一番茶を、乳酸菌醗酵させた、番茶
乳酸菌醗酵をさせためずらしいお茶をいただきました。区分は番茶です。以前は、一般の番茶がそうであるように、気軽に1日に何度も飲むタイプのお茶だったようです。
そのお茶の商品紹介コピーには『7月土用の頃、険しい山肌に自生する茶の葉を、木にしがみつく様に摘み取ります。』とあります。番茶は普通は二番茶・三番茶ですが、これは一番茶をつかった番茶。葉がある程度か硬くなる7月の中ごろに摘み取った一番茶を乳酸菌醗酵させて作るそうです。
お茶の名前は「阿波番茶」。この製法の茶は、「後発酵茶」と呼ばれ、日本では珍しい種類。淹れた茶の色は山吹色。乳酸菌醗酵させてあるので、ほのかに酸味があります。カフェインはほとんどない。再びコピーを引用すれば、『独特の甘酸っぱい香りと、すがすがしい酸味。そしてカテキンが多く含まれていますのでほのかに渋みが残るのが特徴です。』
写真は「徳島県物産センター」のホームページからお借りしました。
茶の葉には酸化酵素が含まれているので、葉を摘んで揉むと、酸化酵素によって「酸化発酵」が進行する。この酸化発酵をどのように制御するかでお茶のタイプがわかれます。
日本人にいちばんおなじみの緑茶は酸化発酵を行わない自然なお茶(不発酵茶)。一方、洋菓子と一緒に楽しむことの多い紅茶は、酸化発酵を完全に行ったタイプのお茶(完全発酵茶)。ウーロン茶はある程度酸化醗酵を行ったもので緑茶と紅茶の中間。紅茶のように酸化発酵させたタイプには抗酸化力は期待できない。
ちょっと変わっているのが後発酵茶。高温多湿な環境で加熱によって緑茶の酸化発酵を止めた後、微生物(たとえば麹菌や乳酸菌)の作用で発酵させたお茶で、中国のプーアル茶(黒茶)や日本では、徳島の阿波晩茶、高知の碁石(ごいし)茶などがあります。(【註】微生物の作用を利用した醗酵が、本来の醗酵の意味。だから、酸化発酵というのは不思議な用語ではあります。)
この番茶は、無理すれば、乳酸菌入りのカフェインレス紅茶風といえなくもない。しかし、葉を蒸すことで酸化発酵を促す酵素の働きを止めてあるので、抗酸化作用は紅茶よりもはるかに強そうです。この番茶の欠点は、山肌の自生の茶葉だけを手で摘み取って生産しているので、気軽に飲むには値段が高いことです。
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