詠集』の農産物」)、そこでうたわれる花は、桃や李(すもも)や橘(たちばな)もありますが、基本は梅と桜です。今の札幌は一日おきの雪で、梅や桜の季節は4か月以上先の話ですが、今日は食材としての梅や桜についての簡単な記述です。

梅だと、すぐに思いつくのは梅干しと梅酒。しかしもっと時間をかけて考えても他に梅の食べ物が出てきません。大宰府で買える梅ヶ枝餅(うめがえもち)には梅は入っていないはずです。

桜だと、まず、さくらんぼです。日本には山形産のびっくりするほど値段の高い佐藤錦などがありますが、お手頃な価格だとカリフォルニアなど米国の太平洋側の州で栽培されている色の濃いアメリカンチェリーと呼ばれているさくらんぼ。ただし、さくらんぼの採れる桜は、その淡い色の花の下で毎年ご機嫌になるのが習わしの桜とは種類が違います。それから、桜(の花)の塩漬けや桜茶。これにはソメイヨシノ系統ではなくボリュームのある八重桜が向いています。桜の塩漬けは漬物として食べるとおいしいですし、白米に入れて炊くと冬でもほのかに春を楽しめます。そして、桜餅、塩漬けの桜の葉で包んだお餅です。上方風と江戸風は粉が違いますがそれは好みの問題。

どちらかに関係がありそうでどうもよくわからないのがお正月の花びら餅。それにしても、あのゴボウは誰が考えついたのでしょうか。たたきゴボウはおせち料理なので、その関連でしょうか。

食べ物としての桜の記述が多くなりましたが、普段口にするのは、やはり、梅。つまり梅干しで、梅干しは好物なので、いい塩をたっぷりと入れたのを自宅でも作ります。

◇ ◇ ◇

10年ほど前から、桜よりも梅の花の方を好ましいと思うようになりました。そのうちその季節が来ると、一瓢(いっぴょう)に日本酒をつめてふらふらと花見の散歩をしたいのですが、気の利いた一瓢などは手元にないので、30年近く使い続けている革ケースに包まれたガラス製のウイスキー・フラスコを袈裟懸けバッグに放り込んで出かけましょうか。

「和漢朗詠集」の梅と桜から、160年くらい時代が下った平安末期には、桜は、「願はくは花のもとにて春死なむ、その如月(きさらぎ)の望月の頃」(西行)となり、梅は、鎌倉初期に「老梅樹の忽開花のとき、花開世界起なり」(古い梅の樹がたちまち開花するとき、花開いて世界は起こるのだ)(道元)と形而上学的な花になります。その後、江戸時代の前期に、梅は、「紅白梅図屏風」(尾形光琳)へと展開し、桜は、昭和に入ったすぐのあたりで「桜の樹の下には屍体が埋まっている」(梶井基次郎)と西行の裏返しのような不気味な雰囲気も醸し出します。

今もそれほど事情が変わっていないとすると、梅の時期(2月)の熱海の美術館では、時間帯にもよりますがその日が週日だと、光琳の「紅白梅図屏風」をほとんど一人占め状態で楽しめます。

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