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2012年4月11日 (水)

地図帳を回転させると、普段と違う光景

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その本が歴史関係だったか文学関係だったかは忘れました。20数年前に、中華思想について確認する必要から目を通したその本の中で推奨してあったことで、ときどきの退屈しのぎには役に立つかもしれません。

中国(漢民族)が、世界の中心で、その周(まわ)りに文化的に遅れた民族がいるという考えが中華思想ですが、その雰囲気の一部を実感するには、世界地図を手に取り地図の向きを変えながら、中国のまん中あたりから世界を眺めてみたらいいのではという話です。

周りの文化的に遅れた人たちは、東西南北の順に、東夷(とうい)・西戎(せいじゅう)・南蛮(なんばん)・北狄(ほくてき)という蔑称をつけられており、夷狄(いてき)とも総称されます。日本や朝鮮は東夷に分類されています。

夷狄(いてき)という語は、中国の古い文献は当然として、日本の古典にも現れますし、腹立たしい相手、やっつけてやりたいと思う相手をさしてその言葉を使う人を現在の日本でもときどきは見かけます。幕末でもよく使われた言葉のひとつでした。たとえば、尊王攘夷(そんのうじょうい)。

世界を眺める基点としての中国のまん中をどこにするか迷うのですが、遣唐使の昔にでも戻って長安(現在の西安)をまん中と考えてみます。長安の、たとえば空海が滞在したお寺の近辺から、「荘子」に登場する大きな鳥にまたがって空高く舞い上がり日本の方向を見下ろしてみると、樺太(サハリン)と日本列島と朝鮮半島で囲まれた日本海が、大きな湖のように光っているはずです。

北海道の北東部にサロマ湖というホタテ・牡蠣(カキ)・エビなどの魚介類が豊富な湖があり、オホーツク海に面したそこは潟湖(かたこ)と呼ばれていますが、潟湖とは、「砂丘・砂洲・三角州などのため、外海と分離してできた塩湖。一部が切れて海に連なることが多い」(広辞苑)湖のことです。そういう気持ちで大陸上空から日本海を眺めると、日本海はとても大きな潟湖です。

中華思想への僕たちの感情の陰影は別にして、その発想の源泉を想像するために、こういう風に地図帳を使ってみるのも、たまにはいいものです。

さて、その潟湖の向こう側で最近は不思議なことが起きているようです。

僕たちの日常は、僕たちが自分の都合で勝手な振る舞いをしないように、法律や条例で様々な規制・制限を受けています。たとえば、自動車は速度制限を守ること、自転車は車なので原則として車道を走ることなどです。同様に、政府も勝手な行動をしないようにその振る舞いが規制されており、そのために憲法があります。憲法とは政府の勝手な行動(オーボーな振る舞いやボーソー)を制限・規制するための広義の法律のことです。日本国憲法前文の前半部分を大胆に要約すると「政府は勝手な振る舞いをしてはならない、政府のボーソーを防止するためにこの憲法を作ったのだ」となります。

しかし、その規制がうまく機能していないのか、最近は政府がボーソーしているらしいと僕の目には映ります。たとえば、「福祉を含めた全体構造が見えないのだけれど、とりあえず、まず、消費税は増税」、たとえば、「正当化・納得できるような経済利得・政治利得・社会利得が計算できないにもかかわらず、TPPに強引に参加しようとする姿勢」、そして、たとえば「原子力発電所の再稼働へのやみくもな突進」。

各ページが経年変化で薄茶になっている学生時代に読んだ文庫本を本棚から久しぶりに取り出して、パラパラと拾い読みしてみました。定価が★★★(星3つ)の岩波文庫で、書名はジョン・ロックの「市民政府論(国政二論後編)」。17世紀の終わりごろに書かれたその文章のなかに、次のような一節があります。最近の日本政府の立ち居振る舞いと重ねあわせて読むと興味深い。

・「それ故絶対君主政は、人によってはこれを唯一の政府形態と見ているのであるが、実際は市民的社会と相容れず、市民的政府の形態では決してあり得ないということは明白である。」
・「何故なら絶対君主は立法権も執行権もすべてを自分自身だけにもっているものと想定されるのであるから、君主が侵した、またはその命令によって生じた、どんな侵害や不都合についてもこれを訴える途は何人にも開かれていないからであり、公正不偏に権威を以てこれを判定し、そうしてその判定に基づいて救済や補償が期待されるようなどんな審判者もいないからである。」

下は1942年(昭和17年)6月11日付の新聞記事のコピーの一部です。最近も似たような雰囲気の記事が目につきますが、大手報道機関が政府発表の正しくない情報を「自身で納得して意図的に」報道したその一例として保存してあります。ご参考まで。(70年前の記事なのでその著作権は20年前に消滅)

_19426

なお、ミッドウェー海戦の艦船と航空機の実際の損害結果を「失敗の本質」から引用(孫引き)すると、新聞報道とは大きく異なっており、以下のようになります。

・日本海軍の損害(海の底に沈んでしまったもの)
  ・航空母艦 4隻(この海戦に参加していた航空母艦は4隻なので、全部を喪失)
  ・重巡洋艦 1隻
  ・駆逐艦   0隻
  ・航空機   約300機

・米国海軍の損害(海の底に沈んでしまったもの)
  ・航空母艦 1隻(沈んだ1隻は「ヨークタウン」)
  ・重巡洋艦 0隻
  ・駆逐艦   1隻
  ・航空機   147機

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