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2011年8月10日 (水)

観光農園・農産物直売所と北海道の性質

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農業の6次産業化とは、「1次化+2次化+3次化」で6次化なのか「1次化*2次化*3次化」で6次化なのか、そんなことはどちらでもいいのですが、農業の中に、農産物の栽培・生産という1次産業の要素のほかに、製品の製造や加工といった2次産業の要素、商品や流通やサービスの提供といった3次産業の要素を持ち込んで、農家や農業経営体の所得と利益を増やそうという試みです。そのわかりやすい例として、観光農園や農産物・農産物加工品の直売所経営などがあります。

少し広く考えたら、観光農園にはイチゴ狩りのような果物の摘み取り体験からレストランや民宿経営などが含まれ、農産物直売所も生の農産物だけでなく自分の農産物を自身で(ないしはパートナーと一緒に)加工した商品も含めての販売ということになります。

「食料・農業・農村白書白書」(平成23年版)には農林業センサス(2010)をもとにした「観光農園に取り組む農業経営体の数」と「農産物直売所の設置数」が都道府県別にまとめられています。そうした経営体や直売所設置数が多い都道府県がそういう取り組みに熱意を持っていると考えると、その両方の取り組みに非常に熱心な都道府県と、そうでない都道府県が抽出できます。

両方に熱心なのは、千葉県、山梨県、群馬県、そして北海道。

その逆の地域は、香川県、徳島県、高知県。

観光農園にしろ直売所にしろ、週末や休日にそうした場所にたとえば車でアクセス可能な結構な数の消費者が近隣にいることが前提となるので、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)に近い千葉・山梨・群馬に多くの観光農園や農産物直売所があるのはわかりやすい。

大阪や兵庫から瀬戸内海を橋で渡って、鳴門や高松のような瀬戸内に近い場所の農園や農家へのアクセスは可能ですが、東京から山梨や群馬に行くのに比べると不便だし、大阪、京都や兵庫の購買力は首都圏よりも小さくなります。そういうこともあって、香川や徳島、そして離れたところにある高知には観光農園や直売所が少ないのでしょう。つまり、そういうタイプの6次化には熱心ではない。

以前『「おなかいっぱい食べられる県」と「農家がお金持ちの県」』という記事を書きましたが、そこでは「カロリーベースの食料自給率」が高い都道府県別は、穀物やイモ類や一般野菜などの基礎農産物が豊富な地域で、「生産額ベースの食料自給率」が高い都道府県は果物や高級野菜のような付加価値農産物の生産が盛んなところ、したがって「生産額ベースの食料自給率」を「カロリーベースの食料自給率」で割った値が高い都道府県は、相対的に「農家がお金持ち」の地域だと、強引な解釈をしてみました。

その記事では、(とくにカロリーベースの)自給率が平均以下の地域は対象外として、残った都道府県を懐具合の順に15位まで並べてみましたが、今回はすべてを対象にします。東京・神奈川・大阪のような農産物をほとんど作っていない地域はノイズになりますが、そこは気にしない。

Photo

ここから読みとれることは、農家がお金持ちの都道府県で近県に大量の消費者が住んでいるところでは、直売所や観光農園の運営にとても熱心な様子です。また、農家がお金持ちではあってもそういう幸運に恵まれていない地域では、観光農園や直売所といったタイプの6次化にはあまり興味がなくて、付加価値農産物の生産と流通(卸売市場や小売り直販、通販)というオーソドックスな経路をさらに太くしようとしています。つまり、どちらもビジネスの戦略軸がわかりやすい。

さて、すこし不思議なのは、僕の牽強付会な指標では農家が必ずしもお金持ちとはいえない地域である北海道が、「観光農園」と「農産物の直売所」に、その数では、非常に熱心なことです。広大な地域なのでその数の意味を割り引く必要がありますが、札幌の人口は200万人弱(北海道全体の人口は550万人)。厚い消費者の層ではありません。地産地消の利便性の向上がその目的なら納得ですが、首都圏や四国圏と比べると当該ビジネスの戦略軸がぼんやりとしているように僕の目には映ります。

別の言葉で使えば、北海道は、農業や経済をつかさどる省庁の考えたおすすめメニューに、今もとても丁寧に対応しています。農業や経済をつかさどる省庁のおすすめメニューが何であれ、役に立つのは取りいれるがそうでないのは穏やかに無視をする、傍観を決め込むという暖かい地域で見られる馬耳東風をいくぶんかは採用していいのかもしれません。

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