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2011年6月 1日 (水)

日本人が好きな料理とおかず(その2)

「日本人の好きなもの」というNHKの世論調査があり調査結果は本として発売されています(2008年、対象は全国の16歳以上の男女2394人)。「日本人の好きな料理とおかず(その1)」で述べたようにこういう調査では、しばしばホンネ(本当に好きなもの)とタテマエ(好きと答えた方が格好がつくもの)が入り乱れることがあるのですが、この調査におけるその度合いは不透明です。

「ある料理が好きで実際にそれをよく食べている」のか、「何が好きかと聞かれると一応これが好きと答えるが、それを実際に自分で作ったりはしないし、外でそれを頻繁に食べているわけではない」のか、それについてはよくわかりません。日本のラーメン屋が中国に支店を開く時代なのでラーメンを和食、鉄板焼きも和食と考えると、上位20品目は焼き肉とギョーザを除けばほとんどが和食で、洋風のものは見あたらず、どうも和の色が実際よりもきれいに出過ぎている印象です。

しかし、この調査に関しては、好きといったものを、家庭料理としてあるいは飲食店で実際に食べていると考えてそのまま調査結果を使います。ここでは日本人の好きな「料理」だけが対象です。「お酒」や「果物」も食べものですが、ここでは対象としません。

好きな料理といっても、たとえば「すし」「そば」、「みそ汁」「肉じゃが」「漬物」といった同一カテゴリーではないと思われるものが同居しているので、そういうものについては少しコメントを加えます。

まず、そのままの形で、1番から20番までを引用すると以下のようになります。なお、(括弧)の中の%は調査対象の人たちの何%がそれを好きと答えたかその比率。(コメント)の中のご飯とはコメを炊いたごはんのこと。

1位: すし(73%)
2位: 刺身(67%)(ご飯の主なおかず)
3位: ラーメン(62%)
4位: みそ汁(62%)(出汁のきいたみそ汁はうまい、しかしそれだけでは・・。)
5位: 焼き魚(60%)(ご飯の主なおかず)
6位: 焼き肉・鉄板焼き(59%)
7位: カレーライス(58%)
8位: ギョーザ(57%)(ラーメンなどと一緒に)
9位: サラダ(56%)(普通は、これだけでは・・)
10位:豚汁・けんちん汁(55%)(ボリュームはあるが、これだけでは・・)
11位:すき焼き・しゃぶしゃぶ(55%)
12位:肉じゃが(54%)(ご飯のおかず)
13位:炊き込みご飯・五目ご飯(53%)
14位:そば(日本そば)(53%)
15位:鶏のから揚げ・竜田揚げ(51%)(普通は、ご飯のおかず)
16位:うどん・きしめん(51%)
17位:天ぷら(51%)(ご飯の主なおかず、あるいは天丼)
18位:漬物(50%)(漬物はおいしい、しかしこれだけでは・)
19位:おでん(50%)
20位:納豆(48%)(ご飯のおかず)

なお、男女差の大きい(10ポイント以上ないしそれにごく近い差がある)のは、刺身(男>女)、ラーメン(男>女)、焼き肉・鉄板焼き(男>女)、そして、サラダ(女>>>男)です。

家族連れも目立つ回転寿司の活況、おいしいラーメン屋の混み具合、それから昼食時や夜の居酒屋で焼き魚を好むオジサンやオニーサンの多さをみれば、上位の料理がその位置に来るのはさもありなんという感じです。

よくわからないのは、みそ汁と漬物が刺身やそばと並列に登場していることです。不味いみそ汁はわずかを飲む気も起こらないけれどもきちんと出汁をひいて作った味噌汁は日本の誇るべき味だし、大根や茄子(なす)の糠漬けも貴重な食文化です。だから、うまいみそ汁とうまい漬物のない食事などあり得ないという意味で独立品目として登場しているのなら、とても納得がいく。

もし、「白い炊き立てのご飯と刺身(ないしは、焼き魚)に肉じゃがと味噌汁と漬物」の晩ごはんを自宅で作り、そして昼食には「ラーメンやそば・うどん、ないしはカレーライス」があれば普段は満足で、そしてたまには寿司と焼き肉を食べに外へ出かけるという食卓ないし食事の風景が背景にあって、それが1位から20位の品目に集約されて登場しているのなら、まだ日本の食は捨てたものではない。

しかし、さきほど「上位20品目は焼き肉とギョーザを除けばほとんどが和食で、洋風のものは見あたらず、どうも和の色が実際よりもきれいに出過ぎている印象です。」と書きましたが、たとえば、昼食時の飲食店街やオフィス街でオバサンやOLのオネーサンがどういう料理店に頻繁に出入りしているかということや、あるいは「家族の勝手でしょ!(写真274枚で見る食卓の喜劇)」(岩村暢子著 2010年)に出てくる「普通の家庭」の朝食・昼食・夕食の内容を拝見すると、そしてそれらが「実際」だと考えると、「白い炊き立てのご飯と刺身(ないしは、焼き魚)に肉じゃがと味噌汁と漬物」の晩ごはんを自宅できちんと調理している家庭はそれほど多くはなさそうです。

「家族の勝手でしょ!」から、「気になる実際、気になる現実」がよく現れている項目タイトルをいくつか引用してみます。

・「素ラーメン・素パスタ・素焼きそば」
・「お菓子化する食事とその理由」
・「団欒には単一素材料理」
・「焦げ付く揚げ物・水没する煮物」
・「消える味噌汁」
・「人数分出されない魚料理」
・「加工食品尽くしの食卓」
・「『主食重ね』は豪華な食事」

となると、「日本人の好きな料理」には、お店で食べる方が向いている一部の料理(焼肉や鉄板焼きなど)を別にすれば、「家庭でそれを実際においしく食べているので好き」というのもあるでしょうが、「家庭でおいしいのが食べられなくなったのでそれを食べたい」というのと「チェーン料理店で安く食べられるし、加工食品や売り場の惣菜を買ってくれば刺激的な味付けのが簡単に用意できるので好き」(寿司、味噌汁、カレーライス、ギョーザ、肉じゃが、漬物など)というのもそれなりに入り込んでいると考えられます。

日本人の好きなもの―データで読む嗜好と価値観 (生活人新書)
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家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

著者:岩村 暢子

家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

「日本人が好きな料理とおかず」の終わり 

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