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2012年1月

2012年1月31日 (火)

別の風味をもった米粉パン

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業務用の米粉なので、消費者向けの商品名はありません。北海道産米100%の米粉で、非常に細かく、デンプンの損傷が少ない、だから、パンや洋菓子への加工適性が非常に高いとされている米粉です。少し前に、さるところからそれを少量いただきました。この米粉は、信じられないくらいに柔らかい。糸を引きそうなくらいの柔らかさを持っており、触るとふわふわです。

ホームベーカリーで焼いてみました。この米粉に小麦グルテンを70%対30%の割合でミックスしたものです。砂糖はまったく使いません。

焼き上がりの形は美しい。砂糖を入れていないので色白な仕上がりです。ふわふわ・もちもちとした米粉パン特有の食感が際立っています。しかし、残念ながら、小麦粉パンの風味というか、小麦粉パンの香ばしさはこのパンからは漂い出ない。これが米粉パンのパンとしての限界かとも思いますが、別の見方もあるのかもしれません。

かつてある日本の文芸評論家が、知り合いの英国人に日本のウイスキーはどうかな、と尋ね、意見を求められた英国人(イングランド出身の方かスコットランド出身の方は忘れました)が、日本のウイスキーにはキックがないと答え、それに対して文章もキックのないのはダメなんだと応じたと、その評論家がエッセイか何かに書いてあったのを記憶しています。

そのエッセイは、その後、日本文化におけるキックのあり方という方向で展開していったと思いますが、スコッチと日本のウイスキーの違いとは、キックの有無の違いではなく、キックの質の違いかもしれません。その英国人にとってはキックの不在。しかし、日本人の僕には、スコッチのキックだけではカバーできないおいしさが日本のウイスキーには感じられる。

米粉パンに戻ります。米粉パンの良さは、米との相性が良い種類のかすかな味付けにあるような気がしています。バゲットの方向ではなく、どちらかといえばクロワッサンの方向。小麦粉パンのキックではなく、それとは異質なマイルドなキック。

ピザ風味の米粉パンを得意とする街のパン屋さんがあり、僕の知り合いはそのパンが大好きなのですが、僕もそれを食べてみて、思った以上のおいしさに驚きました。あんパンのような菓子パンではなく、主食としての品格と役割を壊さないような感じの味のついたパン。そういうタイプの米粉パンだと、値段との兼ね合いに気をつかいますが、もっと多くの消費者と仲良くなれるかもしれません。たとえば、小さく刻んだドライトマトを練り込んだ米粉パン。

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2012年1月30日 (月)

雪の下ダイコン

配偶者が珍しいものがあったので買ってきたというので、何かと思ったら普通の青首ダイコン。それは袋に入っていて、表には「雪の下大根」と書いてある。売り場では「お待たせしました、雪の下大根の登場です。」というような手書きのポップが置かれていたそうです。

僕は、雪の下ダイコンは初めてで、実際には見かけたのかもしれないが、カット・ダイコンを別にすれば、ダイコンは緑の葉のいっぱいついた裸の丸ものという先入主があるので、見落としていた可能性が高い。北海道フードマイスターとしては少し恥ずかしい。

雪中キャベツは冬の北海道では野菜売り場の常連ですが(「12月下旬のキャベツ」)、北海道の雪の下ダイコンも、神奈川産のダイコンのとなりに並んでいます。そのダイコンが入った袋の商品説明は「雪の下で貯蔵することにより、旨味・甘みが増した大根です」。

北海道の大根生産地は、北海道の東部と南部。雪の下ダイコンの主な生産地は南部で、たとえば函館。

雪中キャベツと雪の下ダイコン、それに越冬ジャガイモがあれば、真冬でも最低限の生野菜は摂取できる。掘り出し作業は寒くて大変だが、12月から3月まで需要に応じて出荷。雪という自然の冷蔵庫を利用する生活の知恵が、上手にマーケティング展開された例です。

北海道に限らず、たとえば新潟のような農業の盛んな雪国では雪の下に大根を保存し、掘り出したダイコンを自家消費するだけでなく、きれいに洗って近所の直売所で販売しているようです。

Photo

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2012年1月27日 (金)

ある農産物通販会社の商品取り扱い基準

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ここでいう商品取り扱い基準とは、放射性物質による食材被曝という観点からの取り扱い基準です。

この記事で言及する通販会社は、契約農家の生産する有機野菜や有機食材・有機食品などの通信販売を軸にビジネスを運営してきたのですが、僕が調べた範囲では、農産物の通販という業界では、非常に明確に、そしてわかり易く「食材と放射性物質被曝」に関する考え方を表明し、またそれを実行している会社や事業者のひとつだと思われます。

お米をネット通販で購入する消費者が増加中」でも書きましたが、小さなお子さんのいらっしゃる家庭や、食材の安全性についてもともと関心の高い消費者は、情報がていねいに公開された農産物やその他の食材を注意深く選択し続けているようです。情報公開とその情報にもとづいた商品取り扱い基準の徹底が、その通販会社や消費者直販事業者の差別化(差異化)マーケティングにつながっています。

以下は、この通販会社のホームページから、関連する部分を、もとの文脈をゆがめないように選択・引用したものです。説明の都合上、引用の順番もホームページ上の記載と少し違いますが、その会社の考え方と運用姿勢がよくわかります。自身の基準で農産物や食品を選び、購入するかどうかは公開情報にもとづいた消費者の判断にゆだねるという考え方と姿勢です。

この会社を宣伝することや評することが目的ではないので、会社の名前は伏せ、その部分は当該通販会社とかこの通販会社という表現に直してあります。

〈引用の開始〉

【当該通販会社の被曝対策の基本】

継続的に独自放射性物質検査分析を含む情報収集と、的確な情報公開を行ない、ご利用い ただいている方々の主体的な判断・選択の指標を提供します。

【当該通販会社の飲料・食料関連の商品取扱い基準・被曝対策編 について】

被曝を可能な限り少なくすることを基本に、国の2011年「暫定規制値」及び2012年4月運用予定「放射性セシウムの新基準」について検討をし、下記のように、独自取扱い基準を設定しました。

Pod

【当該通販会社の商品取扱い基準の骨子】

・年間被曝量を1mSv以下にすることを基本にします。
・国の2011年暫定規制値の算定根拠は年間被曝5mSvですから、1mSvは5分の1です。
・被曝の要因を、外部被曝1/4、内部被曝3/4 (呼吸1/4、飲料1/4、食料1/4 ) と考え、「食品群」に振り分けます。飲料1/4は実際には採用しません、以下のとおりです。
・食品群「一般食品」の(当該通販会社)基準値=2011年暫定規制値× 1/5 × 1/4
・「一般食品」は、500 × 1/5 × 1/4 = 25 Bq/kg
・「牛乳」は、200 × 1/5 × 1/4 × (乳幼児に配慮して、更に) 1/2 = 5 Bq/kg
・「飲料水」はゼロ。委託検査機関の核種別精密検査の検出限界値:1Bq/kg
・「乳児用食品」はゼロ。委託検査機関の核種別精密検査の検出限界値:1Bq/kg
・「一般食品」の内、主食の米や食する機会の多い食品は、より被曝の影響を受けやすい子 ども、とりわけ乳幼児、妊娠・授乳中の女性、被曝の危険性が高い地域の利用者に配慮が必要です。

〈引用の終わり〉

この通販会社では、対象農産物の検出限界値や定量下限が自社の基準値未満なら、生産地域にかかわらずその農産物を販売しています。だから、その農産物の生産地に納得のいかない消費者や、一般食品のなかにたとえば22Bq/kgのものがあり、22Bq/kgは25Bq/kg未満だがその値は高すぎると判断する消費者はそれを買わなければいい。検査に費用はかかるが、データが公開されていたら、消費者はそういう判断と選択ができるし、その場合、生産者も納得するでしょう。

なお、検出限界値とは測定機器の検出最低量(たとえば、0.7Bq/Kgや0.3Bq/kg)、定量下限とは当該測定機器の測定値として信頼性のある最低量(たとえば、0.7Bq/kgに対して 1.0Bq/kg、0.3Bq/kgに対して0.5Bq/kg)のことです。

ただ、いくぶん気になることもあり、それは、「一般食品の基準値を25Bq/kgとする」とい うことの背景が2011年の暫定規制値と計算式を使って説明されてはいるのですが、けっこう唐突で、つまり、個別の食材の話をしているのか(個々に25Bq/kgを超える食材・食品は取り扱わない)、個別の一般食品の集合体であるところの食事内容全体の話をしているのかよくわからない。こういう場合は、僕は、水(飲料水)との対比でその妥当性を考えることにしています。

水(飲料水)の基準が安定していて、いちばんわかりやすい。この基準とは2011年3月17日以前の基準、あるいは2012年の新基準案、もとをただせばWHOのガイドラインです(2004年)。

自然発生による放射線被曝量を別にすれば、一般人の年間被曝限界量(外部被曝量+内部被曝量)は1mSvですが、水(飲料水)の関係者は、水(飲料水)による影響をその10分の1(年間に0.1mSv)以下に抑えようとしています。

・人は1日あたり2リットル、つまり年間に760リットルの水を飲む
・0.1mSvが水(飲料水)に許された年間の放射性物質の基準値
・これを、年間に760リットル飲む水の、1リットル(なお、1リットルは1kg)あたりに許される放射性ヨウ素や放射性セシウムという切り口で計算すると、その基準値はそれぞれ、10Bq/リットル。基準値ギリギリの場合、2リットル(1日分)だと20Bq

だから、大ざっぱですが、水以外の食べ物(たとえば、コメやパンやうどん、大根・小松菜・ニンジン・シイタケ、牛肉・豚肉、鶏卵、サンマ・アジ・鮭・牡蠣、リンゴ・柿、牛乳、お茶など)の放射性ヨウ素や放射性セシウムのそれぞれの測定値が10Bq/kg未満なら、それぞれをどれくらいたくさん食べるかといったことを気にしなくても、大食いコンテストに出場するような大食感でない限り、普通に食べていて非常に安心だということになります。

しかし、それだと大ざっぱに過ぎるというのであれば、胃袋に入る個別の食材の分量は気にせずに、1日に全部で2.0kg~2.5㎏(2,000g~2,500g)の水以外の食べもの・飲みもの(朝・昼・夜の食事、ペットボトルのお茶などの飲みもの、小腹がすいた時のお菓子など)を飲食すると考えると(ちなみに、丼ご飯のお米がだいたい150g)、水と同程度の安全さを持つ基準値は20Bq/2.0kg~25Bq/2.5㎏。その会社の販売する食材・食品が、全部が全部そのレベルで汚染されているとは考えにくいので、個別の食材や食品の基準値が25Bq/kgというもの(つまり、被曝の程度がそれ以下なら販売する)でも、まあ大丈夫かなと、ざっくりと理解できます。

25Bq/kgに近い値を持つ食材が目立つようであれば、その情報はすべて公開されているので、上述したように、消費者は、この会社経由で流通している食材と距離をおけばよい。

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2012年1月26日 (木)

野菜や果実の天日干しが人気らしい

食材売り場でよく見かける市販の天日干し野菜は、「干しシイタケ」「切り干し大根」などで、棚を少し移動すれば、「ドライトマト」に出会えます。干した対象を少し広げると、昆布やワカメも干した食材です。干すと旨味が増すし干すと長く保存できるので、干したものは重宝な食材です。

我が家も、野菜を干すのが好きで、いちばん大がかりな干し物は梅干しですが、夏にはミニトマト、それから、原木栽培のシイタケ。原木の旬の時期は札幌でもまだカラッとした太陽がふんだんにあるのでそれを利用します。それなりに大きな3段ネットのベージュの干しかごとそれを吊り下げる専用台を2つずつ持っており、梅干しの時には総動員。専用台といっても花などをぶら下げる安定感のある園芸用品を転用したものです。冬は室内でしか干せないので回数も種類も減りますが、出来るだけ窓から入ってくる太陽を使って、季節の干し野菜を作ります。

先日、本屋で、雑誌の付録であるところの「シリコン・スチーマー」を、衝動買いというか好奇心買いしたのですが(「続・雑誌のおまけの『シリコン・スチーマー』」)、その近くに、干し野菜・干し果実のつくり方と料理に関する雑誌が並んでおり、その雑誌のおまけは我が家で使っている干しネットをぐっと小型にしたようなもの。そういう雑誌が出るというのは、シリコン・スチーマーの場合も同じですが、雑誌社の判断では、一定数の消費者がすでに存在していて、人気が上昇しつつあるということです。

こういうことをきっかけに料理好きの主婦や若い女性が増えるということは、とくに子供のいる主婦の場合には、子供にとっていいことです。

関連記事は「天日干しの食材」と「子供の頃の味のトレーニング」。

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2012年1月25日 (水)

3分搗き(つき)のパン、あるいはミクロな米パン需要

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主原料に白米(我々が普段炊いて食べているお米)を使ったパンが米パン、主原料が玄米のパンを玄米パンと呼ばれていますが、なら3分搗き(つき)のお米で作ったパンを3分搗きパンと呼んでもおかしくない。昨日の記事(「米粉用のお米は安く、パン用の米粉は高いという不思議」)の補足です。

ご飯用の米粒を使ってパンを焼くホームベーカリーで、パンらしいふくらみを持たそうとすると、(白)米パンといっても、小麦グルテンが必要なので、白米に対してその22~23%くらいは小麦グルテンを混ぜます。玄米パンの場合も、玄米だけでは無理なので、主原料は玄米と白米の組み合わせで、そこに小麦グルテンを投入します。

我が家のご飯は3分搗き(玄米をわずかに精米したもの、自宅で精米、余った糠は糠漬けに使う)なので、これをそのまま使ってパンが焼けると基本材料がご飯とパンで同じなので便利なのですが、米粒パン用ホームベーカリーの玄米パンコースを選べば、簡単に3分搗きパンが焼きあがります。仕上がり時間は白米パンよりも長い。最初の工程により多くの時間が必要なので、これは仕方ない。

風味や食味は、「(自家製)米粒パン」は「(自家製)米粉パン」に及びませんが、最近は女の子の日常語にもなったらしい用語のひとつを借用すれば、コストパフォーマンスは「米粒パン」の方が優れている。

僕は焼きあがったパンをパン庖丁で切る係で、自家製小麦粉パンを切る時には焼きあがった皮がバリバリと飛び散ってそのあたりが香ばしい匂いの皮だらけになってしまいますが、米パンの場合には皮はそれなりにパリッとしているとはいえ全体がほのかにもっちり、しっとりしているので、それがほとんどない。これは米と小麦粉の特性の違いで、バリバリの飛散が好きな方には、しっとりは切る感激がない。しかし、後片づけは、しっとりが断然に簡単。市販の小麦粉パンには、小麦粉でありながらしっとりやわらか(ないしはフニャフニャ)というのもありますが、それは我が家の興味の対象外です。

お米消費者の一員である我が家についてミクロな事例研究風にいえば、お米のご飯が好きな家庭ではあるのですが、パンもうどんも蕎麦も食べる。そして、パンということになると、米パンだけというのはどうも単調なので、米パンと小麦粉パン(ただし、小麦は北海道産)を交互に焼くことになると思います。米パン(米粉パン、米粒パン)に対して結構な消費意欲を持つ家庭でもこのあたりの需要量が最大限かもしれません。

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2012年1月24日 (火)

米粉用のお米は安く、パン用の米粉は高いという不思議

米粉用のお米の販売価格が低迷しているそうです。理由は、米粉を使った食品が売れないので、米粉が売れない。製粉会社の倉庫は米粉用のお米の在庫であふれている。製粉会社はこれ以上は米粉用米を買えない。米粉用米の供給が需要を上回っている。米粉用米の価格が下落し、そしてそのまま低迷中、ということのようです。

わかる範囲で米粉米や米粉に関する事実の確認をしてみます。

なお、米や米粉の値段に関しては、パッケージ係数(5㎏入りパッケージと2㎏入りパッケージの値段をくらべると、1㎏当たりの値段は5㎏入りの方が安いが、その相関係数)を考えずに単純比較します。また、ここでの数字は消費税は含みません。単位はすべて1㎏。

◇ つぶさに調べたわけではないが、ザッザッと見渡しても、デパートやスーパー(の中のパン屋)で米粉パンはあまり見かけない。以前テストマーケティング的に販売していたあるチェーン経営のパン屋からも、米粉パンが消えた。しかし、パンを小規模にあるいは特定地域でのみ製造・販売している街のパン屋では米粉パンが人気商品という場合はある(関連記事は「お米(コメ)のフランスパン」)。また、ある知り合いは、ピザ風味の米粉パンを近所のパン屋さんから、毎週、買っている。食べる機会があったが、なかなかにおいしいパンである。

◇ 家電量販店に家電製品の消耗部品を買いに行ったついでに、同じフロアーの店員にお米(粒)でパンを作るホームベーカリーの売れ行き状況を尋ねてみたら、「最初の機種を買えなかったお客様が改良機に殺到されたので、納品まで少しお待ちいただく状態だったのですが、お正月過ぎからやっと少し店頭在庫が持てるようになりました。今だと即納できますので、ご購入はお早めに。」という返事。米パンのファンからの引き合いは堅調のようである。

◇ 米粉用のお米の販売価格(お米の生産者から製粉業者への販売価格)
   ・政府が試算した販売価格:      80円/kg 
  ・2009年の実勢価格:          80円/kg
   ・2012年(2011年産米)の実勢価格: 20円/kg (低迷する販売価格)

◇ ちなみに、政府が製粉会社に売り渡す「輸入小麦」の価格(2011年10月~2012年3月)は、58円/kg。

◇ 米粉用のお米の生産量と収量について。2008年の生産量は566トン(作付面積は108ヘクタール)、2011年の生産量は40,311トン(作付面積は7,324ヘクタール)。3年間で大幅に増加。10アール当たりの平均収量は2008年が524㎏、2011年が550㎏。政府の米粉用米の10アール当たり試算収量は530㎏。なお、普通の食用米の10アール当たりの平均収量は530㎏なので、今は、米粉米が多収というわけではない。

◇ 米粉パン向きの米粉で、現在、消費者にいちばん人気のあるものの小売価格は、667円/kg(小麦グルテンなどを含まない米粉だけの小売価格が900g袋が2個で1,200円、つまり1.8㎏で1,200円なので667円/kg)。なお、小麦グルテンをミックスしたものは、722円/kg。

◇ 米粉用のお米と米粉の流通経路は、以下のようになる。この中で、たとえばストレートな米粉の場合だと、価格は、お米の80円(ないし20円)がパン用米粉の667円へとその経路の中で付加価値をつけながら上昇していく。

(1)米粉用のお米の生産者(農家)
         ▼
(2)米粉製粉会社(米は硬いので、製粉技術は小麦よりも難しい)
         ▼
(3)大規模なパン屋、小規模なパン屋、あるいは、米粉を米粉パンやお菓子用の米粉として付加価値をつけた形(小麦グルテンや食用油脂などをミックス)で消費者に製造販売する食品会社
          ▼
(4)上記(3)に応じた小売り流通チャネル
          ▼
(5)米粉パンの消費者、あるいは(ストレートな、ないしは付加価値付きの)米粉を買ってパンを焼く消費者

以上から見えてくるのは、「米粉(こめこ)パンと米粒(こめつぶ)パン」でも述べたように、米パン(米粉パンと米粒パン)が、ニッチ市場は確立したけれども、それ以降の展開が描けなくてうずくまっている様子です。

日本のパン好き、とくに自宅でパンを焼くのが好きな人は、小麦粉パン一辺倒という方向の方もいますが、小麦粉パンと米パンの両方の良さを楽しむのがおそらく好きなので、だから、朝ごはんに両方を週替わりで食べるとなると、材料コストと材料の種類を考え、「小麦粉」パンと「米粒」パンの組み合わせに落ち着くのでしょう。そこからは「米粉」パンがはみ出ています。風味の良さがあるとはいえ、米パンのために高価な「米粉」をさらに用意するのは家計の負担になります。

米粒(および最近は冷ご飯)を使ってパンを作るホームベーカリーの最初の1年間の売上台数が当該メーカーの発表によれば16万台なので、その勢いが少し衰えながら継続するとして、3年間で40万台。3年ごとに買い替え需要が発生し40万世帯が安定して米のパンを食べ続けると考えると、平均家族数はだいたい3人なので自宅で焼いた米パンを楽しむのは120万人。家計数でも人口でも日本全体の1パーセント弱ですが、この人たちが米パンの消費基盤人口となります。

パンはパン屋で買うものというタイプの消費者にとっては、ニッチな商品領域(この中には、小麦アレルギーで小麦粉パンを食べられない子供向きの米粉パンなども含まれる)を別にすれば、選択基準は、値段と味。この層が、「消費基盤人口」の上に重なって需要者層を形成します。小麦粉パンに匹敵するお手軽価格と納得のいく味の両方がそろった米粉パンが見あたらないので、最初のもの珍しさ需要が一巡したあと、また小麦パンに復帰したというのが、この消費者層の現在の状況なのでしょう。逆に、値段と味が納得のいくものなら、米粉パンはニッチ商品で終わることはない。

ウイスキーにもスコティッシュウイスキー(スコッチ)やアイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー(バーボン)やジャパニーズウイスキーがあり、またシングルモルト、ピュアモルト、ブレンディドとそれぞれの個性を発揮しているように、米粉を使った日本風味のしっとりパンというのも悪くありません。パンの世界もフランスのパン、イギリスのパン、ドイツのパン、インドやパキスタンのパン(チャパティやナン)と多様です。

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2012年1月23日 (月)

地下食品売り場のレジ担当者の作業品質と、その百貨店の売上状況

スーパーは安さが売りなのでレジの担当者は一人です。買い物のカゴのお買い上げ商品の売上処理をする人(たいていは女性)がいるだけで、商品をこちらの買い物カゴからあちらの買い物カゴへ移しながら、POS端末に情報を入力していきます。カードや現金での支払処理が終れば、袋詰めはお客の仕事。

デパートは、設定価格が人的サービスを含んでいてスーパーよりは高いので、レジの担当者は二人。前にいてお勘定をする人をチェッカーとかキャッシャーといい、後ろで袋詰めをする人をサッカーとかバッガーといいます。サックもバッグも袋という意味なので、ともに袋に詰める人ということです。お金の計算をする人と袋にお買い上げ商品を詰める人の分業体制です。(リュックサックやナップザックというドイツの言葉が僕たちにはおなじみですが、ザックやサックはSackで袋の意。)

米国のスーパーマーケットではレジで係の女性が(もちろん、女性とは限りませんが) ”Paper or plastic?” と尋ねてくれます。紙袋に詰めるか、ペラペラのビニール袋に詰めるかという意味ですが、日本のスーパーではそういう楽しみはありません。もっとも、そのビニール袋は日本のポリエチレン製レジ袋のような耐久性と機能性に優れたものではなく、いつ破れるかもしれないという危うさ満点の袋です。

全国版経済新聞の北海道経済欄に定期的に北海道(札幌、旭川、函館、帯広)のデパート(百貨店)の売上状況が掲載されます。先日の記事では2011年(通年)の各百貨店の売上高が分析されていました。

売上高が前の年よりも増えるか減るかは、顧客の財布の状況や商品構成、立地条件に依存しますが、そういうマクロとミクロと固定要素と変動要素が一緒になった全般的な捉え方では原因がよくわからない。原因を、各デパートが設定している顧客層に対する品揃えの良さ・悪さに集約して判断した方が効果的とは思いますが、それはこの記事での主題ではありません。

僕は、それとは別の個人的な比較基準・判断基準を持っていて、この基準はスーパーマーケットには向いていませんが、デパート(百貨店)には向いていると思います。(僕は、北海道のデパートでの実際の買い物という意味では、実際の買い物といってもたいていは配偶者の荷物持ちですが、札幌しか知らないので、ここでの議論は札幌に限定します。札幌には経営母体の違いによって3つの百貨店がありますが、この記事の趣旨からは4つと数えることもできます。)

個人的な判断基準とは、地下食品・食材売り場のレジ係(2人の担当者)のレベルというか彼女らの作業品質です。総売上高の前年比がプラス(あるいは軒並みに具合が悪いときには、落ち込み度合いが最も少ない)であるところのデパートの食材売り場の、そのレジ係の品質は高い。マイナスに沈んだ(あるいは落ち込み度合いが他よりも相対的に大きい)デパートのレジ係品質は低いといえます。これは数年前から継続的に観察していることですが、地下食品・食材売り場のレジ係のレベルと、その百貨店全体の売上状況(売上とは衣類や化粧品や食品などを含んだ全部の売上のことで、また売上金額の大きさではなくて、売上高の前年比ないし前年同期比伸び率)は不思議なくらい相関している。

地下食品売り場のレジ係のレベルを、僕は、接客態度、および袋詰め(パッケージング)の作業品質(パッケージングのうまさやスピード)で判断しています。袋詰めの作業品質の差がいちばん現われるのは、例えば次のような食材が買い物かごいっぱいに入っていて、それを「紙袋」に詰めてほしいとお願いしたような場合。(各レジ台に女性を2人配置しながら袋詰めは客の作業と考えている百貨店もあり、この場合は正確な比較はできませんが、観察できた作業内容から工程全体を類推します。)

◇ ダイコン(カットしてない丸ごと)、ゴボウ、白ネギ、小松菜、インゲン、カリフラワー、にんにく、わさび、ケースに入った複数個のトマト、3~4個セットの柿、パック入りの卵、3枚におろしてもらったアジ、5枚におろしてもらったヒラメ、袋詰めのジャコなど

上手なレジ係は、2人で連携が取れていて、全体の量と重量配分、かさばるものとそうでないもの、傷つきやすいものとそうでないもの、袋の下部に入れても大丈夫なものと袋の上部に持ってくるもの、必要な紙袋の大きさと数量などを判断・計算しながら(「袋が2つになってもよろしいですか?」)、POS入力前の買い物カゴの食材を、POS入力後は袋詰めの順番を考えながら別のカゴに移し換えしています。あとはシミュレーション通りに詰めるだけ。紙袋内側にいれたレジ袋で内容物を軽くキュッとやり、重量に応じて二重にした紙袋の持ち手を客が持ちやすい形に整えて、「重いので、お気を付けください」。見ていて気持ちのいい作業の流れです。

上手でないところは、つまり、その逆。「あとで我々が詰め直すから、そのままどんどん詰めて」といいたくなるような場面や、サイズのバラバラな食材に困り果てて「これどうしましょう?」と客に聞く場面、詰めてしまえばおしまいさ、と考えているに違いないと想像される場面などがあり、結構、楽しめます。レジ係の平均年齢は、以前は関係していると思っていたのですが、どうも相関は低そうです。

地下食品売り場のレジ係は、流通の華やかさの代表が商品の品揃えを企画する部門だとすれば、その華やかさからは相当に離れた部署です。だから、当該企業の基礎インフラの強さの違いが出やすいともいえる。作業品質のいいレジ係は、本人が自覚する以上のマーケティング効果(体験を媒介としたリピーター創出効果)をお客に与えています。

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2012年1月20日 (金)

子供の頃の味のトレーニング

かつて、子供に漢籍を素読させる習慣がありました。そういう鍛え方をされた人が書いた文章は、今は文庫本や古本、全集などでしか出会えませんが、余人にはまねのできないような格調を漂わせています。

テレビ番組を録画するということは僕にとってはごくまれな行為ですが、学校給食を担当する60歳をいくつか過ぎた管理栄養士のドキュメンタリー番組をその放送時に見る都合がつかなかったので録画しておきました。新聞での番組案内にその女性の「信念は、子供にこびず、本物のおいしさを教えること。子供たちに、将来にわたっても通用するようなおいしさの基本的な感覚を伝えようと努めてきた」とあったからです。

実際に番組を拝見してみると、子供(小学生など)に、できるだけ多くの種類の食材の持つ味を教えること、すでに添加物などの影響で変わりつつある子供の舌を食材・素材ほんらいの味で鍛えること、というその女性の料理と給食に関する方向軸が明確でした。この女性は、必ずしも子供向きでない素材を子供が嫌がらないように調理する術に長けていますし、食材の原価計算や調理の工程管理も得意。また、食材の産地チェックにも抜かりがない。

子供のころに嫌いなもの・苦手なものも大きくなると食べられるようになるという人間の年齢にかかわる生理的な欲求や味覚の変化という要素も当然あります。たとえば、苦くて不味いと思っていたビールが突然すっと喉を通る、セロリの苦みと食感がたまらなくなる、未熟な果実である緑のピーマンの苦みがおいしさに変わる。

しかし、何にでも市販のマヨネーズをかけ、養殖マグロのトロと甘い玉子焼きを回転寿司で食べ続けた子供が、ある日、白身魚と酢の物の微妙を味わえるようになるとは考えにくい。そういう意味で、子供の舌を意識的にさまざまな食材の自然な味で鍛えるというのは、かつての漢文の素読みたいなものかもしれません。

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2012年1月19日 (木)

野菜と果物と魚と「つゆの素」

当節の人気野菜のキーワードは「あまくておいしい」「調理が簡単で食べやすい」ですが(「野菜と消費者の好みの変化と生産者」)、この傾向が野菜だけにとどまるということは普通はないので、だから果物も「食べやすい」「甘い」ものが好まれています。

皮を剥くのは億劫だ、種を取り出すのも面倒だ、ということになると、種がなくて皮ごと食べられるものに人気は収斂していきますが、その代表がブドウの「シャインマスカット」。「皮ごと食べられる高級白ブドウ」といった宣伝文句で販売されています。しかし、ミカンやリンゴ、梨、柿などの人気も種類によっては高いようなので、皮を剥く作業に関してはとりあえず妥協して、あとは甘くて種がない(あるいは、ほとんどない)ものが求められる。だから、ミカンだとオレンジ色の「せとか」に人気が出るのでしょう。もっとも、皮を剥くのが簡単で種のない甘い果物であるところのバナナの人気の度合いは、中位くらい。「食べやすい」「甘い」以外のパラメーター、たとえば、果物なのでちょっとした高級感がある方がいい、の影響を受けているのかもしれません。このあたりの事情は、よくわからない。

魚も同じで、肉の料理にくらべて魚の料理は準備も後片づけも面倒くさいので、家庭料理としては魚を食べなくなっているようですが、回転寿司の人気をみると、日本人が魚嫌いになったわけではない。「あまくておいしい」「調理が簡単で食べやすい」というキーワードの延長線上にあるのは、回転寿司の「まぐろ」。魚の嫌いなはずの子供が大好きな一品です。

少し古いデータですが、家庭で魚を食べない理由の調査があります(水産白書、平成18年)。やや私見をまじえてグラフの内容を要約すると、「子供と配偶者が魚が嫌いなので主婦の私は魚の料理は作らない、調理も大変だし、焼くとにおうし、骨はあるし、後片づけもうんざりするので、魚には手を出さない。でも家族で回転寿司に行くのは、大好き。片づけなくていいし、お寿司の魚に骨はない。」

スーパーなどでも味付きというか、そのまま台所でグリルするところまで準備されたサンマなどを、旬の時期にはよく見かけました。「そが上に青き蜜柑(みかん)の酸(す)をしたたらせてさんまを食ふ」そういうサンマではなくて、洋風ソテーの対象としてのサンマ。ただし、それをやり過ぎると、「肉より割高だから」と、さらに敬遠されるかもしれません。

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野菜などの食材の「あまくておいしい」「調理が簡単で食べやすい」は、食べること全般に波及してもおかしくない傾向です。そう思いながら、「シリコン・スチーマー」がおまけになっているところの「ムック誌」をパラパラやっていると(「続・雑誌のおまけの『シリコン・スチーマー』」)、その裏表紙に、「調理が簡単で食べやすい」を地で行く複合調味料の宣伝がありました。当然ですが、この雑誌の性格とぴたりと合っています。

一般小売チャネルの消費者を意識した、わりに良心的なつくりの複合調味料のようで、そのコピーを引用すると「国内産のかつお節と昆布のだしがたっぷり! さらに保存料・着色料無添加。□□□□の『つゆの素』は、和洋中華をはじめ、毎日のお料理に使える万能調味料です」とあり、その応用例に、春菊のおひたし、炊き込みご飯、和風マカロニグラタン、筑前煮の写真が並んでいます。素麺(そうめん)のつゆには当然これを使うのでしょうが、出汁(だし)の重要さは分かっているが毎日の出汁引きに時間をかけたくない人、子供のお弁当作りで忙しい人、それから出汁を引くとは出来合いの液体をドボンと注ぐことという信条の持ち主にも便利だと思われます。

大げさにいうと、食事を作る費用のけっこうな部分が出汁(だし)を引くことにかかわる費用だといえなくもないので、「つゆの素」は調理を簡単にするだけでなく、家計のコスト削減にも貢献しているのかもしれません。

もっともそうなると、たとえば、絞って粗濾し(あらごし)したスダチ汁、醤油、煮切り味醂(みりん)、米酢、そして、かつお節と昆布(利尻昆布)を1か月くらいガラス瓶に詰めて寝かしておき、そのあと昆布を取り除きかつお節を濾(こ)して、また瓶に詰めると出来上がるところの「自家製ポン酢」は楽しめない。また、ポン酢の完成時に、ガラス瓶から取り出した昆布を細く刻むと、買いたくても買えない種類の貴重な酒の肴になるのですが、これも楽しめない。

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2012年1月18日 (水)

続・雑誌のおまけの「シリコン・スチーマー」

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簡単にできることはやってみた方が面白いので、「シリコン・スチーマー」がおまけについた料理雑誌(ムック誌と呼ばれている種類のもの)を所用のついでに購入。1,680円。雑誌によっておまけのスチーマーの色と形が違うのですが、今後ときどき使うと考えた場合に一番役に立ちそうなものを選びました。選んだのは、内径が19㎝から20㎝の丸鍋。色は黄色。応用範囲が広そうです。くしゃっと押しつぶすように折りたためて場所をとらない。

野菜不足の20歳台の独身の女性あるいは男性が、朝のバタバタと忙しいときに、シリコンスチーマーと電子レンジで、短時間に簡単な朝ごはんを作れるかを、独身時代を思い出しながら、自分で試してみました。だから、材料は適当にそのあたりにあるもの。ブロッコリー、そして少し硬くなりはじめた米パンの残り。あとはティーパックの紅茶。

ブロッコリーは、適当な量を食べやすい大きさにいい加減にカットし、それをシリコン・スチーマーに並べ、塩を振りかけ、少量の水を入れ、蓋をして電子レンジで4分ほど加熱。すると、ブロッコリーの蒸し煮が出来上がります。ブロッコリーを大きめの深皿に移し、僕はポン酢をかけましたが、そういうのが冷蔵庫にない場合は、マヨネーズなどを。スチーマーをお皿替わりにすることもできますが、フォークで容器を傷つけるとまずいので、あまりお勧めではない。

スチーマーを軽く洗って湿気をとり(スチーマーを2個持っている場合は、この工程は不要)、米パンをそのまま入れて、2分間。すると熱々(あつあつ)の蒸しパン風ができあがります。

熱いパンと暖かいブロッコリーと紅茶などの朝ごはん。手軽にお金をかけずに野菜が食べられる。カリフラワーでもキャベツでもアスパラガスでもお好きなものを。動物タンパクを朝から摂らないと落ち着かない人は、ウインナーソーセージを5~6本、ブロッコリーに追加してチンすれば、4分間で両方ともほどよく仕上がると思う。

ただし、そのまま後片づけをせずに職場に向かうと、夜、部屋に帰ってからうんざりするので、そこは我慢して、スチーマーとお皿や包丁などを中性洗剤でさっと洗っておく必要がある。これを直後にやれるかどうかが、朝ごはん(まあ、朝ごはんに限りませんが)を自分で作れるかどうかの分かれ目かもしれません。

次回、美容室に行ったときに、朝ごはんなどつくりそうもない若い男性店員と朝ごはんの話でもしてみますか。

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2012年1月17日 (火)

雑誌のおまけの「シリコン・スチーマー」と雪中キャベツ

ずっと以前も、「おまけ」つきの雑誌というのは人気がありましたが、先週末に大きな書店に立ち寄って食べ物や料理関連の雑誌が平積みされているコーナーに向かうと、おまけのついた料理雑誌がいっぱい並んでいました。

おまけは、簡単なシリコン・スチーマー(シリコン製の蒸し料理用容器)。おまけなので、本物ではあるのですが、いわゆる「本物」の機能性と品質はそなえていないようです。しかし、料理に慣れていない女性(ないし男性)が雑誌の説明通りにためしてみるには十分な機能を持っていると思われます。

去年の6月に「蒸し野菜が働く女性に人気らしい」という記事を書きましたが、蒸し野菜人気が、雑誌がおまけに「シリコン・スチーマー」をつけるほどまで広まりつつあるのでしょう。

冬キャベツの代表的な産地は渥美半島を中心とした東三河地方ですが、札幌の野菜売り場には、この時期は、愛知のキャベツと地元のキャベツが仲良く並んでいます。お店によっては、「地産地消」を優先させているのか、北海道のキャベツがほとんどいうところもあります。冬の氷点下の北海道でキャベツが栽培できるはずはないので、これは、秋の終わりに収穫し、その後、雪の中に保存してあるのをとり出したものです。だから雪中キャベツや越冬キャベツと呼ばれています(関連記事は「12月下旬のキャベツ」)。雪中キャベツの良さは、安定供給、そしてそのまろやかな味にあるのだろうと思います。

我が家ではシリコン・スチーマーは使っていませんが、千切りにした雪中キャベツを蒸して、それにポン酢でも振りかけて食べると、それだけでちょっとした和風の温野菜サラダ。蒸したキャベツの暖かさと柔らかい歯ごたえと、そしてほのかな甘みを楽しめます。(ポン酢の関連記事は、「『すだち』と『ゆず』と『だいだい』のポン酢」)

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2012年1月16日 (月)

野菜と消費者の好みの変化と生産者

適当な言葉がほかに見当たらないのでアンビバレンスという言葉を借用しますが、アンビバレンス (ambivalence)とは、同一対象に対して、愛と憎しみなど相反する感情を同時に、あるいは交互に抱くことです。

消費者の好みは変化しますが、対象が農産物のような場合、その生産者は、その変化をなるほどと素直に納得できる場合と、その変化の方向はちょっとおかしいのではないかと感じる場合があります。生産者が食や食材について意見を持っている場合には、とくに後者の感覚が強く出る場合があります。そういう気持ちの動きをここではアンビバレンスと呼んでみました。

だから農産物の生産者というのは(農産物の生産者に限りませんが)、消費者の好みが変化した場合、心理の凸凹を経験しながら、生産者としての感情と生産者の栽培する農作物の種類や特徴が、消費者の新しい好みに対して一定方向になるように整えていくことになります。

もっとも農産物の消費者は(もっと広く食べ物の消費者といってもほぼ同じですが)、同質なかたまりとして存在し動いているのではなく、たとえば、以下の図のようなグループに分けることができます。だから、第3者が、消費者ニーズの変化とか消費者の好みの変化といっても主にどのグループをさして消費者と呼んでいるのか、あるいは公約数的な消費者像を想定して消費者と呼んでいるのか。その第3者がスーパーといった流通関係の会社の場合には、消費者とは自分の顧客だけをさしていることも多いので、その流通にとっての顧客層の特徴を確認する必要があります。

自分の顧客と考えている消費者グループが明確で、そのグループの消費傾向が一般の消費者の消費傾向と違っているなら、第3者のノイズに邪魔されずに、自分の消費者グループのニーズに対応していればいい。しかし、左上の箱のような消費者グループが主な相手なら、そのグループの好みの変化に追随しないと、たとえば流通からの引き合いも弱くなる。そのときに、その変化や変化の理由が納得できなくて、それを原因として生じるかもしれない消費者に対するアンビバレンスは、なんとか早めに処理しないと具合が悪い。

現在の消費者のマクロな状況は、左上の一番大きな箱が、3月11日の原発事故以降、右下の箱の方へその一部を急に広げたような構造だろうと思います。他にとくに変わりはない。

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スーパーやデパートや生協、外食産業や卸売業者など流通の前線で働いている人たち(53社)が今年は人気が出そうだと(あるいは、逆に人気を失うだろうと)考える「野菜」の「2012年売れ筋ランキング」が新聞に掲載されていました(日本農業新聞 2012/01/12)。

人気が出そうな野菜の特徴は、スナックエンドウやフルーツトマトのように「甘くておいしい」「調理が簡単で食べやすい」もの。逆に人気を失いそうなのは、白菜や大根、タケノコやゴボウなど、調理が面倒くさいもの、そして煮物料理や漬物によく使われる野菜類。きんぴらゴボウやふろふき大根、大根の糠漬けや白菜の浅漬けなどを作る家庭が減り続けるという判断なのでしょう。

興味深いのは、ほろ苦いピーマンの人気は下降気味だが、同じ種類でより甘くてカラフルなパプリカは人気品目の上位に位置していること。ブロッコリーは人気野菜だが、カリフラワーは人気薄。これは価格と店頭在庫量の問題だと思われます。キュウリはそれなりに人気のある野菜で、しかし、表面に突起のある昔ながらのキュウリには人気が出ない。突起をとるのが面倒なのでしょう。それから、菌床栽培のシイタケの人気は高いのに対して原木栽培のシイタケの人気が急降下するという見通しになっているようです。これは価格の問題というよりも、栽培用原木の放射能汚染の影響。

消費者の人気が停滞する、ないしは今後は人気が出なくなると想定されている野菜で、我が家では食卓の定番になっていてその地位はこれからも安定しているに違いない野菜をいくつか並べてみると、以下のようになります。

◆ インゲン、レンコン(蓮根)、サトイモ(里芋)、短ナス(短茄子)、表面にとげとげのあるキュウリ、カリフラワー、ピーマン、シュンギク(春菊)、ダイコン(大根)、パセリ、ゴボウ(牛蒡)、ハクサイ(白菜)、タケノコ(筍)、クワイ(慈姑、ただしお正月だけ)、原木栽培のシイタケ

つまり、いろいろな野菜の好きな家庭、野菜を使った料理の好きな主婦のいる家庭では、一般的な消費者ニーズの変化傾向がそのまま当てはまるミニトマトのようなものも流れに乗って一緒に消費しますが、「2012年売れ筋ランキング」の順位とはずいぶんとかけ離れた感じで食材を選択するといえます。

消費者ニーズの変化という場合、先ほどの図を例にとれば、消費者グループの構造が変化しているのか(3月以降安全志向が増えたのは構造の変化、関連記事は「お米をネット通販で購入する消費者が増加中」)、構造にはわずかな変化しかないが自分が対象としている消費者グループの中ではニーズの変化が特に顕著なのかを見定める必要があります。魔法の杖はないので、たとえば「2012年売れ筋ランキング」のようなものを片目で睨みながら、自分の顧客層の動き(消費者に直販しているような場合は、注文内容の変化や消費者からの甘口・辛口のコメント)で判断するしかありません。

たとえば、子供やスポーツ愛好家を中心に、きれいにパッケージされたスナック野菜(ミニトマト、ミニパプリカ、ミニキュウリ)というニッチ市場を確立したと思われるオランダのTommiesの商品(「袋入り」および「シェークマグ風の容器入り」)を見ていると、「手軽に歩きながらでも食べられる」「子供でも好きになる味」という今様の(つまり、日本でもおなじみの)消費者ニーズに対応しながら、明確に切り取った顧客層をつかんでいるようです(なお、このミニトマトは日本の種苗メーカーが開発した「アイコ」)。

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2012年1月13日 (金)

北海道産加工食品のアンテナショップでの売れ筋

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「北海道どさんこプラザ」という北海道産の加工食品(一部、食材)を販売している行政支援の店舗があります。北海道産加工食品の販売促進が活動の軸で、その中には新しい商品のテストマーケティングも含まれるので、店舗というよりもアンテナショップといった方が適切ですが、関連する支援行政の違いを気にしなければ、「北海道どさんこプラザ」は全国に4カ所オープンしています。東京(有楽町駅、ショッピングモール内)、名古屋(名駅、デパート内)、神奈川(相模大野、デパート内)、そして地元の札幌。札幌は札幌駅構内のいい場所に店を構えています。

札幌店はときどきはそばを通り、またときどきは立ち寄りますが、今回は長めの時間を使うので配偶者同伴です。農畜水産物の加工品販売が当然のことながら主で、それから札幌店の場合はジャガイモやタマネギのような長持ちする野菜、また駅の構内店なのでコンビニがわりに使う地元のお客もいるのか、サンドイッチのような軽食も一緒に売っています。

札幌店は、そこで30分ほどもブラブラしていたら大ざっぱにわかりますが、北海道以外からの観光客や旅行客が70%~80%くらい。20%~30%はおそらく地元の住民か札幌以外の北海道の住民でしょう。

目的は、以下の4つ。

(1) 東京・名古屋・相模原での売れ筋商品が、札幌でも短時間の間に動いているかを確かめてみること
(2) 箱やパッケージを裏返して原材料欄を拝見するのは、デパートなどでは難しいので、気になる商品や興味のある商品の原材料欄の内容を確かめること
(3) めずらしいお土産としてではなく、お世話になった方への定期的な贈り物なるような商品候補の選択。これには(2)も関係してきます。
(4) 「北海道の省略時解釈値は洋風料理」の札幌で、どんな種類の和菓子が販売されているかを確かめること。興味をそそられるものがあれば、少しだけ買って味を確かめること。

ここでは(1)の目的に触れるだけにとどめますが、東京・名古屋・相模原での売れ筋商品のひとつというか、もっとも売上金額の多い洋風菓子が、時間帯は夕方だったのですが、目の前でさっそく複数個買われていきました。購入者は30歳前後と思われる男性の2人連れで、服装から判断して北海道に住んでいる人ではない。

札幌店と違い、東京店・名古屋店・相模原店の顧客には次のような人たちが想定できます。

(1) 北海道出身で、日常必需食材としての北海道産加工食品を求めて各店舗を訪れる人たち。各店舗に一応アクセス可能な場所に住んでいる。

(2) 旅行中に食べた北海道食材や加工食品(たとえば、ワインやチーズやお菓子)がとても気に入ったか、北海道物産展でこれはと思う加工食品に出会ったか、あるいは知人からのお土産などに妙にひかれるものがあったか、つまりはそういう経験を持つ人たち。その中で、それらを日常食品として食べてみたいと思うようになって、そして当該店舗に無理なくアクセスできる地域に住んでいる人たち。しかし、同じ商品がより近場のデパートやスーパーにはおいてあれば、おそらくその商品はそちら(つまり、より便利でよりなじみの場所)で購入する。

(3) 物珍しさと北海道というキーワードに魅了され、その場で衝動買いする人たち。

この3店舗に関しては、月別・期間別の売上データ(数量と金額)が商品カテゴリー別と個々の商品別に公開されているので(ただし、3店舗合計で、各商品カテゴリーのトップ10のみ)、東京・名古屋・相模原の売れ筋商品がどんなものかを概観することが出来ます。(2)のタイプの顧客がいちばん多いと思いますが、公開データでは、顧客属性に関連する数字はわかりません。

期間別の売上とは2011年4月から11月(8か月)の累積売上のことですが、いちばん売上金額の大きな商品カテゴリーは菓子類で、すべて洋菓子(紛らわしいのがひとつありますが、それも洋菓子風)です。菓子類の中で当該期間中の売上金額が10番目のものが250万円台なので、当該期間の売上金額が菓子類に関しては250万円以上の商品を、菓子類以外の商品に関しては200万円以上の商品を、商品カテゴリー別に数えてみました。首都圏と中部圏で人気のある北海道産加工食品の傾向が大ざっぱにわかります。

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2012年1月12日 (木)

女性と料理と、その配偶者

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料理の上手な女性と結婚するとそれだけで幸せであるという意見があり、その意見に反対する気持ちは全くありません。しかし、すでに上手な人というのはそれほどはいないので、結婚後に開花するであろう料理の才能を潜在的に持ち合わせていることを期待して、今は料理らしいことをほとんどなにもできない女性との結婚に踏み切る男性もけっこういらっしゃるのかもしれません。

以下は、僕の配偶者が、インターネットのブログ記事から前に見つけてきたもので、もともとはどこかの掲示板にあった投稿らしい。面白いので読め、というので読んでみると、確かに面白かったので、その部分だけ保存(コピー&ペースト)してありました。いろいろと想像を書きたててくれる一文です。

自身の配偶者を「嫁」と呼ぶのは、地域的な偏りもあるかもしれませんが、30歳くらいの男性の流行りなのでしょうか。僕が以前お世話になっていた美容室のスタイリストの方も、年齢は30歳を少し過ぎたあたりでしたが、「うちの嫁が・・」という表現をよく使っていました。

<引用開始(原文のママ)>

結婚して初めて、嫁がミートソースを作った
「どうだった?」と聞かれたので正直に「美味かった」と前置きしてから、
以下の改善点をメモ帳に列挙して一項目づつ読み上げた

・具は全部みじん切りにしろ
・ミンチは牛肉以外ありえない
・セロリが無いならミートソースを作るな
・具材はしっかりと炒め終わってから煮込め
・白でも赤でもいいからワインで臭みを消せ
・トマトは缶詰でもいいからイタリアントマト以外使うな
・ローリエくらい入れろ。苦味が出る前に取れ
・最後にバターくらい入れろ
・ケチャップを入れるな。ケチャップの味しかしないだろ
・なぜ辛くした
・ミートソースを1.4mmのスパゲッティーニにかけた理由を言え
・この緑色の缶に入ったパルメザンチーズを捨ててこい
・今後一切、これをスパゲッティミートソースと呼ぶ事は俺が許さん

泣いて実家へ帰られた。俺が悪いのか

<引用終り>

それにしても、この男性は、とても料理が得意そうです。自分で作る。味にこだわる。自分の好みに関することも含めて、発言というか「お嫁さん」への指摘が実に適切です。他の料理の話が出てこないので、ミートソースやパスタにこだわりがあるだけかもしれませんが、そのあたりはよくわからない。

「お嫁さん」のミートソース以外の得意メニューを想像しても、この10数行からは、この「お嫁さん」が魚をさばく姿や大根・ニンジンの膾(なます)をつくる光景は浮かばない。この「お嫁さん」が泣いて実家に帰ったまではいいとして、気になるのは、ご主人のもとへ「復帰」した後、食卓にはどういう料理がならび、その食卓をはさんでご主人とはどういう会話をしているのかということです。

30歳くらいと想定されるご主人の職業を想像するのも楽しい。「『美味かった』と前置きしてから、 以下の改善点をメモ帳に列挙して一項目づつ読み上げた」りすることと違和感がないような仕事内容をもつ職業。

「なんと横暴な」という感想を持つ若い女性もいらっしゃるかもしれませんが、僕や僕の配偶者にとってはなかなかに楽しい一文です。簡潔にまとまった教科書の趣もあります。僕は「セロリが無いならミートソースを作るな 」という箇所が気に入っています。

(関連記事は「料理の好きな主婦はそのうち稀少資産?」)

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2012年1月11日 (水)

米粉(こめこ)パンと米粒(こめつぶ)パン

焼きあがったばかりの大きなフランスパンを、職人さんが、パン屋の店先でスパッと切り分けているのを見ると、いい腕だなと思います。自家製の天然酵母の小麦粉パンの場合にはそれがなかなかうまくいかないのですが、自家製米粉パンの場合には、同じパン切り包丁でスパッと切り分けられる。結構な爽快感です。

短粒種のジャポニカ米である日本のお米は、世界のお米の生産量の約80%をしめる細長いインディカ米などに比べると、とても値段が高い。中国の東北部で作られているジャポニカ米よりも値段は相当に高い。カリフォルニア産の短粒種ジャポニカ米と比べても高価である。しかし、それでも、日本のお米のお茶碗一杯の値段は30円~40円なので、他の食べ物や飲みものと比較すると、ご飯は安い。しかし、その米も、小麦粉よりは高い(下のグラフ〈農水省〉)、というのが、ごく大ざっぱなお米と小麦粉の状況です。

【註】お茶碗一杯のご飯に必要なお米の量は約75g(約0.5合)。5㎏の白米の値段を2,000円~2,500円とすると、お茶碗一杯のご飯の値段は30円~37.5円(ただし、光熱費は含まない)。丼で1合を食べても、60円~75円。(スーパーや生協での売れ筋価格は現在は5㎏が1,900円台なので、ご飯いっぱいの実際の値段はもう少し安くなる。「アメリカのジャポニカ米と日本のお米の店頭価格比較(2011年11月)」)

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米粉パンと米粒パンの話です。米粉パンも米粒パンも米を主原料にして焼いたパンという意味では同じですが、違いのひとつは、製造開始時の形態が米粉か米粒かということだけです。もっとも、米粒も、投入時が米粒であるというだけで、米粒パン製造器のなかで、細かく砕かれるので、結局は同じといえるかもしれません。しかし、結局は同じではないのは、つまり、もうひとつの違いは、その値段です。

米粉パンを作ろうとすると、一般家庭では、米粉を買ってきて、少量の小麦グルテンといっしょに、それをホームベーカリーに投入します。米粒パンの場合は、普段炊いてご飯として食べているお米を使います(この場合もプワッと膨らませるためにたいていは小麦グルテンを添加)。

上で見たように米の値段(ここでは5㎏で2,000円とします)を僕たちは高いとは思っていませんが、米粉パンに使う米粉となると、ちょっと話は違ってきます。米粉パン好きに人気のある米粉の値段が、1.8㎏で1,200円くらいなので、これを単純に5㎏価格に直すと3,333円となります。新潟のブランド・コシヒカリが好きな人にとっては驚くような値段ではありませんが、価格が、2,000円 vs. 3,000円というのは結構な違いです。

米パンには小麦パンにない風味、もちもち感やしっとり感があります。米パンの好きな人たちに米粒を使って米パンを焼くホームベーカリーが人気なのも、そのコストパフォーマンスを考えると、よくわかります。

米は小麦などと違って非常に硬いので粉砕が難しく、大型の粉砕装置も近所にあるわけではない。だから、米粉用の多収米の生産量が増えて米粉の値段は下がらないと、米粉を使った米パンの消費は当面頭打ちになるかもしれません。(関連記事は、「米粉100%のパンと、パン用のブランド米」。)

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2012年1月10日 (火)

ユリ根、あるいは、続・北海道の省略時解釈値は洋風料理

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ユリ根は12月から2月が旬なので、お正月を挟んだ時期には、札幌の野菜売り場ではユリ根を毎日見かけます。お正月料理にもよく使われる食材なので、日本の各地での使い方は、お雑煮、茶碗蒸し、天ぷら、甘煮などだと思います。

北海道は百合根(ゆりね)の産地で、徳島のスダチではありませんが(「『すだち』と『ゆず』と『だいだい』のポン酢」)、北海道の生産量は年間1,700トン、これは全国の生産量の99%。なので、北海道の独占的な特産品です。主要生産地は、札幌と函館の間のいくつかの地域と、富良野・美瑛。

産地だからといって、安いわけではありません。ユリ根は生産に時間と手間がかかる。収穫量は少なく、輪作を嫌う。しかし、札幌では非常に手に入りやすいので、以前、ユリ根のきんとんをお正月料理のひとつとして配偶者に作ってもらったことがあります。少量の味醂と薄口しょうゆを加えただけですが、それでも僕には甘すぎた。それで、翌年からは我が家のお正月料理からははずしました。日本酒の肴に不向きというのがその主な理由ですが。

そんなユリ根を使った洋風スイーツが、さるユリ根産地のさるお菓子屋さんで開発されたそうです。行く方向を決めかねる場合は、和風ではなく洋風が北海道の「省略時解釈値」なので、このお菓子屋さんも、ユリ根という新しい素材を「省略時解釈」して洋風スイーツに仕立て上げたのかなと早合点しそうになったのですが、少し調べてみると、そのお菓子屋さんは、ユリ根の餡(あん)を使った和菓子の最中(もなか)を得意とする菓子屋さんで、パンなども製造・販売している。ユリ根に関する思いと今後のビジネス展開の思いが重なって、菓子の商品ラインを思い切って洋菓子に膨らませたのでしょう。

こういう感性のお菓子屋さんが北海道にあると知り、「北海道の省略時解釈値は洋風料理」の部分訂正をすることになればいいかもしれない、と思っています。

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2012年1月 9日 (月)

「すだち」と「ゆず」と「だいだい」のポン酢

漢字で書くと、すだちは酢橘、ゆずは柚子、だいだいは橙となりますが、ひらがなやカタカナの方がわかりやすい。ここではカタカナ表記にします。去年の秋から今年にかけて、その三種類で順番にポン酢を作ってみました。

スダチは露地物がたくさん出回る9月に関西系のデパートの野菜売り場で箱の単位で安く購入したもの、ユズは東京の知り合いからの12月のいただき物、ダイダイも四国の知り合いからの12月のいただき物です。ダイダイは大きくて、昔のタイプのリンゴのサイズです。ユズもダイダイも、それぞれ結構な量をいただいたので、搾るのがなかなかにたいへんでした。

税務署勤めではないので器具を使わずに素手で搾るのは無理。だから、スダチやユズを搾るには、沖縄のシークヮーサーのような小ぶりな柑橘類を搾るための搾り器を使い、ダイダイはレモン搾り器を利用します。300mlの搾り汁をひとつの単位として裏ごしし、そこに他の素材や調味料(醤油、煮切り味醂、米酢、かつお節、利尻昆布)を投入してポン酢を作るのですが、結構な量を搾ってもそれほど大量のポン酢ができるわけではありません。ちなみに、市販のスダチやユズの果汁(搾り汁)の値段が、材料鮮度や搾り方にもよりますが、300ml瓶で700円~1200円くらいです。

ポン酢以外のごく標準的な使い方は、スダチは刺身か焼き魚(たとえば、サンマ)、それから、蒸し焼きにしたシイタケに(「原木栽培の生シイタケ」)。ユズはユズ湯かマーマレードに。ダイダイは正月の飾りとマーマレードです。どの柑橘類で作ったポン酢がいちばん好みかというと、ユズもいいのだけれども、やはり、スダチ。

スダチ・ユズ・ダイダイの生産者は、果実を収穫期に出荷するだけでは物足りないし、規格外を利用したいということもあって、加工品の販売へとビジネスを広げることも多い。トマト生産者が生食トマトだけでなく、トマトジュース、トマトピューレやトマトケチャップ、あるいはドライトマトの加工・販売に乗り出すのと同じです。そうした柑橘類はジュースやサイダー、焼酎や日本酒にも使われているようですが、お土産に飛行場の売店で買うものという感じがしないでもない。いただいて嬉しいのは、つまり、これが消費者の一番大きな日常ニーズだと思いますが、生搾りの瓶詰めか丁寧な作りのポン酢です。しかし、繰り返し購入向きの商品だということは、たとえば、「丁寧な作り」のところで特徴を持たないと、競合に埋もれてしまう。

さて、スダチ・ユズ・ダイダイの平成21年の国内年間出荷量(農水省統計)は、

スダチ:  4,518トン
ユズ:   25,438トン
ダイダイ:  904トン。

ダイダイは、お正月の前以外はほとんど見かけませんが、人気のなくなってきた柑橘類のひとつなのでしょう。ユズは、主要生産地は四国と九州に偏っていますが、北は宮城から南は鹿児島まで、北海道と青森・秋田・山形・岩手・新潟をのぞく各地で生産されています。それから、スダチは、徳島のほとんど独占状態。

それぞれの主要生産地とその出荷量シェアは、

スダチ:  徳島(98%)
ユズ:    高知(54%)、徳島(12%)、愛媛(11%)<この3県で77%>
ダイダイ: 和歌山(33%)、静岡(27%)。

だから、少し極端な言い方をすれば、ユズには一般家庭でも、全国のどんな和風の料理屋でもお目にかかれますが、スダチは関西の料亭・料理屋には広く出回っているものの、関東だと少し値の張る料亭や料理屋に限定されているかもしれません。

また、それぞれの加工品向け比率、つまり、搾って瓶詰めにしたのやポン酢などに使われる比率(出荷量比率)は、

スダチ:   56%
ユズ:    82%
ダイダイ: 29%。

スーパーやデパートのポン酢売り場で一番目につくのが、ユズポン酢というわけです。

スダチとユズ、そしてダイダイの写真を下に並べます。サイズは、スダチ <ユズ <ダイダイ、の順でスダチがいちばん小ぶりで皮が硬い。色は写真でわかるように、濃い緑がスダチ、ユズは黄色で、ダイダイはオレンジ色というか、つまり橙(だいだい)色です。

_rev スダチ

_ ユズ (写真はWikipediaからお借りしました)

__2 ダイダイ (写真はWikipediaからお借りしました)

カボスに触れないのはカボスに失礼なので、最後に簡単にまとめると、出荷量は3,380トンでスダチよりもいくぶん少ない。生産が一番多い県は大分で92%、ついで愛媛が8%。加工品向けの比率は37%。大分の特産品です。スダチ・ユズ・ダイダイと比べると地元消費がとても多い柑橘類だと思います。

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2012年1月 6日 (金)

自家製味噌、あるいは手前味噌

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新年3日目の午後のもうひとつの作業が、タクアン以外では、自家製味噌の一部を甕(かめ)から取り出して、四角いホーロー容器に移すことでした。ホーロー容器に移すのは冷蔵庫で保管するためです。

昨年の1月下旬に麦味噌(麦麹を使った)味噌、そして2月初めに米味噌(米麹を使った味噌)、さらに「さといらず」という珍しい青大豆をつかった米麹味噌を3月上旬(札幌の3月上旬はまだ寒い)にと、3度に分けて仕込み、天地返しも、したがって途中の味見も、1月下旬版と2月初め版は6月に末に、3月上旬版は8月末に済ませてあるので、作業といっても、いちばん出来上がりの早い麦味噌の一部を常滑焼の甕(かめ)から取り出して、あとは実際に食べるだけです。(「今年の味噌は、米麹(こめこうじ)と麦麹(むぎこうじ)で」、「続・『今年の味噌は、米麹と麦麹で』」)

麦味噌は、米味噌よりもやや甘いのが特徴ですが、結構な味に仕上がっています。4日の夜の味噌汁にはさっそくその麦味噌を使いました。

Photo

写真は、【柳屋Web店】からお借りしました。

味噌に入った甕(かめ)は、家の外ではなく、家の中のいちばん北側のスペースに保管してありますが、保存にはちょうどいい温度かもしれません。そういう場所は夏は涼しく、冬もそれほど寒いわけではない。函館辺りの南の方にいくと様子が違いますが、北海道のたいていの家は寒冷地仕様なので、たとえば、窓ガラスは二重になっています。最近は内側の窓ガラスも内部に乾燥空気を閉じ込めた複層ガラスのタイプなので、実質は三重といえるかもしれません。だから、暖房効率は高いし、遮音効果も高い。たとえば東京や名古屋だと、寒い日には窓ガラスの内側(部屋側)が結露して大変ですが、札幌で二重ガラスの内側が結露するなどということはまずありません。

以前、新潟出身の知人から次のような話を聞いたことがあります。その知人が冬に新潟の実家に帰っている時に、近所でもらってきた野菜をそのあたりに置いておこうとしたら、彼のお母さんが「野菜はすぐに冷蔵庫に入れないと、凍ってしまうよ」。こういう時に真冬の新潟にいるのだなと実感するそうです。蛇足ですが、冷蔵庫の野菜室の温度は通常は5℃~7℃くらいに維持されています。

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2012年1月 5日 (木)

お正月料理と家庭の社会学

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お正月料理のひとつの意味はおめでたい材料などを使ったおめでたい料理ということで、これは食の文化の伝統に関することですが、もうひとつの意味は、家庭の主婦がお正月の間は料理にかける労働時間をできるだけ少なくするという家庭の社会学に関することです。

お雑煮と食後のお茶には火が必要ですが、それ以外は、盛り付けの手間を別にすれば、お正月料理そのまま食べられるので主婦の食事の準備にかける労働時間は大幅に減少します。この「お正月の休憩」が意味を持つのは(言葉をかえれば、当然だとみなされるのは)、その主婦が、普段は年中無休に近い状態で食事の準備をし、また年末にもけっこうな手間隙をかけてお正月料理をつくるという前提があるからだと思われます。

我が家のお正月料理の性格も、「定番をそろえる」方法から、お正月料理の枠組みの中で「自分たちがおいしいと思うものだけを用意して確実に食べきってしまう」方法へと数年前から大幅に変化しました。

おせちの準備」に書いたように、「田作り、数の子、たたきごぼう、黒豆、紅白なます、酢蓮(すばす)が好物で、それ以外のおせち料理は要りません。そして、田作りは甘いねっとりとした味付けではなく、さらっとした仕上がりのピリカラ味。こうやって並べてみると、黒豆のような甘いもののありますが、酒の肴ばかりのような気がします。田作りがピリ辛味なのも日本酒との相性がいいからです。あとは、お雑煮があれば、それで満足。鯛の酢締めが少量あれば、なお満足。」「煮物では、『里芋』と『くわい』が必需品。とくに「くわい」のほのかな苦さと食感がたまらない。」それから紅白の蒲鉾(かまぼこ)。

年末は海が荒れていていいのが獲れず、また運搬も大変だったのか、売り場で買いたい魚が見あたらない。それほどでもないのがベラボーな値段だったので、今年は魚の酢締めは中止。しめ鯖(さば)用の新鮮な鯖でもあればいちばんいいのだが、札幌ではたいていは難しい。

三日目の夜に、一部を除いて、食べきりました。一部は、日本酒の肴用にわざと残したものです。お雑煮は、澄まし汁仕立てで始め、それを続け、三日目は味噌汁仕立てで変化をつけます。

「家庭の社会学」に戻ると、三箇日の間は主婦が料理や食事の準備にかける時間は大幅に少なくなります。我が家の配偶者もそういっていますので、実証研究にもとづいた結論ではあります。

デパートやスーパーやコンビニで「おせち料理のお取り寄せ」をした方が、主婦のお正月前後の労働時間はもっと少なくなると思いますが、はたしてその結果、生ごみが増えたりしていないのかどうか、まあ、どうでもいいことが気になったりもします(ゴミの関連記事が「食べ残し、あるいは生ごみ」)。

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2012年1月 4日 (水)

自家製タクアン、あるいは手前タクアン

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自家製味噌を作った本人はそれをおいしいと思うので、手前味噌と言います。それなら、手前タクアンといういい方もおかしくはない。「続・札幌で大根を干すのは10月最後の週から」の、その後です。

先月の後半は最低気温がマイナス5℃~6℃くらいの日が続いたので、大根がその寒さに持ちこたえているか結構不安でした。途中、11月の末に大丈夫かどうか蓋を取って途中経過をチェックした時は、糠(ぬか)が思ったよりも乾燥気味。この状態は、普通は水の上がり方が少ないと呼ばれる状態ですが、これくらいでゆっくりと発酵させた方が寒さに強そうだと判断、日本酒を少々糠の上から振りかけておきました。

新年3日目の作業のひとつは、タクアンのできあがり具合を確認し、うまく仕上がっているようだと最初の1本の味を確かめることです。重石をはずし、糠(ぬか)の厚い層の下からいちばん上側の2本を取り出すと、結構な具合に仕上がっています。まったく凍っていない。大根は2週間ほど「つ」の字に近づくまでしっかり天日乾燥させて水分を抜き、容器の中の糠も厚めに大根を覆っていたので、かすかにしっとりとした糠の厚い層が保温毛布の役割を演じたのでしょう。

2本のうち1本は糠と一緒にポリ袋に入れて冷蔵庫へ、1本は水洗いしてさっそく味見です。味は予定通りかそれ以上。お店で売っているものでは出ない味です。まあ、こういうことをいうので、手前タクアンというわけです。

今回の総生産本数はたった10本ですが、1週間から10日で1本を食べるとすると、4月になるまでは楽しめます。残りの8本は、上部を覆った糠にまたわずかに日本酒をばらまいて重石をもどし、保存容器で丁寧に保管中。次回、つまり今年の秋は生産本数は少し増やして12本の予定。

保存容器は、プラスチック製のは好みでないので寸胴のホーロー容器、重石もプラスティックを使ったものは好みでないので、重量感のある常滑(とこなめ)焼の落し蓋を複数枚組み合わせて使っています。その容器を段ボール箱に入れ、箱との隙間はプワプワで埋め、段ボール箱は大きなビニール袋に収め上部は縛ってありますが、これも寒さ対策に役立ったのかもしれません。

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