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2011年6月23日 (木)

野菜の施設栽培、あるいは植物工場(その3)

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施設園芸や植物工場で好まれて栽培されている野菜や果物は種類が限られていて、これを選択と集中という風に呼び換えてもいいのですが、対象品種のブレークスルーが起こらない限り、結局のところ、参加者のほとんどが、レタスやミツバ、トマトやパプリカやキュウリ、果物の好きな人はイチゴといった範囲で競争を繰り広げていることになります。

野菜と植物工場という環境を考えると、デジタル系というよりは、アナログ系のハイテク家電製品を大量生産しているようにも見えます。つまり、生産設備が自家発電能力を備えて大型化し、施設栽培や植物工場に向いた品種改良が進み、競争は激化する。小売価格は安くなり、世界中で価格競争が進行し、ハイテク量産品のように、やがて、植物工場の野菜といえども低価格層の野菜と高級層の野菜に市場が分離し、といった風景です。

オランダにおける園芸施設の平均経営面積は、野菜が2.4ha、花卉が1.1ha(2010年予測値)ですが、過去15年間の動きは、2.5 ha未満の小規模農家が淘汰され、2.5ha以上の中・大規模農家が小規模農家を吸収しながら増加するという傾向を示しています。

しかし、こうした小・中規模農家の始めた野菜ビジネスでなにか面白いもの、保守的な(あるいは本能的な)食べ物感覚と波長が合いそうなもの・共鳴しそうなものはないかと、オランダの農家や農業法人のホームページを見ていると、とても興味深いものに出会いました。「スナック野菜」を生産・販売しているところで、日本人にとってもおなじみのミニトマト(卵型のミニトマト)などを「おやつ野菜」として商品化しています。この記事の(その1)の最後に「そういう感覚と『植物工場の科学的な栽培技術』によって生産された野菜ははたして共鳴するものなのか、あるいは不協和音を発生するのか。」と書きましたが、その文脈で共鳴しそうなもの、のことです。

ホームページを読んでみると、最初の商品(スナックトマト、ないしはおやつトマト)を世に出したのは2005年で、その種は日本の種苗メーカーから調達したものだそうです(どう見ても「アイコ」)。野菜の種類は卵型の赤いミニトマト以外には、緑のミニキュウリと橙色のミニパプリカだけですが、商品パッケージは複数の種類があり、中身がミニ野菜というだけで、スーパーやコンビニでよく見かけるスナック菓子の袋詰めやクッキーのプラスティック容器詰めそのものです。施設園芸農家が始めたビジネスですが、商品マーケティングと流通プロモーションがみごとです。

ターゲット顧客は子供からお年寄りまで、そして健康に配慮している大人やスポーツ愛好家。市場へのメッセージは、砂糖がいっぱいのスナック菓子ではなく、健康にいいスナック野菜を食べよう。流通チャネルは、スーパーの野菜売り場や食料専門店、学校や会社の売店、スポーツクラブの飲みものカウンター、ガソリンスタンドなど。学校や会社で小腹がすいたら袋や容器からとりだしてそのままパク、ジョギングの後にパク、という雰囲気です。

スナック野菜というカテゴリーなら、植物工場の野菜でもまったく違和感がありません。その方がプロモーション効果が高まりそうです。(その商品のホームページはこちら。)

日本のデパートの野菜売り場でも、3個ほどのカラーピーマンが入った小口パックを、独身向けや小家族向けに小口パック野菜を集めたコーナーでよく見かけます。卵型のミニトマトも小さなプラ容器に10個ほど詰めたのを売っていますが、あくまで料理やサラダ用のトマトということを前面に出ているので、この場合には植物工場というイメージはどうもなじまない。

「野菜の施設栽培、あるいは植物工場」の終わり

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