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2012年4月20日 (金)

お米の小売価格のこの1年半の推移と輸入中国米(その2)

先日の日本経済新聞に『国産米信仰 揺らぐ?』というタイトルの解説記事が掲載されていました(2012年4月16日)。

記事全体の趣旨を壊さないように用心しながら記事の一部を複数の段落から引用すると(以下の『・・』部分)、

『外国産米がにわかに脚光を浴びている。大手スーパーや外食店が今春から相次ぎ取り扱いを始めた。』
『だが(大手スーパーの)店頭には「売り切れ」の貼り紙。』
『価格は5キログラムで1299円と国産の低価格米より2割安い。』
『都内の店舗でありついた中国産米を食べてみた。国産米と見た目や香りは変わらない。』
『かつて敬遠されたタイ米と異なり、現在流通しているコメは日本人が好む品種だ。これが外国産米がじわり浸透する一因だが、家計調査からは別の理由も浮かび上がる。』
『長引くデフレを受け、消費者はコメを選ぶ際に「安さ」を重視するようになっている。』

ないものねだり的なコメントを書くと、その大手スーパーで売り切った当該米の販売数量が記事の中ではよくわからない。年間77万トン輸入しているミニマムアクセス米の一部(10万トン)のSBS輸入米であることは確かだが、調査したコメの販売数量については言及がない。著者が「都内の店舗」で購入したお米の品種や、そのお米が中国のどの地方で何年に生産されたのかについても、調べなかったのか、尋ねてもわからなかったのか、言及はない。

【註】SBS輸入米とは、Simultaneous Buy and Sell system(SBS制度)による輸入米のこと。SBS制度とは、外国の精米業者と輸入資格を持った商社、そして日本国内の卸売業者の三者が組んで、1㎏あたり292円を上限とするマークアップ(輸入差益)を国に支払って落札するもの。今までも、外食産業などの主食用として販売されてきた。だから、ある程度の疑似関税がかけられた輸入米といえる。実際のマークアップ金額は、当然といえば当然であるが、公表されていない。それが292円という高いマークアップでないのは計算から明らか。5㎏の店頭価格が1299円ということと、短粒種(ジャポニカ種)中国米の現地価格の幅(安いのから高いのまでいろいろ)・流通経費・スーパーの予定利益額などを勘案すれば、マークアップ金額はだいたい見えてくる。が、ここでは触れない。なお、農水省データによれば、平成23年度の中国からのSBS輸入米は5万1095トン。(参考までに、日本の年間お米生産量と年間消費量はそれぞれ約800万トン。)

こういうタイプの値段の安いコメが一部の消費者に売れるのは、不思議でもなんでもなくて、僕の好きな「農産物消費者の4類型」をまた援用すると、左上の箱に分類されている消費者のうちの一部の方は喜んで購入すると思います。

4rev_2
ブログ上では字が小さくてほとんど見えないので、上の図の一番下の【註】の前半部分を拡大すると以下のようになります。

『【註】アンケート調査等では「食の安全が一番」「地産地消が大切」と答えるが、実際の消費行動では、スーパーの外国産特売品に飛びつく層。』。

ここで外国産特売品というのは僕が控えめな表現に直したもので、実際は中国産の特売品のことです。これは、たとえば、野菜や一部の加工食品に関して繰りかえして見られた、そして今も見られるスパイク状の消費者需要( __↑↑__ といった形の需要のこと、間歇的にわっと増える)で、今回はコメでも見られたということでしょう。『国産米信仰 揺らぐ?』といった大げさなものではないと僕は考えています。お昼ごはんに小さな子供にマクドナルドを食べさせ、「即席栽培」の味噌や醤油を値段が安いという理由で購入する主婦層には人気が出るかもしれません。それも食べ物に関するひとつの考え方なので、僕がとやかく言う筋合いのものではない。

お米をネット通販で購入する消費者が増加中」という記事を、その一部にある新聞記事を引用しながら、昨年末に書きました。増加の理由は「ネット販売が、お米の産地や放射性物質の検査体制などを細かく説明しているので、消費者の信頼を得ているから」。こうしたお米の価格はスーパーの売れ筋よりは当然高い。安全・安心のためにプレミアムを支払うのが、このタイプの消費者。

今回の輸入中国米需要も、価格競争が激しい丼物の外食チェーン店は食材コスト削減が一番の関心事なので別として、一般消費者が中国産米を購入した理由が「輸入時に残留農薬検査は実施しているとはいえ農薬や消毒薬については若干不安だけれども、ともかく『放射性物質汚染のない』『低価格米』」という複数のパラメーターの組み合わせにあるのかもしれません。

関連記事は「中国のジャポニカ米とインディカ米」、「続・中国のジャポニカ米とインディカ米」、「籼米・粳米・糯米」。

「お米の小売価格のこの1年半の推移と輸入中国米」の終わり。

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