予期せぬ場所で、ジャズ
所用で、無人駅で降りました。どれくらい前かはわかりませんが、以前は切符購入窓口があり駅員がいる駅だったようです。今は窓口には全面に板が打ち付けられています。
電車は1時間に1本、お昼過ぎだと2時間近く間隔があいています。用件を済ませてその駅に戻ってきたときに、運が良ければ20分ほど、運が悪ければ1時間近く、暖房のきいていない駅の待合室で待つことになります。外は軽い雪。近所に高校があるのでしょうか、電車を待つ女子高校生が待合室の中で3~4人でおしゃべりをしていたりもしますが、僕は寒いので、暖がとれる場所を探して近所を少し歩くことにしました。少し歩いて何もなければ無人駅に引き返すつもりです。
50~60メートル歩いた左手の家に、手書きで「喫茶店」とあり、「OPEN」とこれも手書きで書かれた段ボール風の四角い紙がドアノブにかかっています。中に入るとだれもおらず、しかし、50年代から60年代のジャズのLPジャケットが壁にずらっと飾られており、いくつかのテーブルと椅子の向こう側に、年代ものの高価そうな再生装置と最近の再生装置が並んでいます。
奥に声をかけると50年配の主人が出てきて、僕はコーヒーを注文し、主人が暖房装置にスイッチを入れながら「なにか、かけますか?」。さきほどの用件の整理を少ししようと思っていたので、その邪魔にならないような種類の、あるピアノトリオの60年代初めの頃のアルバムを所望しました。いい音が流れてきます。
10分ほどすると暖かくなってきたのでメモを何枚か作り、そこには30分ほどいたのですが、サイフォンに入ったカップ2杯分のコーヒーの値段が350円でした。
以下は2年前の冬の札幌での出来事です。(別の場所に書いたものから一部省略して引用)
『雪の休日の夕方、小型の個人タクシーを拾いました。行き先を言うと、僕と同年輩の男性運転手がカーステレオの後部座席用スピーカーの音量を適度に大きくしてくれました。流れてきたのは、女性ボーカルのUnforgettable。乾いていて、そして、しっとりしていて、うまいなあ、と思い、そのまま聴いていました。
3曲聴いたところで目的地が近づいてきたので、「この歌手はなんという名前ですか。」「ジャニス・シーゲル。・・・お客さん、マンハッタン・トランスファーはご存知ですか。」「ええ、一応。」「マンハッタン・トランスファーの女性ボーカリストです。」「うまいですねえ。」「ヘレン・メリルもちょっと飽きてきたので、近頃は、もっぱらジャニス・シーゲル。」』
雪の日はジャズに関して、こういう感じのいい予期せぬ出来事がときどき起こります。
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