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2011年3月18日 (金)

コーヒーと砂糖

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コーヒーと砂糖の需給が逼迫(ひっぱく)しているようです。短期的な投機筋の動きもありますが、もっと長い時間軸で見ると、世界の所得水準が上昇し、食べものや飲みものの好みが変化したことが背景になっています。所得水準が上昇したといっても世界中の国が平均的に豊かになったということはないので、つまりは追加分の所得がこの10年ほどより多く分配されてきたBRICs諸国での消費が影響しています。

世の東西を問わず、所得水準が高くなると甘いもの、砂糖を使ったものが好きな人たちが多くなりますし、嗜好品としてのコーヒー需要も増加するようです。そして、コーヒーには普通は砂糖が入ります。コーヒーはブラックに限るという方々は、僕はいい趣味を持っているとは思いますが、「グローバルスタンダード」から見たら特殊な変わった人たちということになります。

コーヒーや砂糖のような商品(コモディティー)の需要供給が逼迫していく傾向にあるのかどうかを確かめようと思ったら、在庫率の推移を見るのが大まかには一番手っ取り早いので、2000年から2010年までの10年間の数字をならべてみると以下の通りです(米国農務省)。ここでいう在庫率とは期末在庫を年間供給量で割ったもので、この数字が低いほど需給が逼迫している、消費の伸びに生産の伸びが追いつかず手持ち在庫に余裕がないということになります。

◆コーヒー: 16%→18%→19%→16%→16%→13%→13%→12%→14%→10%→12%

◇砂糖  : 19%→17%→18%→17%→15%→14%→15%→16%→12%→11%→11%

とくに、砂糖の大量生産国と大量消費国は最近ではどこだろうという好奇心がわくので米国農務省の統計データ (2010/2011) で調べてみます。

砂糖はサトウキビと甜菜(てんさい)から作られますが、総生産量に占めるそれぞれの割合は、80%がサトウキビ糖、20%が甜菜糖。サトウキビ糖の生産量の多い国は、ブラジル、インド、中国など。甜菜糖は生産量の多い国はEU諸国、米国、ロシアなどです。

砂糖はコーヒーと違って、消費量の多い国や地域でも生産量が多いのですが、消費量の多い順に並べると、インド、EU、中国、ブラジル、米国、ロシア、インドネシア、メキシコ、パキスタンといった具合です。人口が多くて、ミルクと砂糖たっぷりのお茶やコーヒーの好きな国、ないしはそういう嗜好の増えている国だととうぜん消費量が多くなります。
日本では、料理にけっこう砂糖を使いますし(たとえば、すき焼き)、女性の方は甘いケーキ類は別腹で食べられるようだし、北海道の方は甘い料理が好きですが、世界の中では目立った存在ではありません。つまりそれほどのデブちゃんはあまりいない。BRICsと米国と日本の、国民一人あたりの年間砂糖消費量を比べてみると、以下の通り。

Brazil (ブラジル) : 59 kg
Russia (ロシア)   : 41 kg
India (インド)    : 21 kg
China (中国)     : 11 kg (今後、増えてくるでしょう)
米国                   : 32 kg
日本                   : 18 kg (農水省の食料需給表だと平成20年度で19kg)

砂糖の輸出国は、ブラジル、タイ、オーストラリアなどですが、ブラジルの輸出量が圧倒的に多くて世界の輸出量の52%を占めています。

蛇足ですが、米国の砂糖の自給率は78%、日本の砂糖の自給率は38%。米国は農産物・畜産物の輸出が伝統的に好きな国で、輸出振興のためには公的な財政支援もしっかりとやる国です。一方、砂糖などの価格競争力のない農産物には輸入障壁を用意しており(だから自給率が結構高い)、砂糖輸出国のオーストラリアなどは米国への砂糖輸出が思うにまかせないのでイライラしているようです(「農業の公的支援(その3)」)。これなどもTPPにまつわる風景というか、参加希望国の思惑のひとコマです。

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