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2011年11月18日 (金)

甘味のあるタイプの漬物

他の地域にもあるのかもしれませんが、北海道には「玄米漬け」という素朴な漬物があります。干した大根を、炊いた玄米、塩、砂糖、米麹(こうじ)、鷹の爪、昆布で漬け込んだもの。タクアンとの違いは、床のベースが「糠(ぬか)」ではなくて「玄米」だということです。「玄米」=「胚乳」+「胚芽」+「糠(ぬか)」という構造なので、糠(ぬか)を含んだコメの全体をベースに使うのか、白米のために除去された特定の部分を使うのかという方法の違いです。玄米漬けには砂糖が入っているので、玄米のほんのりとした甘さもあって、少し甘い。もっとも北海道では甘いものが好まれるので(たとえば、納豆に砂糖醤油をかけて食べる)、タクアンを付け込むときに少量の砂糖を入れる家庭もあるようですが、ここでは、それはさておきます。

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最近はたまたま漬物のことを考える機会が多いので、ついでに、ついでになぜ甘い種類の漬物があるのか、その役割はなにかについても考えてみます。こういうことは、漬物のことをよくわかった人にはすでにあたりまえなのかもしれませんが、こうやって考えているとけっこう楽しいので、これが屋上屋を架すという作業であるだろうことは気にしません。

甘みを出そうと思えば、甘みの程度というか甘みの定義にもよりますが、ほんのりと甘い、かすかに甘いといったものも含めて甘いとすると、甘みを出す材料は砂糖だけではありません。砂糖にも素材や作り方の違いで、グラニュー糖のように精製されて甘いだけの甘さのものや、和三盆のように甘さ以外の要素を含んだ控えめな甘さのものなどありますが、砂糖以外の素材だと、酒粕(さけかす)や味醂(みりん)も甘みのある漬物を作り出します。

甘みのある漬物というと、すぐに思いつくのは、奈良漬、守口漬け、べったら漬けなど。奈良の奈良漬は酒粕の甘み、名古屋の守口漬けは酒粕と味醂の甘み、べったら漬けは東京ですが、これは砂糖と米と米麹(こうじ)の甘み。この線上に北海道の玄米漬けも位置づけられます。主原料で区分すると「瓜(うり)の、奈良漬」に対して「大根の、守口漬け・べったら漬け・玄米漬け」。もっとも、守口漬けの守口大根は個性が際立った大根なので、他の大根と一緒にされるのを嫌がるかもしれません。

塩辛い漬物だけだと、そしてそれが比較的長い冬の間毎日続くと、たいていは嫌になり、気分が滅入ってくるので、気晴らしというか箸休めに、甘みのある漬物が用意されたのかもしれません。だから「札幌の漬物ベテラン主婦」(「札幌の賢い主婦は、11月は漬物で忙しい」)の漬物は、塩辛い、少し甘い、さっぱり味などが交互に楽しめる「タクアン(大根の糠漬け)、大根の粕味噌漬け、キャベツのニシン(あるいはタラ)漬け、白菜漬け」という組み合わせなのでしょう。そこに甘めの漬物である「玄米漬け」を加えると実にバラエティーのある品揃えとなります

お茶にはお茶うけですが、お茶うけには菓子以外に漬物があり、この場合の漬物とは甘くないもの(たとえば、野沢菜漬け)も含んで漬物ですが、甘いものを広く菓子とすれば、甘さのある漬物も茶菓子ということになります。たとえば冬の茶菓子の定番のひとつである干し柿などは、北海道では見かけませんが、生産量の違いを別にすれば、東北から甲信越、近畿、中国・四国、九州までほぼ全国各地で作られており各地で楽しまれています(生産量も多くて有名なのが、福島の「あんぽ柿」と長野の「市田柿」)。だから、甘みのある漬物を茶菓子として食べることに不思議はない。

では、日常のお茶うけとして漬物を供する地域が日本の中でどういう具合に分布しているのか。そういうことをきちんと調べる時間がないので記憶の断片をつなぎ合わせると、寒い地方、山の地方ではそういう傾向が強く、暖かい地方、海の地方ではそういう習慣はないといえそうです。しかし、寒い場所であるところの札幌に住む僕の好みは、お茶うけに漬物ではなく、日本酒に守口漬け、です。

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