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2012年4月12日 (木)

グローバリゼーション: その意味の私的な利用の仕方

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グローバリゼーションとは、米国の政治経済戦略およびその底の価値観を地球規模で他の国々に押し付けることで、米国に有利な政治経済状況を作り出そうとすることだと考えています。IMF(国際通貨基金)やWTO(世界貿易機構)はそのための便利なツール。少し表現を変えると、グローバリゼーションとは、米国の資本蓄積を回復するための米国資本主義の1970年代からの考え方(いくぶん古い用語を使うとイデオロギー、ビジネスモデルといってもいいのだけれども、それだとグローバリゼーションのアクの強さが薄まってしまう)、あるいは、ドル還流システムを軸に展開する米国の資本蓄積戦略ということになります。中国は最近は少し減らし始めていますが、それでも中国と日本は、その価値が減耗中の米国国債のあいかわらずの大量保有国です。

そのグローバリゼーションを構成している活動は以下の3つ。

(1)民営化、あるいは、国営企業の廃止
(2)規制の撤廃、あるいは自由貿易の強制
(3)福祉の削減、あるいは他者の不幸の利用

この3つを底で束ねているのが、「自由競争らしきもの」に格別に大きな価値を置くという考え方です。「自由競争らしきもの」を極限にまで推し進め、「自由競争らしきもの」に他とは比較にならないくらいの優先順位を与えてグローバルに政治経済的に活動するということです。

つまり、負けた奴は、いろいろな意味で負けたので致し方ない。それが実力の差である。そういう連中を支援(たとえば、福祉政策)する必要などない。自由競争なので効率の悪い国営企業・公的企業など邪魔なだけである。相対的に能力や実力のない相手の境遇(たとえば、相対的に貧しい状態)を利用するのは自由競争の有効な戦略のひとつであり、そうすることで生産効率・活動効率が上昇する(穏やかな例だと、プロスポーツ選手の金銭トレード)。貿易も自由であるべきで、売りたい商品が売りたい国に売れない場合は、その商品の品質などが悪いのではなく、輸出相手国が何か自由貿易を阻害するような邪魔をしているに違いない、だから、その邪魔を撤廃させる。

おのおのに、日本での最近(少し前と現在)の「押し付け」例、および、それに準ずるものを重ねあわせると以下のようになります。

(1)民営化、あるいは、国営企業の廃止 → 「郵政民営化」
(2)規制の撤廃、あるいは自由貿易の強制 → 「金融のビッグバン自由化」、「TPPへの強引な参加誘導」
(3)福祉の削減、あるいは他者の不幸の利用 → 「非正規雇用の推進」、「養殖漁業への民間参入を促す、□□県知事の『水産業特区(漁業特区)』構想」

3番目の一部は、ナオミ・クラインの用語だとDisaster Capitalism(彼女の本の翻訳者のわかりやすい訳語だと「惨事便乗型資本主義」)と呼ばれており、自然災害に襲われた気の毒な地域の「再開発」、気に入らない他国で起こす侵略戦争への「ロジスティクス提供」などをさします。つまり洪水や地震・津波といった突然の大規模自然災害、あるいは侵略戦争といった人為的な災害を巧みに利用してかせぐ米国流資本主義のことです。

トレーニング母体を共有する政治家グループが表舞台で活躍し始めた時、あるいは別の政治グループが新しく登場してきた時には、そうしたグループとは一体に何者なのかが普通は気になります。僕の流儀は、そうしたグループの主張がグローバリセーションの3要素とどれくらい重なっているかを見ることです。そうすることで、当該グループの深層的な性格もいくぶんは見えてくるし、またそのグループが、たとえば「グローバリゼーション推進者」にソフトパワー的に「支援される」可能性の高さを判断するヒントにもなります。

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