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2012年4月 3日 (火)

食と3種類の知とヘルシーエイジング(3)(3-2)(その2)

(3)食べるもの・食べることと3種類の知
 (3-1)3種類の知の状況
(3-2)食べるもの・食べることと3種類の知の関連 (その2)
 (3-3)食と農業と3種類の知
 (3-4)食と医学と3種類の知

「測る知」はインスタント食品や冷凍食品、ファーストフードを生み出して大量流通させるだけでなく、「測る」ことが得意なので、「思考し共感する知」は「測る知」の得意技を食材の賢い選択にも利用し、食材との対話性を高めることができます。「測る知」を利用すれば食材に含まれる脂肪酸の量や抗酸化力が計測できますが、ここではその2つを媒介として「測る知」と「思考し共感する知」のコラボレーションに触れてみます。

脂肪酸はたいていの食材や食品に含まれています。脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれますが、ご飯、牛肉・豚肉や卵、牛乳・バター、チョコレートなどには飽和脂肪酸が多く含まれています。

不飽和脂肪酸は一価(モノ)不飽和脂肪酸と多価(ポリ)不飽和脂肪酸に分かれます。一価(モノ)不飽和脂肪酸を多く含む食材には、動物性の脂質、それからオリーブ油やカノーラ油(ナタネ油)があります。

多価(ポリ)不飽和脂肪酸には、たいていの植物油や大豆油、そうした植物油を使うマーガリン・マヨネーズ・ドレッシングなどに含まれるオメガ6系のものと、シソ油・エゴマ油・亜麻仁油(フラックス油)や魚(とくに青魚)に多くふくまれるオメガ3系のものがあり、最近では、健康を維持するためには、オメガ6系とオメガ3系のバランスがとくに重要だとされています。

(【蛇足的な註】食べ物に限りませんが、学界や業界の定説やジョーシキというのは、時間軸上のそれぞれの時点での知見に基づくものなので、一定の頻度で、つまり、より信頼できる知見がより信頼できるデータとともに登場すると、定説やジョーシキは変化する。オメガ3系の重要性、正確にはオメガ6系との量的バランスにおけるオメガ3系の重要性が認識され始めたのは、比較的最近のことです。)

オメガ6系とオメガ3系のどちらも私たちは体内合成できないので、食べ物を通して摂取するしかない必須脂肪酸です。魚(とくに青魚)に含まれるオメガ3系の代表的な不飽和脂肪酸がDHA/EPAですが、脂肪酸についてはたいていの食材に関して、そしてある程度は調理の状態(生のとき、焼いたとき、水煮にしたときなど)を反映した測定結果が公表されています(「日本食品標準成分表」「脂肪酸成分表」など)。

オメガ3系の不飽和脂肪酸に関して余計かもしれない感想を書くと、エゴマ油は値段が非常に高いのでどんどん使うというわけにはいかない。亜麻仁油(フラックス油)は亜麻の種子を絞ったもので、亜麻の繊維の色から「亜麻色の髪の乙女」などとロマンチックな表現で使われますが、亜麻仁油そのものは匂いや味に癖があるので好き嫌いがはっきりと分かれます。オメガ3系の脂肪酸は魚を食べて摂取するのがいちばん簡単ですが、魚嫌いの人や魚は触るのもイヤという若い主婦・中年の主婦もいらっしゃるようなので、万人向きの方法はありません。

たいていの生物は呼吸する空気に約21%含まれている酸素がないと非常に困るけれども、同時に酸素は、生物にとっておそろしい存在です。呼吸で体内に取り入れた酸素から一定割合(吸った酸素の2%)で発生する活性酸素(スーパーオキシド)やそれが変化したもの(ヒドロキシルラディカル)、あるいは紫外線を浴びると発生する活性酸素などが、私たちを、細胞レベルでゆっくりと傷つけ劣化させます。若いとき、つまり再生産可能年齢に達するあたりまでは、活性酸素は私たちの体を病原菌から防御しますが、私たちが再生産可能年齢を過ぎてしまえば、その同じ活性酸素が逆に私たちを静かに攻撃し始めます(ニック・レイン「酸素-世界を作った分子」)。

だから、その活性酸素が発生した時点でそれをある程度消すことができたら、我々の細胞の劣化はそれだけゆっくりとしたものになります。活性酸素を消すには抗酸化力を持ったなにかが必要です。私たちも活性酸素から体を防御する機能を持ってはいますが、それだけでは足りない。年齢とともにだんだんと足りなくなる。

ありがたいことに、私たちが食べる野菜・果物・穀物にはファイトケミカルという形で抗酸化力が保持されています。虫の攻撃、紫外線で生じる活性酸素の攻撃などから身を守るために植物が自ら作り出した物質がファイトケミカル(ファイトはギリシャ語で植物の意味)で、植物栄養素とも呼ばれますが、おもに植物の色素や香り成分、アクなどに含まれています。サプリメント製造販売会社の露出頻度の高いコマーシャルなどを通じて、私たちにおなじみになったファイトケミカルには、リコピン(トマト)、アントシアニン(赤ワインやブルーベリーや黒豆)、カテキン(緑茶)、ケルセチン(タマネギ)などがあります。

野菜・果物・穀物の抗酸化力の公開という点では、自国民が野菜を食べないのでその健康状態に政府がイライラした米国が先を走っていますが、米国の抗酸化力指標であるORAC (Oxygen Radical Absorbance Capacity)には不十分なところ(たとえば、ORAC分析法は分析精度が低い、ORACでは緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイド系抗酸化物質〈β-カロテンのような化合物〉の抗酸化能を評価できないなど)があるので、日本ではORACの欠点を補ったAOU (Anti-Oxidant Unit)という指標が測定データの整備も含めて標準化の確立中・普及中といった状態です。

日本では、ORACやAOU以外の抗酸化力の測定方法(たとえば、産地の評価や旬の発見に向いたDPPH法や、野菜などが生体の中で発揮する抗酸化力に近いものが測定できるESR法)も使われており、研究者や民間研究調査機関に測定データも相当に蓄積されているので、AOUの日本での標準化が手間取るなら、それらを参考にすればいい。

そうした測定データから野菜は旬の時期に抗酸化力がいちばん強く、また実際に食べてみたら、野菜は旬の時期がいちばんおいしいことがわかる。たとえば、ホウレンソウやキャベツ、あるいは小松菜は冬に抗酸化力やビタミンC含有量や糖度が断然高く、だからその時期がいちばんおいしい。それらを夏に食べても、冬の半分かそれ以下のパワーしかない(「デザイナーフーズ株式会社」の分析データを参照)。キュウリには抗酸化力がほとんどないし栄養素にも目立った特徴がない野菜ですが、夏が旬の野菜なので、ハウス物のキュウリをわざわざ寒い時期に食べるというのも間が抜けています。

このように、「思考し共感する知」は、食材との「対話性」、食べる場における食べ物との「対話性」を高めるために「測る知」の得意技を利用することができます。

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