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2011年6月15日 (水)

「おなかいっぱい食べられる県」と「農家がお金持ちの県」

こういうのを牽強付会な解釈、強引なこじつけというのでしょうが、そういうのをやってみます。しかし、まったく的外れというのでもありません。

農林水産省は日本全体の食料自給率だけでなく都道府県別の食料自給率も発表しています。食料自給率はおなじみのカロリーベースの自給率と生産額ベースの自給率の両方ですが、2009年度のこの2つの指標と2つの指標の組み合わせを大胆に解釈したら各都道府県の食べ物や食べ物産業(農業・畜産業・水産業)の状況はどういう風に見えてくるのか。

カロリーベースの自給率が高いということは飢えからほど遠いということです。外国との政治経済関係の緊迫で食料輸入危機などが生じてもカロリーベースの食料自給率の高い都道府県別は地産地消で生きていける。北海道だと、魚は「鯛」「鯵」(あじ)「鯖」(さば)ではなく「平目」「鮭」「ホッケ」「サンマ」、米は「コシヒカリ」ではなく「ほしのゆめ」、そして「じゃがいも」や、北海道の人は普段はあまり食べない「昆布」を食べ、チーズでもかじっていれば、まず飢えることはありません。

生産額ベースの自給率が高いということは、輸入食材の価格変動を無視すれば(輸入食材や輸入飼料が安くなれば計算の上では生産額ベースの自給率は上昇)、その都道府県では相対的に値段の高い食材を生産・収穫していて、その結果、農業・畜産業・漁業の収入金額が多い、つまり食材ビジネスが安定しているということです。

値段の高さはそのまま付加価値の高さに必ずしもつながるとは限りませんが、付加価値の高い食材は値段も高いという一般傾向はあるので、生産額ベースの自給率の高い都道府県は、農産物を例にとって大ざっぱにいえば、基礎農産物ではなく付加価値農産物、つまり「普通のコメ」や「じゃが・たま・にんじん」(じゃがいも・たまねぎ・にんじん)ではなく、より値段の高い「白いアスパラガス」「フルーツトマト」「イチゴ」「メロン」「完熟マンゴー」「さくらんぼ」や「金時サツマイモ」「レンコン」などの生産や販売に熱心だといえます。一般的な牛や豚ではなく、味が良くて値段の高い和牛や豚や地鶏、ウニやカニなども生産額ベースの自給率を上昇させます。

そういう解釈に基づくと、「生産額ベースの食料自給率」を「カロリーベースの食料自給率」で割った値は、各都道府県の農業・畜産業・漁業とその産業従事者がどの程度お金持ちなのかを表現していると言えそうです。食べ物の生産額という「値段」「付加価値」にかかわる抽象的な数字を、おいしいかどうかは別にして「いっぱい食べられる」という満腹度を表す別の抽象的な数字で割った値なので、牽強付会の解釈になるのですが、その値は各都道府県の農畜水産業の「お金持ちの度合い」を示唆すると考えます。

たとえば、高級果物や高級野菜だけを適度に作っていて、コメやイモ類や基礎野菜の生産はほとんどまったくないという県を想定した場合、その県の、「生産額ベースの食料自給率」を「カロリーベースの食料自給率」で割った値は高くなりますが、そういう数字だけだと誤解を招くので(ミスリーディングなので)、ここでは「カロリーベースの食料自給率」が日本の平均値以上の都道府県、つまり平均以上には農畜水産業に熱心な都道府県だけを対象とします

さて、その場合、「おなかいっぱい度(あるいは飢えとは縁がない度合い)の高い都道府県」、「農畜水産業のビジネス安定度の高い都道府県」、「農畜水産業従事者(平たくいえば農家)がよりお金持ちであるところの都道府県」はどこか。「平均以上には農畜水産業に熱心な都道府県」の中のそれぞれのベスト15は以下のようです。

2009

北海道の海岸沿いを車で長時間走っていると、漁村の光景が変化するのがわかります。微妙な変化をさしているのではなくて、道路沿いの漁師の家が普通の質素な家か、それともゴーカケンランに近いものかが、その漁村の主な漁獲対象・栽培対象によって明らかに変化します。値段の高い水産物が得意な地域は、漁業従事者の家もお金のかかったものとなっています。

以前、鰊(にしん)御殿というのが北海道にありましたが、それほどの規模ではないにせよそれなりにお金のかかった蓮根(れんこん)御殿というのは現在でも蓮根の産地では見られるようです。

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