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2012年1月23日 (月)

地下食品売り場のレジ担当者の作業品質と、その百貨店の売上状況

スーパーは安さが売りなのでレジの担当者は一人です。買い物のカゴのお買い上げ商品の売上処理をする人(たいていは女性)がいるだけで、商品をこちらの買い物カゴからあちらの買い物カゴへ移しながら、POS端末に情報を入力していきます。カードや現金での支払処理が終れば、袋詰めはお客の仕事。

デパートは、設定価格が人的サービスを含んでいてスーパーよりは高いので、レジの担当者は二人。前にいてお勘定をする人をチェッカーとかキャッシャーといい、後ろで袋詰めをする人をサッカーとかバッガーといいます。サックもバッグも袋という意味なので、ともに袋に詰める人ということです。お金の計算をする人と袋にお買い上げ商品を詰める人の分業体制です。(リュックサックやナップザックというドイツの言葉が僕たちにはおなじみですが、ザックやサックはSackで袋の意。)

米国のスーパーマーケットではレジで係の女性が(もちろん、女性とは限りませんが) ”Paper or plastic?” と尋ねてくれます。紙袋に詰めるか、ペラペラのビニール袋に詰めるかという意味ですが、日本のスーパーではそういう楽しみはありません。もっとも、そのビニール袋は日本のポリエチレン製レジ袋のような耐久性と機能性に優れたものではなく、いつ破れるかもしれないという危うさ満点の袋です。

全国版経済新聞の北海道経済欄に定期的に北海道(札幌、旭川、函館、帯広)のデパート(百貨店)の売上状況が掲載されます。先日の記事では2011年(通年)の各百貨店の売上高が分析されていました。

売上高が前の年よりも増えるか減るかは、顧客の財布の状況や商品構成、立地条件に依存しますが、そういうマクロとミクロと固定要素と変動要素が一緒になった全般的な捉え方では原因がよくわからない。原因を、各デパートが設定している顧客層に対する品揃えの良さ・悪さに集約して判断した方が効果的とは思いますが、それはこの記事での主題ではありません。

僕は、それとは別の個人的な比較基準・判断基準を持っていて、この基準はスーパーマーケットには向いていませんが、デパート(百貨店)には向いていると思います。(僕は、北海道のデパートでの実際の買い物という意味では、実際の買い物といってもたいていは配偶者の荷物持ちですが、札幌しか知らないので、ここでの議論は札幌に限定します。札幌には経営母体の違いによって3つの百貨店がありますが、この記事の趣旨からは4つと数えることもできます。)

個人的な判断基準とは、地下食品・食材売り場のレジ係(2人の担当者)のレベルというか彼女らの作業品質です。総売上高の前年比がプラス(あるいは軒並みに具合が悪いときには、落ち込み度合いが最も少ない)であるところのデパートの食材売り場の、そのレジ係の品質は高い。マイナスに沈んだ(あるいは落ち込み度合いが他よりも相対的に大きい)デパートのレジ係品質は低いといえます。これは数年前から継続的に観察していることですが、地下食品・食材売り場のレジ係のレベルと、その百貨店全体の売上状況(売上とは衣類や化粧品や食品などを含んだ全部の売上のことで、また売上金額の大きさではなくて、売上高の前年比ないし前年同期比伸び率)は不思議なくらい相関している。

地下食品売り場のレジ係のレベルを、僕は、接客態度、および袋詰め(パッケージング)の作業品質(パッケージングのうまさやスピード)で判断しています。袋詰めの作業品質の差がいちばん現われるのは、例えば次のような食材が買い物かごいっぱいに入っていて、それを「紙袋」に詰めてほしいとお願いしたような場合。(各レジ台に女性を2人配置しながら袋詰めは客の作業と考えている百貨店もあり、この場合は正確な比較はできませんが、観察できた作業内容から工程全体を類推します。)

◇ ダイコン(カットしてない丸ごと)、ゴボウ、白ネギ、小松菜、インゲン、カリフラワー、にんにく、わさび、ケースに入った複数個のトマト、3~4個セットの柿、パック入りの卵、3枚におろしてもらったアジ、5枚におろしてもらったヒラメ、袋詰めのジャコなど

上手なレジ係は、2人で連携が取れていて、全体の量と重量配分、かさばるものとそうでないもの、傷つきやすいものとそうでないもの、袋の下部に入れても大丈夫なものと袋の上部に持ってくるもの、必要な紙袋の大きさと数量などを判断・計算しながら(「袋が2つになってもよろしいですか?」)、POS入力前の買い物カゴの食材を、POS入力後は袋詰めの順番を考えながら別のカゴに移し換えしています。あとはシミュレーション通りに詰めるだけ。紙袋内側にいれたレジ袋で内容物を軽くキュッとやり、重量に応じて二重にした紙袋の持ち手を客が持ちやすい形に整えて、「重いので、お気を付けください」。見ていて気持ちのいい作業の流れです。

上手でないところは、つまり、その逆。「あとで我々が詰め直すから、そのままどんどん詰めて」といいたくなるような場面や、サイズのバラバラな食材に困り果てて「これどうしましょう?」と客に聞く場面、詰めてしまえばおしまいさ、と考えているに違いないと想像される場面などがあり、結構、楽しめます。レジ係の平均年齢は、以前は関係していると思っていたのですが、どうも相関は低そうです。

地下食品売り場のレジ係は、流通の華やかさの代表が商品の品揃えを企画する部門だとすれば、その華やかさからは相当に離れた部署です。だから、当該企業の基礎インフラの強さの違いが出やすいともいえる。作業品質のいいレジ係は、本人が自覚する以上のマーケティング効果(体験を媒介としたリピーター創出効果)をお客に与えています。

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