食と3種類の知とヘルシーエイジング(1)(1-2)(その2)

(1)3種類の知
(1-1)はじめに
(1-2)「測る知」「思考し共感する知」「黙想する智」の3種類の知 (その2)
「測る知」「五感の眼」から「黙想する智」「黙想の眼」へと進むことによって世界(山や水)の見え方がどう変わるかを簡潔にまとめたのが宋代の禅僧「青原惟信」(せいげんいしん)の次の言葉です。五感の眼で見ていた世界、黙想の眼に近付いた段階で見えてきた世界、黙想の眼で世界と対峙できるようになった時に顕われてきた世界の光景の順に、その様子が描かれています。
「修業前は、山は山、水は水と見えていたのが、師のもとで禅の修業に励んだら言語のとらわれを離れることができ(山や水という言葉でとらえられる前の山や水の姿が見えてきて)、だから山は山でなく水は水でなくなった。しかし、もっと悟りが進むと、やはり山は普段の通りの山であり、水もいつもの通りの水である。」
原文(読み下し文)は『老僧三十年前、未だ参禅せざる時、山を見るに、是(これ)、山。水を見るに、是(これ)、水。及び後来に至って、知識に親見して。箇に入る処有りて、山を見るに、是、山ならず。水を見るに、是、水ならず。而今、箇の休歇(きゅうかつ)なる処を得て、依前と、山を見るに、祇(ただ)、是、山。水を見るに、祇(ただ)、是、水。』
さきほど触れた唯識の三性説(「依他起性」・「分別性」・「真実性」)と「3種類の知」との関係を私の解釈でまとめると以下のようになります。
「真実性」・「分別性」・「依他起性」という三つの異なった世界がそれぞれにあるというのではなくて、同じひとつの世界が我々の智慧の在り様によって違った顕われ方をするというのが三性説の考え方です。世界があり、そして世界はそのままでいつもの通りの世界なのですが、智慧をそなえた人にはそれが「真実性」の世界として顕われ、そういうタイプの智慧は持たないけれども経験的な分析知や分別知を十分に所有しているような人たちには、世界は言葉や概念で区分された現象の世界(つまり、「分別性」の世界)として顕われるということです。そして、真実性と分別性の共通基盤にあたるもの、ないしは両者をつなぐ通路のことを、「依他起性」と、ここでは、呼ぶことにします。「依他起性」とは、字義通りに、他によって起こるという意味です。世界の基本の様相は「縁起」と「因縁」、つまり何かが原因となって何かが起こる、そういうことの連鎖であり、したがって固定した実体というものはありません。そういうものが、「真実性」の世界と「分別性」の世界の通路となっている。
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