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2011年11月14日 (月)

札幌の賢い主婦は、11月は漬物で忙しい

漬物のベテラン主婦の話を聞くのは面白い。札幌には札幌の、というか北海道の、漬物の特徴があります。暖かい地域で作る漬物は、必需品というよりも付加価値食品ですが、寒い地域の漬物は、あたりまえですが、野菜のない時期の野菜供給という役割を担います。

さて、その漬物ベテラン主婦の作る漬物は4種類だそうです。「10月の最後の週からしばらくは漬物で死にそうに忙しいが、やっておくとあとが助かる。」使う樽は、4斗(と)樽のみ。(【註】1斗は「いっと」と読み、約18リットル。石油缶の大きさです。1斗=10升なので1升瓶10本分ともいえます。だから4斗樽は相当に大きい。)

まず、タクアン。これは全国各地で作られている漬物で、我が家でも作ります。細い大根が向いていますが、ベテラン主婦は、時期と値段をにらみながら、一番小さなサイズをなじみの八百屋で大量に購入するそうです。野菜や果物のサイズは、3L・2L・L・M・Sなどと表示されますが、その区分でいうとSサイズ。2週間ほど干し、漬け込みます。生産量は4人家族で70本だそうです。

次は大根の粕味噌漬け。これは小さなサイズへのこだわりはないそうですが、大根を酒粕(さけかす)と味噌、それに砂糖を加えて漬け込みます。以前賞味させてもらいましたが、僕にはやや甘めだけれども、実に旨い。我が家ではこれはつくりません。

そして、キャベツの鰊(にしん)漬け、ないしは鱈(たら)漬け。キャベツは札幌大球(さっぽろだいきゅう)という巨大キャベツ(平均重量は12~13kgなので、頼りない女子では抱えきれないくらいの大きさと重さ)を使います。札幌大球は漬物用のキャベツとして開発されたそうです。あの大きさをまな板の上で毎日切り刻むのは無理なので、そうなのだろうと思います。投入素材は、札幌大玉、大根、にんじん、身欠きニシン(あるいは塩漬けのタラ)、麹(こうじ)、昆布、鷹の爪、しょうが、塩、砂糖だそうです。我が家ではこれも制作対象外。ただし、上手な主婦が漬けこんだものをいただいた場合は、ゆっくりと賞味します。市販のものを買ったりすることはない。

4番目は白菜漬け。白菜の漬物は、浅い漬物を作る家庭であればいわば定番ですが、このベテラン主婦の白菜漬けは、白菜と酒粕。4斗樽なので白菜は25個くらい使うのでしょうか。けっこうな量です。

我が家では、普段の漬物は、糠(ぬか)漬けです。大根とキュウリとナスが基本ですが、季節に応じて品目が入れ替わります。糠床はホーロー容器で収納場所は冷蔵庫。糠床を毎日かき混ぜるのは配偶者の仕事ですが、まれに僕がかき混ぜることもあって、そういう場合は指先が凍る感覚を味わうことができます。冬の定番は白菜の浅漬け。それから毎年ではないけれど、たくあん。6月から7月にかけては「らっきょう漬け」(これも一応漬物と考えて)を作ります。1か月ほど寝かしたあと食べ始めますが、生産量が少ないので、すぐに売り切れる。

晩秋に収穫したキャベツを、そこらあたりに降る雪を積み上げた雪の中で保存したのを「越冬キャベツ」や「雪中キャベツ」と呼んでおり、露地もの野菜のない冬や春の間は、そう表示された北海道産キャベツが野菜売り場に並べられています。積み上げた雪の中は、温度は0℃前後で安定しており、湿度もある。キャベツの保存には実に適切な環境です。「雪中キャベツ」の生産で有名なのが、旭川市の少し北にある和寒(わっさむ)という町。

途中で漬物がなくなった場合、このキャベツをもりもり食べれば、とりあえずの野菜不足は解消します。

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