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2011年2月23日 (水)

穀物の食べ方や料理法の単一化と多様化(その2)

◇米(コメ)

かつての日本の穀物はヒエ、アワ、キビとコメでしたが、現在はほぼコメに収斂しています(「こうばしい雑穀混ぜご飯」)。ではそのコメは日本で元気かというと、料理法では、炊いたご飯がほとんどで、赤飯(蒸す)や餅(蒸して搗く)はおめでたい席や正月といった儀式の場にその登場の機会が限られており、米の麺といったものも見あたらず、つまりその意味では収斂の段階にあります。

また、材料の高度化(おいしさの追求)も収斂段階の現象だとすると、新潟コシヒカリに代表される良食味米の人気はたしかに日本のコメが収斂段階にあると示唆しているのかもしれません。では、コシヒカリの競合品である「つや姫」(山形)や「ゆめぴりか」(北海道)のデビューをどう見るか。良食味米の追求という意味では収斂・単一化ですが、寒さに強い品種の開発がかつてのコメの課題であったことを思えば、暑さに強い品種(つや姫)の登場という意味では発散・多様化ともいえます。

コメの範囲をアジアまで拡大すると、インディカ米の特性を活かした食べ方・料理法は現在も華やかです。たとえば麺類だと、中国南部や台湾のビーフン(中国では麺とは小麦粉ベースの粉食のことで、だからビーフンは麺ではないがここでは気にしない)、ベトナムのフォーやブン、麺以外では生春巻きなどに使われるライスペーパーなどが活躍中です。タイでも米粉麺の人気は高い。つまり、東アジアや東南アジアでは収斂の兆候は見られない。

日本では、米粉パンや米粒パンが徐々に消費者の認知を獲得し始めており、これはコメという材料から見た場合の料理法の発散・多様化ともいえるし、パンという料理法から見た場合の材料の多様化ともいえます(「ためしに米粉パン」、「続・ためしに米粉パン」)。

コメの料理法のひとつが寿司ですが、寿司は日本でも世界でも発散中です。カリフォルニアロール以降の米国には新しいタイプの、日本人にはちょっとびっくりの寿司ネタと握り方・巻き方の寿司がありますし、そのうち中国にも上海風の寿司が登場するかもしれません。回転寿司を寿司の新しい料理法と呼ぶのは牽強付会の感がありますが、しいてそう考えてみると、これは世界中で受け入れやすい食べ方なので、寿司の発散現象です。

それから、米の料理法のひとつである日本酒はこの15~16年くらいでずいぶんと様変わりしました。各地で新しいタイプの日本酒が生まれ、戦後の停滞を脱してまた発散・多様化の過程に戻りつつあるようです。

つまり、世界では米(コメ)はあいかわらず元気な様子です。日本では一人あたりの年間コメ消費量の徐々の減少といった事態にも見られるように収斂段階の特徴が現れていますが、同時に一部では米(コメ)の活用法や料理法に関しては発散・多様化の現象も確実に生じています。

(その3)に続く

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