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2010年12月13日 (月)

中国のジャポニカ米とインディカ米

中国では、ジャポニカ米を粳(こう)米、インディカ米を籼(せん)米と呼んでおり、コメの生産量の8割がインディカ米(籼米)、2割がジャポニカ米(粳米)といわれています。資料によっては、ジャポニカ米(粳米)の割合を3割としているものもありますが、正確な統計が公表されていないので、ここでは籼米が80%、粳米が20%としておきます。

ジャポニカ米は粒が丸く短くて粘り気のあるコメ、インディカ米は粒が細く長くてぱさぱさしたコメというのがそれぞれの大まかな特徴ですが、中国人はジャポニカ米でも伝統的にはぱさぱさ系を好むという話もあり、チャーハンなどは確かにぱさぱさ米の方が油とよくなじむのでそうかもしれないとは思います。

国や国民が経済的に豊かになっていくと、どの国でも甘いお菓子と肉の消費が増加するようです。札幌などでは、お土産に持って帰るのでしょうか、北海道限定販売のお菓子を大きな紙袋を一杯にしてホテルのロビーを横切っていく中国人旅行者の姿をよく見かけます。

こうした傾向は一定水準に達すると頭打ち状態になりますが、それまでは右肩上がりの増加傾向を示します。例えば、日本の場合だと、一人あたりの肉類の消費量は1995年あたりまでは増え続け、そのあたりでピークとなりその後は横ばい状態です(農林水産省「食料需給表」)。

国民の経済力が増加すると、コメを常食にする国ではコメの好みがだんだんとジャポニカ米に、それも日本風の粘り気のあるジャポニカ米に移っていくということになればそういう国への輸出なども考えられるので興味深いのですが、中国では一部でそういう傾向が出ているようです

2005年の各国の一人あたりの「肉類」の年間消費量を見ると、日本と韓国と中国に関しては、「コメ」の一人あたりの年間消費量も併記しますが(総務省統計局「一人あたりの供給食料」)

日本:  47.7㎏ (コメ:56.4㎏)
韓国:  52.1㎏ (コメ:74.5㎏)
中国:  57.1㎏ (コメ:77.3㎏)(ここでは、香港、マカオ、台湾を含む)
米国:  127.8㎏
独逸:  84.5㎏ (ドイツ)

となっており、一人あたりの肉の消費量で見ると、統計数字が香港・マカオ・台湾を含んでいるという理由もあると思いますが、中国の方が日本よりも豊かだといえそうです。ちなみに、中国は肉や魚の大消費国で、2005年の中国の消費量は、世界で生産されている豚肉の56.2%、牛肉だと17.3%、魚介類は33%だそうです。

【註】ここでいう一人当たりの年間消費量とは、一人当たりの年間供給量のことで、国内向け供給量(国内生産+輸入-輸出±在庫)から食用以外の用途や減耗を除いた純消費量を当該年の人口で除したもの。肉類とは牛肉,羊・山羊肉,豚肉,鶏肉及びその他の食肉のこと(くず肉を含む)。ここでいう「中国」には、香港、マカオ、台湾が含まれる。また、コメや肉類の消費量に関して統計局データは農林水産省データと違いがあるが、目的が他国との比較なので、ここでは気にしない。

黄河と揚子江の中間に淮河がありますが、その淮河から北が中国ではジャポニカ米(粳米)の産地、揚子江の南がインディカ米(籼米)の産地、淮河と揚子江の間は両方の米が入り混じるという意味でその中間地帯のようです。中国で生産されるジャポニカ米には、東北部の黒竜江省や吉林省で栽培されているコシヒカリやあきたこまちのような日本のジャポニカ米も含まれています。

以前から日本にビジネスで立ち寄った中国人が寿司や日本食を通して日本のジャポニカ米のファンになるのは実際に見ていますが(たとえば、中華料理はなんでも油を使うので、油を使わない日本料理が好きになった、など)、香港や上海での最近の寿司人気や刺身人気を耳にすると、中国人のコメの好みも徐々にではあるけれどもけっこう変わってきたのかなとも思います。

姫田小夏さんのブログ「ズバッ!と上海」の記事「上海、寿司がメチャ熱い!  2010年10月11日(月)」を読むと、上海における最近の寿司の状況がよくわかります。以下、そこから一部を引用します(『・・・』部分)。

『テイクアウトできる「お寿司パック」は、回転寿司の次に上海市民が好む寿司の消費スタイル。もともと日本人の単身駐在員や上海在住の香港、台湾人が支持層だったが、最近は地元上海市民がその旺盛な食欲でこのお寿司をむさぼり始めている。

90年代後半、上海人は「なんで生の魚なんか食べるの」と怪訝そうにしていたこともあったが、今では「寿司崇拝者」が続出している。

レジに並んで周りを見渡すと、なんと、レジ待ちの列のほとんどのカゴに、お寿司、もしくは刺身が入っているではないの!・・・略・・・しかも、お寿司の支持層はなんとお子サマ! 離乳食はいきなり寿司だったのか?と思うほど、「うちの子はお寿司が好きで」という話をよく聞く。』

上海の回転寿司やお寿司パックに使われているコメがどこで生産されたものかはその記事ではわかりませんが(おそらくは中国東北部産のジャポニカ米だと思いますが)、寿司は、冷めてもおいしく適度な粘りがあってさらっとほどけるジャポニカ米の舞台だし、刺身にはもっと粘りのあるジャポニカ米が向いているので、こういう食事メニューが日常化すると中国人のコメの好みも、仕上げのチャーハンにはぱさぱさのインディカ米、刺身には粘りのあるジャポニカ米と二重化していくことでしょう。

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