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2012年4月17日 (火)

いい食べ物は腐りやすい、あるいは、いい食べ物は腐りにくい

いい食べ物は腐りやすい、長持ちしないといわれます。同時に、いい食べ物や作りのいい食べ物は腐らない、長持ちするともいわれます。どちらが正しいのか。

伝統的なつくりのいい食品は日持ちがしない。これは我が家で確認済みのひとつの事実です。たとえば、伝統的なつくりの豆腐屋で買う豆腐や豆乳は3日くらいしかもちません。しかし、スーパーや生協に並んでいるしっかりとしたパックに入った豆乳は、ちょっとびっくりですが、4か月ほどは保存がききます。

必ずしも有機栽培である必要はありませんが、しっかりとした土壌と無農薬(ないし低農薬)・無化学肥料で栽培された野菜は見るからに元気で、そうでない野菜よりは長持ちします。たいていは長持ちさせる前に食べきってしまうのでそういうことを継続的に観察する機会は少ないのですが、これも我が家で確認済みのもうひとつの事実です。

自然農法で野生的に育てられたリンゴは腐らないといわれています。残念ながらそのタイプのリンゴを食べたことがないので、つまり買ってきて放りっぱなしにしておいてその状況を観察するという経験はないので何とも言えません。しかし、雑草という名の野生の草は、散歩の途中や公園の中、近所の山や郊外にゆっくりと向かう電車の窓から気づく限りでは、季節の終わりに枯れてしまったのは見かけますが、腐ったのは見たことがない。これも、僕がわかる範囲で確認済みの事実です(実際は見落としがあるかもしれませんが)。

家畜に限らず穀物(たとえば、稲や小麦)や野菜(たとえば、トマト)のような農産物も、野生の状態から人に手なずけられた栽培対象(つまり、栽培植物)になった段階で、野生の本性(たとえば、虫や細菌などの外敵からの高度な防御機能)を徐々に減らしていきます。野生の植物が栽培植物になるとは、たとえば、次のようなプロセスをさします。

穀類などの野生の植物の特徴のひとつは、種がはじけて地面にバラバラと落下することです(穀粒の脱落性)。バラバラとはじけ飛んだその種をエサとしてついばんだ鳥がそれを体内に入れて遠くに運んでいけば、その植物は別の場所で生育するかもしれない。綿毛のついたタンポポの種は風に吹かれて遠くに飛んでいきそこで発芽する。

しかし、それを人が収穫しようとすると、バラバラとはじけて落下するので、収穫作業としては、落穂ひろいになってしまい、非常に効率が悪い。だから、人はバラバラとはじける度合いの少ない突然変異種をさがしてきて近場に植え付ける。それを改良する。その結果、多くの稲穂を「一網打尽」にできるような収穫のしやすい稲を作り上げた。その一網打尽が可能な稲穂のイメージは「実るほど 頭を垂れる稲穂かな」によく出ています。小麦も同じことです。栽培・収穫のしやすさ(の増加)と野生の強さ(の減少)のトレードオフ。

「自然農法で実ったリンゴ」と「栽培果実としての普通のリンゴ」とでは野性味が違い、その違いが「腐らない」と「腐る」の違いになるのでしょう。そして、この野性味は各種の栽培植物の遺伝子に受け継がれており、生育環境の違いに応じて、つまり強い土壌で有機栽培ないし無農薬栽培された旬の露地物か、あるいは慣行栽培物・ハウス栽培物かの違いに応じて、元気さや元気さの持続日数の差となって発現するのだと思います。

我が家ではいくつかの種類の醗酵食品や天日干し食品を自家消費用に作っています。それらを順不同に並べると、「味噌」、「梅干し」、「タクアン」、「糠漬け」、「納豆」、「豆乳ヨーグルト」そして「ドライトマト」などです。味噌や梅干しは、伝統的な製法でていねいに作ってやれば、2~3年はおいしく食べられる。もっと長く持つと思いますが、食べきってしまうのでその後の状態はよくわからない。

それから昆布や酢で締め、酒粕(さけかす)や味噌に漬けこむと、生の魚が短期間ですが保存食となります。魚が長持ちするだけでなく、生では決して味わえない風味を楽しめます。これも、いいものは長持ちする・いいものは腐りにくい、に該当するもうひとつの例だといえます。

我が家の実際の食経験やそれに準ずる経験にもとづいて「いい食べ物」「そうでない食べ物」と「腐りやすい」「腐りにくい(保存がきく)」および「枯れる」との関係をまとめると(中には、自然農法リンゴや雑草、スーパーの味噌や甘い梅干しのように食べたことのないものも含まれていますが)以下のようになります。

なお、「促成栽培」の味噌や醤油、梅干しなどは、発酵を利用した保存調味料や保存食品の常識と違って、開封後は日持ちがしないので、「腐りやすい」に分類してあります。

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