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2012年5月10日 (木)

コメと、産業界のコメ

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かつて、日本で、半導体は「産業界のコメ」と呼ばれました。それほど昔のことではありません。半導体の中で、日本が世界を席巻したのがDRAM(Dynamic Random Access Memoryダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、コンピュータなどに使用される半導体メモリの1種)でしたが、その「日本産業界のコメ事業」(つまり、日本企業によるDRAM事業)が終焉を迎えています。

「産業界のコメ」がわが世の春をうたったのは、1980年代の後半から90年代前半。N社とH社とT社は、世界の半導体市場の売上高の上位を占めていました。

その、今は消えようとしている「産業界のコメ」政策の当初の、あるいは当時のキーワードは、僕の記憶によれば、「規模の経済」、「大規模化による効率化と市場シェアの拡大」、「大規模ビジネス主体への公的支援資金の集中」などだったと思います。

この2年ほど前から頻繁に、「半導体というコメ」を主導した公的部署や経済団体から、「別の分野」に関して、ほとんど同じような発言が繰り返されているようです。とくにTPPがらみでこの声が大きくなった。「大規模化による効率化」と「小規模な事業者は排除し、やる気のある大手に支援を集中」したら、その国際的に遅れているところの「別の分野」は、ビジネスモデルが効率化し、国際競争力を持ち、輸出産業に転じることもできるらしい。

「別の分野」とは「農業」のことです。

もし、「大規模化による効率化」という軸を構成する単純なパラメーターによって世界の市場シェアを獲得し続けけられるのなら、日本の「産業界のコメ」は今も健在のはずです。しかし、事実はそうではない。それにもかかわらず、単純なパラメーターで日本の農業を議論する傾向が「半導体というコメ」を主導した公的部署や経済団体では相当に強い。

自分(の資産)で可能な「大規模化による効率化」のレベルを凌駕する「もっと大規模な効率化」が競合相手として現われたらまったく勝ち目がないというのが、「半導体というコメ」「日本企業によるDRAM事業」の教訓かもしれません。その教訓の意味するのは、日本の農業は、具体性のない「大規模化のすすめ」は適当に聞き流して自分が生き残れる土俵のイメージを持ち続けた方がいいということだと思われます。今でも食料自給率・穀物自給率がきつい状態であるのに、食べるものがもっと「地産地消」できなくなるような事態になれば大変です。DRAMの比ではありません。

関連記事は「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その1)」、「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その2)」「農地の集約化・大規模化で収穫逓増?(その3)」。

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