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2011年2月22日 (火)

穀物の食べ方や料理法の単一化と多様化(その1)

料理は、材料と料理法の組み合わせですが、40年ほど前に穀物料理に関して面白い仮説を立てた方がいます。ここでいう材料とは米(コメ)や豆や小麦や大麦のことで、料理法とはそうした材料をどういう風に加工して食べるか、その食べ方のことなです。米の場合だと炊いて食べる(日本での日常のご飯の調理法)・蒸して食べる(おこわ)・蒸したあと搗(つ)いて食べる(餅)などの料理法が存在します。

豆の場合は、煮た豆を米や麦や豆の麹で醗酵させて食べるのが味噌、小麦の場合だと、小麦と水をこねあわせたあとしばし醗酵させて焼いたもの(欧風パン、西アジアやインドのナン)、こねあわせたものを醗酵させずにそのまま焼いたもの(インドのチャパティ)、小麦と水をこねあわせたあと無醗酵で茹でて食べるもの(中国や日本のうどん)、醗酵させた蒸しパン風のもの(中国のマントウ)などがあります。

その仮説(穀物料理の一般法則)の骨子は以下のようです(中尾佐助著「料理の起源」)。

◆ 一つの料理法(たとえばパンや寿司)に対し、その材料の種類が増してくることを材料が発散したといい、その逆に材料の種類が絞られてくることを収斂(しゅうれん)と呼ぶ。同様に、一つの材料(たとえば小麦や米)に対し、料理法の種類が増すことを料理法の発散、料理法が数少なくなってしぼられることを、料理法の収斂と呼ぶ。

◆ 料理法にとっての材料の種類、あるいは材料にとっての料理法の種類は、その発展期には発散(多様化)するが、ピークを過ぎて衰退期にかかると収斂(単一化)が始まる。

◆ 高度化(たとえば、おいしさが追い求められてきたヨーロッパのパンや日本の良食味米)は、発散過程ではなく、収斂過程の現象である。

◆ 主要穀物の種類は収斂している(数が少なくなっている)が、その穀物の内部では利用面での発散(種類の増加)が同時に起こる場合もある。たとえば麦では小麦が圧倒的に存在感を増大し、パンの材料の主役は小麦で、ライ麦やエン麦は非常に影が薄い。しかし、小麦の利用面では、パン以外の小麦加工食品(たとえばお菓子類や即席ラーメン)の多様化が進んでいる。

さて、料理法と材料の両方向から、各種の穀物や穀物料理が発散(多様化、まだ発展中)の段階にあるのか、それとも収斂(単一化、成熟してしまった)の段階に入っているのかを、米と麦を対象に、材料と料理法の定義を若干ゆるめにして、現在の状況を思いつくままに観察してみたいと思います。

(その2)に続く

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