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2011年12月12日 (月)

「主要各国のCO2排出量」と「世界の気温の変化」と「環境税」

「政府税制調査会6日の会合で、2012年年度から地球温暖化対策税(環境税)を導入する方針を固めた。原油や石炭などにかかる石油石炭税の税率を1.5倍に引き上げる。」(日本経済新聞 2011年12月7日)という新聞記事がありました。この方針をサポートするのは、たとえば、「現在進行している地球温暖化の大部分が、われわれの産業活動・経済活動によって排出される炭酸ガスの温室効果による」としたIPCCの見解と、その見解にもとづいて(あるいは、その見解を援用して)作られた国際的な取り決めなのでしょう。

さて、以下は気象庁のホームケージからお借りしたもので、1890年から2010年までの世界の年平均気温偏差をプロットした折れ線グラフです。年平均気温偏差とは、各年の平均気温と平年気温との差のことです。平年気温とは、ここでは、1981年から2010年までの30年間の平均値のことです。

縄文時代や弥生時代、奈良・平安時代・鎌倉初期は地球が温暖化した時期であり、その後、江戸時代の後半の入り口あたりで一番冷え込んで、そして、1850年くらいからは、以下のグラフで赤いトレンド線が引かれているように、世界の気温は上昇傾向にあるようです。

18902010_19802010

上のグラフは数値データでも提供されているので1980年から2010年までの30年間の年平均気温偏差部分を取り出して、少し違った描き方(たとえば、右斜め上に伸びているトレンド線などは描かない)をしてみると、次のようになります。

__19802010


赤い楕円で囲んだように、偏差(各年の平均気温と平年気温との差)はこの10年間はプラスで推移しています。つまり、程度の差はあれ、平年値よりは高い気温が続いていますが、棒グラフは横ばい状態のようです。そこで、各年の偏差の差を求めると(引き算)、もし今年が去年よりも暖かくなったのならその差はプラス、その差がゼロなら去年と同じ暖かさ、その差がマイナスなら去年よりも今年は寒くなったということになります。その様子をグラフにすると、以下のようです。

__20012010


つまり、この10年間の世界気温は、暖かくなっているというには無理がありそうです。しかし、寒くなっているともいえない。どっちつかずの横ばい状態です。

「セシウム汚染全国マップと風評被害」という記事の中で「風評というものは、事実でないことが事実であるかのような衣装をまとって風のように僕たちを取り囲むことなので、注意していないとその風に流されてしまいます。僕が知っている風評被害の原因のなかで一番大きいものが、『現在進行している地球温暖化の大部分が、われわれの産業活動・経済活動によって排出される炭酸ガスの温室効果による』としたIPCCの見解(事実でないことが事実であるかのような衣装をまとった見解)と、その見解にもとづいて作られた国際的な取り決めだろうと思います。だから、風評被害とは、そのことによって日本が実際にこうむっている経済的な被害をさします。」と書きましたが、OECDが世界主要各国(OECD各国と中国・インド・ロシア・ブラジル・インドネシア・南アフリカ)の経済活動・産業活動によるCO2排出量を発表しています。

最新データは、2011年1月13日に発表されたもので、2001年から2008年までの年ごとの数値が並んでいますが、以下で2008年のCO2排出量の多い国はどこかを眺めてみます。

2008co220


中国と米国のCO2排出量が圧倒的に多く、ロシア、インドと続きます。2001年から2008年にかけて排出量の伸びに貢献しているのは顕著にBRICS諸国です。

GDP は2010年では、

米国GDP  = 日本GDP * 2.67倍
中国GDP  = 日本GDP * 1.07倍
ドイツGDP  = 日本GDP * 0.60倍
インドGDP  = 日本GDP * 0.32倍
ロシアGDP = 日本GDP * 0.28倍

なので、日本の相対的なCO2排出量がいかに少ないかよくわかります。だから、COP17(第17回国連気象変動枠組条約締約国会議)で、日本が、京都議定書 (Kyoto Protocol) の延長に以下の理由で反対しているというのは実にマトモな話です。

・排出量の最も多い中国と2番目に多い米国に削減義務がない。

・削減義務を負う国が削減しても、削減量は、世界全体で排出されるCO2量の25%程度にすぎない。(これは、「地球温暖化の『大部分』は、産業活動などで排出されるCO2による」というタテマエの基づいた議論ですが、そのタテマエを、多くの国が信じているのか、あるいは信じているフリをしているのかわかりません。そうした方が自国に有利なら、そのタテマエを支持するでしょう。)

・日本は、「2008~2012年のCO2など温室効果ガスの平均排出量を、1990年に比べて、6%減らす」というのが京都議定書での約束です(先進国全体では、1990年に比べて5%削減)。だから、1990年までに燃料消費の効率化を図ってきた日本のような国が割を食い、それまでボーとしていた国が左団扇(ひだりうちわ)という状況でスタートしたのですが、日本は排出枠からはみ出した分を、東欧など余裕のある国から排出量取引で購入しており、その支払金額が、第一約束期間(2008~2012年)に、官民合わせて、6000億円から8000億円。京都議定書が単純に延長されると、また出費がかさみ、中国と米国はいわば高みの見物なので、要は日本のお金が定期ボーナスのような形で、削減負荷の少ない国にばらまかれるといった状態が継続する。

ただし、これはこの記事の主題ではありません。

Co2


「現在進行している地球温暖化の『大部分』が、われわれの産業活動・経済活動によって排出される炭酸ガスの温室効果による」としたIPCCの見解が正しいなら、上記と似たような形の気温上昇の形にはなっても以下のような気温の推移にはならない。この120~130年くらいの地球温暖化の『大部分』は、縄文時代や弥生時代、奈良・平安時代が温暖化したと同じような原因から起こり、産業活動や経済活動によるCO2排出量とはほとんど関係がないのなら(あるいは、関係があってもごく薄いものなら)、以下のような凸凹グラフは自然の気まぐれで当然だという気がします。

__20012010_2

この150年くらいは地球が温暖化しているという観察事実(過去10年くらいは、どうもそうではないみたいですが)と、産業活動・経済活動によるCO2の排出量とを無理やり相関させるという不可解な風潮も、温暖化対策税といった形で、ともかく税収を増やしたい人たちにとっては便利な道具なのでしょう。

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