« 域外移動 | トップページ | 肉なしの肉じゃが風 »

2011年3月24日 (木)

域外移動・補遺

人気ブログランキングへ

フランスは、「発電電力量」の77.1%を原子力発電がまかなっていて、この比率は群を抜いて世界一です。発電電力量全体に対する原子力発電の割合が日本は24.0%、原子力発電計画を緊急に見直し中のドイツが23.5%、英国が13.6%、ロシアが15.7%、そして米国が19.3%です(2008年、電気事業連合会『「原子力・エネルギー」図面集2011』より)。

今までに原子力発電所の重大事故を起こした国は、英国(ウィンズケール、1957年)、米国(スリーマイル島、1979年)、旧ソ連<現ウクライナ>(チェルノブイリ、1986年)、および日本(福島、2011年)の4か国。

イタリアは1987年に国民投票で原子力発電所の停止を、それから停止中の原子力発電所の運転を再開しないことを1990年に決めたので、今は、原子力発電所は動いていません。しかし、最近は再開計画も出てきて、原子力発電の方向性についてはふらふらしています。今回の福島の事故をきっかけにドイツと同様に再開計画の検討をとりあえず凍結状態にした模様ですが、原子力発電に関しては、どうもふらふらするのが好きなのかもしれません。

フランスは、原子力を「選択」し原子力発電に「集中」していて、欧州加圧水型原子炉(EPR European Pressurized Reactor)と呼ばれる新型原子炉を建設中ですが、フランスの原子力発電関連企業の女性CEOがその新型原子炉について、議会で、フランス製の新型原子炉であれば今回の福島の事故は起こらなかっただろう、という趣旨の発言をしたそうです。そのことをあるイギリスのメディアが報じており、記事の中でイギリス人風の語り口で、動いているものが1基もないのによく言うよ、とすこしからかっています。

『◇◇氏は先日フランス議会で、EPRであれば日本の事故は決して起こらなかっただろうと述べた。ただ、同氏は、稼働中のEPRがまだ1基もないということを付け加えるのを忘れていた。』(F.T.)

さて、日本と世界の「電源別発電電力量の構成比(2008年)」を見てみるとその内訳は以下の通りです(「原子力・エネルギー」図面集2011)。

---------------------------------
       日本     世界
---------------------------------
・石炭:   26.8%    40.9%
・石油:   13.0%     5.5%
・天然ガス: 26.3%     21.3%
・原子力:  24.0%     13.5%
・水力:    7.1%     15.9%
・その他:    2.8%     2.8%
---------------------------------

日本の炭鉱は北海道(釧路)に小規模ものが、石炭関連技術の継承とベトナムや中国などの海外炭鉱技術者のトレーニングを目的として稼働しているだけなので、石炭の国内産出高はごくわずか(この炭鉱の年間産出量は55万トン、この炭鉱のニュースは北海道ではときどき見ます)。日本の年間消費量は1億6200万トンですが、その64%をオーストラリアから輸入しています(「帝国書院統計地図 2009」、および「日本貿易統計」)。

現実的に掘り出せる原油(石油)や天然ガスや石炭を対象にした場合、それらがあと何年もつか(可採年数)に関して専門家の試算結果が複数ありますが、石炭の可採年数を別にすれば数字のバラつきは少ないようなので、「BP統計2010」(2010年6月)の数字を引用します。

原油(石油) :  46年
天然ガス    :  63年
石炭       : 119年

原子力を置き換えるために、原子力依存を徐々に少なくし、その分石炭の利用量を増やしていき、化石原料(化石燃料)以外の安全な、そして石油やガスに近い生産効率を持つ方式や素材を実用化するまでに残された時間が実際にあと何年かはわかりませんが、専門家の出した数字を個人メモとしてまとめてみました。

もっとも、専門家といわれる方々の予測には面白いものも多く、たとえば1972年に出版されたローマクラブの報告書「成長の限界」の計算だと、その後20~30年くらいで、つまり20世紀の終わりには原油は枯渇しているはずでした。しかし、21世紀の専門家によれば、どうも、原油はあと40年近くはあるみたいです。

専門家といわれる人たちは、今後採掘可能な埋蔵量を間違えたのか、消費量の推移を間違えたのか、採掘技術の進展を読み誤ったのか、それとも、あと20年から30年という数字を広く世間に出すことに政治的な意味があると考える人たちの下働きをしたのか。

10数年前からの流行ですが、何かを広く世間に広める際に「グローバル」というあやしげな修飾語が添えられることが多いようです。

人気ブログランキングへ

|

« 域外移動 | トップページ | 肉なしの肉じゃが風 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

雑感」カテゴリの記事

食べもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317632/39340963

この記事へのトラックバック一覧です: 域外移動・補遺:

« 域外移動 | トップページ | 肉なしの肉じゃが風 »