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2012年1月27日 (金)

ある農産物通販会社の商品取り扱い基準

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ここでいう商品取り扱い基準とは、放射性物質による食材被曝という観点からの取り扱い基準です。

この記事で言及する通販会社は、契約農家の生産する有機野菜や有機食材・有機食品などの通信販売を軸にビジネスを運営してきたのですが、僕が調べた範囲では、農産物の通販という業界では、非常に明確に、そしてわかり易く「食材と放射性物質被曝」に関する考え方を表明し、またそれを実行している会社や事業者のひとつだと思われます。

お米をネット通販で購入する消費者が増加中」でも書きましたが、小さなお子さんのいらっしゃる家庭や、食材の安全性についてもともと関心の高い消費者は、情報がていねいに公開された農産物やその他の食材を注意深く選択し続けているようです。情報公開とその情報にもとづいた商品取り扱い基準の徹底が、その通販会社や消費者直販事業者の差別化(差異化)マーケティングにつながっています。

以下は、この通販会社のホームページから、関連する部分を、もとの文脈をゆがめないように選択・引用したものです。説明の都合上、引用の順番もホームページ上の記載と少し違いますが、その会社の考え方と運用姿勢がよくわかります。自身の基準で農産物や食品を選び、購入するかどうかは公開情報にもとづいた消費者の判断にゆだねるという考え方と姿勢です。

この会社を宣伝することや評することが目的ではないので、会社の名前は伏せ、その部分は当該通販会社とかこの通販会社という表現に直してあります。

〈引用の開始〉

【当該通販会社の被曝対策の基本】

継続的に独自放射性物質検査分析を含む情報収集と、的確な情報公開を行ない、ご利用い ただいている方々の主体的な判断・選択の指標を提供します。

【当該通販会社の飲料・食料関連の商品取扱い基準・被曝対策編 について】

被曝を可能な限り少なくすることを基本に、国の2011年「暫定規制値」及び2012年4月運用予定「放射性セシウムの新基準」について検討をし、下記のように、独自取扱い基準を設定しました。

Pod

【当該通販会社の商品取扱い基準の骨子】

・年間被曝量を1mSv以下にすることを基本にします。
・国の2011年暫定規制値の算定根拠は年間被曝5mSvですから、1mSvは5分の1です。
・被曝の要因を、外部被曝1/4、内部被曝3/4 (呼吸1/4、飲料1/4、食料1/4 ) と考え、「食品群」に振り分けます。飲料1/4は実際には採用しません、以下のとおりです。
・食品群「一般食品」の(当該通販会社)基準値=2011年暫定規制値× 1/5 × 1/4
・「一般食品」は、500 × 1/5 × 1/4 = 25 Bq/kg
・「牛乳」は、200 × 1/5 × 1/4 × (乳幼児に配慮して、更に) 1/2 = 5 Bq/kg
・「飲料水」はゼロ。委託検査機関の核種別精密検査の検出限界値:1Bq/kg
・「乳児用食品」はゼロ。委託検査機関の核種別精密検査の検出限界値:1Bq/kg
・「一般食品」の内、主食の米や食する機会の多い食品は、より被曝の影響を受けやすい子 ども、とりわけ乳幼児、妊娠・授乳中の女性、被曝の危険性が高い地域の利用者に配慮が必要です。

〈引用の終わり〉

この通販会社では、対象農産物の検出限界値や定量下限が自社の基準値未満なら、生産地域にかかわらずその農産物を販売しています。だから、その農産物の生産地に納得のいかない消費者や、一般食品のなかにたとえば22Bq/kgのものがあり、22Bq/kgは25Bq/kg未満だがその値は高すぎると判断する消費者はそれを買わなければいい。検査に費用はかかるが、データが公開されていたら、消費者はそういう判断と選択ができるし、その場合、生産者も納得するでしょう。

なお、検出限界値とは測定機器の検出最低量(たとえば、0.7Bq/Kgや0.3Bq/kg)、定量下限とは当該測定機器の測定値として信頼性のある最低量(たとえば、0.7Bq/kgに対して 1.0Bq/kg、0.3Bq/kgに対して0.5Bq/kg)のことです。

ただ、いくぶん気になることもあり、それは、「一般食品の基準値を25Bq/kgとする」とい うことの背景が2011年の暫定規制値と計算式を使って説明されてはいるのですが、けっこう唐突で、つまり、個別の食材の話をしているのか(個々に25Bq/kgを超える食材・食品は取り扱わない)、個別の一般食品の集合体であるところの食事内容全体の話をしているのかよくわからない。こういう場合は、僕は、水(飲料水)との対比でその妥当性を考えることにしています。

水(飲料水)の基準が安定していて、いちばんわかりやすい。この基準とは2011年3月17日以前の基準、あるいは2012年の新基準案、もとをただせばWHOのガイドラインです(2004年)。

自然発生による放射線被曝量を別にすれば、一般人の年間被曝限界量(外部被曝量+内部被曝量)は1mSvですが、水(飲料水)の関係者は、水(飲料水)による影響をその10分の1(年間に0.1mSv)以下に抑えようとしています。

・人は1日あたり2リットル、つまり年間に760リットルの水を飲む
・0.1mSvが水(飲料水)に許された年間の放射性物質の基準値
・これを、年間に760リットル飲む水の、1リットル(なお、1リットルは1kg)あたりに許される放射性ヨウ素や放射性セシウムという切り口で計算すると、その基準値はそれぞれ、10Bq/リットル。基準値ギリギリの場合、2リットル(1日分)だと20Bq

だから、大ざっぱですが、水以外の食べ物(たとえば、コメやパンやうどん、大根・小松菜・ニンジン・シイタケ、牛肉・豚肉、鶏卵、サンマ・アジ・鮭・牡蠣、リンゴ・柿、牛乳、お茶など)の放射性ヨウ素や放射性セシウムのそれぞれの測定値が10Bq/kg未満なら、それぞれをどれくらいたくさん食べるかといったことを気にしなくても、大食いコンテストに出場するような大食感でない限り、普通に食べていて非常に安心だということになります。

しかし、それだと大ざっぱに過ぎるというのであれば、胃袋に入る個別の食材の分量は気にせずに、1日に全部で2.0kg~2.5㎏(2,000g~2,500g)の水以外の食べもの・飲みもの(朝・昼・夜の食事、ペットボトルのお茶などの飲みもの、小腹がすいた時のお菓子など)を飲食すると考えると(ちなみに、丼ご飯のお米がだいたい150g)、水と同程度の安全さを持つ基準値は20Bq/2.0kg~25Bq/2.5㎏。その会社の販売する食材・食品が、全部が全部そのレベルで汚染されているとは考えにくいので、個別の食材や食品の基準値が25Bq/kgというもの(つまり、被曝の程度がそれ以下なら販売する)でも、まあ大丈夫かなと、ざっくりと理解できます。

25Bq/kgに近い値を持つ食材が目立つようであれば、その情報はすべて公開されているので、上述したように、消費者は、この会社経由で流通している食材と距離をおけばよい。

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