« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »

2012年5月

2012年5月31日 (木)

ある食材・食品流通組織の「独自基準と考え方」

人気ブログランキングへ

念のためにその報道映像を確認しました。以下(『・・・』部分)は大飯原発再稼働に反対するハンガーストライキの最中にインタビューに応じた瀬戸内寂聴さんの発言の一部です。(画面には発言の書き起こしが表示されているので、それを拝借。なお、アンダーラインは「高いお米、安いご飯」。)

『戦争中の方がね、まだ、ましでしたよね。
恐ろしい国ですよ
滅びつつありますよ
これから生きていくね、若い人とかね、
子どもたち、生まれてくる子はどうするんですか?と、
どうやってそれをね、平気で恐ろしい国に渡せるんですか?

だから、それはとてもね、今悪い状態ですね。

それをどうして政治家が感じないのかがね、本当に鈍いと思いますね。
だって今の政府が再稼働をしようとしているんでしょ?

彼女の感性の在(あ)りようというか、危惧の方向はよくわかる。人には感性と共感力がある。そして、当時の戦争に関する「知識」があれば(体験のある人は少ない)、瀬戸内寂聴さんの発言の背後に広がる心理の渦巻きの中身を感じることができます。

しかし、戦争中よりもましな部分もおそらくいくぶんかはあって、そのひとつは、「大本営発表」を馬耳東風と聞き流すことのできる個人や企業や団体が少なからず存在し、「大本営発表」の内容があやしげなものだと感じられる場合には、2011年3月11日以降の「学習効果」を発揮して自分の考えに沿って実際に活動しているということだと思われます。

たいていのマスコミ媒体は「大本営発表」の増幅と伝達に忙しいのだけれど(関連記事は「地図帳を回転させると、普段と違う光景」)、なかには独自の調査を実施し「大本営」に批判的な論点を展開しているところもあります

新聞の折り込みチラシに、地元の食材食品流通組織のものが混じっていました。(この組織を宣伝することが目的ではないのでここでは組織名は出さない。)こういうところにお金はかけられないので(と、僕は推測)、チラシは白黒のコピーです。チラシのタイトルは、その組織の「独自基準、3つの考え方」。この組織だけでなく、農産物を消費者に直接販売している農家や、食材・食品の宅配企業や流通業者のなかには同様の動き方をしているところもあります。

「3つの考え方」とは、

① 全品目検査と情報公開 (・・・積み上げてきた検査の実績をもとに、実現可能な基準であると判断して設定・・・)

② 食べる量と外部被ばくを考えた独自基準 (国の新基準は食品からの内部被ばくだけを想定して設定されています。しかし、・・・外部被ばくがあることを考慮し、国の基準より低くすべきと考えました。・・・国が年間1ミリシーベルト未満とする被ばく量の限度を内部と外部被ばくで半分ずつ割り当てる考え方で・・・・主食の米をはじめ、牛乳や鶏卵、肉類など、とくに食べる回数や量が多い食品は基準を低くするべきと考えて、数値を設定しました。)

③ 供給判断と、生産者と共同して保障の仕組みを (・・・今後、独自基準を超えた消費材は供給を停止します。・・・どうしたら放射能を低減できるか(生産者と)協議をすすめます。さらに供給を停止した生産者に補償するため、・・・新たな補償のしくみを検討します。)

基準に関する細部で疑問の箇所はあるのですが(たとえば、キノコ類の取り扱い)、考え方は理にかなっている。その理にかなった考え方は、「大本営発表」(たとえば、「たいていの消費者は賢いので、混乱は起こらないと思います。」という記事で言及した農林水産省通達)よりもはるかに説得力があります。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月30日 (水)

給食食材の放射性物質検査に敏感な地方自治体

食品中の放射性セシウムの新しい基準が2012年4月1日から導入され、それにもとづいた「食品中の放射性物質検査結果」が都道府県別に公表されています(厚生労働省)。検査結果と新基準の概要は以下の通り。棒グラフにしてみました。福島第1原子力発電所から大気で運ばれた放射性物質の流れと一致しているようです。〈放射性物質の流れに関して参照・引用したのは、群馬大学・早川由紀夫教授が作成された「放射能汚染地図」(六訂版2012年3月2日)です〉。

_620120302
↑群馬大学・早川由紀夫教授 作成:「放射能汚染地図」(六訂版2012年3月2日)

_2012apr012012may21

_2012apr012012may21_2

国の新基準に納得がいかないので、独自基準で食品を取り扱っている流通業者や地方自治体があります。関連記事は「たいていの消費者は賢いので、混乱は起こらないと思います。」および「たいていの消費者は賢いので、混乱は起こらないと思います。・補遺」。

地方自治体の独自基準とは「学校給食」に関するもので、そのいくつかは報道記事などを参考にすると以下の通り。

・一般食品の国の新基準は、1kgあたり100ベクレル
・京都府京都市: 50ベクレル
・長野県松本市: 40ベクレル
・茨城県常総市: 20ベクレル
・北海道札幌市: 4ベクレル(我が家は札幌)

市長の考え方がよく反映されていると僕の目には映ります。こういう地域の子供は幸せですが、なかにはビジネスサークル出身の市長で学校給食に関してはほとんど関心のない方もおられるようです。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月29日 (火)

野菜にはすこし寒い日々

人気ブログランキングへ

朝早く野菜に水を遣るのは僕の仕事。午前6時すこし前の外気温は、日陰の温度計だと、14℃。少しひんやりとしていて空気は乾いているので、ヒトには実に心地よい。北海道らしい気候です。しかし、今年は全般的に温度が低めで、日中も温度が上昇しない日が多い。野菜がグングン育つには物足りない。寒暖差はトマトやアスパラのような野菜を甘くおいしくしますが、暖の方にどうも勢いがない。

家庭菜園というミクロの状況で北海道の野菜や穀物というマクロを判断するのは乱暴なのですが、気温のせいで我が家の野菜の育ちが遅いという場合は、ハウス栽培は別ですが、たとえば、北海道南西部の農家の露地栽培の状態が思わしくなかったり、札幌の北にひろがる地域での小麦生産が不順だったりする場合があります。

何軒かの気になる野菜農家の栽培状況や出荷される野菜の種類や様子をそれらの農家のホームページやブログで間接的に拝見しているだけでも、野菜や穀物の全般的な状況はわかります。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月28日 (月)

農畜産物の輸出入品目と内食・中食・外食

「外食」は市民権のある言葉だとは思うけれど、「内食」「中食」「外食」と並べた時の最初の2つの用語にはまだどうもなじめません。発音も確かではない。「うちしょく」「なかしょく」「そとしょく」という訓読みの入った組み合わせなのか、それとも音読みで「ないしょく」「ちゅうしょく」「がいしょく」なのか。人気のある発音はそれぞれ「ないしょく」「なかしょく」「がいしょく」のようです。僕には、 発音が他の言葉と紛らわしくないのは「うちしょく」「なかしょく」「がいしょく」のように思えますが、それは、まあ、どうでもいいことです

蛇足ながらその意味は、レストランなどでの食事が「外食」、家庭で素材から調理する手作りの食事が「内食」、そして、その中間の、買ってきた調理済食材や惣菜で自宅で手軽に済ます食事が「中食」。

「内食」「中食」「外食」の割合は、1世帯当たりの食費支出で見ると、全体を100%とした場合、それぞれ以下のようになります。(2009年 家計調査、ただし、菓子・飲料・酒への支出は除外)

内食: 65.5%
中食: 14.1%
外食: 20.4%

不景気が継続しているので出費を抑えるために自宅で食べる傾向が2009年よりも強くなっていますが、素材から料理するのは面倒。面倒なのは嫌なので、惣菜や「野菜シェイク」などのお手軽調理が好まれています(最近の関連記事は「野菜と子供、オランダと日本」)。

アジア太平洋地域の国や地域との農畜産物の輸出入(金額や品目)の概況をぼんやりと眺めながら、「中食」や「外食」との関連を考えるのも悪くありません。

アジア太平洋地域で日本が農畜産物を多く輸入している国(年間輸入金額が1,000億円以上)は、多い順に、米国(1兆2948億円)、中国(5481億円)、豪州(3697億円)、タイ(3327億円)、カナダ(3073億円)、ニュージーランド(1131億円)です(2010年 貿易統計)。

輸入品目に特徴があって、豪州やニュージーランドのナチュラルチーズといった例外はあるけれども、米国・豪州・カナダ・ニュージーランドからは、トウモロコシや小麦、大豆やナタネ、豚肉や牛肉といった原材料や素材の輸入が多い。一方、中国やタイからの輸入品目で「中食」「外食」との直接的な関連で納得するのは「鶏肉調整品」「冷凍野菜」といったプロ(業務用)向き加工食材。スーパーやチェーン外食店の焼き鳥やチキンナゲット、野菜サラダや野菜炒め、鶏肉や野菜を使った各種の惣菜などに使われているのでしょう。

日本からの輸出品目で目立つのが、「ソース・調味料」という括(くく)りになっていますが、「調味料」。ありていにいえば「うまみ調味料」「なんとかの素(もと)」です。米国にもカナダにも、豪州にもニュージーランドにも、当然ながら、中国・台湾・韓国やタイ・マレーシア・シンガポール・フィリピンなどにも輸出されています。「うまみ調味料」の消費量はアジア・オセアニア地域が圧倒的に多い。「うまみ調味料」の関連記事は「白いふりかけ、あるいは、うまみ調味料」。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月25日 (金)

花より野菜

人気ブログランキングへ

近所の通りや公園を歩くと、五月半ばを過ぎた今は、朱色がかった橙(だいだい)色のツツジや、色合いの異なった紫のライラックが楽しめるので、花のような観るものはとりあえず「外」にお任せして、家では食べる植物の準備です。

キュウリとナスとミニトマトの苗がそれぞれ2本ずつ。種から育てている小松菜が双葉の段階を過ぎて新しく葉を出し始めています。残念ながらそれほど暖かくないのでなかなか成長しない。ミニトマトはもう少し大きくなって脇芽を出し始めたら、脇芽を摘み、それを水栽培して苗をつくる予定。以上は室外の話。

室内では、バジルと赤ちりめんシソと青ちりめんシソの種を土のダンゴに播いてあったのが発芽してきた状態です。苗がもう少し大きくなり、もっと暖かくなってきたら、外のプランターに移し替えます。

花を楽しむタイプは我が家では今のところはラベンダーのみ。ラベンダーは北海道産の耐寒性が強いタイプなので問題なく冬を越します。新芽の発生を確認した後で、古い枝を刈り取ってしまうと、緑の葉がどんどんと増えていく。

今年の夏は、ホップ(ビールに使うホップ)で遊んでみるつもりです。蔓で延びていくので夏の日差しをいくぶんかは遮(さえぎ)るはずです。しかし、これは食べられない。自家製ビールをつくる計画はないので、ホップは強い陽光を浴びて輝いているのを見るだけになりそうです。

下は去年のブログ記事(「夏にホップ」)で使った近所の公園のホップの写真です。

Photo

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月24日 (木)

ゴーストタウンのオープンカフェでスィーツを

人気ブログランキングへ

「お客さん、最近はこのあたりはゴーストタウンですよ。」僕がそういう話題向きの表情をしていたのか、タクシーの運転手が突然に話しかけてきました。ゴーストタウンとは意外な表現です。ゴーストタウンとは、運転手さんの文脈では、札幌駅から大通りに向かう大きな通りのことです。「夜は、通りから人がいなくなるんです。ススキノに行く客も減ったし。けっこうわびしいですよ。」

特定のバーや居酒屋といった点でなく、線や面で札幌駅前からススキノあたりにかけて少々詳しいビジネス客や旅行客なら、札幌駅から大通り、ススキノに伸びる道路が駅前通りと呼ばれており、札幌駅と大通りを結ぶ部分の地下に、巨大な歩道空間ができたのをご存知かもしれません。左右にイベント用空間付きのたっぷりと広い歩行者専用道路が、地上のすぐ下に誕生したともいえます。

主要な建物へのアクセス利便性は地上と同じ、信号待ちがない、傘もいらない、で、歩行者はどんどんと地下に降りはじめ、自動車用の舗道と歩行者用の歩道から構成されていた地上部分からだんだんと人影が消えている。そういう劇的な変化の認識は僕にはなかったのですが、その近隣を毎日走っているタクシーの運転手さんには、地上から人が消えたという風に感じられるのでしょう。だから「このあたりは夜はゴーストタウン」という発言になります。その一帯ではタクシーに手を挙げる客も以前と比べると、当然、少ないそうです。

雪が積もってそれが凍ると地上の歩道は実に歩きにくくなるので、札幌の中心部分では地下がとてもにぎわいます。雪と寒さを逃れて地下に入る。そういう傾向が、巨大歩行空間によって助長された様子です。巨大歩行通路の目的は、新しい商店街である札幌駅前に偏り始めていた買い物客を、古い商店街である大通りに回遊させることだったと思うので、買い物客の財布が回遊中に実際に軽くなっているかどうかはわかりませんが、消費者に新旧商店街を回遊してもらうという目的は達成しています。

さて、こういうことは一応は自分で確かめたいので(用事のついでなら、時間もお金もかからないので)、午後3時くらいの「駅前通り」を「見学」してみました。5月下旬の週日の昼間なので、ゴーストタウンという形容はどうかと思うけれど、地上の空間は地下空間と比べてたしかに閑散としています。

その饒舌なタクシー運転手によれば、外でおしゃべりするのにここちよい季節には駅前通りにオープンカフェを設置する計画があるそうです。そうすれば地上に人を呼び戻すことができる。地上の飲食店、とくに喫茶店などが困っているのでしょう。札幌はスイーツの街なので、僕のようにスイーツに関心のない人もいますが、この計画は悪くない。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月23日 (水)

号外: JR千歳線の運行状況(快速エアポート関連)

自分でもしつこいと思いますが、「快速エアポート」を近いうちにまた利用するので、どれくらいの頻度でJR千歳線に不具合(列車の運休やそれに近い状態)が実際に発生しているかのメモです。

◇JR北海道の提供情報をそのまま引用(ただし、アンダーラインは「高いお米、安いご飯」)

【車両不具合による列車への影響について】

平成24年5月23日11時50分現在

本日(5/23)、千歳線 恵み野駅構内で、千歳 11時14分発 手稲行き 普通列車に車両不具合が発生した影響により、現在千歳線の一部の列車に遅れが発生しております。

平成24年5月23日12時08分時点の情報です

▲遅れ

・函館 8時30分発 札幌行き 特急スーパー北斗3号 : 恵み野~恵庭駅間停車中
・釧路 8時39分発 札幌行き 特急スーパーおおぞら6号 : 南千歳駅停車中

・千歳 11時14分発 手稲行き 普通列車 : 恵み野駅停車中 
新千歳空港 11時19分発 札幌行き 快速エアポート113号 : 恵み野~恵庭駅間停車中
・千歳 11時32分発 小樽行き 普通列車 : サッポロビール庭園駅停車中
新千歳空港 11時34分発 小樽行き 快速エアポート115号 : 恵庭駅停車中
新千歳空港 11時49分発 札幌行き 快速エアポート117号 : 千歳駅停車中
・苫小牧 11時23分発 札幌行き 普通列車 : 千歳駅停車中
________________________________________
▲【特急列車減速運転】

・南千歳~釧路間(スーパーおおぞら、スーパーとかち) : 約10~20分の遅れ見込み
・南千歳~函館間(スーパー北斗) : 約5~10分の遅れ見込み

※列車の行き違い等でさらに遅れる場合があります。また、その他の普通列車も遅れる場合があります。



この10日間のJR千歳線(快速エアポート)の「不具合」関連記事は3本で、「JR千歳線、列車遅延のお知らせ」、「JR千歳線は、最近は車両故障も好きらしい」、そして「JR千歳線は、今日も機嫌が悪い。」。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

JR千歳線は、今日も機嫌が悪い。

人気ブログランキングへ

ケータイが鳴くのでお知らせを見てみると、またJR千歳線の話題。詳しい情報が欲しかったのでJR北海道の「列車運行状況」サイトにアクセス。以下は、JR北海道の「列車運行状況」より、快速エアポート関連を引用したものです。JR千歳線(快速エアポート)は、あいかわらず機嫌が悪そうです。ポイント故障、車両故障、そして今日は「軌道回路の異常」。

【註】軌道回路(きどうかいろ)は、鉄道において線路上の特定区間に列車が存在するかどうかを検知する電気的な装置である。信号装置を動かすために用いる。(Wikipediaより引用。)

<「列車運行状況」からの引用開始>

【線路点検よる列車への影響について】

平成24年5月22日12時35分現在 

本日(5/22)、函館線 銭函~手稲間において軌道回路の異常が発生したため、函館線 小樽~手稲間 下り線(小樽→手稲方面)で運転を見合わせておりましたが、12時29分に運転を再開いたしました。この影響により、函館線および千歳線の一部の列車に運休及び遅れが発生しております。(アンダーラインは、「高いお米、安いご飯」)

平成24年5月22日15時08分現在
 
本日(5/22)、函館線 銭函~手稲間において軌道回路の異常が発生した影響により、函館線の一部の列車に運休が発生しております。

▲運休

・小樽 12時04分発 新千歳空港行き 快速エアポート124号:全区間運休
・小樽 12時34分発 新千歳空港行き 快速エアポート130号:小樽~手稲間部分運休

・新千歳空港 13時04分発 小樽行き 快速エアポート131号:全区間運休
・新千歳空港 13時34分発 小樽行き 快速エアポート135号:全区間運休

<引用終了>

飛行機を利用するビジネス客・旅行客のイライラと、タクシー運転手の笑顔が眼に浮かびます。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月22日 (火)

一番茶を、乳酸菌醗酵させた、番茶

人気ブログランキングへ

乳酸菌醗酵をさせためずらしいお茶をいただきました。区分は番茶です。以前は、一般の番茶がそうであるように、気軽に1日に何度も飲むタイプのお茶だったようです。

そのお茶の商品紹介コピーには『7月土用の頃、険しい山肌に自生する茶の葉を、木にしがみつく様に摘み取ります。』とあります。番茶は普通は二番茶・三番茶ですが、これは一番茶をつかった番茶。葉がある程度か硬くなる7月の中ごろに摘み取った一番茶を乳酸菌醗酵させて作るそうです。

お茶の名前は「阿波番茶」。この製法の茶は、「後発酵茶」と呼ばれ、日本では珍しい種類。淹れた茶の色は山吹色。乳酸菌醗酵させてあるので、ほのかに酸味があります。カフェインはほとんどない。再びコピーを引用すれば、『独特の甘酸っぱい香りと、すがすがしい酸味。そしてカテキンが多く含まれていますのでほのかに渋みが残るのが特徴です。』

Photo

写真は「徳島県物産センター」のホームページからお借りしました。

茶の葉には酸化酵素が含まれているので、葉を摘んで揉むと、酸化酵素によって「酸化発酵」が進行する。この酸化発酵をどのように制御するかでお茶のタイプがわかれます。

日本人にいちばんおなじみの緑茶は酸化発酵を行わない自然なお茶(不発酵茶)。一方、洋菓子と一緒に楽しむことの多い紅茶は、酸化発酵を完全に行ったタイプのお茶(完全発酵茶)。ウーロン茶はある程度酸化醗酵を行ったもので緑茶と紅茶の中間。紅茶のように酸化発酵させたタイプには抗酸化力は期待できない。

ちょっと変わっているのが後発酵茶。高温多湿な環境で加熱によって緑茶の酸化発酵を止めた後、微生物(たとえば麹菌や乳酸菌)の作用で発酵させたお茶で、中国のプーアル茶(黒茶)や日本では、徳島の阿波晩茶、高知の碁石(ごいし)茶などがあります。(【註】微生物の作用を利用した醗酵が、本来の醗酵の意味。だから、酸化発酵というのは不思議な用語ではあります。)

この番茶は、無理すれば、乳酸菌入りのカフェインレス紅茶風といえなくもない。しかし、葉を蒸すことで酸化発酵を促す酵素の働きを止めてあるので、抗酸化作用は紅茶よりもはるかに強そうです。この番茶の欠点は、山肌の自生の茶葉だけを手で摘み取って生産しているので、気軽に飲むには値段が高いことです。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月21日 (月)

午後10時30分の駅弁売場

人気ブログランキングへ

新千歳空港から乗ったJR千歳線を降りて札幌駅の改札を出たら、時刻は午後10時30分を少しまわったあたりです。ときどき機嫌の悪くなるJR千歳線(「JR千歳線、列車遅延のお知らせ」、「JR千歳線は、最近は車両故障も好きらしい」)はその夜は上機嫌だったらしく僕を目的地まで何の遅延もなく運んでくれました。

改札を出たすぐのところに、キオスク風というか屋台風の駅弁売場があり、数種類の駅弁を販売中でした。いかにも営業中という感じで、今夜はまもなく店じまいという雰囲気ではありません。

駅弁は、普通は、これから列車に乗り込む乗客が車内で食べるために買うか、列車で移動中の乗客がおなかがすいたので途中の停車駅で買うかです。しかし、午後10時半を過ぎて駅弁とお茶をもって札幌駅から乗り込むのにふさわしい長距離列車はありません。旭川に向かう午後11時5分発の特急があるだけです。これも乗車時間が1時間なので、駅弁向きの列車とは呼びにくい

では、お客は誰か。僕の勝手な推測によれば、札幌駅への到着客。僕も相当におなかがすいていたのでそういう想像が働きました。たった今札幌駅に到着した、あるいはもっと後の電車や列車で札幌駅に到着するおなかをすかせたビジネス客が、この時刻の駅弁のお客。すぐにホテルに入っても、この時間ではホテルではもはや食べるものはありません。駅弁が晩ごはん。コンビニ弁当でもいいのかもしれないが、ちと風情に欠ける。缶ビールは簡単に手に入る。

尋ねたわけでも、追跡調査をしたわけでもないので、その推測が正しいかどうかはわかりませんが、ホテルの部屋で、日付の変わる時刻に、缶ビールと駅弁とメール処理という組み合わせはよくありそうなパターンです。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月17日 (木)

野菜と子供、オランダと日本

実際に、店頭で現物を手にするとなかなかに楽しいものです。お酒もシェイクしますが、こちらは野菜のシェイク。買わないのですが、商品だけは拝見してきました。

企業のホームページから当該企業に断りなく勝手に写真を拝借するのは、ギョウギがいいとはいえない。しかし、この記事ではこの場でパッと見られる商品写真がそれぞれ1枚ずつ必要なので、マナー違反を犯すことにします(もっとも、2社のうちの1社は、商品写真をブログで表示するためのHTMLをわざわざ用意してあるので、マナー違反というよりも、僕がその企業のマーケティングに上手に利用されていることになりますが)。

まず、商品写真を2枚ご覧ください。写真を見たら、企業名はわかりますが、ここでは企業名には触れません。

Tommiesshakemug

上は、「野菜と消費者の好みの変化と生産者」や「野菜の施設栽培、あるいは植物工場(その3)」でも言及したオランダのスナック野菜の生産販売会社の商品。写真は、シェイクマグ入りのミニトマト。トマトの種類は日本生まれで日本でもファンの多いアイコ。

_

こちらは、各種の食材のタレを得意とする会社の野菜用ドレッシングというか野菜用のタレというか、それと野菜をシェイクするためのマグ容器がセットになったもの。ただし、レタスなどの野菜は消費者が別途購入しなくてはいけない。ドレッシングの味は、ベーコンポテト風味とカレー風味。

両方の商品の共通点やそれぞれの特徴。

◇ ターゲットは子供。しかし、実際の購入者は子供と大人。

◇ 対象食品は生野菜。ひとつはミニトマトなど。もうひとつはレタス。

◇ オランダの会社は、野菜そのものをかわいらしいパッケージ(シェイクマグ)につめて販売しているのに対して、日本の会社は、食材用のタレの会社なので、野菜用ドレッシングとドレッシング作業(ドレッシング遊び)用の容器(シェイクマグ)を、野菜なしで、販売。

◇ オランダの商品は、子供やスポーツ愛好家を中心に、きれいにパッケージングされたスナック野菜(袋詰め、あるいはシェイクマグ容器に入った、ミニトマトやミニパプリカやミニキュウリなど)を「手軽に歩きながらでも食べられる」「子供でも好きになる味」という今風の(つまり、日本でもおなじみの)消費者ニーズに対応したもの。

◇ 日本の商品は、その特徴を、当該企業のホームケージから引用すると(『・・・』部分)、以下の通り。

 『◇お野菜シェイク
  ・容器に野菜を入れて、添付の粉末調味料をかけてシェイク!野菜がスナック感覚で 
   食べれます! 時間:3分、カロリー:19kcal、シーン:子ども向き。
  ・作り方
   (1) ちぎったレタスを容器に入れます。
   (2) 添付の調味料を振り入れます。
   (3)蓋をしっかりしめ、約30~40回振って、出来上がりです。』

なお、「お野菜シェイク・ベーコンポテト風味」の原材料は、ホームページに丁寧に記載してありますが、「原材料名/乳糖、食塩、砂糖、乾燥マッシュポテト、粒状大豆たん白加工品(粒状大豆たん白、粉糖、食塩、米糖化調味料、その他)、オニオンパウダー、ポークパウダー、ガーリックパウダー、黒胡椒、粉末醤油、調味料(アミノ酸等)、香料、酸味料、ベニコウジ色素、スモークフレーバー、カラメル色素  (原材料の一部に小麦を含む)」。ご参考まで。

どちらも、スナック感覚で食べられる、楽しげな野菜関連商品です。

□□□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月16日 (水)

JR千歳線は、最近は車両故障も好きらしい

人気ブログランキングへ

JR千歳線、列車遅延のお知らせ」の続きです。

ケータイ(スマートフォンではないが、もどき)のお知らせは、新しい情報(列車故障や運休などのJRの運転状況、地震速報、雨のお知らせなど)が届くとピヨピヨという音がします。まあ、そういう設定にしてあるのですが、「JR千歳線 運転状況」というタイトルの短い連絡がまた2本入っていました。

「JR千歳線 運転状況
車両故障の影響で、一部列車に遅れや運休が出ています。
2012/5/14 16:20 現在」

「JR千歳線 運転状況
車両故障の影響で、現在も一部列車に遅れや運休が出ています。
2012/5/14 18:00 現在」

ホテルにチェックインしたあとで、ゆっくりと晩ごはんなどと考えていたビジネス客や観光客は、うんざりとしていることでしょう。

どうも、JR千歳線は、その趣味を、ポイント故障から車両故障に変えた様子です。しかし、正確にはこの感想は正しくなくて、なぜなら、前回の記事(「JR千歳線、列車遅延のお知らせ」)を書いたときにはすぐに思い出せなかっただけで、車両故障のお知らせも以前からよく入っていました。つまり、新しい趣味に切り替えたのではなく、複数の趣味を気分に応じて使い分けているみたいです。そのうち別の新しい趣味があらわれるかもしれません。

これからの半月くらいで、札幌と新千歳空港を2往復(つまり、4回乗車)する予定ですが、その時は、趣味に手を出すのは控えていただきたい。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月15日 (火)

僕にとってなじみやすい電子書籍

人気ブログランキングへ

新聞は大きい紙面を物理的に左右に広げてパッパッと全体を見渡し、気になる記事は細かく目を通すというのが僕にとっては好ましい新聞とのつきあい方です。一方、雑誌は電子出版向きだと考えています。なぜなら、たいていの場合、雑誌とは読み捨て媒体で、読み捨てることが基本ならその場で消費してしまってあとでゴミを捨てる手間などをかけたくないからです。それに、大げさにいえば危機管理などのためにしかたがないのだけれども、最近はゴミ箱をさがすのに時間がかかります。

値段が紙媒体の週刊誌の10分の1とまでは安くならなくても、缶コーヒーやペットボトルのお茶と同じなら、日本だと、とくに夜の仕事帰りの新幹線の乗客に缶ビールと一緒に売れるかもしれません。乗る前にダウンロードしておいて、車内でゆっくりと目を通せばいい。

青空文庫というボランティア活動で支えられているインターネット文庫があります。著作権が切れた小説やエッセイが中心です。これは週刊誌とは違って、文庫本にも収まっていないような作品や、本屋でそれをさがすのがけっこう難しいような作品を読むのに便利です。たとえば、宮沢賢治の「ビジテリアン大祭」。HTML形式でもそのまま読めますが、縦書きが用意されているものも多い。「山月記」(中島 敦)のような古い著作は縦書きが読みやすいし味わいも出ます。(「ビジテリアン大祭」は今のところは、横書きのみ。)

コンビニおにぎりやコンビニ弁当を僕が好きかどうかは別にして、便利な食べ物だとは思います。米国では、目的地までのヒコーキの中で楽しめる読みきり小説に人気が出始めているらしい。安い値段でさっとダウンロードできるので、いわばコンビニ小説です。しかし、日本では、文字の小説ではなく画像情報がいっぱいの週刊誌や漫画(グラフィック・ノベル)が売れ筋になるのかもしれません。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月14日 (月)

「JR千歳線、列車遅延のお知らせ」

人気ブログランキングへ

携帯がピヨピヨ、で、ニュースというかお知らせを見ると、また、JR千歳線の不具合の連絡です。先週末の話です。正確には、また、ではなく、またまたまた・・・(以下、またをいっぱい繰り返す・・・)です。

「JR千歳線 列車遅延  千歳駅構内で発生したポイント故障の影響で、一部列車に遅れが出ています。」僕にとっては、JR千歳線は、札幌と新千歳空港を結ぶ列車です。東京で例えてみると、羽田と浜松町を結ぶモノレール。旅行客・出張客を運ぶだけでなく、通勤電車になっているところも似ています。

「JR千歳線・列車遅延日誌」をつけているわけではないので正確な頻度はわかりませんが、感覚的な記憶だと、定期的に月に1度は故障している。原因は、これも記憶によれば、ほとんどがポイント故障。レールの機嫌の悪い時だと月に2~3回。真冬であまりに寒くてポイントが凍りついたというのではありません。

羽田を結ぶモノレールでこれほどの頻度で故障が発生すると、客のボードーがおこるか、その会社がつぶれるか。僕も何度か、ひどい目に遭いました。バスは長蛇の列、時間に間に合わないので、バスも快速エアポートを待つのもあきらめて、タクシー。結構な額の出費になります。北海道観光の入り口である新千歳空港につながる路線とは、とても思えない。団体バスを利用することのない個人観光客の印象を相当に悪くしている。

北海道では私鉄の競合がないので、これでも大丈夫なのでしょう。

札幌から釧路方面に行く特急は燃えるのが好きだし、飛行場に行く列車はポイント故障が非常に好きみたいです。これは、わざとそうしているのか、尋ねてみたい。釧路方面に向かう特急に乗る時は、ガラス窓を叩き割るトンカチのような道具を用意しようと思っています。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月11日 (金)

日本の農産物と出版物

人気ブログランキングへ

日本の農産物と出版物には、ある種の共通点があるようです。米国の農産物と出版物(とくに電子出版物)にも日本と同じような、しかし方向の違う共通点が見られます。その他の国の農産物と出版物の関係についてはよくわからない(調べる余裕がない)。

都合のいい事実や現象だけを持ってきて牽強付会にまとめるといった比較をときどき目にします。この記事にもその傾向がありますが、そういういい加減さを承知の上でまとめてみます。

農産物と出版物とは何かを、一応、確認しておきます。農産物とは、コメや小麦やトウモロコシや大豆、トマトやパプリカやホウレン草、リンゴやバナナなどのことで、出版物とはハードカバーやソフトカバー(ペーパーバック)の本、そして一般の雑誌や漫画雑誌のような体積と重さのある印刷物、それから、活字情報や画像情報ないしは映像情報で構成されネットワーク上を流通する電子出版物のことです。

日本の農産物と日本の出版物の生産と消費をくらべてみると、ともに日本という土地での「地産地消」が基本になっています。輸出と輸入に目を向けると、ともに入超。輸出は分野が限定されていて、その量もわずかです。(農産物の範囲を食べ物にまで広げると、カップラーメンは輸出の多い品目。寿司は経済的な輸出品目というよりも文化的な輸出品目なので、高級ネタの一部は輸出されていますが、ほとんどが現地調達・現地生産です。)

出版物は、その生産者(著者)も消費者(読者)も日本語という言語を媒介にするので、日本以外での市場開拓は困難です。日本の漫画は、コミックというよりもグラフィック・ノベルなのでその洗練度が他国よりも圧倒的に高いのですが、漫画にも言葉の壁があり、日本語を理解しない人に広く浸透するのは難しい。

一方、米国は農産物(小麦やトウモロコシ、それからコメもそうですが)の輸出志向が強い。ともかく大規模に作って、国内市場がいっぱいなら国外でさばく。日本人が第2次世界大戦後にパンを食べ始めたのも、米国で余った小麦の販売戦略(短期的な余剰分の処分と長期的な需要喚起)の一環でした。米国は牛肉や遺伝子組み換え作物(GM作物)の生産と輸出にも熱心ですが、同じ指向性に根ざした動きだと考えるとわかりやすい。

米国の電子出版物(この中には電子書籍というソフトウェアコンテンツだけでなく、電子書籍用の、あるいはそれに向いたハードウェアも含めます)の生産と流通にも飽くなき情熱を持っているようです。電子出版物の場合は、調達と流通と課金のシステムさえできてしまえば、あとはコンテンツがネットワーク上を飛びかうだけ。インターネットの普及で、英語が情報伝達・情報交換の標準語に徐々に近づいてきているので、そういう目的で英語の電子出版物を普及させる場合の言語障壁は、日本語の場合よりは圧倒的に低い。

以前、モノ作りの発想基盤を「言語発想」と「感性発想」と「物発想」の3種類に分けたことがあります。言語発想やメタ言語発想の例としてはIT(情報技術)の基盤ソフトウェア、感性発想の例としては漫画やゲームソフト、物発想の製品・商品の例として自動車や電気製品や衣類などを挙げてみると、日本人が、世界の他の国や文化と比べて、相対的に得意な発想領域は、「感性発想」と「物発想」だと考えられます。江戸時代から明治にかけてヨーロッパで歓迎された日本の美術工芸品には、その2つの発想がうまく集約されているように思えます。

すると、農産物や出版物は、どういう発想基盤と適合的なのか。ぽとぽとと思案中。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月10日 (木)

コメと、産業界のコメ

人気ブログランキングへ

かつて、日本で、半導体は「産業界のコメ」と呼ばれました。それほど昔のことではありません。半導体の中で、日本が世界を席巻したのがDRAM(Dynamic Random Access Memoryダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、コンピュータなどに使用される半導体メモリの1種)でしたが、その「日本産業界のコメ事業」(つまり、日本企業によるDRAM事業)が終焉を迎えています。

「産業界のコメ」がわが世の春をうたったのは、1980年代の後半から90年代前半。N社とH社とT社は、世界の半導体市場の売上高の上位を占めていました。

その、今は消えようとしている「産業界のコメ」政策の当初の、あるいは当時のキーワードは、僕の記憶によれば、「規模の経済」、「大規模化による効率化と市場シェアの拡大」、「大規模ビジネス主体への公的支援資金の集中」などだったと思います。

この2年ほど前から頻繁に、「半導体というコメ」を主導した公的部署や経済団体から、「別の分野」に関して、ほとんど同じような発言が繰り返されているようです。とくにTPPがらみでこの声が大きくなった。「大規模化による効率化」と「小規模な事業者は排除し、やる気のある大手に支援を集中」したら、その国際的に遅れているところの「別の分野」は、ビジネスモデルが効率化し、国際競争力を持ち、輸出産業に転じることもできるらしい。

「別の分野」とは「農業」のことです。

もし、「大規模化による効率化」という軸を構成する単純なパラメーターによって世界の市場シェアを獲得し続けけられるのなら、日本の「産業界のコメ」は今も健在のはずです。しかし、事実はそうではない。それにもかかわらず、単純なパラメーターで日本の農業を議論する傾向が「半導体というコメ」を主導した公的部署や経済団体では相当に強い。

自分(の資産)で可能な「大規模化による効率化」のレベルを凌駕する「もっと大規模な効率化」が競合相手として現われたらまったく勝ち目がないというのが、「半導体というコメ」「日本企業によるDRAM事業」の教訓かもしれません。その教訓の意味するのは、日本の農業は、具体性のない「大規模化のすすめ」は適当に聞き流して自分が生き残れる土俵のイメージを持ち続けた方がいいということだと思われます。今でも食料自給率・穀物自給率がきつい状態であるのに、食べるものがもっと「地産地消」できなくなるような事態になれば大変です。DRAMの比ではありません。

関連記事は「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その1)」、「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その2)」「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その3)」。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 9日 (水)

合併後の、合併を感じさせない日常オペレーションは難しい

人気ブログランキングへ

マクロの難しい話ではありません。虫の眼で見たミクロな話です。

◇ A銀行とB銀行が合併し、AB銀行になりました。ずいぶんと前の話です。

同じ銀行に複数の口座を持っていて、そのひとつの口座から他の口座にお金を移す場合は、通常は「振替」と呼ばれる手続きをとります。しかし、これが、別の銀行の自分の口座、あるいは別の銀行の他の人の口座、ないしは同じ銀行の他の人の口座に購入代金の支払いなどでお金を移す場合は、この手続きは一般に「振込」と呼ばれており、一般的にいくらかの振込手数料が請求されます。

だから、AB銀行の旧B銀行口座から旧A銀行口座にお金を移す場合は、両方がともに本人名義なら「振替」という手続きをとると考えるのはおかしなことではないと思うのですが、AB銀行の場合は「振込」という手続きになります。「振替はできません。振込処理を選択してください。」といった感じのメッセージが、例えばインターネットバンキングの場合には、現われます。手続きの名称が少々紛らわしいというだけのことですが、基幹ソフトウェアの統合が難しいのでしょう。

◇ Xという家電メーカーとYという家電メーカーが合併しました。吸収合併なので、合併後は、Yという会社もYという商品ブランドもなくなりました。

普段ほとんどイライラしない配偶者が、このところある調理用家電製品の具合が悪いのでイライラしていました。X社ブランドのついた保証期間中の製品です。調理工程が30分ほど進行した段階で、投入した原材料類がその家電製品の内部でうんざりするくらいに飛び散って、原材料はすべて無駄になる。飛び散った原材料が思いもしないいろいろな隙間に入りこんでいるのでも後片づけが非常に面倒である。取扱説明書に関連する症状や対応策の記述はない。

X社のお客様相談センターに電話し、近くの修理部門から出張修理に来てもらいました。修理部門には別途、症状を伝えてあります。スタンドアローン型ですが結構重い調理家電製品なので、「出張修理」が標準になっています。

配偶者が修理に来た方に「このところ、材料が飛び散って、何度も酷い目にあっている。器具の掃除は完璧なので、汚れが原因でこういう事態が起こるとは考えられません。製品に欠陥でもあるのではないのですか、似たような例は他のお宅でも多いのですか」といった内容のことを伝えても、取り外し作業の不要な主要部品を交換して、「これで大丈夫なはずです、使ってみてください」というだけで、不具合原因の説明などはなかったそうです。

すっきりしないので、さらに理由を尋ねると、「これはもともとは、Y社の設計した製品なので」。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 8日 (火)

原木栽培のシイタケが窮地

人気ブログランキングへ

すべての原木栽培がおいしいというつもりはありませんが、原木栽培と菌床栽培のシイタケの香りや味わいの違いを納得しようと思ったら、半日ほど天日干しした生しいたけの軸をカットし、短くなった軸の部分を上にした状態 (upside-down) で軸に塩をのせて蒸し焼きにし、じわっとなった傘の内側にスダチかユズをかけて召し上がることをお勧めします。そのとき陶然とした気持ちにしてくれるシイタケとそうでないシイタケがあり、そこで原木ものと菌床ものの差があきらかになります。

原木栽培のシイタケが、あいかわらず続く放射性物質汚染で窮地に陥っています。

菌床栽培のシイタケやその他の菌床栽培のキノコ類は、空調施設完備の工場で、つまり常に快適な温度と湿度が維持された環境で周年(通年)栽培されており、だからほとんど工業生産品といえるかもしれません。

しかし、原木栽培のシイタケは外気の下で、クヌギやミズナラなどを「ほだ木」として使う天然に近い栽培方法なので、「ほだ木」も、その「ほだ木」で育ったシイタケも被曝します。福島第1原子力発電所から150キロ~200キロメートルも離れた原木シイタケ生産地域でも、「国の基準値」を超える放射性セシウムがあいかわらず検出されているようです。そういう場合は当然のことながら、出荷ができない。また、「ほだ木」は必ずしも地産地消ではなく、主要生産地から各地に流通するので、それを知っている消費者は原木シイタケに対してより慎重になっている。それも原木シイタケの事態を深刻にしています。(【註】キノコ類は放射性セシウムを蓄積しやすい。放射能汚染された食品例として、チェルノブイリ事故調査の時にもキノコはよく登場した。2012年4月からの「国の基準値」は、シイタケが一般食品と同じで100ベクレル/kg、原木そのものは50ベクレル/㎏。)

現在、測定結果を公表して検査済みの原木栽培シイタケを出荷しているところは、僕の知る限り非常に限られています。原木シイタケの安全・安心を測定データで伝えることがなかなかできないので、消費者の財布は、外気被曝のない(あるいは、ほとんどない)地域で生産された菌床栽培シイタケにだけその口を開くことになる。

原木シイタケの生産量は国内のシイタケ生産量全体の18%くらいです。つまり、原木シイタケ生産者は付加価値の高い農産物を自分の商品として選択した人たちです。だから、同じシイタケといっても普及品の菌床栽培に切り替えることはなかなかに難しい。かりに切り替えたとしても、同じ場所でシイタケを栽培している限り、大気の流れは露地も工場も一緒に包み込むので「きれいな」シイタケを栽培することが難しい。他の付加価値農産物の生産がそこで可能でも、同じ場所で露地栽培を継続するなら、あいかわらず放射性物質を運んできている(と、原木やシイタケの検出結果から判断できる)大気の流れを、その新しい付加価値農産物も避けようがない。従って、残る選択肢は、他所へ移住して農業を続けるか、現在の場所で農産物生産以外の仕事に就くか、あるいは自分でそれを始めるか。

放射性物質汚染で窮地に陥った原木シイタケ生産者を支援するには、損害賠償の処理を速めることが緊急に必要だと思われますが、肝心の賠償支払いのプロセスが停滞している。

当分の間は、原木栽培のシイタケの蒸し焼きで陶然とした気分になることが難しそうです。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 7日 (月)

続続・「迷ったら、食べ物は、安全サイド」

人気ブログランキングへ

放射性物質被曝量と発癌リスク(固形癌)との相関関係と、相関関係の閾値(いきち)に関するもっとも新しい知見をRadiation Research Societyのホームページで読むことができます。“Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950-2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases” というタイトルの論文で、「迷ったら、食べ物は、安全サイド」という消費行動の意味を再確認させてくれるような内容が含まれています。

(【註】この2012年に発表された論文の調査対象になっている人たちは、原子力爆弾投下時に広島・長崎に居住していた約12万人。調査目的は、放射線の健康への影響(発癌リスクなど)や死亡率や生存期間の追跡。この12万人には、原爆投下時刻に広島市内・長崎市内にいて被爆したが生きのびた人たち(被爆生存者)と、広島・長崎在住だが原爆投下時刻には広島市内・長崎市内にはいなかった人たちの両方が含まれている。この論文の対象調査期間は、1950年から2003年まで。)

迷ったら、食べ物は、安全サイド」で、以下のラグビーボールのような絵を使いました。
Photo

高い線量に関しては、放射性物質から放射線をいっぱい被曝すると被曝量に比例してリスクが高まるというのは合意されていても、その「いっぱい」とはどこを指すのか、ラグビーボールの右上端部分の黒丸の位置が専門家によって異なっていました。別の表現をすると、低い線量の場合(たとえば、100~200ミリシーベルト未満の場合)は、被曝量とリスク(たとえば、発癌リスク)の関係が実はよくわからないということになっていたようです。

低い線量被曝に関して僕たちが直感的にいちばんわかりやすいのが上のラグビーボール風の絵でいうと「斜め上へ伸びる赤の直線」で、つまりリスクと(被曝)放射線量が比例しているもの。これがLinear Non-Threshold : LNT仮説<閾値のない直線仮説>と呼ばれている考え方。閾値という難しそうな漢字は「いきち」、あるいは「しきいち」と読み、そこを超えるとヤバイといった場合のそのヤバさが始まる値のこと。だから「閾値なし」とは、そこから突然状況がかわるという「そこ」はなくて、低線量でも高線量でも線量に比例してリスクが存在するということです。

上の論文のポイントは、僕の理解では、以下の通り。被曝量(外部被曝と内部被曝)と発癌リスクの相関関係がすっきりとしたので、僕たちのような一般生活者が対応しやすいものになりました。

(1) 被曝量と(被曝による)発癌リスクの相関関係: 被曝量と(被曝による)固形癌の発癌リスクの関係は、リニア(直線的)である。上の絵でいうと、左下から右上に向かって斜めにまっすぐ伸びている赤い線のような関係のこと。

【註】白血病については、すでに詳細な分析があるので、この論文では取り上げていない。

(2) 閾値: 閾値(いきち、しきいち)はない。0Gy(ゼログレイ)から0.2Gy(0.2グレイ)の間にあると考えられてきた閾値は、存在しない。しいて閾値を求めるなら、閾値は0Gy(ゼログレイ)である。

【註】僕自身に対するわかりやすさのために、GyよりはなじみのあるSv(シーベルト)に翻訳。Gy(グレイ)とSv(シーベルト)の関係は「シーベルトの値 = グレイの値 × 放射線の種類による影響係数 × 臓器の種類による影響係数」ですが、ざっくりとGy = Sv と考えると、0ミリシーベルトと200ミリシーベルト(= 0.2シーベルト)の間に閾値はない。しいて閾値を求めるなら、閾値は0ミリシーベルト。

(3) 子供の時に被爆した場合の方が、大人(たとえば、30歳や40歳)で被曝した時よりも発癌リスクは高い。

(4) 0.1Gy(ざっくりと100ミリシーベルト)以下の低線量被曝の実際のリスクは、「直線的な関係」で想定されるリスク値よりも、高い。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 2日 (水)

たいていの消費者は賢いので、混乱は起こらないと思います。・補遺

人気ブログランキングへ

食べ物の中では、水(飲料水)の放射性物質汚染基準の考え方とその運用が安定していて、いちばんわかりやすい。この基準とは2011年3月17日以前の基準、あるいは2012年の新基準案、もとはWHOの飲料水水質ガイドラインです(2004年)。だから、さまざまな食材や食品の放射性物質汚染に関する安全基準値の妥当性を、僕は、水(飲料水)との対比で考えることにしています。水(飲料水)と同水準であれば、子供にも大人にも非常に安全だからです。

【註】飲料水の、ヨウ素 I-131が10ベクレル(Bq)/L、セシウムCs-137、セシウムCs-134が10ベクレル(Bq)/L という基準値は「WHO飲料水水質ガイドライン 2004」に基づいている。そのガイドラインには「一年間の飲料水摂取(年間摂取量は730リットル)による預託実効線量0.1mSv/年の勧告RDLは、年齢に関係なく適用される」とあり、203~204ページのテーブルに放射性核種別の基準値(ガイダンスレベル)が記載されている。

自然発生による放射線被曝量(平均で年間2.4mSv程度)を別にすれば、一般人の年間被曝限界量(外部被曝量+内部被曝量)は1年に1mSvですが、水(飲料水)の関係者は、水(飲料水)による影響を、上の【註】にあるように、その10分の1(年間に0.1mSv)以下に抑えようとしています。つまり、

・人は1日あたり2リットル、つまり年間に760リットルの水を飲む(前提)
・0.1mSvが水(飲料水)に許された年間の放射性物質の基準値である(基本姿勢)
・これを、年間に760リットル飲む水の、1リットル(なお、1リットルは1kg)あたりに許される放射性ヨウ素や放射性セシウムという切り口で計算すると、その基準値はそれぞれ、10ベクレル/リットル。汚染度が基準値ギリギリの場合は、1日分は2リットルなので20ベクレル。(水をあまり飲まない人もいるとは思いますが、自分の飲料水消費量を見ればわかるように、実際には、もっと水を飲んでいる。しかし、それはさておき。)

したがって、水以外の食べ物(たとえば、コメやパンやうどん、大根・小松菜・ニンジン・シイタケ、牛肉・豚肉、鶏卵、サンマ・アジ・鮭・牡蠣、リンゴ・柿、牛乳、お茶など)の放射性ヨウ素や放射性セシウムのそれぞれの測定値が10ベクレル/kg未満なら、それぞれをどれくらいたくさん食べるかといったことをまったく気にしなくても、大食いコンテストに頻繁に出場するような大食感でない限り、非常に安心だということになります。大ざっぱですが、日々の生活では10ベクレル/kgという数値は覚えやすいしわかりやすい。

しかし、それだと大ざっぱ過ぎるといわれるかもしれないので、少し細かく計算してみます。

僕たちは1日に2.0㎏~2.5㎏(2,000g~2,500g)くらいの量の食べ物を食べています。同じようなものだけを食べ続けるのが好きな方もいますが、まあ、1日に15種類くらいの食材・食品(コメやパンやうどん、大根・小松菜・ニンジン・シイタケ・ホウレンソウ、トマト、牛肉・豚肉・鶏肉、鶏卵、サンマ・アジ・サバ・鮭、牡蠣、リンゴ・柿、牛乳、お茶、お菓子・スイーツなど)を食べている。ただし、食べ物に気を遣っている人は、もっと多くの種類をバランスよく食べる。また、管理栄養士ならもっと種類を増やすでしょうが、ここでは15種類としておきます。

1日の食べ物の種類を15種類とすると、その量は全部で2.0kg~2.5㎏(2,000g~2,500g)なので、食品1種類当たりの単純平均量は133g~167gとなる。しかし実際は、丼ご飯一杯のお米の量がだいたい150gなので、ご飯が好きな人(たとえば、朝食・昼食・夕食に適度な量のご飯を食べる人や、お昼に牛丼の大盛りやカツ丼を食べ夜にしっかりとごはんを食べる若い人)だと1日に300g以上はコメを食べている。また、ステーキの好きな人が1ポンドステーキを食べると牛肉量は450gとなる。フライにしたジャガイモも一緒にたくさん食べるかもしれないが、ここでは気にしない。

【註】現在の日本人は一人あたりで1年にだいたい60㎏をわずかに下回る量のコメを食べているので、これを1日分に直すと155g~160g。

「水は1リットル(1リットルは1,000g)あたり10ベクレル」という基準値を個々の食材や食品に適応し、個別の食べ物の1日あたり摂取量の量的なばらつきを25g~450gとすると、ベクレル値は、25gの場合が400ベクレル、50gの場合は200ベクレル、300gの場合が33ベクレル、450gの場合は22ベクレル。1日に20種類の食品を全部で2.0㎏食べると考えると、平均値は100gになって基準値は100ベクレルとなる。これが100ベクレルの想定根拠だと思いますが、消費者は「迷ったら安全サイド」をとるので、これをそのまま受け入れるわけではありません。

そもそも、放射性物質被曝を基準値まで受け入れる必要はないし、水(飲料水)は実際には基準値よりもはるかにきれいです。たとえば、北海道放射線モニタリングサイトの「水道水」のページには「(北海)道では、道内4地点において水道水(蛇口水)を採取し、測定を行っていますが、放射性物質は検出されていません。(『不検出』とは0.2~0.4Bq/kg未満です。)」とあるので、かりに飲料水の汚染を0.4ベクレル/kgとして、先ほどの飲料水を基準とした適応計算をやり直すと改定値は次のように厳しいものになります。

・摂取量25gの食材の場合: 400ベクレル → 16ベクレル
・摂取量50gの食材の場合: 200ベクレル → 8ベクレル
・100gの場合: 100ベクレル → 4ベクレル
・300gの場合: 33ベクレル → 1.33ベクレル
・450gの食品の場合: 22ベクレル → 0.9ベクレル

繰り返しになりますが、日々の生活では10ベクレル/kgという数値は覚えやすいしわかりやすいし、どんな食品に対しても使い勝手がいい。

スーパーやデパ地下、あるいはコンビニの食材売り場の食材にベクレル値が表示されているわけではありません。外食や市販の惣菜にどんなベクレル値のものが使われているかもわからない。とくに価格競争になっているような場合は危ない素材がその食べ物に入りこんでいる可能性はある。外では、お弁当を用意すれば別だが、そういうものを食べるしかない。賢い消費者は、「直ちに影響はない」といったことのその後の意味を学習しているので「迷ったら安全サイド」で考える。

その結果、放射性物質に汚染されていないこと(たとえば、定量下限値が1ベクレル/kgの測定器で「検出せず」といった事実)を発信しているお米の直販農家や、汚染がないか、あるいは汚染度が非常に低いことを第3者機関の測定結果として表示しているような野菜の宅配専門業者が忙しくなる。スーパーの中にもそういう対応を取り始めているところがある。そういう流通チャネルで、「国の基準」よりも安全・安心なものを買っておけば、外で少々ヤバイものを口にしたところで全体の帳尻は合う。賢い消費者の頭の中はそういう風になっていると思います。

食品に含まれる放射性物質を国の基準値まで我慢する必要がないというのは、その使用が国で認可されている食品添加物の入った加工食品を、何も好きこのんで食べる必要がないのと同じことです。賢い消費者は、食品添加物のまったく入っていないもの、あるいは少ない食品を選択しています。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 1日 (火)

たいていの消費者は賢いので、混乱は起こらないと思います。

人気ブログランキングへ

ウソだろう、と思いつつ農林水産省のホームページを拝見したら「新着報道発表」(プレスリリース)欄に、それ(通達)が本当にありました。

その通達の趣旨は、食品産業関連組織や食品流通関連組織は、国の基準よりも低いレベルの放射性物質しか含まないことが測定・確認された食材や食品、つまり国の基準よりも安全で安心であることが確認された食材や食品を、市場に勝手に出回らせないようにせよ、というもの。なぜなら、そういうデータやメッセージを商品属性の一部として持つ食品が市場に出回ると、「愚民(おろかな人民、無知な民衆)」が混乱してしまうので。

(【註】さすがに、「愚民」という表現は使っていませんが、文章のニュアンスとしては「国民」や「消費者」ではなく、「愚民」。)

過剰な規制と消費段階での混乱を避けるため、自主検査においても食品衛生法の基準値(一般食品:100ベクレル/kg、牛乳及び乳児用食品:50ベクレル/kg、飲料水:10ベクレル/kg)に基づいて判断するよう併せて周知をお願いいたします。」(アンダーラインは原文のママ)がこの通達のポイントですが、この通りにすると、たとえば、放射性セシウムなどの検出値が0ベクレルの野菜も、3ベクレルの野菜も、50ベクレルや90ベクレルの野菜も一律に「国の基準値以下」という表示になります。

農産物の生産者や流通業者に中には、信頼できる外部機関を使って放射性物質の自主検査を実施しているところも多い。(関連記事は「お米をネット通販で購入する消費者が増加中」、「農産物通販会社の商品取り扱い基準」)

だから、たとえば、放射性セシウムに関して、定量下限値が「1ベクレル/kg」の測定器で計測した結果、検出結果が「検出せず」となった場合のコメや魚や野菜は、消費者にとっては(その点に関して)非常に安心・安全な食材なので人気が出る。しかし、農林水産省の眼には混乱の原因と映るようです。

【註】検出限界値とは測定機器の検出最低量(たとえば、0.7Bq/Kgや0.3Bq/kg)。定量下限とは当該測定機器の測定値として信頼性のある最低量(たとえば、検出限界値0.7Bq/kgに対して 1.0Bq/kg、検出限界値0.3Bq/kgに対して0.5Bq/kg)のこと。

「愚民」に対するありがたいご配慮ですが、たいていの消費者はじゅうぶんに賢いので、農林水産省の食料産業局長の心配するような混乱は起きないと思います。

【通達の引用の初め】(アンダーラインは原文のママ。)

                               24食産第445号
                               平成24年4月20日

食品産業団体の長宛
                           農林水産省食料産業局長

 食品中の放射性物質に係る自主検査における信頼できる分析等について食品中の放射性物質への対応については、昨年3月に厚生労働省において定められた暫定規制値に適合している食品の摂取は健康への悪影響はないと一般的に評価されているものの、より一層、食品の安全と安心を確保するため、厚生労働省により食品衛生法第11条第1項に基づく新たな基準値が設定され、本年4月1日から施行されたところです。農林水産省においては、国産農林水産物・食品に対する消費者からの信頼や国際的な信認を早急に回復するため、関係機関と緊密に連携しながら、消費者に安全な食料を安定的に供給することを最優先に取り組んできたところです。

 食品産業事業者の中には食品中の放射性物質に係る自主検査を実施している事業者もみられますが、科学的に信頼できる分析結果を得るためには、別添の「信頼できる分析の要件」に沿った取組等を行っていることが必要であり、貴団体傘下の会員企業に対しこのことの周知をお願いいたします。

 また、食品衛生法に基づく基準値は、放射性物質を含む食品からの被ばく線量の上限(介入線量レベル)を食品の国際基準を策定するFAOとWHOの合同会議であるコーデックス委員会の指標である年間1ミリシーベルトに合わせる一方で、算定の際の一般食品の汚染割合を50%とし、コーデックス委員会ガイドライン(10%)より厳しい前提が置かれ、さらに特別な配慮が必要な飲料水や乳児用食品等を区分して長期的な観点から設定されたものですので、過剰な規制と消費段階での混乱を避けるため、自主検査においても食品衛生法の基準値(一般食品:100ベクレル/kg、牛乳及び乳児用食品:50ベクレル/kg、飲料水:10ベクレル/kg)に基づいて判断するよう併せて周知をお願いいたします。

【通達の引用の終わり】

その後、4月24日の記者会見でこの通達に関して以下のような記者とのやり取りがあったようです。よくわからないけれども、ご参考まで。(農水省ホームページ)

記者: 「・・・まず、あの、食品の自主検査のことで、ちょっと、改めて伺いたいんですけども、昨日、あの、まあ、通知、出された狙いっていうのは、まあ、周知徹底図りたいということで伺ったんですけれども、その後、まあ、その、流通業界だとかですね、あるいは、農家の、農業関係者の方から、まあ、いろんな、様々な反応が出ていてですね、賛否が分かれる状況になってるんですけれども、まあ、こういう状況を踏まえてですね、改めて、この問題に、どういうふうに対応されていくおつもりか、お聞かせください。」

大臣: 「はい。あの、昨日、申し上げましたけども、基本的に、4月から新しい基準値、規制値というふうなものが、施行されることになったわけでありますので、そのことについて、関係団体の方に、「こういうことですよ」と、いうことを通知を申し上げて、いわゆる、この具体的な措置について、それぞれ御理解をいただく、いうような意味で、通知を出させていただいたわけでございまして、昨日も御質問をいただきましたけども、ま、言わば、「強制的なんですか」というふうことも、お話もございましたけども、まあ、言わば、私どもとしては、そういう、いろんな取組をされている方々を、の、ことについて、否定するものではなく、まあ、いわゆる、差し出がましく口を挟んでいくというようなことではなしに、新しく規制値、基準値というふうなものが、出されたということに対して、いわゆる、よく理解をしていただいて、取り組んでいただくというようなことの必要性から、私らとして、通知、周知していただくという意味で、通知を出させていただいたと、こういうことでございます。」

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »