ジャガイモとオランダ人、あるいは世界の4大主食(その1)

世界の3大穀物ということは、3大主食ということにもなりますが、それらは「小麦・米・トウモロコシ」のことです。では、世界の4大主食はというと、そこにイモが加わって「小麦・米・トウモロコシ・イモ」となります。
イモとは、世界で生産量が多い順に並べると、「ジャガイモ」、「キャッサバ」(我々には直接はあまりなじみがありませんが、中華料理のデザートにも使われる「タピオカ」の原料になるイモのことだといったらわかり易いかもしれません)、「サツマイモ」、「ヤムイモ」、「タロイモ」(我々の好きなサトイモはタロイモの一種)などのことです。
1950年に、「貧乏人は麦を食え」と言った大臣がいました。正確には「所得に応じて、所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたいというのが、私の念願であります」と発言したようですが(Wikipedia)、おいしくない穀物の代表として麦が取り上げられたわけです。ここでいう麦とは小麦ではなく大麦のことですが、たしかに麦飯(むぎめし)ないし麦ご飯(むぎごはん)はおいしいとは言えなかったようです。
少し前に書いた僕のブログ記事に「我が家の国産食材比率から食料自給率を考えると・・(その2)」がありますが、そこで次のように書きました。(『・・』部分)
『「自給率100%のうんざりメニュー」は農林水産省がホームページなどで公開しているメニューのことで、国内生産品だけで必要カロリーを満たすような食事メニューをつくったら、つまりカロリーベースで食料自給率100%の食事メニューを輸入品に頼らずに現在手持ちの食材(農畜産物と魚介類など)でつくったらどんな料理が食卓に並ぶかというものです。・・・略・・・「自給率100%のうんざりメニュー」の内容は、朝ごはんもお昼も晩ごはんも「お米のご飯とイモ類(ジャガイモやサツマイモ)、それに朝はお漬物、昼は果物少々、夜は焼き魚」のくりかえしで、それでは本当にうんざりするので、2日に1回はうどんを食べたりみそ汁を飲んだり、納豆を食べたり、牛乳や卵や肉は、まあ、1週間に1回といったものです。』
おかずやおやつとしてのジャガイモやサトイモやサツマイモは結構だが、主食としてイモ類を毎日食べるような事態になるとこれはもう「うんざりだ」と感じる日本人が、僕も含めて多いに違いないという意味です。
つまり、僕たちが世界の主食を考えるときには、どうも、米(コメ)と小麦とトウモロコシという3つの主要穀物にしか目がいきませんが、イモを主食としている人たちもいて、これは、米を食べる文化を米文化(ないしは、地理上の大きなくくりでのコメの地産地消文化)、小麦を食べる文化を小麦文化(同じく、小麦の地産地消文化)と呼ぶのとおなじ意味と重さで、ひとつの大きな食文化(つまりイモ文化であり、イモの地産地消文化)のようです。(主食としてのイモについては末原達郎氏の著作が参考になりました。)
大ざっぱにくくると、東アジアから東南アジアが米(コメ)食文化、中近東からヨーロッパが小麦食文化、そして中国とインドではその両方の特徴がみられますが、南北アメリカがトウモロコシ食文化(もっともトウモロコシは家畜も大量に食べますし、最近は自動車も好んで食べるようですが)で、アフリカとオセアニアの一部と南米の一部(ブラジルなど)がイモ食文化です。それからどういう歴史的・食文化的な経緯の結果なのか僕にはよくわからないところもあるのですが、それ以外でイモの大好きな国が西ヨーロッパでは「オランダ」(ジャガイモ)と東南アジアでは「タイ」(キャッサバ)です。
ここで、世界の4大主食である小麦、米(コメ)、トウモロコシ、イモの2009年の生産量を確かめてみると次のようになります(FAOSTAT 2009 暫定版)
◇小麦 : 6億8192万トン
◇米(コメ) : 6億7869万トン
◇トウモロコシ : 8億1711万トン
◇イモ : 7億4435万トン
それぞれの生産量は、だいたい同じとみなしていいと思います。
(その2)に続く
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