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2011年3月28日 (月)

基礎食材としての昆布

我が家は昆布が好きで、産地の違う昆布をそれぞれに楽しんでいます。利尻(りしり)と羅臼(らうす)の「ダシ昆布」、秋から冬のおでんには日高の「おでん用結び昆布」、昆布のサラダには函館の周辺や近隣でとれる真昆布の「すき昆布」。五目豆には、小さな四角形に刻んだ羅臼昆布。そして、簡単にお吸い物がほしいときの「とろろ昆布」。

羅臼でダシをひいたときには、毎回ではありませんが、一番ダシのあとのを利用して自家製の佃煮を作ります。昆布の佃煮がほしいという理由で羅臼を使う場合もあります。

先週、いつものところから昆布の補充をしようとしたら、原発事故対策なのでしょうか、「とろろ昆布」と「おぼろ昆布」が売り切れ状態でした。こんなことは初めてです。

北海道(利尻・礼文、羅臼、日高、函館など)は良質な昆布の産地で、だから日本の昆布の自給率は90%近いのですが、自由化に対して必ずしも安泰というわけではありません。昆布の関税率は5%と低いので、そういう環境で90%近い自給率が維持できているならいいではないか、ということになりそうですが、それには政治経済的な配慮があって、昆布はワカメなどとはちがい輸入(量)割当品目 (Import Quota Items) として輸入量を制限しています。

平成22年度の昆布の輸入割当数量は、乾燥重量で2,950トン。昆布の国内生産量が24,000トン(平成20年)なので、輸入量は12%程度に抑えられています。輸入量の80%が中国から、18%が韓国、残りの2%がロシアからです。

中国産の養殖物は1年物でダシ昆布としては向いていないそうなので、干し昆布でダシをひく家庭が多ければ、その範囲では中国産昆布は競合相手ではありませんが、それ以外の領域、つまり煮物として食べる・おでんの結び昆布として食べる・つくだ煮にする・塩昆布にするといった用途には、一定水準の品質があればあとは値段の安さだけがきいてくるので、中国産が大きな脅威になります。

ダシのとりかたも、昆布をひいたりするのではなく、面倒くさいので昆布から作ったダシの素のようなものをシャッシャッと振りかけておしまいということになると、ダシ向きの昆布でなくともそれなりの加工の方法があるので(こういう種類の加工も日本の得意とするところですが)、そうなれば、中国産昆布がダシに関しても脅威となってきます。

食材などに関心のない人たちが、昆布を輸入割当品目ではなく自由化品目などに深く考えずになし崩し的に変更すると、中国産や韓国産に押されて自給率が20%程度となってしまったワカメと同様の運命をたどるかもしれません。(酢の物やサラダに向いているのは食感の良い鳴門ワカメや三陸ワカメのような国産ワカメ、味噌汁も食感を楽しみたいなら国産ワカメなのでそのあたりは国産ワカメの牙城。一方、輸入品は業務用の味噌汁や加工品などに幅広く使われている。)

日々の食事内容を考えた時、昆布のような伝統的な基礎食材が持つ意味合いはコメと同じくらいに大きいので、昆布などの輸入割当品目指定は今後も継承すべき方策だと考えています。

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