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2012年4月13日 (金)

天ぷらと、酸化が進んだ油

夜から明け方までずっと胃がもたれた感じが続いていて消えませんでした。理由は明らかで、天ぷらの油です。酸化が進んだ油を使った料理を食べると、必ずこうなる。少し前、3月下旬の話です。今度は札幌でいい店を見つけたつもりが、また残念な結果となりました。

世の中には、油の酸化などほとんど気にならない元気な方々もたくさんいらっしゃるので(たとえば、天ぷらチェーン店のファーストフード的な天丼がお好きな方)、僕の胃の鍛え方が足りないだけなのかもしれません。

天ぷらは自宅では作りません。おいしいのは自宅では無理だからです。天ぷらが食べたくなると、回数はとても少ないのですが、カウンター席だけの天ぷら屋か、カウンター席が中心の気に入った天ぷら屋だけに出かけます。

今回初めてお邪魔するお店は、超はつきませんが、カウンター席だけの高級な天ぷら屋さんです。個人経営で、天ぷらの邪魔をする余分なお通しなどは出さない。方針がすっきりしています。生ビールを楽しんでいると、さっそく車エビの頭と本体が登場です。

僕たちが選んだコースの値段は安くはない。材料は高級。魚介類も野菜も季節のものがていねいに選択されているし、揚げる前の素材の姿を見たら、いいものかどうかはわかる。ホームページの説明では、油の選択とブレンドにも主人の配慮が行き届いている。

しかし、気に入らない。車エビを食べた瞬間から、店を間違えたという気分になりました。油がよくない。さらっとしていなくてべたっとしている。エビに失礼だという気持ちになる。菜の花になり、そのあとは北海道のボタンエビが続く。ボタンエビも車エビと同じで、べたっとした油とそのにおいが鼻につく。こういう場所で油がよくないのは、前日の古くなったのを使いまわしているといったことはありえないので、その日の取り替え頻度が少ないか、あるいは各回で一度に使う量が少ないか。もしそうなら、天ぷらを揚げているうちに天ぷら鍋(専門店の巨大な天ぷら揚げ容器のこと)の中で天ぷら油の酸化が予想以上の速度で進む。

配偶者も同じような表情をしています。しかし、他の客は楽しげです。そういう話はそこではできない。材料は季節感がいっぱいでとてもいいので、予約してあったコースを最後までそれなりに楽しむことにしました。

以下は自宅に戻ってからの配偶者との会話の要約です。僕は、胃がもたれていて気分がよくないので水をいっぱい飲みながら。

店の戸を開けたとき、予約してあった我々の席以外はすでに埋まっており、中年以上の静かなお客ばかりです。男女比率はほぼ1対1。カウンター席に着いてすぐに配偶者が気になったのは油のにおい。あまりよくないと思ったそうです。僕は最初のエビを口に入れた時にそう感じた。配偶者の位置からは巨大天ぷら鍋の一部が見えたので、主人が場を外したときになんとなく確かめたら、油の量が非常に少なかった。あの量で何人分も揚げるとなると、油がすぐに傷む。配偶者曰く、「私は、天ぷらは油がごちそうだと考えているから」。

頻繁に天カスを取り除く作業は見られませんでした。僕たちが店を出る直前に、天ぷら鍋の油をザーと濾していたので、客の区切りの1時間半から2時間に一度くらいの頻度でまとめて天カスを取り除くのでしょう。そのときの「ザー」の具合から鍋の中の天ぷら油の量が推測できます。量は少ない。カウンター商売は、途中の作業工程がすべて客にオープンなので、たいへんです。

素材はすばらしかった。素材のすばらしさに関しては二人の意見は完全に一致。油もすばらしいものを使っているのでしょう。しかし、いかんせん、使う量が少なすぎるようです。パスタを茹でるのでも、小さい鍋だとうまくいかない。街のお好み焼き専門店がうまいのは、大きくて厚い鉄板で焼くからです。少し値段を高くするか素材を一つ減らしても、その分もっと油を使えばいいと思うのですが、そうすると、価格面や品揃え面でのお客との折り合いが悪くなるのでしょう。

確かなのは、この天ぷら屋はリピーター顧客候補を最初の夜で失ってしまったということです。もっとも、この天ぷら屋さんは長年やってきているので、僕たちのような客は2シグマの外側かもしれません。つまり、誤差としての客。

品薄で手に入れるのが非常に難しい山形の日本酒がおいてあり、生ビール以外はそれを1合ほど、受け皿にあふれる冷やでいただいたのですが、その夜で一番満足したのは、天ぷらではなくこの日本酒でした。だから、結果としては、それなりにいい食事だったいうことになります。

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