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2011年7月 8日 (金)

別の視点の域外移動

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ある朝刊の囲い記事に「国勢調査から」というがあり、そこに「生まれた時から今の場所に住んでいる人の割合」という簡略な表が載っていました。

生まれた時から今の場所に住んでいる人の割合は全国平均が13.3%。分母が総人口の1億2805万6000人なので、赤ちゃんからお年寄りまですべてが対象ですが、その割合が多い都道府県は上位5が(1位)22.9%の山形県、(2位)21.5%の福井県、(3位)20.7%の秋田県、(4位)20.5%の鳥取県、そして(5位)が新潟県で20.1%。

逆にその割合が少ないのが、(43位)の鹿児島県で10.3%、(44位)の大阪府は10.1%、神奈川県が(45位)で9.6%、ブービーは(46位)の東京都で8.9%、ブービーメーカー、つまり生まれた時から今の場所に住んでいる人の割合が日本で一番少ないのが(47位)の北海道でその割合は8.3%。つまり、北海道の人は住む場所を変えるのが日本でいちばん好きらしい。

同じ場所というものを住民登録上の同じ場所(ないしそれに類するもの)とすると、生まれた時から同じ場所に暮らし続けるというのはけっこう難しいことで、高校まではいいとしても、大学も自宅から通学できるところ、勤めも遠くへの転勤があると別の場所で生活することになるので転勤のないもの、つまり、農業・漁業といった職業か、同じ場所で経営可能な自営業、ないしは親子にわたって地方公務員、また結婚ということになると、お嫁に行くかお婿に行くかは別にして行く方は別の場所で暮らすことになります。夫婦で新居を構えた場合も親の所有する敷地内・屋敷内でない限りそれは別の場所なので、同じ場所に住み続けられる人とは、生まれた家にお嫁さんが来てくれるかお婿さんが来てくれるかのどちらかの立場の人ということになり、そういう条件をどんどんとクリアできる人が多いはずがない。出生時から同じ場所に住み続けている人の割合が13.3%というのは、まあ、そういうものなのでしょう。

この記事の都道府県別の順位を見た時の印象は、そうかもしれないし、そうでないのかもしれないというもの。つまり、短絡的に考えると北海道の人たちは別の土地に移動して暮らすのが日本でいちばん好きらしいということになるが、はたしてそうか。出生時に住んでいた場所とは異なる場所・違う場所とはいったいどこを指すのか。100メートル離れても違う場所、隣町も違う場所、北海道から東京や福岡に行って暮らしても違う場所、中国やタイやアイルランドやブラジルも違う暮らし場所です。

以前のブログ記事に「域外移動」というのを書きましたが、その中の一部を引用します。(『・・・』部分)

『以前、北海道から出たがらない若者についての記事を地元の新聞(のインターネット版)で読んだことがあります。北海道の若者の外に出たがらない、北海道に残りたいという気質が、若い労働人口を蓄積し、それが結果として自動車部品メーカーやコールセンターの優秀な人材供給につながったという話です。

僕は散髪は配偶者と同じお店(つまり、オヤジのやっている理容店ではなく、美容室)のお世話になっていて、お店の従業員である20歳台前半の男の子や女の子といろいろと雑談するのを楽しみにしています。彼らに聞いても、たとえば引っ越して原宿や青山の美容室に勤めるといった指向性はほとんど持っていない。東京は観光旅行や買い物の場所かもしれませんが、働く場所ではないとのことです。』

つまり、北海道の人は遊びや出張で津軽海峡を越えるのはやぶさかではないけれども、仕事や暮らしのために津軽海峡を越えて居を移すのは気が進まないということらしい。先日、札幌のとある病院で、学校は青森に行ったけれども勤めはやはり地元の病院ね、という若い看護婦さんと話す機会がありました。

これが、北海道の人たちの住居移動・生活場所移動に関する僕の印象なので、新聞記事には違和感があります。違和感のもとを確かめるためには、データ解説よりもソースデータを眺めた方がいいので、平成22年の国勢調査(速報)を見ることにしました。そこで「異なる場所」の意味がわかるかもしれません。(統計局ホームページ)

国勢調査には「人口移動の状況」に関して2種類のデータがあります。ひとつは「現在の場所にどれくらい長く住み続けているか」というもので、この中のいくつかの時間枠のひとつが「生まれた時から」ということです。他の時間枠の選択肢としては、たとえば「10年以上20年未満」などというのもあります。

もうひとつは、5年前の居住地からの現在の場所への住所移動に関するもので、ここでは、どこから現在の暮らし場所に移って来たかが、大ざっぱにわかります。つまり、自県内での住所移動なのか、他県から移動してきたのか、国外から現在の場所への移動なのか。

これを見ると、5年前の居住場所から現在の場所への住所移動の割合が一番多いのもやはり北海道で、27%の人が移動しています。しかしこのうち自県内移動が24.2%で、これは27%の人たちの89.6%に相当します。北海道から外へと出て行った人の数字がいっしょに見られないのでこの数字だけではいくぶん牽強付会な解釈になりますが、北海道の人は、新しい生活場所を求めて北海道内をぐるぐると移動するのは好きなのだけれど、津軽海峡やその他の海を越えた恐ろしげな場所で暮らすのは苦手のようです。多くの北海道生まれの人にとって、恐ろしげな場所は旅行と遊びとベンキョーのためだけに存在するのかもしれません。

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