品揃えが少しにぎやかになってきた「ゆめぴりか」
低価格でまあまあの品質ではなく、高い水準をねらった製品や商品がブランド力を身につけていくためには、吟味された品質基準を設定してそれを維持し続けることが条件のひとつとなります。製品や商品のタイプにもよりますが、製造者自身や第三者によってその製品に、特定の顧客層向けにある種の付加価値が付け加えられていくようになるとその商品や製品のブランド化はいい方向に向かっているといえそうです。
今まで好みのお米を食べてきた人が、何かの理由で新しい品種を検討する場合、なんとなくそれが目に入ってためしに食べた結果、あるいはそれをお店で専門知識を持った店員に勧められて食べた結果、それをたしかにおいしいと思えばそのままファンになる場合もけっこうあります。必ずしも複数の候補を食べくらべ、他の候補の栽培状況を細かく調べるとは限らない。そういう顧客層にとっては、そのお米の商品としてのバリエーションが広がるというのは悪いニュースではない。
「ゆめぴりか」(北海道が昨年から本格的なブランド化と全国展開を目指している北海道産米)の品揃えが、少しにぎやかになってきたようです。「ゆめぴりか」の味が好きな人たちにとっては、付加価値をもった「ゆめぴりか」の登場ということになりますが、冷静な目をそなえた人には自家撞着的な付加価値のつけ方と映るかもしれないものもあります。将来の一番の競合相手であると考えられている山形の「つや姫」のトータルな商品戦略と比較すると、そのサブセットが遅ればせながらビジネスマインドの強い個々の生産者や流通業者の個別商品戦術・販売戦術として実現されつつある様子です。
当初の、つまり「ゆめぴりか」を北海道の戦略米として市場展開を企図した時の「ゆめぴりか」の味の品質基準が「タンパク質の含有量比率が6.8%以下」でしたが、生産量の歩留りなどの問題があって、2010年産米では食味は変わらないという理由でその基準を緩和して生産量を確保しました。他の目的もあったかもしれませんが、「ゆめぴりか」農家の収入を確保するためというのがもっとも大きな動機だったのでしょう。
他の品種のブランド米では、たいていは有機栽培米や低農薬米(特別栽培米と呼ばれている)も一緒に提供されていますが、今まではそういう種類の「ゆめぴりか」はなかったと思います。しかし、やっと、この秋から特別栽培米(低農薬&低化学肥料の米)も一部の米穀店の店頭にならぶそうです。また、この秋から「タンパク質の含有量比率が6.8%以下」のものだけを特別に商品化する農協も出てきたようです。6.8%以下の「ゆめぴりか」を付加価値のついた「ゆめぴりか」と呼ぶのは最初の基準値を考えると自家撞着的ではあるのですが、そういう品質基準のものが常に選べるというのも「ゆめぴりか」の好きな消費者にとっては悪い話ではありません。
特別栽培の「ゆめぴりか」は、ときどきお世話になっている小口パック販売が得意な米穀店の棚に並んでいたので、先週末に2㎏袋(白米)を購入し、その日の晩ご飯でさっそく食べてみました。目的は今年の「ゆめぴりか」の味見と特別栽培の「ゆめぴりか」を生産している農家に対するごくわずかな応援。
この特別栽培の「ゆめぴりか」の生産地は深川の近所。上川・旭川・深川・滝川・新十津川・砂川・岩見沢と、北から少し西に進んで南へと向かう、水の地名が連続する地域が北海道のお米の主要な産地です。
さて、今回の「ゆめぴりか」の味についてです
『さっそく、「ゆめぴりか」』という1年ほど前のブログ記事で書いた感想 (「白くつややかに輝いており、粘りのあるお米です。・・・淡白すぎるというか、控えめというか。・・・米そのものの甘さや旨みを遠慮して押し隠しているような風情です。粘りがあって、味がない。」) と基本部分で変わったところはとくにはありませんが、去年のよりは食が進みます。
精米したての米粒は白く輝いていますが、去年のもの(慣行栽培米)よりは少し小ぶりです。その味に関して、1年前とは少し違った表現をすると、おかずをとても上手に引き立てるタイプのお米といえるかもしれません。存在を主張しないことによって、かえって存在感がそこに感じられるような性質のお米です。我が家では常食米にはしませんが、ときどきは楽しみたいと思います。
なお、こういう書き方をするとないものねだりになるのですが、当該「ゆめぴりか」のタンパク質含有量比率は商品パッケージ等には記載されていませんでした。
◇
「ゆめぴりか」と「つや姫」のビジネス戦略や味に関する関連記事は、「気になるお米、気になる競合(その1)」、「気になるお米、気になる競合(その2)」、「続『気になるお米、気になる競合』、あるいは『つや姫』」。
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コメント
こんにちは。
私は初めてこのお米を口にしましたが、粘りも甘みも充分で美味しいお米だと思いました。^^
投稿: うえ | 2011年10月19日 (水) 20時19分