2011年度の食料自給率は38.6%で、前年度から0.2ポイント減少(その2)
前述(「その1」)のように、2011年度の食料自給率(カロリーベース)は38.6%で、この3年間は連続して下落していますが(なお、生産額ベースの食料自給率は66%、前年度比で4ポイントの下落)、過去10年の政府(農林水産省)の食料自給率目標(カロリーベース)の推移は、以下の通りです。
◇2000年3月に、「2010年度に45%」と目標設定(自民党政権)
◇2005年3月に、「2015年度に45%」と目標達成年度を修正(自民党政権)
◇2010年3月に、「2020年度に50%」と目標を上方修正(民主党政権)
2010年2月23日に「食料自給率50%と60%の風景」、3月16日に「『2020年度に50%』」という記事を書きました。ヒトの食料自給率は、ヒトの「穀物」自給率とも関連しますがとくに「家畜の穀物自給率」の影響を大きく受けます。その関係をざっくりと表示したのが(わざと「デフォルメ」していますが)以下の絵(図表)です。
家畜は飼料(エサ)としてたいていは穀物を食べて育ちます。牛などが放牧されている場合は草がエサですが、その割合はわずかです。穀物を食べて育った牛や豚や鶏の肉や卵が動物タンパク食材としてヒトの胃袋に入ります。だから、当たり前のことですが、エサとしての穀物供給が止まってしまうと家畜は飢え死にしてしまいます
日本で育てられている牛と豚と鶏が食べている飼料(エサ)はその90%が輸入されていますが、絵では100%としてあります。また、全体を1,000万トンごとのブロックに分けていますが、各ブロックはだいたい1,000万トンくらいという意味で実際には凸凹があります。全体を直感的にわかりやすくするために、その違いを「デフォルメ」しています。
この輸入飼料が輸入できないような状態になると、牛や豚や鶏の9割が日本では生産できなくなるので、食料自給率計算では、国産飼料で養ったであろう家畜の分しか自給率には組み入れません。ヒトの食料自給率が「家畜の穀物自給率」の影響を大きく受けるというのはそういう意味です。
2010年の2月と3月にその記事を書いたときの僕の大雑把(おおざっぱ)な計算だと、日本で50%の食料自給率を手に入れるためには、広義の生産供給政策(米粉や小麦や大豆や家畜飼料の生産拡大とそれにともなう需要・消費の創出)だけではまず不可能で、非常にうまくやってもこれで達成できる追加食料自給率は5%、つまりベース食料自給率を40%とすると結果は45%。残りの5%は日本人の食生活パターンというか食事内容そのものの変更に踏み込んでいかないと無理だと思います。
食事内容の変更とは、われわれの食事内容をコメ・米粉や国産大豆・国産小麦を増やすような方向で変化させ(家畜の場合は飼料米によるトウモロコシの代替)、同時に肉類と油脂類と油脂類が多く含まれる加工食品を減らしていくということです。つまり、肉とパンと油っぽい料理が好きな方には余計なお世話の領域の話です。しかし、少子高齢化という人口分布は産業全般の経済成長には不利ですが、中年以上の人口が多いということは、外部からの強制力が強くなくても、構造的な食事内容の変更には有利に働きます。
消費税率を品目別に設定するという説得力のある議論と、日本の食料自給率を上昇させたいという意思をからめると、このような方法も視野に入ってきます。
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