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2011年2月24日 (木)

穀物の食べ方や料理法の単一化と多様化(その3)

◇麦

麦には大麦、ライ麦、エン麦、小麦などがありますが、小麦以外の世界の麦は、日本のヒエ・アワ・キビとおなじ運命をたどっています。FAO(国連食糧農業機関)の統計だと、2009年の小麦の世界生産量が6億8192万トンであるのに対し、大麦のそれは1億5027万トン(小麦の22%)、ライ麦はわずかに1786万トン(小麦の2~3%)です。

麦の世界で一番なじみの深い料理法のひとつが広義のパンです。パンを麦と水をこねあわせて発酵させて焼いた食品と考えると、その材料から大麦やライ麦がほぼ排除されて小麦だけになってきたのは収斂・単一化現象といえます。

欧州だとフランスのバゲットやクロワッサン、イギリスの山形パンやスコーン、ドイツのずっしりと重みのあるライ麦入りのパンなど多様な種類があり、これに西アジアやインドのナンや、醗酵させていないインドのパンであるチャパティを加えると、パンはその内部の料理法ではしっかりと多様性を保っているようです。

小麦の料理法で地域によってはパンよりもはるかに好まれているのが広義の麺類。イタリアのスパゲティーやマカロニやラザニアのようなパスタ類、中国の拉麺・押麺や日本のラーメンのような手で引っ張って作る麺、中国の饂飩(ワンタン的な麺)や日本のうどん、などが我々にもなじみのもの。中華料理屋が世界中の都市にあるのは見慣れた光景ですが、近頃は、海外進出した寿司屋のように、日本のラーメン屋やうどん屋も中国に出店する時代なので、麺類はアジアでは発散状態が再活性化しつつあるといえそうです。

麺に関してもっとも影響力のある発散現象が即席カップ麺、これは日本で発明され日本から世界に流通した麺の新しい料理法ですが、2009年の即席カップ麺の年間消費量が世界48か国で588億個(日本即席食品工業協会)。最大消費国は中国&香港、ついでインドネシア、日本の消費量は3番目で、4番目はベトナム、5番目が米国です。

(【註】即席麺の消費量は年間に915億個、そのうち即席カップ麺の割合が64.2%で588億個。)

さて、日本で競合の最も激しい料理のひとつであるラーメン屋のラーメンはあいかわらず多様化の途絶えない様子です。醤油味、塩味、味噌味やとんこつ味の競演以外に、最近では、つけ麺という新しい食べ方、つまり材料というか料理法というか、両者の混沌とした競合状態が発散・多様化をあらわしています。

うどんも、讃岐うどん用小麦の国内生産がおこなわれ始めましたが(「『さぬきの夢2000』のうどん」)、これはうどんの高度化(収斂現象)ともいえますし、うどんに対する材料の地理的な発散と考えられなくもありません。

余談ですが、パンでの役割がなくなった大麦は、ビールやウイスキーなどの酒の材料として生きのびる道を選びました。酒好きにとっては、実にけっこうなことです。

(「穀物の食べ方や料理法の単一化と多様化」の終わり)

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