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2012年5月 7日 (月)

続続・「迷ったら、食べ物は、安全サイド」

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放射性物質被曝量と発癌リスク(固形癌)との相関関係と、相関関係の閾値(いきち)に関するもっとも新しい知見をRadiation Research Societyのホームページで読むことができます。“Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950-2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases” というタイトルの論文で、「迷ったら、食べ物は、安全サイド」という消費行動の意味を再確認させてくれるような内容が含まれています。

(【註】この2012年に発表された論文の調査対象になっている人たちは、原子力爆弾投下時に広島・長崎に居住していた約12万人。調査目的は、放射線の健康への影響(発癌リスクなど)や死亡率や生存期間の追跡。この12万人には、原爆投下時刻に広島市内・長崎市内にいて被爆したが生きのびた人たち(被爆生存者)と、広島・長崎在住だが原爆投下時刻には広島市内・長崎市内にはいなかった人たちの両方が含まれている。この論文の対象調査期間は、1950年から2003年まで。)

迷ったら、食べ物は、安全サイド」で、以下のラグビーボールのような絵を使いました。
Photo

高い線量に関しては、放射性物質から放射線をいっぱい被曝すると被曝量に比例してリスクが高まるというのは合意されていても、その「いっぱい」とはどこを指すのか、ラグビーボールの右上端部分の黒丸の位置が専門家によって異なっていました。別の表現をすると、低い線量の場合(たとえば、100~200ミリシーベルト未満の場合)は、被曝量とリスク(たとえば、発癌リスク)の関係が実はよくわからないということになっていたようです。

低い線量被曝に関して僕たちが直感的にいちばんわかりやすいのが上のラグビーボール風の絵でいうと「斜め上へ伸びる赤の直線」で、つまりリスクと(被曝)放射線量が比例しているもの。これがLinear Non-Threshold : LNT仮説<閾値のない直線仮説>と呼ばれている考え方。閾値という難しそうな漢字は「いきち」、あるいは「しきいち」と読み、そこを超えるとヤバイといった場合のそのヤバさが始まる値のこと。だから「閾値なし」とは、そこから突然状況がかわるという「そこ」はなくて、低線量でも高線量でも線量に比例してリスクが存在するということです。

上の論文のポイントは、僕の理解では、以下の通り。被曝量(外部被曝と内部被曝)と発癌リスクの相関関係がすっきりとしたので、僕たちのような一般生活者が対応しやすいものになりました。

(1) 被曝量と(被曝による)発癌リスクの相関関係: 被曝量と(被曝による)固形癌の発癌リスクの関係は、リニア(直線的)である。上の絵でいうと、左下から右上に向かって斜めにまっすぐ伸びている赤い線のような関係のこと。

【註】白血病については、すでに詳細な分析があるので、この論文では取り上げていない。

(2) 閾値: 閾値(いきち、しきいち)はない。0Gy(ゼログレイ)から0.2Gy(0.2グレイ)の間にあると考えられてきた閾値は、存在しない。しいて閾値を求めるなら、閾値は0Gy(ゼログレイ)である。

【註】僕自身に対するわかりやすさのために、GyよりはなじみのあるSv(シーベルト)に翻訳。Gy(グレイ)とSv(シーベルト)の関係は「シーベルトの値 = グレイの値 × 放射線の種類による影響係数 × 臓器の種類による影響係数」ですが、ざっくりとGy = Sv と考えると、0ミリシーベルトと200ミリシーベルト(= 0.2シーベルト)の間に閾値はない。しいて閾値を求めるなら、閾値は0ミリシーベルト。

(3) 子供の時に被爆した場合の方が、大人(たとえば、30歳や40歳)で被曝した時よりも発癌リスクは高い。

(4) 0.1Gy(ざっくりと100ミリシーベルト)以下の低線量被曝の実際のリスクは、「直線的な関係」で想定されるリスク値よりも、高い。

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