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2012年5月 1日 (火)

たいていの消費者は賢いので、混乱は起こらないと思います。

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ウソだろう、と思いつつ農林水産省のホームページを拝見したら「新着報道発表」(プレスリリース)欄に、それ(通達)が本当にありました。

その通達の趣旨は、食品産業関連組織や食品流通関連組織は、国の基準よりも低いレベルの放射性物質しか含まないことが測定・確認された食材や食品、つまり国の基準よりも安全で安心であることが確認された食材や食品を、市場に勝手に出回らせないようにせよ、というもの。なぜなら、そういうデータやメッセージを商品属性の一部として持つ食品が市場に出回ると、「愚民(おろかな人民、無知な民衆)」が混乱してしまうので。

(【註】さすがに、「愚民」という表現は使っていませんが、文章のニュアンスとしては「国民」や「消費者」ではなく、「愚民」。)

過剰な規制と消費段階での混乱を避けるため、自主検査においても食品衛生法の基準値(一般食品:100ベクレル/kg、牛乳及び乳児用食品:50ベクレル/kg、飲料水:10ベクレル/kg)に基づいて判断するよう併せて周知をお願いいたします。」(アンダーラインは原文のママ)がこの通達のポイントですが、この通りにすると、たとえば、放射性セシウムなどの検出値が0ベクレルの野菜も、3ベクレルの野菜も、50ベクレルや90ベクレルの野菜も一律に「国の基準値以下」という表示になります。

農産物の生産者や流通業者に中には、信頼できる外部機関を使って放射性物質の自主検査を実施しているところも多い。(関連記事は「お米をネット通販で購入する消費者が増加中」、「農産物通販会社の商品取り扱い基準」)

だから、たとえば、放射性セシウムに関して、定量下限値が「1ベクレル/kg」の測定器で計測した結果、検出結果が「検出せず」となった場合のコメや魚や野菜は、消費者にとっては(その点に関して)非常に安心・安全な食材なので人気が出る。しかし、農林水産省の眼には混乱の原因と映るようです。

【註】検出限界値とは測定機器の検出最低量(たとえば、0.7Bq/Kgや0.3Bq/kg)。定量下限とは当該測定機器の測定値として信頼性のある最低量(たとえば、検出限界値0.7Bq/kgに対して 1.0Bq/kg、検出限界値0.3Bq/kgに対して0.5Bq/kg)のこと。

「愚民」に対するありがたいご配慮ですが、たいていの消費者はじゅうぶんに賢いので、農林水産省の食料産業局長の心配するような混乱は起きないと思います。

【通達の引用の初め】(アンダーラインは原文のママ。)

                               24食産第445号
                               平成24年4月20日

食品産業団体の長宛
                           農林水産省食料産業局長

 食品中の放射性物質に係る自主検査における信頼できる分析等について食品中の放射性物質への対応については、昨年3月に厚生労働省において定められた暫定規制値に適合している食品の摂取は健康への悪影響はないと一般的に評価されているものの、より一層、食品の安全と安心を確保するため、厚生労働省により食品衛生法第11条第1項に基づく新たな基準値が設定され、本年4月1日から施行されたところです。農林水産省においては、国産農林水産物・食品に対する消費者からの信頼や国際的な信認を早急に回復するため、関係機関と緊密に連携しながら、消費者に安全な食料を安定的に供給することを最優先に取り組んできたところです。

 食品産業事業者の中には食品中の放射性物質に係る自主検査を実施している事業者もみられますが、科学的に信頼できる分析結果を得るためには、別添の「信頼できる分析の要件」に沿った取組等を行っていることが必要であり、貴団体傘下の会員企業に対しこのことの周知をお願いいたします。

 また、食品衛生法に基づく基準値は、放射性物質を含む食品からの被ばく線量の上限(介入線量レベル)を食品の国際基準を策定するFAOとWHOの合同会議であるコーデックス委員会の指標である年間1ミリシーベルトに合わせる一方で、算定の際の一般食品の汚染割合を50%とし、コーデックス委員会ガイドライン(10%)より厳しい前提が置かれ、さらに特別な配慮が必要な飲料水や乳児用食品等を区分して長期的な観点から設定されたものですので、過剰な規制と消費段階での混乱を避けるため、自主検査においても食品衛生法の基準値(一般食品:100ベクレル/kg、牛乳及び乳児用食品:50ベクレル/kg、飲料水:10ベクレル/kg)に基づいて判断するよう併せて周知をお願いいたします。

【通達の引用の終わり】

その後、4月24日の記者会見でこの通達に関して以下のような記者とのやり取りがあったようです。よくわからないけれども、ご参考まで。(農水省ホームページ)

記者: 「・・・まず、あの、食品の自主検査のことで、ちょっと、改めて伺いたいんですけども、昨日、あの、まあ、通知、出された狙いっていうのは、まあ、周知徹底図りたいということで伺ったんですけれども、その後、まあ、その、流通業界だとかですね、あるいは、農家の、農業関係者の方から、まあ、いろんな、様々な反応が出ていてですね、賛否が分かれる状況になってるんですけれども、まあ、こういう状況を踏まえてですね、改めて、この問題に、どういうふうに対応されていくおつもりか、お聞かせください。」

大臣: 「はい。あの、昨日、申し上げましたけども、基本的に、4月から新しい基準値、規制値というふうなものが、施行されることになったわけでありますので、そのことについて、関係団体の方に、「こういうことですよ」と、いうことを通知を申し上げて、いわゆる、この具体的な措置について、それぞれ御理解をいただく、いうような意味で、通知を出させていただいたわけでございまして、昨日も御質問をいただきましたけども、ま、言わば、「強制的なんですか」というふうことも、お話もございましたけども、まあ、言わば、私どもとしては、そういう、いろんな取組をされている方々を、の、ことについて、否定するものではなく、まあ、いわゆる、差し出がましく口を挟んでいくというようなことではなしに、新しく規制値、基準値というふうなものが、出されたということに対して、いわゆる、よく理解をしていただいて、取り組んでいただくというようなことの必要性から、私らとして、通知、周知していただくという意味で、通知を出させていただいたと、こういうことでございます。」

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